テージョ河アート散歩 その2 カスカイス編
2011年 10月 27日
カスカイスは19世紀の王様が保養のために御用邸を置いて以来、高級避暑地として発展したポルトガルの葉山である。今は普通のサラリーマンも住んでいるが、海岸沿いにはバブリーなマンションや豪邸が多い。しかし、元々は小さな漁村だったので、旧市街は漁師町の面影もわずかに残っている。
天気が良ければ、昔はポルトガルのリヴィエラと呼ばれたカスカイス湾から地獄の口を巡って、ギンショ海岸方面に向かう自転車道をサイクリングするつもりだったが、雨が止みそうにないので、まず町の中心部にある二つのミュージアムで雨宿りしてからタクシーでスパに行くことにした。
一つは海の博物館(ムゼウ・ド・マール)で、19世紀末から20世紀初頭に在位したカルロス1世の業績をたたえた博物館である。カルロス1世は海洋学とマリンスポーツと絵画を愛し、絵の腕前は玄人はだしであったが、政治家としてはいまいちで、暗殺されてしまった。カルロス1世の海洋学への寄与はとりわけリスボンの隣町のアルジェスにあるバスコ・ダ・ガマ水族館という形で残されている。海の博物館ではこの王様とポルトガル海洋学の発展を示す資料の他に、海洋生物の標本、漁民の生活、付近で沈没した難破船、船の模型など、海を軸とした人や町のかかわりを紹介している。
もう一つは最近作られた話題のミュージアム、パウラ・レゴ個人美術館(カーザ・ダス・イストリアス・パウラ・レゴ)である。この美術館の建物はポルトガルが世界に誇る建築家のソウト・モウラ氏の設計で、2つのピラミッド状の屋根を持つ赤い建物はとても斬新で美しく、周囲の緑によく映える。
パウラ・レゴ(Paula Rego)はポルトガルの現代美術を代表する女流画家で、世界で最も高い値が作品につけられる現存作家のひとりである。彼女の絵に登場するのはいかにもポルトガル人らしい体型と顔つきの女性達だ。そのポーズや表情には狂気、残忍、嫉妬、ふてぶてしさ、貪欲さなど諸々の悪意をはらんだただならぬ緊張感が張り詰める。マリー・ローランサンなどとは対極に位置し、好き嫌いがはっきりと分かれるだろう。中には動物を戯人化したユーモラスなものもあるが、どこか毒を含んでいる。
この2つのミュージアムは隣り合っており、入場料は無料である。パウラ・レゴ美術館にはカフェがあるので軽い食事もできる。空腹のままスパに行って更に体重を減らそうという計画は当然頓挫した。昼食メニューはチキンのグリルとサーモンのパスタの2種類あったが、ボーイがすごく美味しいですと勧めるチキンとグラスワインを頼んだ。
雨はますます激しさを増す。ミュージアムでタクシーを呼んでもらい、車で10分ほどのキンタ・ダ・マリーニャのホテルに行くよう頼んだ。広い松林の中の、ゴルフ場や馬場がそばにある豪華なホテルで、私には場違いな所だ。しかし今日私はお客様だ。スパの受付で、今日3時に予約を入れています、とクーポンを提示したが、受付嬢は怪訝そうな顔で、そのようなお名前は入っておりませんがどちらのホテルですか、と私に尋ねた。よく見るとホテル・キンタ・ダ・マリーニャではなく、ホテル・ヴィヴァ・マリーニャとなっている。名前は似ているが全然違うホテルだった。失礼しました~。幸い間違えたホテルからは歩いて5分であったが、雨の中おちょこになる傘を支えながらの道のりは遠く感じた。
絵の雰囲気からすると、カラスのローストとかロバの耳焼きとか出てきそうなのに。
で、この続きにスパのレポートが続くのですか?今度お会いするときには、きっとお肌つやつやなんでしょうね!
スパはあの辺のお金持ちが家の中に作る程度の規模で、また高校生くらいの女の子2人が先客で、私達騒ぎますけどいいですか?と礼儀正しく訊かれたのでダメだとも言えず、温泉気分も味わえず不完全燃焼でした。
ポルトガルのお料理にはコリアンダーがよくかかっていましたが、こういう肉系のお料理にも使われてるのでしょうか?本当に美味しそうです。
その礼儀正しい女の子達、実は以前騒ぎすぎて注意された経緯の持ち主なのでしょうか?一応断って騒ぐ術を身に付けたりして。
スパでリラックスするには周りの雰囲気も大事みたいですね!
友人が車を停めた場所に戻る時にケッタイな建物が見えたんだが
それが、パウラ・レゴ美術館だったのだな。
しかし、誕生日って2月じゃなかったかいな。