ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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修道院菓子博覧会

 11月も半ばとは思えないうららかな日曜日、私と近所に住む漫画家のヤマザキマリさん(ブログhttp://moretsu.exblog.jp/)はリスボンからバスで2時間ほどのアルコバサに出かけた。ここには中世ポルトガルの悲恋物語の主人公ペドロ王とその恋人イネスのお墓があるサンタ・マリア修道院(世界遺産)があるが、また甘いものでも有名である。修道院の伝統を汲んだ卵の黄身たっぷりのお菓子を売るポルトガル屈指の菓子店があり、毎年11月には「修道院菓子博覧会」なる催しがこのサンタ・マリア修道院で開かれる。会期の四日間は修道院の冷たい石の部屋は黄色いお菓子で埋まり、いつもは静謐な回廊は家族連れの楽しそうなさざめき、そして熱気と興奮に満たされる。私とヤマザキさんが訪れたこの日は最終日であった。
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 以前も書いたが、ポルトガルのお菓子の多くは修道院で作られていたものがルーツである。ケーキやクッキーに欠かせない小麦粉や砂糖の他に、修道士の僧服やシーツの糊付けに使われた大量の卵白の副産物である卵黄、大航海時代以来アジアから輸入されてきたシナモン、イスラム支配時代にもたらされたアーモンドが主な原料である。特に卵黄の使い方は半端ではない。一口サイズのお菓子に卵の黄身二個分は使われているだろう。卵アレルギーの人やコレステロール値の高い人にとって禁断のイベントだ。にもかかわらず会場は血糖値の高そうな人たちで賑わっている。
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 お菓子の中には生の卵黄を使ったどろどろのものもある。日本でも卵かけご飯を好む人は多いけれど、ポルトガル人は砂糖をどっさり入れた卵の黄身をそのままスプーンですくって食べるのだろうか?サルモネラ菌は大丈夫なのだろうか?
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 例外的に白身と砂糖だけで作ったメレンゲ菓子もあるが、大きさは尋常でない。メレンゲの中に真ッ黄色い黄身クリームを仕込んだものがやっぱりある。白身と黄身を分けそれぞれから別のものを作って後から組み合わせたハンバーガー状のお菓子もある。
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 九州にはその昔南蛮人が伝えた鶏卵そうめんという銘菓がある。本家本元のポルトガルには糸状卵黄菓子の実に様々なバージョンがある。
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 鶏卵そうめんを最中の皮のようなオブラートで葉巻状に巻いてあるのは「尼僧の喉」というお菓子。この店のはアルコバサの伝統的な織物の模様をプリントしたオブラートで巻いてある。
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 日本では鯛の形のらくがんや練り物が引き菓子に使われるが、ポルトガルもそうなのか、マジパンで作った大きな尾頭付きが出展されていた。
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 アーモンドと砂糖とシナモンの練り物を腸に詰めた甘いソーセージ。色も形もねっとりとした食感も、ファリニェイラというポルトガルの腸詰にそっくり。
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 カステラの先祖とされるパン・デ・ロー。程よく焦げた表面から生焼けの生地が噴出し、クリーミーさを強調している。
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 かりんとうの元祖のような揚げ菓子、コクスランはクリスマスの時期に盛んに食べられる。奥にはおなじみのエッグタルト。
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 全国から出品された伝統菓子のコンクールも行われる。受賞した店やお菓子は売れ行きが良い。「尼僧の腹」も1等をとったものはこんな洗練された姿である。
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 全国から何百何十種類というお菓子が一同に会したとは言え、味はほとんど同じである。それでも心から嬉しそうな、そして怖いくらいに真剣な人々の表情に、ポルトガル人の伝統菓子に対する愛着と嗜好がひしひしと感じられる。私と漫画家のヤマザキさんは「天使のほっぺ」というどら焼きほどの大きさのパンケーキをシロップに漬けたお菓子を食べてKOされた。舌が痺れ、胸がやける。渋いお茶や漬物が欲しい。しば漬けや沢庵があったらもうひとつくらい…いや無理だ。
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Commented by おっちゃん at 2008-11-17 17:10 x
ホーンと黄色の焼きがしばかり、フルーツや生クリーム、チョコレートなどを使わないのですね。日本の和菓子博覧会も伝統を感じるけど、突き詰めるとやっぱり素朴なものに戻るのかもね。カステラ、卵ボーロ、マカロンなど、初めて日本に渡ってきた洋菓子は素朴で卵を沢山使ったものだものね。日本では中国製の乳製品からメラミンが検出されたりして、輸入菓子の旗色は悪いです。ポルトガルのお菓子は大丈夫ですか?
Commented by caldoverde at 2008-11-17 18:56 x
中世や大航海時代に生まれたお菓子なので、まだチョコレートはなく、果物は干したものが使われています。不思議なのは、修道院でも牛を飼っていたはずですが、乳製品がほとんど使われていません。油脂はバターではなく、ラードやオリーブオイルです。
この博覧会はリキュールも出品されますが、果物で作った甘いお酒はもっぱら飲むためだけで、お菓子の香り付けには使わなかったようです。
Commented by おっちゃん at 2008-11-18 16:44 x
しかしそれだけ甘い菓子があれば、日本の茶道のように飲み物のほうも発展しそうなものですけと、やはりコーヒー中心ですか?修道士はコーヒーなど刺激物は飲まないのでしょうか?
Commented by caldoverde at 2008-11-18 17:51 x
修道士の飲み物はやはりワイン(キリストの血)ですね。ベルギーならビール。そして、果物や薬草を使ったあま~~~いリキュールです。
Commented by Moreia at 2008-11-19 05:56 x
写真を見ただけでKOです。この鯛の口にはちゃんと歯がついてる・・・へんなとこ芸が細かいよね。しかしこれだけ卵の黄身使って、現在では残りの白身をどうしているのか・・・・行方を知りたいもんです。
Commented by モリアオ at 2008-11-26 16:49 x
こんにちは、初めまして。 京都府在住のモリアオです。 
こちらのサイトをポルトガル関係で検索して辿りつきました。  とても楽しく拝見しています。
娘が外大でポルトガル語学んでいます。まだ一回生ですが楽しそうです。日本とポルトガルは文化的にもかなり影響有ることが勉強できて嬉しいそうです。 先日大阪駅近くのポルトガル料理店へ行き、実地学習? カタプラーナ、エッグタルトや鶏卵そうめん頂きました。  
結構甘い--御菓子ですね。
またポルトガルの楽しい話題アップしてください、楽しみにしています。
Commented by caldoverde at 2008-11-26 20:25 x
モリアオさん、ぜひお嬢さんとポルトガルにおいでください。初めて来た方は一様に「いいところですね」とおっしゃいます。食べ物も美味しいですよ。ヨーロッパなのになぜかアジアっぽい雰囲気もあります。きっと親しみが湧くと思います。お待ちしております。
Commented by miya at 2008-12-10 15:48 x
はじめまして。私はスペイン在住です。実は長い間?ブログを楽しみに読ませていただいていました。私も食べる事が大好き、また年に1度ほどはポルトガルに行きます。スペインに疲れたらポルトガル・・ポルトガルはどこか懐かしいところですね。
思い切ってコメントさせていただきました。本当はメッセージをお送りしたかったのですけど。
Commented by caldoverde at 2008-12-11 07:06
miyaさん、今度ポルトガルにいらっしゃる折は、ご連絡下さい。ブログで気になったレストランがあったら、ご案内しますので。
スペインも素晴らしいモニュメントや美術品が多いけど、圧倒するような、立派過ぎて腰を抜かすようなものばっかりですね。それに比べると、ポルトガルってほんとに癒し系・・・
by caldoverde | 2008-11-17 07:26 | お菓子・カフェ | Comments(9)