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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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タヴィラで焼魚三昧

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水の町タヴィラにはこのローマ橋の他にも3つの橋がある。

 タヴィラは川と海が作り上げた広大な潟と山に挟まれた土地に、ローマの遺構とイスラムの伝統、カトリックの壮麗さがモザイクのように入り組んだ歴史の町。近代はマグロ漁でも栄えた。ジラオン川を挟んで市街は二つに分かれ、いずれも水面に美しい影を映す。赤い汽車ぽっぽ型の観光バスが町と塩田の広がる潟、そしてタヴィラ島行きのフェリー乗り場を巡る。旧市街の小さな箱型の家々や、潟に集う野鳥を見るのも楽しい。バスは一回の乗車3.5ユーロだが、5ユーロで1日何度も乗り降りできる。
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 そんな町に何か特別な食べ物がないか注意して歩いたが、旧市街にはなぜかインド料理屋ばかり目立った。カフェにはアルガルヴェ名物のマジパン菓子があるけど、特別美味しいというほどのものでもない。地元の人達で賑わうレストランは見当たらない。メニューを見てもどうもピンと来ない。観光客向けのカタプラーナ2人前28ユーロ等、予算も量も一人ではオーバーだし、何となく美味しそうでない。

 フェリー乗り場付近には大きなレストランが何軒かあるが、半分は閉まっていた。タヴィラ島にはキャンプ場があり、自炊することができる。またレストランも沢山ある。夏は相当混み合うのだろうが、4月の始めは閑散としていて、少ない観光客に盛んに営業をかける店も、はたして新鮮な食材があるのか疑問である。そういう偏見が働いて、人のいない綺麗なビーチのそばでシーフードを食べるのは見合わせて、ビールだけ飲んで島を出た。
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こんな景色ならビールだけでも十分

 フェリーのおじさんに、美味しい店を教えてくれと尋ねると、何で島で食べなかったんだと半ば呆れ顔で言われた。確かに島にいたのは昼時だった。彼は2軒の店を紹介してくれた。ひとつは新しいショッピングセンターのそばの魚の炭火焼専門店で、もう一つは旧市街のレストランだった。

 3時ごろ魚の炭火焼専門店に行ってみると既に昼のオーダーは終了し、火の消えたグリルのそばに無造作に積み上げた焼き魚は種類もなく、これしかありませんと言われたので、夜に旧市街のレストランに行くことになった。そこはアルガルヴェ名物のマテ貝のリゾットが一人前から注文でき、値段もそれほど高くはない。リゾットはトマトで調味され、必須の生のコリアンダーがあしらわれている。貝はマテ貝かどうか判らない程に切ってあるが良しとしよう。見た目は美味しそうだ。ところが食べてみると何の味もしない。しょっぱくも酸っぱくもない。3月に風邪と花粉症で鼻の奥が思いっきり腫れて、一時味や臭いが分からなくなったが、徐々に回復しつつあった。まだ治っていなかったんだろうか?首をかしげながら食べた。米は茹ですぎて割れた状態だったので、炊いたご飯を使ったのだろう。コメ料理は注文してから作ったものは、汁気が多くてかさが増えるので普通2人前からだが、あらかじめ茹でたご飯を汁に入れる方法なら1人前を作るのは容易である。しかし米の香りや弾力が減少する。このマテ貝のリゾットはそれっぽい。お客さんを見ると、何と全員外国人、しかも世界で最も料理がまずいと言われるイギリスの人ばっかりだった。失敗…
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自分で作ったマテ貝のリゾットの方がうまかった

 翌日の昼は、今度こそ魚の炭火焼を食べようと、町はずれにある3本の椰子の木以外何の飾り気もない「トレス・パルメイラス」(三本椰子)に行った。この店はオフシーズンは昼しか営業しないので、夏以外に行く時は注意。実は昨日それを知らずに夜行ったら閉まっていたので、味のないマテ貝のリゾットを食べる羽目になったのだ。
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 隣を見るとカップルが何か大きめの魚を2人で分け、ぷっくり焼かれたモンゴウイカと太刀魚の切身の皿、山盛りのサラダと茹でじゃが芋でテーブルが一杯になっている。どの魚を焼いてもらおうか迷っていると店のお姉さんがサラダとじゃが芋を持って来て、大きい魚がいいか小さな魚がいいかという大雑把な注文だけ取って行った。私は小さい魚を色々食べたいと答えた。
 しばらくすると、もう少し年嵩のお姉さんが、大皿に焼きあがった魚を山盛り載せて各テーブルを周り、客の皿に次々と配って行った。この店のシステムは魚を種類ごとにまとめて焼いて、焼き上がったらテーブルに持って行き、客は好きな魚を好きなだけ取って食べる、という方式らしい。
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こういう組み合わせは普通ではない

 はじめにやって来たのは、鯛系のサルゴとファネッカという赤い魚で、どちらも淡白でとても美味しい。やっぱり鼻は麻痺していなかった。ピメントでアクセントをつけたニンニクトーストも来た。
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普通のパンもある。パンは美味しいけど食べるとメインが入らなくなるし

 リスボンでは高い、美味なヒメジが2匹。この時点で既に十分に満足していたが、やはり隣のモンゴウイカが気になる。しかしその前に立派なスズキがやって来た。普通はこれ1匹で十分な大きさだ。スズキはどこでも食べられるので、特に食指は動かないのだが、香ばしく焼けていて、半分だけ食べるつもりが全部平らげてしまった。さすがにモンゴウイカの入る余地は無くなった。デザートは果物が入ったカゴがどーんとテーブルに置かれて、好きなものを選ぶ。私はもうコーヒー以外は必要なかった。お勘定にはワインやサラダやコーヒーなどの品別の値段はなく、ただ13ユーロとしか書いていない。全部込みでセットの料金らしい。
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頭がどっちだろうがかまいません

 客は地元の家族連れが多く、次々運ばれてくる魚もすぐに骨だけになり、お代わりを頼む声が聞こえる。イギリス人の観光客に一生懸命英語で話しかける隣の夫婦。夕べの静かで上品な、しかし味のないレストランとは雰囲気が全然違う。道理でポルトガル人は一人もいなかった訳だ。しかしなぜフェリーのおじさんがあの店を推したのか謎である。昔は美味しかったのだろうか。
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皿からはみ出る鈴木君
Commented by pato at 2013-04-17 10:05 x
ああ、もう今は夜中の2時過ぎなんだけど
お腹がすいてきたよ。
しかして、最近あんまりご尊顔を拝してないですね。
Commented by babka at 2013-04-17 14:21
あたりはずれもまた楽し、ですかね。
おじさん、外ではあまり食事をしないいのでは?
ぁ~お魚美味しそう!
Commented by caldoverde at 2013-04-17 15:18
鈴木君などは、信楽焼の長方形の皿に笹の葉を敷いてはじかみを添えたらもっと美味しそうに見えるんですが。
ポルトガルに来た日本のお客様で、魚(鰯)頭の向きが逆だと気になさる方がいらっしゃいますが、当地では当地の盛り付け方があるんでございます(爆笑)
Commented by おっちゃん at 2013-04-17 21:40 x
マジパンってケーキの上の砂糖の塊?仏壇のお供えのバナナみたいな形したやつってイメージしかないけど、本場欧州のものは違うんでしょ?
Commented by caldoverde at 2013-04-17 22:39
それはメレンゲではないでしょうか。口の中でほろほろ崩れるあれではなく、ねっとりした、あんこ玉とか練り切りみたいなもので味は香料臭い。アーモンドできているけどローストしたカリッとしたものとは全く別物です。
Commented by aomeumi at 2013-04-21 21:31
オリャオのおばば
パンが・・・いちばんおいしそう・・・ぶふっ・・・タビラは、オリャオよりずっとましです。美味しい店も結構あるのだけれど・・・街の奥の方で・・・説明できませんでした・・・ごめんよ。五月からしかオープンしない店もあり・・・また、夏に来てください。
Commented by caldoverde at 2013-04-21 22:20
この日の午前中は電車と船でスペインにも行って、アヤモンテの市場でマグロの塩漬(モハマ)を買いました。酒の肴にピッタリです。もっと買っておけばよかった。お土産に持って行って自分で半分飲んでしまった、アルガルヴェのワイン、リスボンで探したら見つからない!青目さん、名前を教えて下さい。これまでに飲んだ最も美味しいワインの一つでした。
by caldoverde | 2013-04-17 00:02 | シーフード | Comments(7)