ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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ポルトガル 湯治の旅 その2

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 翌日、本命である温泉サン・ペドロ・ド・スルに向かった。町に近づくと川が現れ、その両岸にはホテルが立ち並んでいる。日本の温泉地とそっくりだ。この温泉はポルトガル初代国王アフォンソ・エンリケスも使ったという非常に由緒正しい温泉である。この王様によるポルトガルの建国は1143年であるが、実はすでにそのはるか昔、古代ローマの時代からここは湯治場であった。川べりにはローマの温泉の廃墟がある。そしてローマ温泉のすぐそばに、湯治のための浴場がある。ひとつはドナ・アメリア浴場。最後のポルトガル王妃となったアメリア王妃が湯治に来ていたところで、伝統的なポルトガルの建物である。もうひとつはメタリックな建材でできた、モダンな体育館のようなドン・アフォンソ浴場である。

 冬も開いているのは古いドナ・アメリア浴場だけだった。12月23日はまだ営業しており、治療目的ではない一般の人も入れるかどうか問い合わせた。受付の人によると、健康な人が利用できるのは、ただ浴槽に浸かる(30分3ユーロ)とヴィシー・シャワーというシャワーと人の手で行うマッサージ(季節により12~15ユーロ)の2つだけだそうだ。もし、リューマチや呼吸器系の疾患があり、しかるべき処方箋があれば、それに適した様々なトリートメントを受けることができる。温泉に浸かった後休憩所でビールを飲んでごろごろするというストレス解消にはいいが不健康なことはできない。また温泉では水着と水泳帽が必要である。ホテルのプログラムにはヴィシー・シャワーは入っているので、ここでは温泉プールに浸かることにした。スイミングプールよりはだいぶ小さいが、人がいなければ泳ぐのは可能である。この日は私たち日本人の女二人の他にポルトガル人のおじさん1人だけだったので、小さな温水プールを何往復か泳いだ。温度は熱くもなくぬるくもなく泳いでも息が切れず快適である。30分という時間制限があるので、呼ばれたら出なくてはいけない。夏は湯治の人たちでいっぱいになり泳ぐどころではないだろう。ポルトガル・スペインから2万5千人がこの小さな町に温泉療養に来るそうだ。

 ホテルは冬の、しかもクリスマスの時期で完全なオフシーズン。客はほとんど私たちだけであった。それでもスパやレストラン、四駆車による遠足は私たち二人のためにちゃんと用意されていた。着いた初日の23日は町営のドナ・アメリア浴場はまだ開いているのでこの温泉を使わない手はない。そしてイブの24日と休日の25日は目いっぱいホテルのプログラムを利用することになった。ホテルのスパでは4種類のトリートメントを受けることができる。ヴィシー・シャワー、蒸し風呂、サウナ、ジャグジーである。これを24日の午後と25日の午前中に分けて利用した。24日の午前中は四駆車によるエクスカーションが入った。

 この四駆車のトライブがとても面白かった。サン・ペドロ・ド・スルはポルトガル中部の山の中にあり、日本のガイドブックではまず紹介されていないスポットで、さらにその近辺は地図にも載っていないような小さな集落が点在している。こんな機会でもなければ絶対に行くことはないような場所である。石がごろごろ、穴がボコボコ、枯れ木が道をふさぎ、狭い道をはずせば数十メートルの谷底というような道なき道をぼんぼん飛び跳ねながらランド・ローバーが走る。乗り物酔いしやすい人は気持ちが悪くなる恐れがある。途中、平家の落ち武者部落のような人口50人のフジャッコという村にも立ち寄り、そこでコーヒーを飲んだ。この村の家は片岩という薄く板のように割れる石を積み上げて作る独特の建物で、急峻な谷にへばりつくように黒っぽい石造りの家が肩を寄せて集まっている。交通機関はなく、車を持たない住民は電話で何キロも先の町からタクシーを呼ぶしかない。なぜこんな不便なところに人は住むのだろうか。耕作できる土地はほんのわずか、昔の人はヤギを飼うくらいしか生きるすべはなかっただろう。ローバーを運転してくれたルイスさんは本気でこの村の家を買うことを検討しているが、運転免許のない私には考えられない。
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 1千メートル以上あるこの辺で一番高い山のてっぺんには放送局のアンテナと19世紀に作られた小さなチャペル、風力発電の大きな風車がある。晴れた日にはポルトガル最高峰セーラ・ダ・エストレーラも見える。点々と白い家の集まる村が山あいにいくつも見えるが、お互い何十キロも離れていそうだ。そして良く目を凝らせばフジャッコとは別の黒い石造りの集落も谷の合間に見える。隠れたポルトガルを見ることのできた素晴らしい機会であった。

 ドライブから帰る頃はちょうど昼時だった。ホテルのレストランで食事。町のほとんどの飲食店は休業しているので味やメニューに注文をつけることはできない。可もなく不可もない内容だったが、ホテルのスタッフは感じがよく、気持ちよく食事ができた。24日のクリスマスイブの夜はポルトガルの伝統に従って鱈が出た。

 ホテルではスパのほかに室内プールやジムも利用できる。どうせ水道の沸かし湯のプールだろうと思ったら、しょっぱい味がする。もしかしてこれも温泉の水かもしれない。こちらは30分という時間制限はなく開いている時間なら好きなだけ泳いでいられる。12月24、25日は町営のドナ・アメリア浴場は休みなので、ホテルのプールを貸切で楽しんだ。クリスマス期間中はなかったが水中エクササイズのレッスンも行われる。

 こんなてんこ盛りメニューの2泊3日、レストランの飲み物代は別だが、それでも1人200ユーロ程度で十分楽しめた。2008年からはこのプログラムは三食ではなく二食になるそうだ。またハイシーズン、シングルの場合は高くなる。それでも冬なら十分に行く価値はあると思う。ホテルの名はHOTEL DO PARQUE。SAO PEDRO DO SUL のキーワードとともに検索してみてください。
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Commented by おっちゃん at 2008-01-05 19:24 x
明けお目、新年から、大ネタですねぇ。
いつでも誰でも温泉に入れる日本は幸せだ。でも世界的な原油の値上がりで、光熱費や食糧費が日本でも軒並み値上がりしています。温泉は庶民のものではなくなっちゃうかもね。
Commented by caldoverde at 2008-01-06 00:37
原油の値上げは全ての価格に関わってきますね。風が吹くと桶屋が儲かるみたいに、ポルトガルではパンが値上げされます。年末はEUアフリカ会議の開催やEUリスボン条約で気をよくしていたポルトガルですが、新年早々パリダカの中止で盛り下がってしまいました。
Commented by おっちゃん at 2008-01-06 23:51 x
しかし、人皆祈りを捧げるクリスマスの夜に温泉に浸かる異教徒の女二人、罰当たりですねぇ(笑)
Commented by caldoverde at 2008-01-08 00:20 x
カトリックの国ポルトガルにおけるクリスマスの商業主義なんて日本となんら変わらないですよ。ポルトガル人は平均4百何十ユーロだかプレセントに使うという話です。家族とともに過ごす、というのは意義あることだと思いますが。家族のいない人は温泉に行きましょう。
Commented by Miwakof at 2008-01-09 22:43 x
実家での年越しが、ここ数年続いています。
元旦に、初日の出を眺めながら梅田川沿いを犬の散歩をしていたときに、ふと、caldoverde さんが、もしかしたら日本に帰っているんじゃないか、と思い、このままお家まで行ってみようか、と言う衝動に駆られました。まるで、ストーカーです。
クリスマスには温泉、新年は、どこでどんな風に迎えられたんでしょう。今年も、このブログ楽しみにしています。
Commented by caldoverde at 2008-01-10 06:21 x
Miwakofさんとはほんとに長いお付き合いですね。
私の新年は元旦から仕事でした。自由業の客商売ですのでありがたいことです。ユーラシア大陸最西端のロカ岬で初日?を迎えました。
今年もコレステロール値と血圧を気にしながらも、美味いものを探していきたいと思います。
Commented by おっちゃん at 2008-01-10 12:08 x
新年から商売繁盛で結構なことです。ところで、西の果てロカ岬で日の出が見れるのですか?夕日のイメージでした。そのへんのこと無知な日本人へ教えてください。
Commented by caldoverde at 2008-01-11 08:10 x
旅行業なので皆が休みを取る盆や正月に仕事がないのはやばいです。もっとも最近は割高なこの時期を避けてシーズンオフを狙ってくるお客様が増えましたが。
もちろんロカ岬は大西洋に面しているので、夕日が沈みます。朝日はスペインから昇ります。でも今年初めて見る太陽だから初日さ!
Commented by jojo at 2008-01-17 21:50 x
いいねー、楽しそうだねー。
私もいつか絶対行こう!
ホテルのご飯がおいしいといいんだけどなー。
by caldoverde | 2008-01-05 04:04 | ポルトガルの旅 | Comments(9)