お菓子における温故知新
2009年 01月 23日
おおっこれは…!!以前紹介したお菓子の図鑑に載っているようなトラディショナルなお菓子がずらりと並んでいるではないか。これだけの品数を揃えている店はそれほど多くない。コーヒーだけのつもりだったが、感じのいいおじさんに「食べるものは?」とにこやかに(こういう従業員もそれほど多くない)尋ねられ、予定外であったが「イエズス会士」という小さなパイのお菓子を頼んだ。一口食べて「うまいっ!」と心の中で叫んだ。違う、どこか違う。こんがり焼けた表面は砕いたアーモンドとメレンゲで覆われて、とても香ばしい。パイは薄い層が口の中でサクサクと崩れては散っていく。黄身クリームは甘ったるくなく、軽い感触のパイにとてもよく合う。
2日目。コーヒーカップと砂糖の袋のデザインが可愛い。
翌日同じ店に行って今度はパイの中に生クリームを挟んだものを頼んだ。これも表面にメレンゲとクランチアーモンドがかけられている。これも「うまいっ!」と感嘆した。パイ菓子はたまに生地がパリッとせず中でくっついていたり、やたら油っこかったりするのがあるが、この店のはパイ生地がものすごく薄くてその間に十分に空気が入っている。またふんわりとホイップした生クリームは、口の中ですうっと溶けて後にはミルクのやさしい味だけ残り、しつこさを感じさせない。
三日目。初めて見るお菓子。3個しかなかった。
翌々日食べたのは、ごついクッキー様のものの中央に黄身クリームがこんもりと盛られた、鳥の巣のような見たことのないパターンのお菓子である。おじさんになんと言う名前か聞くと「グロッソ(ごつい)」というもので、卵と小麦粉と砂糖で出来ているということであった。そりゃどのお菓子もそうである。ところが手に持ってみると以外にずっしりとして、しかもふにゃふにゃしている。大口を開けてがぶりと噛み付いた。てっきりカリカリ・ボソボソしたものだと思い込んでいたら、はらはらと細かなパイ生地がこぼれ落ち、指と口の周りにはカスタードクリームがべっとりくっついてきた。「うっ…うまいっ!」予想を裏切る食感と、いまさらながらのカスタードの美味しさに絶句した。まろやかなカスタードクリームの中から、香ばしく焼けたパイが現れた。これは、餅をあんこで包んだおはぎのごとく、パイをカスタードクリームで塗りこめ、上部を丸く残してクリームに細かく砕いたパイ生地をまぶしたものであった。
四日目。日本にもこの手のものはよく見られる。
こうなったらこの店のパイ菓子全てを征服してやる!という野望に燃え、四日間連続通うことになった。今度はコロネ型のパイの中に生クリームとレッドチェリーという、いかにも昔からの菓子パンといった風情のものである。しかしこれは残念ながら外れであった。パイを巻貝の形にむらなく焼くのは難しいのか、生地がくっついている箇所があり、あのさくさく感が足りない。生クリームも前に食べたお菓子のクリームと比べていまいちだ。そしてチェリーはやはり見た目通りの駄菓子的人工的な味。という訳で、すごく不味いわけではないが、もう一度食べたいとは思わないクリームコロネが私の止まらぬ欲情にブレーキをかけた。このまま突っ走っていたら私の体重とコレステロール値はどうなっていたことだろうか。
家族経営っぽい、お洒落なところのさっぱりないこのカフェは、全てが完璧でなくどこか外しているポルトガル、というセオリーに忠実だ。ほとぼりが冷めたら、また「グロッソ」を食べに行こう。
変わったものなかった?
でもグロッソはそこまで言うならちょっと食べてみたいかも・・
何故「イエスズ会士」っていうのかな?彼らが生産してたのか?中に賄賂が入っている包みの形だとか??(爆
人間ってすごいですね。
キッシュとか色々あります。ポルトガルの食べ物って人の手のぬくもりが感じられますよね。懐石やヌーベルキュイジーヌ、日本の洋菓子のように技巧的なものは食べるものじゃないみたいで・・・