マルメラーダ
2008年 10月 04日
そんなマルメロだが、イベリア半島では人々にとても愛されている。「マルメロの陽光」というスペイン映画は、老画家が果実のたわわに実るマルメロの木を一心に描き続けるのを淡々と描いた作品だった。私もマルメロの不思議な形に心惹かれ、鉛筆を取って描いてしまった。
マルメロで作ったジャム、マルメラーダはポルトガルで最も一般的なジャムだ。安いペンションの朝食や、大学の学食の定食には、必ずと言っていいほど小さなパッケージ入りの、または薄く切ったマルメラーダがバターとともにだされ、これをカルカッサというスカスカのパンに挟んで食べるのだ。
ポルトの名所ドン・ルイス橋のたもとのレストラン街、リベイラ地区の河から一本中に入った薄暗い通りにある小さな店で昼食をとった時、デザートに出たのが、ケイジョ・フラメンゴと呼ばれる赤いワックスで覆われたオランダタイプのチーズの上にマルメラーダをのせたものだった。チーズといえば思い出すあの典型的な匂いと味を持つチーズと、山形銘菓「のし梅」にも似た甘酸っぱいマルメロ羊羹の組み合わせという意表をついた取り合わせに衝撃を受けた。日本では想像のつかない食べ方だが、チーズの塩分や匂い、マルメラーダの甘さが適度に中和され、慣れるとやみつきになる秀逸なデザートである。
ポルトガルのお菓子屋には、自家製マルメラーダを製造販売しているところがある。中にはオリジナルの陶製の容器入りのものや、注文に応じお客さんが持ち込んだ容器に入れてくれるところもある。可愛いどんぶりのような容器に入ったマルメラーダは甘い物好きへのプレゼントとして喜ばれるに違いない。
マルメラーダは容器入りのほかに、つまんで食べられるように一口サイズに切って砂糖をまぶしたものもある。また、ジャムではなく、果物の形とさくっとした歯ごたえを残したコンポートもある。このような製品はグルメショップやポルトガルの国産品だけを扱う専門店にあり、お値段も良い。一方、普通のスーパーにある量産品のマルメラーダは、他のジャムに比べるとずっしり重いが安い。
昔住んでいた下宿の女主人のマルメラーダ作りを手伝ったことがある。果実の皮をむいてお湯でゆで、柔らかくなったらムーランというハンドルでぐるぐる回す裏越し器でなめらかにし、それに砂糖を加えて煮る、という工程だった。私はむいた皮をゴミ箱に捨てたが、後からマダムにあの皮はどうしたと聞かれて捨てたと答えたら、がっかりされた。マルメロの皮にはペクチンがたくさん含まれ、皮をゆでたお湯に砂糖を加えるとこれまたマルメロゼリーができるのだそうだ。そのときは既にマルメロの皮の上にかなりの地層が形成されていた。
私は半強制労働が一つ減ったことでほっと胸を撫で下ろした。
ジャムにする手があったのですね。晩秋になると、農協の売店などで安く売られていますので、今年はジャムつくりにトライして見ようかな。
マルメロ画、caldoverdeさんの隠された才能が、また一つかいま見えたような気がします(笑
なにかうちの未だ殺風景な居間に、素敵な絵を描いてけろ~
マルメロって酸っぱいんだ。だからジャムとかリキュールしか
ないのかー。酸っぱいならサラダとかどうかしらねん?
鶏なんかと一緒に煮てみたり?誰かやってみて・・
30年近く前に見たお菓子作りの本に花梨のゼリーが出てたが、見たのが3月で...
通学途中の幼稚園の庭に一本だけ木があって次の年の秋に生ってて持って来ようかと思ったがさすがに恥ずかしくて。
因みにマルメラーダからマーマレードなんだそうです。
本来は花梨だったのをオレンジで代用したらしいですが。
シンデレラにもある様に昔はオレンジの方が貴重だった気がする。
どっちにしろ、皮のペクチン効果がポイントなのかも。
そういえばこっちのマルメロには毛がないなと思っておりました。
なめことか里芋として売られているものがさっぱりぬるぬるしてないように
ヨーロッパと日本では同じ種類のものでもタチが違うのかと勝手に思い込んでいました。似て非なるものは魚にもありそうです。
そうするとcaldoverdeさんがスケッチされたのは、毛がないので花梨ということになります。ポルトガルにもマルメロ・花梨それぞれが存在しているのですね。
花梨のジャムは「マルメラーダ」ではなく、なんというのでしょうか。
caldoverdeさんの美しい絵を見ながら私もマルメラーダをまた作ってみようと思っています。数十年前、子供の頃の庭に植えた榲桲の実でいろいろ調べながら作った味を思い出してます。
実は、店頭にマルメロが沢山並んでいるのを見たのですが、その作り方を忘れたため、検索してここにたどり着いた次第です。参考にさせて頂きます。有り難うございました。
いいお仕事してはりますね((^v^)