ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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イワシの塩焼き(サルディーニャス・アサーダス)

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 ポルトガルの代表料理といえばイワシの塩焼きだ。ポルトガルを巡るツアーにも大抵1度は入っている。場所はナザレ。海の見えるレストランで食べるイワシ。典型的ステレオタイプのメニューだ。でもまずくはない、たとえ冷凍であったしても。これにあったかい白いご飯があれば最高だ。大根おろしが付いていればもう何も言うまい。でもここはポルトガル。郷に入れば郷に従えと言うではないか。せっかくだからポルトガル式に食べようではないか。

 大抵は1人前3,4匹のイワシにジャガイモを丸ごと茹でたのが2,3個ごろんと付いてくる。普通はレタス、トマト、玉ねぎのサラダがセットになっている。ジャガイモがご飯なら、サラダは大根おろしと考えれば良いだろう。日本から持参した醤油をかけるとしょっぱくなりすぎるので注意。イワシには十分すぎるほど荒塩がふってある。これに適宜オリーブオイルやビネガーをかけて食べる。しつこいと思ったら使わなくても良い。十分に味は付いている。 

 ナイフとフォークを使ってイワシを食べる。いったいどこから始めたら良いのか。頭が右側にあったり、背中が手前に、腹が向うになっていたりして、日本の魚の盛り付け方から見るとめちゃくちゃだ。まずこれから直さなければ始まらない。皿の向きを変えたり、魚をひっくり返たりして正しい位置に戻す。慣れないフォークとナイフを使うので、この時点でイワシはだいぶ形が崩れる。左手のフォークで胸びれのあたりを押さえて、右手のナイフを腹に差込み骨と身を分離させる。そのまま右手に力を加えてナイフを浮き上がらせると、皮がちぎれて身がはがれる。背びれが半分くっついてくる。頭としっぽのほうには若干身が残っているが、とりあえず大部分の身は取った。でもそのままでは一口で入らないので、半分に分ける。焦げすぎた皮はナイフでこそげ取る。背びれ、胸びれも取る。ワタも取る。取るとせっかくの可食部も廃棄する部分にくっついていく。イワシは、猫が盗み食いをしたような無残な姿となる。

 ふと、隣のポルトガル人の皿を見ると、実に美しく食べている。まず丁寧に焦げた皮を取る。まるでよろいか何かのようにかぱっと上手に外している。そして細心の注意を払いながら骨から身を外す。残った骨にはひとかけらの身もついていない。まるで額に入れて飾りたくなる程きれいに骨と頭と尻尾が残っている。外したイワシの身はまるで日本の板前さんが魚をおろしたように、皿の別の場所に完璧なフォルムを保っている。そして彼はオリーブオイルを魚の身にたっぷり注ぎ、ナイフで切り身を何個かに分け口に運ぶ。エレガントである。さすがに長い間イワシを食してきた国民だけあると感心したというか、器用な日本人というプライドが自分の食べたイワシの姿のようにぐちゃぐちゃに崩れたというか。いいんだよっ。どうせイワシなんて庶民の食べるもんなんだからそんなに気取る必要なんてないのさ!ところが日本では昨今イワシが高騰し、築地では一匹千円のイワシも登場したというではないか。そしたら高価なイワシはポルトガル人のようにきれいに無駄なく食べるのが正しいマナーになるかもしれない。

 ポルトガルを旅行する際、フォークやナイフの扱いに自信のない方は日本からお箸を持参しよう。更にチューブ入り「もみじおろし」も持って行くと、ポルトガル料理に飽きたとき油攻めにあっている胃をいたわることもできるし、日本料理店に行かずとも現地で手軽に日本の味が楽しめる。

 イワシを食べるときのワインは赤。なぜかと言うと赤ワインのタンニンがイワシの脂っこさをすっきりさせるので、というポルトガル人の解説である。背中の青い魚と赤ワインは健康にも良いような気がする。お試しあれ。
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by caldoverde | 2007-04-11 18:32 | シーフード | Comments(0)