リスボン甘い物散歩
2009年 12月 06日
Clara Azevedo, Luis Chimeno Garrido著 QUIDNOVI社 24,95€
背景を取り去ると、ただの出来損ないのカップケーキ
何より写真が美しい。あの何の変哲もないものが、こんなに美味しそうにお洒落に撮れているとは、素晴らしいセンスだ。オヤジ系の店ではお菓子は無造作にアルミのバットに並べられている。オーナーが女性、または女性客を意識している店ならアルミバットの上にレースペーパーを敷き、その上にお菓子を並べる。オーナーが差別化を計る店は、アルミバットではなく籐かごだったり、大皿だったりする。ところがこの写真集では大変に凝った背景にセットされているので、駄菓子がまるで京都の老舗の高級菓子に変身したように、現物よりはるかに美味しそうかつ高級そうに見えるのだ。お店の写真も、あそこはこんなインテリアだったのかと再認識させられるユニークなアングルから撮影されている。巻末には地図もついているので、この本を片手にリスボンの甘い物めぐりも可能である。
今度は絶対これを食べる!
しかし、写真が上手すぎるというのも時には考え物だ。正装し修整したお見合い写真を見て一目ぼれした相手に実際会ってみたらそれほどでもなかった…ということもあり得る。実際私はこの本を見て居ても立ってもいられず、本で紹介されている三店に行ってみた。しかし写真のお菓子は既に売り切れていたのかその日は作っていなかったのか、目的のものがなかったり、店もお菓子も実際はえらく平凡だったりと、イメージとのギャップがないとは言えない。曇りの日の午後に出かけたのが失敗だったかもしれない。リスボンのカフェでお菓子を味わうなら、品数が多く焼きたてのお菓子が並ぶ午前中に行くのが良い。
ポルトガルのお菓子はほとんど生もので、持ち帰りが難しいものばかりだが、この本をお土産にすれば、甘いものの好きな人ならポルトガルの旅が楽しみになること請け合いである。
この本の巻頭に紹介されている A Tentadora は近所にある古いカフェ。そこで食べたクレープ菓子をこの本に倣って撮ってみたが・・・
どんどん甘い物を攻めてください。
しかし、「今度はこれを食べる」の物体は
モロトフの上に生クリームとキャラメルシロップが
乗ってるようにしか見えないのですが
なんなんでしょうか。