イチゴワイン(モランゲイロ) その2
2012年 10月 06日
狭い店は既に満員で外に5人連れが待っている。しかし私はうまく滑り込むことができた。6人がけのテーブルの、男に囲まれた真ん中に相席である。どのテーブルにも赤い液体の入ったラベルのない瓶がおいてある。
おじさんが具のたっぷり入ったスープを運ぶのを見て、同じものを注文した。「石のスープ」から肉類を除いたようなリッチなスープだ。
向かいの男性は手で骨付肉を頬張っている。私も同じものを頼んだ。「ボン?(おいしいですか?)」と聞いたら「いや、ムイトボン(超美味い)」という返事。やってきたのは長さが30cmもあろうかと思われる肋骨の上に山盛りのフライドポテト。骨と骨の間にナイフを入れて切り離し、トウモロコシを食べるように両手で骨を持ち、肉を歯でこそげ取る。焦げた部分が香ばしい。ちょうど良い塩加減だ。自家製ピリピリソースをつけるとまた食欲が刺激されイチゴワインが甘く感じる。
隣の男性はこれまた旨そうな砂肝の煮込みを食べている。煮汁のしみたご飯を横目で見るとまた口の中に涎が。
ネクタイを締めた会社員、現場で働く職人、学生風の若者、薬局の店員か美容師らしき女性、銀髪を綺麗にセットした老婦人など色んな人々がイチゴワインを傍らにお喋りに花を咲かせ、山盛りの肉やフライドポテトに舌鼓を打ち、おじさんと兄さんがコマネズミの様にテーブルを回り、厨房に注文を伝える怒号が飛び交う。頭に被り物をつけた青いワンピース型エプロンのおばさんシェフは厨房と炭火のグリルを行ったり来たり。
熱気と喧噪に満ちた下町食堂は、過去へのサウダーデばかりでない、ぎゅうぎゅう絞られる庶民の怒りを内包した炭火の如きパワーを感じた。
夜は口紅つけてミニスカートに網タイツでいくと、ガテン系のお兄さんにおごってもらえるかもしれません。そういう道ですもんねwww
ちなみに小さいコップのイチゴワインは50セントです。
こういうとこは子連れ観光客なんて邪魔でしょうね。さっさと注文してバクバク食べてさっと退場が暗黙の了解でしょうか・・・・。