キオスクでリフレッシュ
2009年 05月 08日
リスボンの街には二十世紀初頭に作られた貴婦人の日傘のような優雅なデザインのキオスクがあちらこちらに見られる。そこでは宝くじ、タバコ、コーヒーやビールなどの飲み物、サンドイッチや菓子などの軽食などが売られている。残念なことに店をたたみ放置されているキオスクも結構ある。落書きされ荒れるがままのキオスクを再生させようとリスボン市が競売にかけ、三店を競り落としたのが以前紹介したレトロ雑貨店「A VIDA PORTUGUESA」のオーナーでもある女性実業家である。
彼女はキオスクで売られていた飲み物の再現も試みる。時代が変れば人々の好みも変る。昔のレシピにそって忠実に再現した飲み物の中には、スタッフが思わず吐き出してしまうものもあったという。ポルトガルでも昔は甘いものは贅沢品貴重品で、甘ければ甘いほど良しという傾向があったのだろう。
古きよき時代を懐かしむシニアばかりではなく、現代の若者の嗜好にもマッチするメニューを厳選し、新生キオスクが開店した。その名も「キオスク・レフレスコ(リフレッシュ・キオスク)」
メニューは、スペインでは夏の清涼飲料としてポピュラーな「オルチャータ」、三十年代のレシピに着想を得た伝統的な「レモネード」、シダ科の植物のシロップとオレンジの花のエッセンスとレモンの皮から作られる「カピレ」という飲み物、ポルトガルの国民的リキュール御三家の「リコール・ベイラン(オレンジ系)」「ジンジーニャ(チェリー系)」「アマルギーニャ(アーモンド系)」など、従来のキオスクにはありそうでなかったものばかり。
緑豊かなプリンシペ・レアル公園の一角には、既に長年親しまれているコーヒーやビールを売るキオスクが存在するが、もう一方の角の新装開店したキオスクは独自のラインナップで新しい顧客を獲得しつつある。レースのような縁取りの屋根の下にともる丸いランプとピンク色が可愛い。
国会議事堂近くの住宅街の中にあるフローレス広場のキオスクは、白地に紫のコントラストが鮮やか。子供連れのママも、学校帰りの若者も、ベンチでくつろぐお年寄りも、緑一色だったオアシスに一輪の花が咲いたように感じていることだろう。
キオスクとその周辺の飲食店はこうして共存共栄を図っているのか。
コーヒーと一緒にこのチョコレートプリンも食べてしまいました。
でも昔ながらの小さな茶店(カフェ)、果物屋さん、肉屋さん、酒屋さん、電器屋さん、靴屋さん、洋品屋さん、家具屋さんががんばっています。
ショッピングモールに負けないで欲しいなあ。
最近は「マザグラン」を知らないカフェの店員が増えてきたのは嘆かわしい。昔は「アイスコーヒー」を注文すると「は?」って言われ、ああ、「マザグラン」のことでしょ?って言われたもんです。爽やかで美味しいもんですよね。
常々フランス語起源かと思っていたんですが、やっぱりアルジェリアの町の名前でした。ウィキでMazagrãを見てください。
そうだ、レースのような鋳物の建物をポルトで見てきて欲しかったな。
いまや欧州の各都市で姿を消しつつある「ウリノル」(男子小便所)が健在だから。遠くから見る分には、臭わないからキオスクと同じように可愛い存在です。