ポルトのバスツアーとタコ料理
2011年 07月 16日
ブラガのバスツアーが面白かったので、翌日はリスボンに帰る途中ポルトに立ち寄り、使用済みチケットの25%割引を利用してここでもバスツアーに参加してみようと思い立った。
ところが期待はずれであった。日曜日の午後という時間帯も悪かったのかもしれないが、全然良くない、それどころかポルトという街を嫌いになりそうになった。
まず切符を買うところからトラブった。運転手にブラガの切符とともに10ユーロを渡したら、釣りがないという。小銭を保管する箱がないから、釣り銭が出せないと言う。そんな馬鹿な。ポルトのバスツアーは3コース2日間有効で13ユーロで、10人以上のグループや他の街の同じ会社のツアーの切符を持っている客は25%割引の9.75ユーロになるとパンフレットに明記してある。それなのに25セントの釣りが出せないというのだ。おかしいではないか。食い下がると運転手は自分の財布から50セント玉を出して、向かいのインフォメーションスタンドで両替してもらってくれと私に頼んだ。スタンドの女性係員はここには現金がない、その辺のカフェで両替してもらえという。客がなんでそんなことをしなくてはならないのか納得いかなかったので、バスに引き返して50セントを運転手に返し、会社に文句をつけてやると言い渡した。
たったの30円かそこらの金額ではあるが、釣りが生じる可能性が大いにあるのに、会社は車にもインフォメーションにも釣銭を用意せず、客の金をそのまま着服するのだろうか。許せん!
出発時刻を過ぎてもだらだらと動こうともしなかった2階建て観光バスがようやく走り出した。イヤホンの差込みには日の丸が表示され、日本語のオーディオガイドがあることになっている。チャンネルを8に合わせてガイドを聞くと日本語が聞こえてきた。もう途中のようだ。お祭りか食べ物のことを話している。しかしここは世界遺産に指定されているポルトの歴史的地区のど真ん中、どの建物も立派で、いわくありげだ。なにか説明することはないのだろうか。
そのうちに案内が突然ドイツ語に変わった。どのチャンネルをいじっても日本語は聞こえてこなくなった。仕方がないのでポルトガル語に切り替えた。
バスは次の停留所のボルサ宮でもしばらく停まっていた。出発場所から一つ目の停留所で運転手が交代する。なぜ初めから別の運転手が運転しないのか意味不明だ。しかし交代した運転手はどこからか小銭を調達しにっこり笑いながら私に釣りを渡した。クレームをつけようという勢いはややそがれた。
日曜も平日と変わらないような交通量のポルトの街中をとろとろとバスは走る。しょっちゅう信号や路上駐車の車、工事に引っかかる。それだけでイライラするのに、オーディオガイドの説明と見ているものがさっぱり一致しない。通り過ぎた後で建物の解説が聞こえる。そんなものはどこにあるのか、他の乗客もよくわからないようだ。ブラガは運転手の他にオーディオガイドを操作する女性アシスタントが乗っていたが、ポルトはワンマンカー。運転しながらボタンを操作するので、見ているものと説明との間にズレが生じるらしい。
しかも説明と説明の間にはファドがかかる。1度ならいいが、何度も何度も同じ曲の同じフレーズを聴くのはうんざりだ。しかし聞き続けないと、いつ説明が始まるのか判らない。他の外国人も苦笑いしていた。
中心部から海岸沿いの地区、レッサ・デ・パルメイラスに入ると渋滞がひどくなってきた。大通りをマリア様や聖人の人形を乗せた御輿がパレードをしている。この日は港の祭りのようだった。珍しいものを観たが、交通規制をしている大通りから抜け出すのに相当の時間がかかった。そしてやっと海に出たら、今度は海水浴客の車の列だ。通常は1時間のコースが2時間半かかった。
他のコースはまともかもしれないと思い、別のバスに乗ったが、似たようなものであった。ブラガが良かったのに反し、ポルトのツアーはブーだった。
腹立ちはうまいもので鎮めなくてはなるまい。知り合いがやっているレストラン・ダ・アルジーラに行った。以前日本語のメニューを作ってあげたので、少なくともワインの1杯くらいはおごってくれるだろう。場所はポルトの観光名所のひとつである河沿いのリベイラ地区。石造りの土台の上にカラフルなアズレージョ貼りの鰻の寝床のような建物がひしめき合うレストラン街の中にある。ドウロ河と対岸のワイン倉、優美なドン・ルイス橋を眺めながらの食事は、少々高くてもショバ代が入っていると思えば許せるか。お勧めはタコのオーブン焼き。ドカベンのような赤土のキャセロールにはタコの足、ジャガイモ、さまざまな野菜がぎっしりと並べられ、ハーブやスパイスを効かしたオリーブオイルに浸っている。月桂樹のいかだに乗った赤い粒胡椒が見た目にも楽しく、また山椒のような清涼感を与える。
黄金色からコバルトブルーに変わっていくドウロ河をうっとりと眺めながら柔らかなタコを食べていたら、またメニュー作りを頼まれた。よっしゃ、今夜はそっちの奢りだよ。
しかし、ナゾなバスツアーだったのですね。
でポルトの知り合いには私も先日1年ぶり以上にお会いしましたが、
ますますお腹が大きくなっていたけど、おごってもらったんでしょうか?
って、彼は気前はいいよね。
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バスのガイドはウケました。ポルトガルの説明文って妙に飾ってて、中々主題が見えて来ないっていうのが多い気がします。芸術家肌なのかなぁ。