ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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阿蘇列島旅日記 フラワーアイランド&クロウアイランド再び⑤ 花島のパラドクス

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サンタ・クルス村の空港。滑走路の先にコルヴォ島が見える。

昨年2017年、アソーレス諸島9島の中、最大の島サンミゲル島に次いで最も観光客の多かった島が、何とフローレス島だったそうだ。これには私も大いに驚いた。フローレス島は人口わずか3千人のヨーロッパ最果ての小さな島であり、リスボンからの直行便はないし、宿泊施設も数える程しかない。しかし心の片隅に納得できる要素もある。私にとってフローレス島はアソーレス諸島の中で最も美しい島だから。しかし必ずしも、美しい=快適、とは限らない。往々にして人を寄せ付けない厳しさこそが美しさを醸し出す要因でもあるからだ。

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アソーレス諸島中、最も水の豊かなフローレス島には沢山の滝がある

今回のフローレス島とコルヴォ島の旅行で、2つの島の印象が7年前と逆転していることに気が付いた。人口400人台のコルヴォ島は、おそらく州政府の補助金が島全体に行き渡っているのだろう。インフラの整備が進み、生活環境は随分向上しているように見受けられる。しかも求職票を出している人がいない、つまり失業者がいないポルトガルでも稀有の自治体である。

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柱状玄武岩のボルドンイス(杖石)は火山が作った芸術作品

一方、フローレス島は観光客の新記録を達成したのは良いが、人手や受け入れ施設が足りないほど来訪者が夏に集中し、それが過ぎると極端に観光客が減ってしまい、島民は2ヶ月間の稼ぎで一年を過ごすことは出来ず、島外に仕事を探さざるを得ない、という矛盾に悩む。フローレス島を訪れるのは主にヨーロッパ、特に独仏英の観光客が多いと思われる。元々フローレス島にはフランス軍駐屯地があったし、格安航空会社ライアンエアーがアソーレスに就航し、旅行しやすくなったと言うのもある。しかしライアンエアーが来るのは、サンミゲル島やテルセイラ島などの主要な島のみのはずだがなぜ?島々を結ぶのはドメスティックのSATAなのだが、何と、ライアンエアーでアソーレスに来ると、他の島へのSATA便がただになるんだそうだ!いつまでそのキャンペーンを続けるのか知らないが、おそらくそれを利用して観光客が怒涛のごとくフローレス島に殺到したのだろう。あるいはフローレス島がマスコミか何かで取り上げられて知名度が急上昇したのかも知れない。

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島の中央部には7つの湖が集まる

フローレス島の美は、人里離れた内陸や、険しい断崖の海岸線にある。2017年はそのような手付かずの自然を求め、欧米の客が大挙してやって来た。町は海岸線に沿って存在し、少し離れた場所には廃村や限界集落がいくつかある。利便性を重視する日本人である私は、公共交通機関のない場所の宿泊はあまり選択肢に入れないのだが、経済的に余裕があり、レンタカーを借りてのドライブやトレッキングを愛好する欧米人にとっては何の障害にもならない。コルヴォ島で同じ宿に泊まっていたイタリア人カップルも、フローレス島で廃村を利用した宿泊施設に滞在すると言っていた。

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廃村になったクアーダ村の家は全てツーリスト向けのコテージに生まれ変わった。欧州のハイキング客に大人気。

フローレス島も酪農が重要産業で、乳製品を生産している。フローレス島のチーズは、アソーレス諸島中最も美味なチーズだと思うが、地元のスーパーでも大メーカーの量産品に押されて遠慮がちに置かれている。夏はチーズ工場がフローレス島内巡りのひとつの目玉になっている事をリスボンに帰ってから知った。ああ~。これまたポルトガルで一番美味いと評判の手造りバターもあるのだが、作る時期があるらしく、滞在中は見なかった。

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左下のコルヴォ島のチーズを除いた3つがフローレス島のチーズ。柔らかでマイルド。

サンタ・クルスでの食事は、港に近いシーフードレストランの「セレイア(人魚)」で、カンタロという赤い魚とピコ島の白ワインのディナー。オーナーが漁師だそうで、カサゴに似たカンタロは新鮮で美味しく、軽くてフルーティなピコワインとよく合った。


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フローレス島の牛肉も大変美味しいということで、翌日は「ライニャ・デ・ビッフェ(ビーフの女王)」でステーキを食べた。肉の上にニンニクを粒ごとのせるのがアソーレス風だ。


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目玉焼きの下も肉です

どちらの店も美味しかったが、値段は高め。冬はほとんどお客さんがいない。一年中コンスタントに観光客が来ればいいんだが…とタクシーの運転手もレストランや宿泊施設のオーナーも望んでいるに違いない。夏以外のフローレス島、コルヴォ島のベストシーズンは9月で、まだ紫陽花の花が見られる。10月はバードウオッチャーがたくさんやって来る。逆に避けた方がいいのは6月で、霧が多くて何も見えない事があるそうだ。

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荒々しい冬のフローレス島もいいと思う



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by caldoverde | 2018-01-10 05:58 | ポルトガルの旅 | Comments(0)