阿蘇列島旅日記 サン・ジョルジェ島1 遂に全島征服
2013年 07月 05日
島はどこも断崖絶壁。島最大の平地ヴェラスの町を見下ろす
アソーレス諸島九島のうち、未踏の島はサン・ジョルジェ島のみとなった。ホテルの選択肢の少ないアソーレスであるが、インターネットで検索すると、ピコ島の素晴らしい姿が目前に広がる素敵なホテルがサン・ジョルジェ島にあった。空港からも遠くない。島一番の町のヴェラスの近く でもある。こんな眺めなら、部屋から出ないでぼーっと1日中過ごせるかもしれない。予算オーバーだが、このアパートメントホテルを予約した。
正面にレセプションとレストランやジムのある円形の建物があり、その奥に独立した戸建のアパートメントが10棟程並ぶ。ホテルには屋外プールとジムのプールがあり、また少し歩くと天然の磯のプールもある。屋外プールやレストランからは海峡を挟んでピコ島の勇姿や、湾に広がるヴェラスの町や火山でできた丘が見える。部屋にはキチンが付いており、簡単な料理もできる。リビングにはソファと食事テーブル、広いバスルーム、寝室は2つ、ベッドは4つ。これを一人で使うのはもったいないのは重々承知だが、リスボンのアパートの騒音から一時解放され、大自然の静寂の中で、まだ決着のつかない「快楽」との長期戦に備えて体力を回復するための必要経費と考えよう。
去年のグラシオーザ島では、経由地のサン・ミゲル島で自転車が積み込まれず、ロストバゲージの手続きをしているうちにタクシーが空港から消えて、ホテルまで歩くはめになった。今回は自転車は置いて来たが、荷物は小型のトランクに詰めたので持ち歩きたくない。早い所タクシーを確保しなければ。アソーレスのタクシーはメーターがなく、空港からどこまでは幾ら、という定額制だ。リスボンよりも高く感じるが、仕方が無い。また実際に車で走ると地図の見かけよりずっと距離があるのがアソーレスである。サン・ジョルジェ島で最初に乗ったタクシーの運転手、ジョゼさんには到着日と翌日、最後の日と3回お世話になった。
まずホテルに荷物を下ろし、直ぐに島一番の町のヴェラスに向かった。昼時だったので、ジョゼさんにレストランを紹介してもらい、近くで降ろしてもらった。港のそばの広場に面したアソール(アソーレス=鷹)という店だ。何人か町の人に尋ねるといつも筆頭に挙がるレストランである。
アソーレスに来たら食べるべきものは、カサガイ(ラパス)である。この店では金網にのせて焼くのではなく、お皿にのせてオーブンで焼くようだ。生焼けのもあるが、アワビの刺身ようにコリコリした歯触りで、磯の香りが強い。むしろ新鮮で大きいのは焼かなくても良いくらいだ。
今日のお魚はbagreという赤魚と白身魚の中間のような味で、淡白でありながら旨味がある。ウィキペディアによるとbagreはナマズとなっているが、ヒゲがあるのだろうか。リスボンでは見たことがない。付け合わせのじゃがいもはニンニクと塩で味付けしたモサモサ系の芋で、美味しくて全部食べてしまった。普通は茹でじゃがいもは黄色いねっとり系が多いので珍しい。
食後は郷土色豊かなチーズプリン。塩気の効いたサン・ジョルジェチーズと、濃厚な黄身プリンを組み合わせた、あまじょっぱい塩羊羹のような異色のデザートである。サン・ジョルジェ島デザートコンクール入賞の盾が店内に飾られており、おそらくこれが表彰されたのであろう、個性的なスイーツだ。