デザインを学んだリスボンの2人の若者ペドロとリタのユニットPEDRITAが、パステラリア(お菓子屋)で売られている半分ホームメイド半分マスプロダクトのお菓子の図鑑 FABRICO PRÒPRIO を出版した。ポルトガルのどのお菓子屋にもある、気取らない大衆的な焼き菓子を、美しい写真とレイアウトで、原材料を中心とする簡単なレシピとともに紹介したもので、歴史的なカフェ、日本のカステラに関するコラム、エッグタルトことパステル・デ・ナタの地球規模の拡散など興味深い記事もちりばめた、待望の本である。
左のお菓子は「風車」という名前。確かにそうだ。
日本では食べ物を扱う店なら商品のそばに名前と金額が誰にでもわかりやすく表示されている。ところがポルトガルのお菓子屋は何もない。ガラスケースの中にお菓子を並べてあるだけ。私は10年ポルトガルに住んでも未だに、あれください、これくださいと指示代名詞を使って買っている。しかしお菓子には銘々名前がある。店のどこかにA4の紙にタイプライターの文字の大きさで印刷された値段表がある。大抵カウンターの奥の壁とか目立たないところに貼られ、文字も小さすぎて読めないし、写真やイラストがあるわけでもないので、毎日のようにコーヒーを飲みお菓子を食べても、何と言う名前のものなのかほとんど知らなかったのだ。この本によって、初めて名前と顔が一致した。

この本は普通の本屋には売っていない。リスボンでは以前紹介したレトロ食品を売っている雑貨屋 A VIDA PORTUGUESA (8月22日の日記、www.avidaportuguesa.com 参照)やコメルシオ広場のリスボンのツーリストインフォメーションにあるやや高級なレストラン TERREIRO DO PAÇO、同じくコメルシオ広場の、郵便局の角を曲がった先にあるみやげ物店 ARTESANATO DO TEJO などで扱っている。もしくはインターネットのホームページhttp://fabricoproprio.netで通信販売している。本は店頭で買えば34,90ユーロ、パステラリアでお菓子を持ち帰るときに使う包装紙のようなデザインの紙で包まれている。ポルトガル語と英語で表記されているので、甘いものが好きなポルトガル語を勉強している方には必携の本だ。