ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:ファストフード( 7 )

蟹バーガー

パダリア・ポルトゲーザ(ポルトガルパン屋)がカンポ・デ・オリーク地区に2号店を出したのは6年前になるだろうか。今はリスボンを中心に40店舗を数えるまでになり、地域に一つは同じ構えの、茶色とオレンジを基本色とした内装の、同じパンを提供する「パダリア」が見られるようになった。成功の要因は、どの店も変わらぬ品質や味、店舗イメージの統一、定期的な新製品など、アメリカ発祥のファストフード店のノウハウを取り入れながら、メニューは店名のごとくバリバリにポルトガル風を大事にしたからではないかと思う。サービスまでポルトガル風を踏襲し、モタモタしている。ついでにポルトガルのマクドナルドも日本と比較すると3倍は時間がかかる。

いつでもどこでも同じものが食べられるということは、目新しさがなくなる事だ。私はとっくの昔に飽きてしまったのと、お気に入りのメニューがなくなったので「パダリア」からしばらく足が遠のいていたが、先日近所で見たポスターに目が釘付けになった。

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ハンバーガーから足が生えている⁈ キモい‼︎

2017年パダリア・ポルトゲーザ夏の新製品、新味覚ディスカバリーの時来たれり!ソフトシェルクラブバーガー。

脱皮したてのフニャフニャの殻の蟹を丸ごと揚げたものをパンに挟んだものだ。蟹全体がパンの中に収まっていれば何の変哲も無いハンバーガーの一種に過ぎないが、パンからはみ出した脚のビジュアルは相当なインパクトがある。その上、蟹は俎板に載せてプラスチックのトンカチでガンガン甲羅を割って食べるものだという認識がある。果たしてこれは保守的なポルトガル人にどこまで受け入れられるのだろうか…

初めてポスターを見てから約1ヶ月後にようやく食べる機会が持てた。蟹バーガーは昼食用にセットメニューが設定され、さつまいもチップスとグラスワインが付いて5.95€。ポルトガルのランチメニューとしては普通の値段である。食べた所は最近開店したマルケス・デ・ポンバル駅のそばの店だ。ちょうど昼時で近隣のOLや勤め人で賑わっていた。

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実物は、SF映画の宇宙探査機のように長い足がパンから伸びている訳ではなく、いかにも「蟹です!」とハサミや目玉を主張するでもなく、オニオンスライスに隠れたそれは、言われなくては何なのか解りにくい地味な外観だ。私も脚の肉やミソでなく殻を食べる蟹など初めての経験で、仮の前歯がまた外れるのではないかと不安を抱えながら、大口を開けて蟹バーガーにかぶりつくと…

懐かしい味覚が口一杯に広がった。おお、これは日本のデパ地下などで売っている贈答用の海老煎餅と同じ味ではないか!芳醇なアミノ酸の旨味、パリッとした甲殻類独特の食感。予想外のうまさにポスター以上の衝撃を受けた。

しかし私の予想では、多分この夏限りの限定品になるのではないかと思う。こんな変な見かけの、しかもポルトガルの伝統とは関係なさそうなものが長続きするとは思えない。なくなる前にもう一度食べておこう。

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限りなくペチャンコの蟹

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容器は経木(きょうぎ)の舟!凝ってる
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by caldoverde | 2017-07-04 05:54 | ファストフード | Comments(2)

プレーゴ三昧

豚肉をパンに挟んだサンドイッチはビファナ、牛肉を挟んだものはプレーゴと言うが、どうも混同しやすい。ビファナはビーフに似ているし、プレーゴはポルコ(豚)に似ている。でもビファナは豚、プレーゴは牛である。

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こちらシンプル

ポルトのフェレイラ・ボルジェス市場のグリルレストランのプレーゴは、実に食べ応えがある。肉の大きさ、厚みは、単品のステーキとしても通用するほどの満足感がある。シンプルなのと、トリュフソースを使ったデラックスがある。デラックスはルッコラを添えて彩も良い。どちらも肉に加えてハムとチーズも挟んであり、微妙な味の陰影を与えている。

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こちらはデラックス

リスボンのリベイラ市場は、有名レストランや有名シェフの名を冠した出店の並ぶフードコートが大人気で、観光シーズンはすごい賑わいだった。国会議事堂近くにある「カフェ・サン・ベント」はステーキで有名であるが、政治家の接待用と思われる値段なので入ったことはない。しかしリベイラ市場の支店なら、カジュアルな雰囲気とリーズナブルな値段で、本店の味を体験できそうだ。こういう所で食べているセンセイなら、一票を入れても良いかな。選挙権ないけど。

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ピクルスを添えてハート型に切ったオシャレなプレーゴ

しかし、もっと安くて美味いプレーゴは、うちの近所にある。以前「トンバーガー」として紹介した、カンポ・デ・オリーク地区一美味いビファナを出す「レイタリア・コンデスターヴェル」では、ビファナのいとこのプレーゴもあり、これがまた良い味出している。ここしばらくシェフのローザさんが病気のため休業していたが、最近再開した。店に来る客が異口同音にローザさんの体調を気遣っていて、みんなこの店のビファナやプレーゴを心待ちにしていた様子。私もその一人だった。初めはプレーゴとグラスワイン一杯だけで済ませるつもりだったが、焦げ目のついた香ばしいカスカスのパンに、薄く切ったニンニクの効いた牛肉が美味しくて、もう一個いけるかな…と思ったのを察してか、ローザさんが「マイズ・ウン?(もう一つ?)」と微笑んだ。自営業者が病気や怪我で仕事のできない辛さは経験済みなので、ローザさんの今後の健康と損失の早期回収を祈りつつ、今度はビファナを注文した。入院前と変わらぬ美味しさに安堵した。

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牛肉は薄くパンも軽いけれどウマイ

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ビファナの豚肉はパプリカで味付けしてあるのとニンニクだけのとあるようですが、どっちもイケル。

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by caldoverde | 2016-11-27 17:38 | ファストフード | Comments(5)
 近所に、昔ながらのスタイルを踏襲している小さなオヤジ系バールがある。夏は外のテーブルでカタツムリを食べるおじさん達、冬は中でサッカーを見ながらビールを飲むおじさん達、何十年来の固定客がついているようだ。何の変哲もない揚げ物と甘いものが少々、定員12名の夫婦でやっている小さな店だ。しかし、最近気になる張り紙が通りに面して張り出されている。「ベスト・オブ・ビファナ」このカンポ・デ・オリーク地区で一番美味しい豚肉サンドイッチの店として雑誌に載ったらしい。

 ビファナは焼いたり煮たり揚げたりした豚肉の薄切りを、カスカスの軽いパン、カルカッサに挟んだポルトガルの伝統的なファストフードで、ハンバーガーの豚版みたいなものである。張り紙によるとこのバールのビファナは何か秘密があってそこらのものとは一線を画しているらしい。
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 まず、豚が違う。どんぐりを食べて肥育した黒豚を使っているそうだ。さらにこれを作る奥さんは特別なレシピを持っているらしい。と言ってもそんな込み入ったものでないことは確かだ。だいたいばあちゃんが作っていたように作っているだけとか、とにかく研究に研究、修行に修行を重ねた結果ではないことはほとんどのポルトガルの食堂のメニューに言えることだ。

 グラスの赤ワインと共にやってきたトンバーガーは、丸いパンの端から豪勢に肉がはみ出した状態で半分に切ってある。玉ねぎやトマト、ピクルスなどの野菜はない。シンプルに肉とパンだけだ。肉はそれほど脂のない赤身の部分のようだ。軽く焦げ目がつき、あっさりとした塩味だ。いや、もともと油がたっぶりのっていたのをパンが吸収したのだろう。肉に接した面がしっとり肉汁を含んで滋味がある。肉とパンの間にはぎゅっとつぶしたニンニクの粒が2個ほど挟んであり、これがピリッと辛い強烈なアクセントになっている。ギョーザを一皿食べたような匂いが口の周りに漂っているのがわかる。

 全体の印象は、パンは空気の多い、屁のようなカルカッサにもかかわらず、肉の存在感が結構大きいので重量感、満腹感がある。絶対評価では「大変良い」「良い」「もう少し」のうち、味は「良い+」を与えられると思う。目で味わう日本人にとっては彩りにやや欠ける。値段もこの豚サンドとコップのワインとコーヒーで4ユーロ10セントだったので「良い+」としよう。昔はもっと安かったと思う。

 お腹の弱い方、臭いに繊細な方はニンニクを残した方が良い。ニンニクも食べてしまったら、その後の大事な会合やデートに影響しないよう、ちゃんと歯磨きをし、マウススプレーをした方が安全だ。いやむしろ接待費や交際費の削減が叫ばれている今日この頃、会議やデートはニンニクたっぷりワラジ豚ステーキのビファナでスタミナを補給し、不景気や恋愛の危機を乗り切るのも一つの手である。でもヴァレンタインデーのディナーがビファナだったら交際の継続を考える。
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別の日に同じ店でテイクアウトしたビファナ。豚肉はグリルではなくパプリカで味付けした煮豚。こちらの方が正統派?
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by caldoverde | 2012-02-08 08:27 | ファストフード | Comments(7)

キオスクでリフレッシュ

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 リスボンの街には二十世紀初頭に作られた貴婦人の日傘のような優雅なデザインのキオスクがあちらこちらに見られる。そこでは宝くじ、タバコ、コーヒーやビールなどの飲み物、サンドイッチや菓子などの軽食などが売られている。残念なことに店をたたみ放置されているキオスクも結構ある。落書きされ荒れるがままのキオスクを再生させようとリスボン市が競売にかけ、三店を競り落としたのが以前紹介したレトロ雑貨店「A VIDA PORTUGUESA」のオーナーでもある女性実業家である。

  彼女はキオスクで売られていた飲み物の再現も試みる。時代が変れば人々の好みも変る。昔のレシピにそって忠実に再現した飲み物の中には、スタッフが思わず吐き出してしまうものもあったという。ポルトガルでも昔は甘いものは贅沢品貴重品で、甘ければ甘いほど良しという傾向があったのだろう。
 古きよき時代を懐かしむシニアばかりではなく、現代の若者の嗜好にもマッチするメニューを厳選し、新生キオスクが開店した。その名も「キオスク・レフレスコ(リフレッシュ・キオスク)」

 メニューは、スペインでは夏の清涼飲料としてポピュラーな「オルチャータ」、三十年代のレシピに着想を得た伝統的な「レモネード」、シダ科の植物のシロップとオレンジの花のエッセンスとレモンの皮から作られる「カピレ」という飲み物、ポルトガルの国民的リキュール御三家の「リコール・ベイラン(オレンジ系)」「ジンジーニャ(チェリー系)」「アマルギーニャ(アーモンド系)」など、従来のキオスクにはありそうでなかったものばかり。
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 カモンイス広場のキオスクは、最先端のブティックや飲食店が集中し若者や観光客で賑わうバイロアルトとシアードの間にある。壁の一面には今でも人気のあるガス入りミネラルウォーターのレトロなポスターをあしらっている。名物の市電が傍を走れば1930年代のリスボンにタイムスリップ。
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  緑豊かなプリンシペ・レアル公園の一角には、既に長年親しまれているコーヒーやビールを売るキオスクが存在するが、もう一方の角の新装開店したキオスクは独自のラインナップで新しい顧客を獲得しつつある。レースのような縁取りの屋根の下にともる丸いランプとピンク色が可愛い。
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 国会議事堂近くの住宅街の中にあるフローレス広場のキオスクは、白地に紫のコントラストが鮮やか。子供連れのママも、学校帰りの若者も、ベンチでくつろぐお年寄りも、緑一色だったオアシスに一輪の花が咲いたように感じていることだろう。
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  フローレス広場のキオスクでマザグランという冷たいコーヒーにレモンの輪切りを浮かべた飲み物を飲んだ。紅茶にレモンはわかるけどコーヒーにレモン?とギモンに思いながら飲んでみるとなかなか美味しい。しかし飲み終えてしばらくしたらトイレに行きたくなった。キオスクにはもちろんないし、公園内にも見当たらない。で結局公園に面したカフェでまたコーヒーを飲んでトイレを借りることになった。
 キオスクとその周辺の飲食店はこうして共存共栄を図っているのか。
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コーヒーと一緒にこのチョコレートプリンも食べてしまいました。
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by caldoverde | 2009-05-08 08:36 | ファストフード | Comments(5)

にこごりサンド

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 その店はチリ広場のそば地下鉄アロイオス駅の階段を上るとすぐに現れる。交差点の角の小さな小さな店である。通りに面したガラスの中には、吊り下げられた生ハムや仔豚の丸焼きの下に色んな種類のサンドイッチがうず高く積み上げられている。立ち食い蕎麦屋のようにカウンターだけの店内では労働者風の男たちがビールやワインを飲んでいる。通るたびに気になっていたが、お客さんはガテン系のごついお兄さんたちが多くて、私のような上品な女性が一人で入るのはどうも憚られる。
 ところが私をはるかに上回る気品の持ち主のお友達が、この店はサンドイッチとコップのワインがおいしいのよと教えてくれた。彼女がカウンターでおっさんたちと一緒にコップのワインを飲み、サンドイッチを頬張る姿は想像し難いが、ウインドウに山積みになっているサンドイッチはどれも味が良いと想像できる。現場で働く人たちが来るのだから量的にも満足のいくものに違いない。一人では恥ずかしいので、私の2倍ほどエレガントな(購入したての掃除用バケツを持っていたため2倍に割引)同僚を誘って、ついにこの立ち食いオヤジバールに足を踏み入れた。
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上のサンドは肉と野菜が入っていて栄養的にもバランスがいいかも。
下は卵焼きのサンド。

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 サンドイッチの種類は生ハム、仔豚の丸焼き、ツナ、パタニスカス(鱈のかき揚げ)、卵焼きなど。どれも食指をそそるが、どうせなら変わったものをと私はトレズモス、同僚はモンゴウイカのフライのサンドを選んだ。
モンゴウイカはchoco(ショコ)と言う。チョコレートと間違えぬよう。
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 トレズモスとは、豚肉の切れ端を寄せ集めて固めたようなハムの1種。スーパーのハムコーナーの、真っ赤な口紅でお化粧したようなチョリソや生ハムのスライスが並ぶケースの中に、ひっそりと隅のほうに地味な薄茶色の塊があり、断面に得体の知れないものが化石のような独特の模様を作っているのがトレズモスである。華やかさに欠けるのでスライスされておらず、リクエストしないと切ってもらえない。私も食べたことがなかったのでトレズモスがどんなものか知るのに、いい機会だ。
これがトレズモス
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 このお店はただ単に、早さや安さばかりでなく、実はカロリーや素材のコンビネーションにも気を配るこだわりの店なのではないかという気がしてきた。なぜかと言うと、私の食べたトレズモスサンドのパンは結構固い田舎風のもっちりしたものであるのに対し、同僚のモンゴウイカサンドはスカスカの軽いカルカッサというパンが使われていた。彼女によると中身がフライであるにも関わらずギトギトしなくて美味しかったということである。それはパンがフライの脂分を適度に吸収し、脂っこさを感じさせなかったのではないだろうか。一方トレズモスの方は、のしイカのような歯ごたえと風味があるので、パンもそれに負けないかみ締めるほどにおいしさを感じる弾力のあるものを選んだと考えられる。

 コップのワインがおいしいと聞いていたのでこれもはずすことが出来ない。赤ワインを注文すると、フレスカ(冷えたもの)かナチュラル(常温)かと尋ねられ、一瞬「へ?」と聞き返した。赤ワインを冷やすとは不思議に思ったが、その日はやや暑かったのと好奇心から、冷たい赤ワインを頼んだ。冷えた赤ワインのビンは冷蔵庫の中に保管されているが、常温の赤ワインはカウンターの後ろの壁に据付けられた樽の蛇口から注がれる。もっともこの樽には2つ蛇口があって片方からは赤ワイン、片方からは白ワインが出るようになっているので、本ものの樽出しというわけでもないのだろうが、生ビール同様とても美味そうに見える。味は若くて軽いヴィーニョ・ヴェルデタイプなので、冷えた赤ワインもこれまたおつである。生まれはミーニョ地方ではなく、近郊のリバテージョ直送と樽に記されている。それで安くて美味いのだ。

 1坪ちょっとくらいのこの小さな店ではフルコース取るのも可能である。スープ、メインのサンドイッチ、デザート、飲み物はワインやビール、コーヒー、消化を助ける焼酎アグアルデンテ。この日はサンドイッチとワインのみで2ユーロでお釣りが来た。この近辺にはこのようなポルトガルの伝統的なファストフード店がいくつかある。東京の下町のような庶民パワーを感じるチリ広場である。
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by caldoverde | 2008-07-13 00:11 | ファストフード | Comments(9)

ポルトのフランス娘

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 ポルトの代表的な料理といえばモツ料理のトリパス・ア・モーダ・ド・ポルトであるが、実はもうひとつフランセジーニャというものがある。フランスの女の子というハイカラな響きを持つこの食べ物は、パリジェンヌみたいにおしゃれなものというよりは、大阪のお好み焼のごとく気取らずボリュームたっぷりで腹が膨れ、でもハンバーガーのように立ち食い歩き食いはできず、上品にナイフとフォークで食べる、食事とスナックの中間といった食べ物である。

 1960年代にフランスに移民していたポルトガル人が、クロックムッシューやクロックマダムといったフランス版ホットサンドイッチにヒントを得て考案したものだそうだ。マダムでもムッシューでもないのでマドモワゼルなんだろうが、この娘さんが一番大食いだ。

 耳付の食パン2枚の間に、牛肉のステーキ、ハム、ソーセージ、とろけるチーズをはさみ、更に一番上にもチーズをのせて、サンドイッチ全体に満遍なくピリッと辛いソースをかけてオーブンで焼いたもの。中身は店によって海老を加えたり、卵を載せたり、豚肉やベーコンに替えたりとバリエーションがある。しかし、どんなに中身が充実しようが、ソースがなければただのサンドイッチである。たっぷりとパンを浸すソースこそフランセジーニャがフランセジーニャである所以であろう。
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牛肉、ハム、ソーセージ、チーズの基本材料に海老を加えた「セビーリャ風フランセジーニャ」

 このソースは辛いものの苦手なポルトガル人の発明にしては珍しくスパイシーであるが、ひりひりするほどではなく、ビロードのようななめらかさでおいしい。カロリーオーバーを気にしてフライドポテトは抜いてもらったが、揚げたじゃがいもにこのソースをつけて食べたら、止められなくなるはずだ。ただの目玉焼きにこのソースを添えたら、結構高級な味になるのではないだろうか。一体何を材料に作っているのか、複雑な味である。ネットで調べても製法は秘密で店によって違うとしか書いてない。もしかするとポートワインを使っているとか…?ポルト発祥なので十分可能性はある。スーパーに出来合いのソースが売っているそうだが、ポルト周辺の地域限定なのか、リスボンでは見たことがない。今度ポルトに行ったときのお土産はフランセジーニャ用ソースにしよう。
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by caldoverde | 2008-05-02 08:24 | ファストフード | Comments(11)

とろけるチーズパン

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 80年代ポストモダンの奇抜なビル、アモレイラスショッピングセンターの裏手には古い住宅が並ぶカンポリーデ地区。そこにはバスが通る道に気になる店が何軒かある。特に黄色い丸いパンを手で二つに割っている大きな宣伝写真の貼ってあるレストラン件バール。パンの生地がびよ~んと伸びていて、いかにこの小さなパンがフレッシュで弾力に富み粘りがあるかアピールしている。そして隣の写真には可愛い籠にこの丸いパンが山と盛られている。
 こんな看板のお店にはきっと学校帰りの女子高生が群がっているはずだと確信して中に入ると、つまみなしでコップワインを飲むリタイヤ組、現場から抜け出してベーコンをつまみに立ってビールを飲む作業員風の中年男性、サッカー新聞を片手にテレビの試合を見る若い衆など、完全に男の世界であった。カウンターの中の人も看板娘ではなく、濃い顔のお兄さんである。
 顔なじみ同士がサッカーの話かなんかで盛り上がっていたところに不意に怪しい東洋人の女が入ってきたので、なんとなく一瞬空気が張り詰めたのを感じたが、「ポン・デ・ケージョください」と自分たちにわかる言葉を発したので、彼らの関心はすぐにサッカーに引き戻された。もし私が美貌の持ち主であったら、もう2,3秒は関心を引き付けておくことができたのだが。幸いなことに私も彼らには関心はなかった。私の関心は只ひたすら、表の張り紙に書いてある「中身入りポン・デ・ケージョ」であった。

 看板のは普通タイプの何も入っていないものだが、この店のポン・デ・ケージョには何かが入っているのもあるらしい。早速中身入りのポン・デ・ケージョを頼んだ。カウンターの中には家庭用のオーブントースターがあり、その中に丸いパンがぎっしり並んでいる。嬉しい焼き立てだ。お兄さんは熱そうに1個のポン・デ・ケージョを取り出してトースターの横にある機械のようなものの下にそれを置き、その機械のハンドルを押し下げると、管がぶすっとパンに突き刺さり何かがパンに注入された。パン生地にあんを入れて焼くのではなく、後から入れるのであった。
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 熱いところをふうふう吹きながら食べると、モチモチの生地からとろけるチーズがあふれ出してくる。チーズが練りこんである生地の中身は別の種類のチーズだった。予想していたことではあったが、予想を超えたおいしさだった。初めてのときはコーヒーと一緒に食べたが、おじさんたちが飲んでいるグラスワインが旨そうだったので、次の日はワインとともに頼んだ。今度はビールとベーコンも注文しようと思う。サッカー新聞も持参すれば常連さんの仲間に入れてもらえるかもしれないが、私はサッカーには疎いので、タイガースファンに巨人の話題を振ってしまうような危険もあるので、それはやめることにした。
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 カウンターを見ると看板のポン・デ・ケージョのほかにも美味そうなものがあるではないか。ごろっとした塊のままのベーコン。太いチョリッソ。黒いソーセージ。そのようなオヤジ系食品の隣に、白と黒の小さなボールがバットの中にたくさん並んでいる。黒い方はブリガデイロと呼ばれるポルトガルではポピュラーな手作りのチョコボール。白いのはホワイトチョコのブリガデイロかと思ったら、ココナッツをコンデンスミルクか何かで固めたもので、食べると甘いココナッツミルクと牛乳の風味が口いっぱいに広がる。女の子の大好きな味だ。濃いエスプレッソコーヒーにぴったりだが、アグアルデンテと呼ばれるポルトガルの焼酎も合うに違いない。とするとこの店はやはり女子高生よりも男性御用達になってしまう宿命なのだ。
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中身は週替わり、今週はチョコレート
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by caldoverde | 2008-03-17 10:04 | ファストフード | Comments(9)