麿歯科医院
2014年 08月 30日
悲劇は土曜日に起こった。糸楊枝で歯を掃除していたら、奥歯に被せていた銀冠が飛んだ。コン、と陶器の洗面台に当たる音が聞こえ、歯には空洞が生じた。床に這いつくばって隅々探したが、冠は見つからない。ひょっとすると洗面台の穴に落ちて、排水管の中に入ってしまったのだろうかと、排水口の金属を外し、中を覗いても何も見えない。数少ない手持ちの貴金属を無くした上、食べるのにも不自由な状態になった。
今は8月、多くのポルトガル人はバカンスで2週間も4週間も仕事を休んでいる。医者も例外ではない。しかも週末である。開いている歯科医院は皆無に近い。一縷の望みをかけて、1月前に同じ銀冠を入れ直した歯科医院に行くも、月末まで夏休みだった。仕方なく薬屋で何か穴に詰めるようなものはありませんかと訊くと、親切にもただで見本の入歯固定用ペーストを分けてくれた。しかし虫歯で出来た穴に詰めても良いものだろうか…
そこに救世主が現れた。以前住んでいたアパートの同じ階の未亡人とすれ違った。事情を話すと彼女はアレンテージョだかアルガルヴェの別荘の隣人がリスボンのクリニックに勤務する歯科医、しかも土曜日が担当だということを思い出した。だからそのクリニックは土曜日も開いているはずだと示唆した。しかしその歯科医院とは、世界的に名を馳せている「マロ・クリニック」である。近所のヤブ歯科医院の治療費は35€だった。それでも十分高いのに、一体いくらかかるのだろう…100€、それとも200€だろうか?しかし一刻の猶予もない。今すぐ穴を塞がないと神経に触って大変なことになりそうなのだ。
家に戻って電話をかけると、何とその日のうちに予約を取ることができた。これも奇跡的なことである。夏休みの時期でなくとも、病院の予約は1週間、2週間先はざら、ひどい時は2ヶ月後と言われたこともある。
場所はアメリカ大使館のとなり、近くにはリスボン大学病院や、マリオットホテルもある。建物は黒いガラス張りの14、5階はあるビルで、全てマロ・クリニックと関連施設である。エステサロンや美容院もある、13階の受付はまるでホテルのロビーのようだ。なんとバーまでありマロワイナリーのワインを売っている!マロ先生はかなりやり手の実業家と見えた。
実際の治療は女性の歯科医師が担当した。ポルトガルは日本と比べると女医の割合が多く、特に歯科医師は女性が多い。
小さな虫歯の穴を塞ぐ程度なら1回の治療で済むが、取れた銀冠が結構大きかったので、セメントみたいなものを仮に詰めて、次の治療で金属を被せることになった。気になる治療費は、初回が診療65€、レントゲン代45€、合計110€で、2回目は105€だった。その辺の歯科医院に比べると相当高いが、安いところで詰めた冠や差し歯が何度も取れたことを考えると、高いが良いに違いないと自分に言い聞かせるより他なかった。
ドクター・マロの専門はインプラントで、画期的な方法を開発した。麻酔をかけ全ての歯を抜き、総入れ歯のような義歯を顎の骨に固定するというもので、手術は1日で済むという。世界中に多くのクリニックを持ち、日本では東京にマロ・クリニックがあるので、その技術は評価されているのだろう。私の詰め直した銀冠も、ほとんど違和感なく、削るなどの調整が日本の歯科医師と比べても少なかったので、上手だったと言える。でないと215€かけた意味がない。願わくば一生この歯が使えると良いのだが、他の歯もあちこちガタが来ているので、またマロ・クリニックのお世話になることもあり得る。しかし1本200€では…やはり全部抜いて総入れ歯インプラントにした方が手っ取り早く安上がりなんだろうか?宝くじを買わねば。
研修の歯科医師の方々を送っていって客室は見たことはあるけれど、
待合室ってそんなふうになってるんだ。
私は帰国時にしばらく欠損してた上の4番を作りましたよ。
大口を開けないと見えないので一年近く放置してたの。
・初診と2回目の間ってどれくらいの期間がありました?
・2回とも同じ先生が診てくれたのですか?
・そんなに高いのに詰めたのは金属なんですか?
私も前に取れた銀を田中貴金属のリ・タナカに持って行こうかと
思いましたが、日本だと銀と言ってもアマルガムとか?の合金なので
止めました。
いつものマダレナ先生だと予約が1週間先とかになるので
フランチャイズ展開してるO Meu Dentistaのアモレイラスに行ってみました。
エル・コルテにもあるアレです。
なかなか明朗会計で良かったよ。
電話した次の日に予約が取れて、緊急初診料30ユーロでレントゲン込み、後は
1本着ける毎に30ユーロでした。