ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

飴に見るポルトガルのグラフィックデザイン

 以前このブログで触れたことがあるが、ポルトガルの芸術の特色はヘタウマだというのが私の持論である。もちろんアカデミックな訓練をつんだ写実的な画風の芸術家も十分存在するが、細部は精密でも遠近法が変だったり、人物のデッサンが狂っていたり、どこか完璧でない作品が多い気がする。リスボンのフロンテイラ宮殿という17世紀の建物はアズレージョで有名だが、見ようによっては上手くない漫画としか言いようのないものが大勢を占めている。
アズレージョ美術館に所蔵されている17世紀のアズレージョ。この動物はいったい?
a0103335_693837.jpg

18世紀初めのリスボンを描いたパノラミックなアズレージョ。適当な遠近法。
a0103335_6125429.jpg

 これは、ひょっとして食べ物と関係あるのではないかという仮説を私はたてた。7月3日の日記でも言及したが、ポルトガルのお菓子はほとんど卵黄でできている。それは修道院で大量に卵白をシーツや僧服の糊付けに使い、余った黄身は、貴族が寄進した砂糖とともにお菓子作りに費され、その伝統が民間に伝播したからである。それが絵と何の関係があるかと言うと、油絵が主流になる前の西洋絵画の技法は、卵の黄身を使って描くテンペラ画だったからである。フラ・アンジェリコの宗教画やボッティチェリの「春」「ビーナスの誕生」などは、顔料を卵の黄身で溶いた絵の具で描くテンペラ画である。ところがポルトガルでは画材に使う分の黄身まで全てお菓子にして食ってしまったので、絵画が他のヨーロッパの国々に比べて発展しなかったのではないか…というのが、私の「ポルトガル美術花より団子説」である。この説は議論を待つまでもなく否定されるであろうが。

 とにかく、現在もポルトガルのアートは世界の最先端をきっているとは思えないが、そのなんとも言えないとぼけた味わいは、殺伐とした21世紀の社会において、ほっと安らぎをもたらし、ぷっと苦笑を誘い、ガクッと膝を後ろから突かれるような、癒しの桃源郷へ誘ってくれるものである。その代表作をいくつか、ポルトガル製の飴のパッケージに例をとってご覧頂きたいと思う。

「サント・オノフレのど飴」
a0103335_6152122.jpg

 この飴の袋を見たとき、思わず肩を震わせた。会社の創業者だろうか、おじさんが歯の無い口でにかーと笑いながら飴の小袋を手にしている。このおじさんの顔がなんとなく可笑しい上に、手の向きがどうも納得がいかない。右手なのか左手なのか、描かれていない腕はいったいどうなっているのか、さっぱり想像できない。

「ナザレ アルテア蜂蜜のど飴」
a0103335_6155547.jpg
 亀甲紋で様式的に表現された蜂の巣、ボケた植物の写真、印刷のずれた包み紙に包まれたアメ、図鑑のように精密な蜂のイラスト、ダサい文字。統一感のないデザインだ。アメを包む紙に描かれた女性の顔が面白くて、かなり怖い。こんなに大口を開けてセキやクシャミをされたら、半径10m以内にいる人はみな感冒にかかるだろう。
a0103335_6164181.jpg

「ペーニャ 芳香のど飴」
a0103335_6173525.jpg
 中央の水色のアメから立ちのぼる湯気のようなもので、このアメがいかに芳しい香りかを表現しているつもりなのだろうが、私には風呂や温泉しか連想できない。その隣の何かの植物の実、仮面みたいで不気味である。爽やかな、とは形容しがたいデザインである。
a0103335_6182070.jpg

 これらのパッケージに共通しているのは、子供の嗜好を全く考えていないことである。こんな袋の飴がおやつだったら子供は全然嬉しくないだろう。風邪を引いて喉を痛めた時だって、薬と同じくいやいやながらなめるのではないだろうか。スーパーで子供がパッケージに惹かれて親の持つ買い物かごに入れる可能性はほとんどない。ハローキティやポケモンに負けない魅力がサント・オノフレ飴の社長にあるだろうか。いや、これは60歳以上の婦人を購買対象にしているのに違いない。
[PR]
Commented by おっちゃん at 2008-10-13 09:40 x
さすが巨匠!目の付け所が違うね!かつて手塚治虫は マンガは記号である という名言を残しております。作者がこれは犬であり、これが猫であるときめた記号を受け手が認めれば、似ている似ていないなどは問題ではないのです。ガンバレ下手うま。
Commented by weller at 2008-10-13 12:09 x
お久しぶりです。9月にスペインに行ってきました。
確かにポルトガルのアート?は正直言って田舎臭い、貧乏臭い~でもそこがノスタルジックでグウゥ~(そろそろ死語)。個人的には好きですね。
反対にスペインは右脳を直撃するような絵画ばかりで、完璧左脳人間の私には「いっちゃってる!?」としか思えず、それを芸術と認めたスペイン人の凄さに恐れ戦きました。
食事もお酒も殿方も絶対スペインよりポルトガルが勝ち~!!でも、こちら日本はちょっとしたスペインブームです。九州の田舎なのに。。。
Commented by Moreia at 2008-10-13 19:29 x
「ガクッと膝を後ろから突かれるような」ポルトガルを表す適切な表現にうなってしまいました。
ちなみにこの女性はクシャミをしているのではなく、ポルトガル人(ナザレ人)特有の大声で喋っているところかと思います。喋りすぎて声が枯れたら「アルテア蜂蜜のど飴」!ちなみにアルテイアはアオイの一種で傷ついた粘膜に効くんですよ。英名マーシュマロウです、マシュマロを固めるのに使ったんだって。
Commented by caldoverde at 2008-10-13 23:14
wellerさんはこの飴のおじさんのような方がお好みでしょうか。いっぱいいますので、またおいでください。
一番上のアズレージョは犬なのか猫なのかヒョウなのかよくわかりませんが、真正面を見据えた金色の目の眼光にその芸術的価値が集約されているのではないかと。リスボンには、これはなんと言う動物ですか?と尋ねたくなるような奇怪な雑種犬を連れている人が多いです。人も動物も自由恋愛です。
これは大声で喋っているポルトガルのおばちゃんだったのか。半径10m以内にいる人は、唾でびっしょり、下手すると鼓膜が破れますね。
Commented by weller at 2008-10-19 21:36 x
はい、是非行きたいです!!私は遺産よりも今あるものに興味がわく性質なので旅行の時にはマン・ウオッチングばかりしています。確かにポの方は欧米人というカテゴリーに入れない体系の方が多い、要するに背が低い胴長短足ーーどこかの国の人みたい。でもやはり白人~睫毛ながーい、で、隣国との違いはヒターノ系が混じってないから?目が大きく垂れてて可愛いい顔。まさに飴のおっさんです(笑)N・ゴメス、C・ロナウドVSグイサ、シャビてな感じでしょうか。。泊まった全部のホテルの従業員が紅顔の美少年、エロ系ラテン中年で同行した友人に受けまくりでした。
by caldoverde | 2008-10-13 06:31 | カルチャー | Comments(5)