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ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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バカリャウ(鱈)料理-1 鱈と皆さん

 ポルトガル料理といえば鱈料理と言われるくらい沢山の種類があるそうだ。鱈料理ばかりを集めた分厚い本も売られている。理論上1年間違う鱈料理を食べられるはずなのだが、実際にレストランで食べられるのは種類がほとんど限定されている。

 ポルトガルで言う鱈とは日本でよく見る生や薄塩の切り身がプラスチックトレーに3枚入っているようなものとは全く違う。スーパーや専門店には縦横50cmほどの洋凧の形に開かれた大きな干し鱈が何枚も重ねられて強烈な匂いを放っている。表面には塩が吹いている。これをギロチンでバチンバチンとカットし、ビニール袋に入れて量りにかけて値段をつける。スーパーにはあらかじめカットしてあるものや、細く裂いたものもある。

 干鱈は塩抜きしないと食べられない。1日以上、水を替えながら干鱈を戻す。この戻し加減がなかなか難しいようだ。塩を抜きすぎても残しすぎてもいけない。アルファマ地区の小さな食料品店では昔ながらにたらいに水を張って鱈をもどしながら売っている。
 
 このような手間を経てようやく鱈は調理されるが、代表的なものはバカリャウ・コジード。私が初めてレストランで自分で注文して食べたのもこれだった。バカリャウというのは鱈で、コジードというのは煮たという意味だ。つまり、鱈の煮物である。切り身を上品な薄味のだしで煮て、ゆずとかハジカミとか香りのいいつまが添えられて、きれいに形を整えた野菜や、食べられないけど花や葉っぱが添えられて…という日本の煮魚を想像すると、どーんとパンチを食らう。これは言語や文化を共有するブラジル人にとってもそうらしい。

 日系ブラジル人の知人はポルトガルのレストランでバカリャウ・コジード・コン・トードスという料理を注文した。コン・トードスとはみんな一緒という意味である。どんなすごい料理が出てくるかと期待しながら待つと、ただ水で茹でただけの大きな鱈の切り身と茹で野菜が出てきた。不審に思った彼は店の人に「コン・トードス」とは何だと尋ねたところ、鱈と一緒のジャガイモや人参やブロッコリや卵がトードス(皆さん)だということであった。鱈と上記のつけあわせを同じ鍋にぶち込んで茹でるから「みんな一緒」であるらしい。味付けは鱈から出る塩味のみ。これにオリーブオイルやビネガーをかけて食べる。ブラジル人の知人は第一印象では呆れたようだが、食べてみると結構美味いと言っていた。上手に塩抜きしていたのだろう。

 私の初バカリャウにおけるリアクションもブラジル人の知人同様であった。出てきたものを見て、これがレストランと称するところで出される料理かと驚いた。白い皿にのっているのは白身魚の大きな切り身とゆで卵とジャガイモである。色彩がない。しかしこれは許せる。許せないのは塩辛くてとても全部は食べられなかったことである。今考えるとそこは黙っていても観光客が来る立地である。地元の人はわざわざそんな店に行かないだろう。文句を言うべきだったが、その頃はあまりポルトガル語が話せなかった。
Commented by おっちゃん at 2007-07-18 14:15 x
昔山形に住んだとき、仙台ではほとんど見たことのない棒鱈というものがあった。ホント棒のようにカチカチになった鱈の干物で、それをもどして煮たものが山形の正月料理にはかかせないものだということだ。京都から日本海側の土地に伝わったものらしい。鱈といえば鱈子だけれど、ポルトガルでは食べないのかしら?鱈は北欧のイメージだけど、ポルトガル近海で捕れるの?鱈なんて地味な魚だけど、世界で食べられているのですね。
Commented by caldoverde at 2007-07-18 16:22 x
北陸にはポルトガルと同じような干鱈があるそうです。仙台じゃ見たことないよね。ポルトガルの鱈はノルウェーから輸入しています。昔からカナダとか北洋に行って沢山捕って塩漬けにしていたそうです。山奥でも食べられています。でも最近は数が減って漁が制限されています。将来は鱈は高級料理になるでしょう。生のたらこは市場に売っていて、レストランの前菜にたらこのサラダもあります。でも食べたいのは日本のたらこを入れたおにぎり!
by caldoverde | 2007-07-18 10:23 | シーフード | Comments(2)