ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:話題の店( 17 )

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羊の揚げ餃子とトマトご飯

残念ながら閉店してしまったフランス菓子店「サランボー」のあった通りに、何だか洒落た店ができていた。「ア・シャルクタリア(腸詰屋)」という店名は、以前カンポ・デ・オリーク市場と同じ並びにあったアレンテージョ料理屋と同じだ。あそこは鴨のパテが美味しくて、見ただけで歯が疼くような伝統菓子のデザートが並ぶ、ちょっと高級そうな小さなレストランだった。市場の盛況に押されて閉店したのかと思ったら、こんな通りの奥まったところに引っ越していた。郷土料理の店はその地方らしさをアピールした置物や家具を使うところが多いが、こじんまりとした店内は何の飾りもなくシンプルで都会的だ。

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小さな容器に入った鴨のパテは、以前別の場所の同名の店で食べたのと同じ味、やはり同じスタッフがやっているようだ。パンに塗って食べると止まらなくなる。両隣のテーブルではお店の人の勧める小アジのマリネを食べている。丁寧に皮や内臓を取った小アジもオリーブオイルの色も綺麗だ。色鮮やかな焼きピメントのサラダはキリッと酢がきいて夏の暑い日にはぴったり。

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この日のお供はMoreiaさんで、彼女は鮫のスープと白ワイン、私は羊の揚げパイと赤ワインをメインに頼んだ。自分でも鮫のスープを作るというMoreiaさんは、全く臭みのない上品な味と絶賛。白ワインによく合ったのだろう。羊の揚げパイは、付け合わせのトマトご飯共に、もうちょっと素朴な田舎料理らしい味だ。軽く冷やした赤ワインが一層素朴さを引き立てる。夏は赤も冷やすと美味しい。

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人通りの少ない道の奥に作ったフランス菓子屋さんは潰れてしまったが、この「シャルクタリア」は、不利な場所にもかかわらず前の店からの顧客がしっかりついているようで、親しげに店の人と話していた。値段はその辺のカフェの昼定食並というわけにはいかないが、清潔な店構えと少数精鋭のメニューは、より洗練された昼食を食べたい時にいい。カンポ・デ・オリーク地区のもう一つの有名なアレンテージョレストラン「マガーノ」もそうだが、前菜の種類が豊富で、メイン無しで小皿料理とワインだけで食べたくなる。この日は小さなミートパイはパスしたが、次回はぜひ他のエントラーダ(前菜)とともに賞味したい。

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by caldoverde | 2017-07-10 05:12 | 話題の店 | Comments(2)

イヴは食べるな

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タイルや絵皿が楽しいインテリア

今年の(も)クリスマスイヴは一人暮らしの女三人の女子会となった。このブログに時々コメントを寄せてくれるOvosMolesさんによると、リスボンから車や電車で1時間ほどのサンタレンに美味しい店があり、24日も昼は営業しているという。サンタレンの商店街にある「オ・バルカン」は伝統的な小さな建物の小さなタベルナ(大衆食堂)であるが、流行のレトロ感覚のお洒落な内装と、地元の食材を活かしたちょっと変わったメニューで、若い人にも年配の人にも人気のお店。
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ハウスワインはお店の名前入りで、4つのメダルのシールが貼られた立派なもの

ポルトガルにスペインのバルやタパスみたいなものはないのですかと訊かれることがある。バルに相当するのが「タベルナ」や「タスカ」と呼ばれる飲食店、メニューに「ペティスコス」と分類されているのが、酒のつまみになるような小皿料理(タパス)に近いと思う。それほどお腹が空いていない時や、色んなものを試したい時は「タベルナ」や「タスカ」で「ペティスコス」を何皿か頼むのも楽しい。
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おなじみのマッシュルームのソテー
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熱々のフライドポテトとピメントに卵を落として、その場でわしわしかき混ぜる

ペティスコスの種類はコロッケ、卵料理、サラダ、フライなど様々でどれを選ぼうか迷うほど。イブなので限定メニューしかないと思っていたら、ほとんど注文可能ということだった。3人で一つづつペティスコスを注文し、メインは肉と魚の料理を一品づつ頼むことにした。
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ピンぼけですみません。こんがり焼けた豚脚
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スプーンでバラバラになりました

肉料理は豚の骨付き脚肉のロースト(ペルニル)に、さっぱりしたレモン風味のクリーミィなリゾットを添えたもの。
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魚料理には聞いたことのない名前の魚のメニューがあった。すぐそばのテージョ河で採れる川魚だろうか、どんな味か興味があったが、その日は無かったのでお店の人お勧めのマテ貝のリゾットを選んだ。
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磯の香りたっぷり

デザートは、クッキーを砕いたものとクリームを交互に重ねた「ドース・デ・カーザ」(お店のデザート)と「マルメロのコンポートとイチジクのアイスを添えたカリカリしたメレンゲ状の菓子」
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料理も内装も、昔からあるものを大事にしながら若々しい感覚に溢れている。リスボンのタスカやタベルナよりもずっとセンスが良い。サンタレンという田舎にこんなお洒落な食堂があったんだと大いに感心した。

美味しい食事を更に盛り上げたのは、もう一人の参加者patoさんのこんにゃく作りの話題である。手造りこんにゃくの素を頂いて、説明書に沿って作ろうとしたがどうもうまくいかない、説明書によく解らない文章があり、どう解釈したらいいのだろうかと相談を受けた。私にも想像がつかない。こんにゃくがキョロキョロするなんて…心配する必要はないんだそうだが。
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by caldoverde | 2015-12-28 02:22 | 話題の店 | Comments(4)

近くにあったマデイラ島

マデイラ島に行ったのは、何年前になるだろうか。真冬にもかかわらず25度の暖かさ、極彩色の花や見たこともない果物で賑わう市場、世界名庭100に選ばれた植物園、谷底にある尼僧たちが隠れた村、山の斜面にへばりついた白い家々を見下ろすケーブルカー、スリルあふれるトボガン(籠ぞり)、魅力に溢れた島だ。食べ物、飲み物も独特だ。この島で私は初めてカサガイを食べた。魚ならマグロと太刀魚。肉だって負けていない。月桂樹に刺したバーベキュー。甘いものなら巨大なチェリモヤや可愛いマデイラバナナ、お菓子はどっしりした黒いサトウキビ蜜のケーキに巾着型のケイジャーダ(チーズケーキ)。スモーキーな香りの甘美なマデイラワインに爽やかでパンチの効いたカクテル、ポンシャ。例によって格安ホテルに宿泊し、移動は路線バスというケチケチ旅行だったが、次回はチャーチルの泊まったホテルで優雅なアフタヌーンティーを楽し…まなくてもいいか。周りがスノッブなイギリス人ばかりだったらなんだか場違いだし。だいいち、飛行機でマデイラ島に行かずとも、歩いて5分のところにマデイラ関係の店が3つもあるんだった。

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30年前、リスボンの新名所になったアモレイラス・ショッピングのビルは周りの景色を一変させた。

すでにオープンして30年も経つ老舗のショッピングセンター、アモレイラスには、オ・マデイレンス(マデイラ島民)というレストランがある。フードコートの一角に派手な合掌造りの民家をデザインした入口があり、中に入ると重厚な木のインテリア。値段も少々高めかも。

しかしシックなアモレイラスショッピングから歩いて5分、かつて工場の労働者たちが住んでいた長屋のひしめくカンポ・デ・オリーク通りに、イーリャ・ダ・マデイラ(マデイラ島)という郷土料理店がある。この通りには私の愛するカーザ・ドス・パッサリーニョス(小鳥の家)や、シーフードレストランなど数店の飲食店が集まり、近所の人々で賑わっていて、しかも私の住むアパートと同じ通りである。マデイラ料理だけでなく、普通のポルトガル料理もあり、そちらの方は値段も手頃だ。14、5年前に2度ほど入ったような記憶があるが、その時は特に変わったものがあるとも気付かず、それっきりになっていた。久々に「マデイラ島」に立ち寄ったのは4月3日の聖金曜日。この日は仕事が長引いてまともな食事が取れなかったので、夜は外食することにした。ところがどの店も休みでお気に入りの「小鳥の家」も閉まっていたが、その並びにある「マデイラ島」がたまたま開いていたので、時を経ての再会となった。

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コリコリです

各テーブルには鉄のカギに串焼きの肉を吊るすバーベキュースタンドがある。奥のテーブルの客も長い串から肉の塊を外してもらっている。私も一瞬香ばしい月桂樹に刺した牛肉を頬張ろうかと思ったが、前菜にカサガイ(ラパス)がある。アソーレス諸島に行った時くらいしか食べられないだろうと思っていたカサガイがこんな身近に!数を尋ねると20個ぐらいという。アソーレスでは50個食べた私だが、リスボンではこれでよしとすべきだ。メインは一口大に切った牛肉を煮込んだマデイラ風ビーフにした。歯ごたえのある貝の身や肉もさることながら、貝殻に残されたエキスやシチューの汁をパンやご飯につけるとより美味い。はじめはフォークでカサガイの身だけを取って食べていたが、手で殻を持って口に持って行き汁ごと食べると、貝を余すことなく味わえることがわかった。マナー的にOKかどうかは不明だが。

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ピカディーニョ(つついて食べる一口大の肉料理) ソースが美味。

マデイラのパンは、ボーロ・デ・カコという嵩のあるホットケーキのような形のモチモチしたもので、焼きたてにニンニク入りバターをつけて食べると非常に美味しい。最近これまたアモレイラスショッピングから歩いて5分程度の、やはりカンポ・デ・オリーク地区のフェレイラ・ボルジェス通りに、ボーロ・デ・カコの専門店がオープンした。カコ・オ・オリジナルというファストフード店は、細く裂いた肉やツナのパテを挟んだもの、ヌテラというチョコクリームを挟んだもの、ソーセージやチーズを巻いて棒状にしたものなど、色々なボーロ・デ・カコを提案している。むっちりと食べ応えのあるマデイラ島のパンは本土のポルトガル人を征服できるだろうか?

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by caldoverde | 2015-04-09 03:23 | 話題の店 | Comments(6)

ダンワインとベイラ料理

檀一雄がポルトガルで愛飲していたというダンワインは、ポルトガル中部のベイラ地方で生まれる。海から遠く離れたベイラ地方の食べ物は、やはり肉やチーズが中心となるが、意外なことにタコが名物であるという。

数年前訪れたベイラ地方のファームレストランで食べたプリプリのタコやラムチョップ、ヤギのローストが忘れられず、リスボンでもあのようなものが食べられる店があったら良いのになと思っていたら、割と近所にベイラ地方のレストランができたというので、よくコメントを寄せてくれるちゅんちさんとjojoさんとの3人で行ってみた。

ネラスという町のBem Haja(ベン・アジャ)という店がミシュランで紹介され評判となり、リスボンにも支店を出したのだそうだ。
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ミシュランの店(の支店)での食事は年に一度あるかないかの稀な機会なのに、家の近くなものだから、つい無印良品で買ったパーカーを引っ掛けてきてしまった。お店のある通りは全くシックでもオシャレでもないのだが、後から入った客の服装を見ると、上品でお金持ちそうな人々ばかりだった。値段も私が普段行くような大衆食堂の倍くらいである。

日本の覆面審査員3人が3種類の料理を注文し、それぞれ味見をした。私が頼んだのはタコのてんぷらミガス添え。タコはとても柔らかくジューシーだった。しかしてんこ盛りのポルトガル式盛り付けを見慣れた私には、タコは薄く小さく上品すぎるように感じた。だって18€だよ!
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パラパラしたミガスよりリゾットの方がいいかな

ちゅんちさんは脂肪の少ない牛ヒレ肉のグリルキノコリゾット添えを選んだ。こんがりと焼いた肉にはタタキのように切れ込みが入れられて赤身がのぞく。おろしポン酢が合いそう。キノコのリゾットは可愛い三脚鍋でサーブされ、いい香りをあたりに漂わせる。できれば3人分持ってきて欲しかった。日本人にはやっぱりご飯だね。
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これが一番日本人の口に合いそう
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jojoさんは牛の骨つき肉ステーキ、ファリニェイラ入りアソルダ添えを注文。タコとは反対に、見ただけで満腹しそうなほど巨大、しかも脂肪の多い部位でボリューム満点。付け合わせのアソルダも結構ズシンとくるものである。タバスコのようなピリピリソースが添えられていたが、jojoさんは市販のピリピリソースは料理の味を殺してしまうと不満。ミシュランに載ったからには、ソースはスーパーで売っているものではなく自家製を使うべきだと。
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皿からはみ出そうな凄い大きさ
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人と比べると益々大きい。写真提供patoさん

デザートは5€でビュッフェ形式。甘いものは別腹のポルトガル人にとっては大きな喜び。しかし私達日本人にはここまで行き着くことは困難で、すっ飛ばしてコーヒーに。
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種類はあるが、特に食指をそそるものがなかったのも事実

ワインはフルーティな酸味のある2012年のものとスモーキーな香りの2011年物を選んだ。軽く甘いアレンテージョワイン、重厚で渋いドウロワインと比較してダンワインはバランスの取れた真面目な感じだろうか。このお店はダンワインのリストが充実していて、ほとんど知らない銘柄ばかり。檀一雄の愛したダンワインをリスボンで味わいたいならこのベン・アジャに行くと良い。

気になるお勘定は、3人でワイン2本、水、前菜のチーズ、料理3品、コーヒーで、計80€弱、一人当たり26€也。フランスや日本のミシュランのレストランなら1人80€でも足りないだろう。美味しいものを安く食べられるポルトガルは良い国だ。ドレスコードもうるさくないけど、次回は無印のパーカーでないものを着て行こう。
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by caldoverde | 2015-03-11 18:22 | 話題の店 | Comments(13)
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悲惨な状態のビフォア

市電28番のターミナルにもなっているエストレーラ大聖堂のそばに、ボロボロに朽ち落書きされた小さなキオスクがあった。通るたびにもったいないなあ、お金があったら買い取ってお店を開くのになあと考えていた。ある日キオスクが忽然と消えてしまった。とうとう撤去されたのか…と少し寂しく感じていた。ところがある日、白く綺麗に塗り直され補修されたあのキオスクが元の場所に戻っていた。近日オープンの看板とともに。
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美しく蘇ったアフター

近くにあるカンポ・デ・オリーク市場のリニューアルが成功し、それに勢いづいた市場がこのキオスクを買い取り、小さな分店を作ったらしい。そんな訳で新しい名前は「市場のキオスク Quiosque de Mercado」となったが、昔は「雌ロバ公園キオスク」だった。優美な姿にそぐわないが、私はどっちかと言うと古い名前を残して欲しかったかな。
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奥にひっそりとロバと親子3人の彫刻が。隣が教会なのでキリストのエジプト逃亡?いやどうもポルトガル人家族のようです。

このキオスクは20世紀初頭に作られた、現存する唯一のアールヌーヴォー様式のキオスクだ。屋根の上には流麗な装飾が施され、支える支柱は白鳥の首をかたどっている。人が一人中に入れる程度の大きさで、白鵬関が働くのは難しい。もちろん厨房設備はなく、電気が引いてある程度。だからメニューといってもコーヒー類とワインなどの飲み物、2〜3種類のお菓子とサンドイッチという決まり切ったもので、特にここならでは、というものではない。
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トマトとスモークサーモンのサンドイッチ。フツーにおいしい。

天気の良い日に市電25番か28番に乗ってエストレーラ公園まで来たら、ここで降りてエストレーラ大聖堂の素晴らしい白亜のドームを眺めながらキオスクでフツーのコーヒーやワインを飲み、そこからカンポ・デ・オリーク市場まで散歩する、というコースはフツーのリスボン市民生活を垣間見る楽しい経験になること請け合いだ。何しろカンポ・デ・オリーク地区はミドルクラスの若いポルトガル人に人気のリスボンで一番住みよい地区と言われている。私が住んでいるという点からも、今後の地価の上昇が予想されているのである。
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市電の広告はカンポ・デ・オリーク市場。日本のTVでも紹介されました。
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by caldoverde | 2014-11-25 00:31 | 話題の店 | Comments(2)

星の山脈チーズ

カンポ・デ・オリーク地区に、人気シェフのヴィトル・ソブラルが「タスカ・ダ・エスキーナ」に続いて2店目のレストラン「セルヴェジャリア・ダ・エスキーナ」を出店ししばらく経つ。住宅地のど真ん中で探すのが難しいし、駐車場はないし、不景気だし、難しいんじゃないかと思っていたが、さすが本を何冊も出している一流シェフだけのことはある。高いから私は自腹では行かないが、舌の肥えた固定客をつかんでいるようだ。
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窓の向こうの黒い車の止まっている店が「セルヴェジャリア・ダ・エスキーナ」

その斜向かいに、尖った三角形の頂点を切り落としたような変な敷地に建てられた小さな家があった。ずっと売りに出されていたが、久々に通りかかったら可愛らしい飲食店になっていた。不揃いの家具にキッチュな小物、石の壁にレトロな照明と、今流行りのヴィンテージ・カフェのスタイルだ。「オフィシーナ・コン・シャ」(お茶のある工房)という店名が示すように、2人の子供のお母さんである女性オーナーは、古い家具の修復をしているそうだ。
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赤い謎の照明器具とおばあちゃんが作ったようなレース編みの敷物が良い感じ。

お茶とお菓子ばかりでなく、彼女の故郷のベイラ地方の名産のチーズや肉の加工品をワインとともに味わうこともである。ポルトガルで最も有名で高価なチーズと言えば、ケイジョ・ダ・セーラ・ダ・エストレーラ(星の山脈のチーズ)。トロトロのクリーム状のチーズをスプーンですくい、パンやクラッカーに塗って食べる。これがエストレーラ・チーズの一般的なイメージだ。しかしこの小さな工房では、有名なクリーミーなチーズに加え、ハードやセミハードなど異なったタイプのエストレーラ・チーズを盛り合わせたプラトーがある。添えられた黒いパンはそれ自体甘みを感じてとても美味しいが、チーズと一緒に食べると、お互いの旨みをより際立たせる。
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エストレーラ山脈はポルトガル唯一の積雪のある地方。厳しい冬を越すために、様々な肉加工品が発達したのだろう。この地方で作られる腸詰の盛り合わせもある。ピリッとした味、プリッとした歯ごたえの赤いチョリッソ、黒いスパイシーなブラッド・ソーセージ、フニャッとして酸味のあるファリニェイラ、ニンニクのきいた柔らかいアリェイラが、カットされ軽く焼かれ、木の皿で香ばしい匂いを放つ。アリェイラを口に入れて思わず目を見張ると、オーナーが「私の故郷の、手造りのいいものだけ選んで取り寄せているんです」と誇らしげに言った。確かに他のレストランで出される腸詰よりも美味しいものばかり。
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2人の子供たちを見ながら一人奮闘する女性オーナーの、故郷の味をリスボンにと開いた小さな店が、スターシェフの店の前に、どこまで地域に根付くことができるだろうか、見守りたい。
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by caldoverde | 2014-10-24 23:48 | 話題の店 | Comments(3)
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国鉄カスカイス線 カイス・ド・ソドレ駅の向かい側

 長年リスボン市民の台所として親しまれてきたリベイラ市場も、寄る年波と全国に展開する大手スーパーには勝てず、往時の活気はすっかり失われていたが、5月18日突如リニューアルオープンした。
 確か夏に改装工事が終わると聞いていたのだが、このポルトガルで予定より数カ月も早く工事が終わるというのは奇跡に近いことなので、この情報を提供して頂いたMoreiaさんと一緒に奇跡を見に行くことにした。
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だだっ広い空間はこれからどうなる?

 昨年カンポ・デ・オリーク市場が装いを新たに再開したところ、連日の盛況で大成功を収めたので、リベイラ市場も当然同じ路線を狙うはずである。
 しかしカンポ・デ・オリークは住宅地の中にあるので、地域住民との繋がりを重視し、青果や精肉、鮮魚部門はそのまま生かされているが、一方リベイラ市場の周辺は商業地区で、またカイス・ド・ソドレ駅という交通の要のすぐそばとはいえ、定住している住民はそれほど多いとは思えないので、ターゲットは国内外の観光客が主になるだろう。
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白木の椅子やテーブルは日本の鮨屋をイメージしたのかな?

 世界中の主要都市の最新情報を発信するTime Outという雑誌が仕掛け人らしく、あちらこちらに雑誌のロゴの看板や旗が見られる。市場の半分はフードコートになり、巨大な空間をぐるりと取り囲む店は昔ながらの八百屋や肉屋ではなく、Time Outに載るようなオサレな店の支店ばかりだ。
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海鮮丼だと思ったらシーフードサラダでした
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生ガキもあります

 ポルトガル料理界のスターシェフの監修によるグルメハンバーガー屋とか創作(変態)寿司などが大勢を占める。シェフのこだわりと価格をぎりぎりまですり合わせた料理を大衆的な環境で気軽に味わって頂き、そのうち本店にもぜひどうぞという意図なのだろう。
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何と開店日にシェフが遅刻したタルタルステーキ専門店に水曜日に行って食べることができた。味は悪くないが…ミキサーでタルタルって反則じゃね⁈
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日本のチーズケーキのようなものが食べたいと思えども…これが限界


 バイシャ地区の缶詰屋や、ポルトのチョコレート屋、カンポ・デ・オリークの「リスボン一うまいエッグタルト」、カスカイスの行列のできるジェラート屋もあって、カイドブック片手にあちこち探し回らなくとも、リベイラ市場に行けばいっぺんに名物うまいもの巡りができるようになった。
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整然と棚に並ぶ鰯の缶詰
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カラフルなマカロンや卵黄プリンも並ぶチョコレート屋
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わたしはゴクっと生唾を飲み込みましたが・・・生ハム屋

 願わくば、生まれかわったリベイラ市場には、移り気なマスコミに依存せずに「ポルトガルの食文化」のフラッグシップショップとしての役割を地道に継続して欲しいものだ。
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生簀のあるシーフード料理店でゆでたてのエビやカニを
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日本の何とか横丁みたい
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黒豚トロ握りサビ抜きで・・・そんなお寿司はまだないです
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by caldoverde | 2014-05-19 21:10 | 話題の店 | Comments(3)

メルカード・ルネサンス

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教会の右奥の白い2階建ての建物が市場

 リスボンの各地区には市場(メルカード)があるが、近年は大型ショッピングセンターの中のハイパーマーケットや、私の住むアパートの隣のピンゴ・ドーセなど全国的に展開しているスーパーに押されて、かなり寂しい状況だ。櫛の歯が抜け落ちるように業者が撤退し、品ぞろえも貧弱で、値段もスーパーと大差ないのであれば、誰が午前中しか営業していない市場に買い物に行くだろうか。我がカンポ・デ・オリーク地区の市場も住み始めたころに比べるとかなり寂れてしまったことは否めない。

 ところが2013年の夏以来改装工事を行い、ようやく最近リニューアルを終えたばかりのカンポ・デ・オリーク市場に行ってみたら、えらいことになっていた。
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  午後1時、従来ならめぼしいものは買われ、買い物客はまばら、業者は店仕舞いし、あとかたづけをしている時刻なのに、ネクタイを締めたビジネスマンやOLで大賑わいではないか!この市場にこんなに人が入っているのは見たことがない!!
 市場の中央がイートインコーナーになっていて、その周辺がその場で作って売る軽食屋の出店になっている。ショッピングセンターによくあるマックとかケンタッキーではない。ピザもパスタもない。ほとんどオーセンティックなメイド・イン・ポルトガルもんばっかりである。例外は寿司だが、市場直送として許そう。
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ポルトガルの生ハムやチーズを使ったサンドイッチ
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寿司コーナーで列をなす人々
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かたまり肉を切って隣で焼いてはいどうぞ

 夜は、これまた手ぶらで近所からやってきた風の人々が、ワインやコーヒーを飲みながら談笑している。今はインターネットやケーブルテレビの普及で家に引きこもる人たちが増えたが、昔リスボンでは夜の11時、12時まで散歩したり、外でコーヒーを飲んだりするのは普通だった。基本的にポルトガル人のレジャーとは人と話すことなのではないかと思う。今日はこれが美味しいよ、味見してごらん、などと勧められ、釣られて買ったりおまけしてもらったりと、売り手と買い手の交流自体が楽しいのだ。そしてそこにやって来る近所の人たちとたわいないことを話すのが好きなのだ。たとえ親しい人がそこにいなくても、そんなざわめきを聞きながらぶらぶら歩くのは愉しい。
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干し鱈のマリネとグラスワインでちょっと一杯
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左は鮪のマリネ、右は小鯵の南蛮漬け
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白豆のモツ煮込みとそら豆のポルトガル風
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シーフードバーの隣には生ガキとシャンペンのバーもある

 昔から出店している魚屋、肉屋、八百屋がそのまま継続しているのもうれしいが、市場の営業時間が夜まで延長され、業者によっては午後も営業を続けているのが良い。スーパーの買い物は、時間帯によっては忍耐と寛容が要求されるのだが、市場の買物は長い列の中でイライラしながら待つことはまずない。
 カンポ・デ・オリーク市場は伝統的な商業形態を踏襲しながら若い世代のアイディアやニーズも取り込み成功した良い例であろう。この賑わいが続けば、バルセロナの市場のようにリスボン観光の目玉の一つとなるに違いない。市電28番で終点のプラゼーレス墓地で降りたら、その少し手前のサント・コンデスターベル教会そばの市場に行くべきだ。ぜひ地元の人たちと一緒に市場の軽食を楽しんでほしい。
フェイスブックはこちら
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立ったままステーキを食べる若い勤労者
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by caldoverde | 2013-11-30 01:28 | 話題の店 | Comments(7)
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 元々の独身女性と最近独身になった女性たち4人は、互いに安否を確認し孤独死を回避する互助組織を作ろうと、カルニーデのレストランで会食した。
 以前タコと栗を食べたあの地区は100年前の田舎町を都会のど真ん中に巧妙に再現したテーマパークのようだ。広場を中心に何件ものレストランが集まっているので、リスボン料理(と言うカテゴリーはあまり聞かないが)のテーマパークであるともいえる。今回はタコと栗の店ではなく、もう少し奥に入ったところにある「Adega das Gravatas」(ネクタイ酒房)という名のグリルレストランである。日替わりメニューの鴨が美味しかった、石焼ステーキの量が半端じゃないという体験者の生の声を聞けば、期待はますます高まる。
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 その名の通り、店内の木の梁には無数のネクタイがぶら下がっている。1908年、炭火焼を得意とする居酒屋としてスタートしたこの店では、1940年ごろからお客さんがこう書いたネクタイを置いていくようになった。「この店に入るならネクタイをここに置いていけ。ここで飲むワインは人生(生活)を安くあげる」
 その安さと旨さはビジネスマンの間にも知られることとなり、カラフになみなみ注がれる自家製ワインやじゅうじゅうという音とともに運ばれてくる巨大な肉や魚に瞠目した彼らは、絹のネクタイをかなぐり捨て、自らの限界に挑戦したのであろう。満足した彼らはネクタイを店に寄贈し、現在3000本を超えるネクタイのコレクションに発展した。
 前菜にもうモンゴウイカのフライが出ている。軽い食事ならこれだけでいいくらいの塊である。4人で魚と肉を1品ずつ頼んでシェアすることにした。魚はカンタリルというカサゴか金目鯛のような赤い大きな魚の炭火焼、肉は豚の骨付きあばら肉にたっぷりソースがかかったものを選んだ。
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 鮮やかな赤の体に大きな金色の目のカンタリルは、スーパーや市場で見ると買おうか買うまいか迷った末、アパートに魚焼きグリルがないので諦めていた魚で、レストランのメニューにも見たことがなく、私にとっては憧れで、かつ幻の魚でもあった。淡白だが適度に脂がのっていて大変に美味。今まで食べた魚の中でも最もおいしい部類に入る。1匹で2人前だが、いつか体調を整えて丸ごと1匹チャレンジしたい。
 豚肉もかなりの厚みがあり骨をすっかり取り去ったとしても相当なボリュームとなる。ポルトガル料理にしては珍しく濃厚なソースがかかっていてコテコテだ。付け合わせはサツマイモで、これがまたねっとり甘い。
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 7時半に来た時はガラガラだった店内もいつの間にか満席になっている。昼は他の地区からわざわざやって来る勤め人でいっぱいになるそうだ。
 デザートはセミフレッドのチョコレートソース、シュークリームにチョコレートをかけたもの、カボチャのムース。どれも巨大な上にクリームがたっぷり使われていて、ダイエットをするならしてみろとあざ笑うかのように甘いのだ。
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 肝心の独女セーフガードに関しては特に具体的な話にまでは発展しなかったが、誰かがまた「カルニーデで食べよう」と言い出せば、それで十分安否確認になるはずだ。
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by caldoverde | 2013-08-30 01:49 | 話題の店 | Comments(5)

初買物2013

 明けましておめでとうございます。
 と言ってもポルトガルの正月は全く嬉しくない。むしろ悲しい。税金、料金、その他諸々の値上げ。休日、賞与、人員のカット。色んな公共事業の削減。泣きそうな顔の大統領と首相のスピーチは今年も犠牲の1年と、気分をますます盛り下げる。
 福袋や升酒や豪華な景品の振舞われる仙台の初売りのようなものはない。既にクリスマス直後から始まっているセールは在庫処分または店じまいの雰囲気で、それもうら悲しい。
 せめてポルトガルの国産品を購入して、少しでも景気回復に寄与しようと、昨年から欲しかったものを買いに出かけた。

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家並みもアンティークなサン・ベント通り。

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ファドの女王アマリア・ロドリゲスが晩年住んでいた家は記念館に。

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ほとんど骨董屋と化した電器店。中にはブラウン管のテレビも。

 ラト広場から国会議事堂へ伸びるサン・ベント通りはリスボンの骨董通り。そこにはガラスの専門店「デポジット・マリーニャ・グランデ」が2店ある。一つは美麗な装飾品や食器を中心とした品揃えの店、もう一つは業務用のビンやフラスコ、実用的なガラス器をメインにした店だ。私は理科の実験室にあるようなビーカーやジャムの瓶の並ぶ2号店が好きだ。
 以前ここで買った3つのコップのうち2つが壊れ、残る1個も問題が生じたので、同じものを探しに来たのである。
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よく見ると棚ごとに特色がある。コルク栓も売っている。

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手作りの保存食を作りたくなるようなガラス器がいっぱい。

 透明な鉢型で胴に水平にくびれというか筋のついた、手吹ガラスのコップは見た目はどっしりとした重みを感じさせるが、手にとると意外なほど軽い。コップの壁が中空になっているのだ。底に小さな穴を塞いだ跡があり、そこから空気を吹き込んで熱いシャボン玉になったガラスを型に被せて作るのだろうか。実は非常に薄くて繊細なものだった。そんな訳で前に買った3個のうち2個が壊れ、1個は中に水が入って曇ってしまった。
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 まだ売っているだろうかと店の奥に入ると、他の商品に埋もれて埃をうっすら被り、はがれかけた値段シールをつけた同じ型のコップが3個あった。嬉々として女性店員に渡すと、5分待ってねと言いながら倉庫から在庫を持って来てくれた。紙箱には6個のコップが丁寧に薄紙に包まれて入っており、6個全部持って行きませんかと柔かに勧められたが、狭いアパートゆえ、しまう場所がない。また壊した時のために在庫を置いてもらうことにしよう。
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キャンディのようなカラフルなグラスも主力商品。

 職人の手の温もりが伝わるこのコップは、口当たりがとても柔らかく、私の掌にすっぽりと収まり、飲物をとても素敵に見せてくれる。ひとつひとつ微妙に違うのも味わい深い。キャベツ皿でお馴染みのボルダロ・ピニェイロ社と共に、愛すべき食器を作るマリーニャ・グランデ社も不況に負けず、生き延びて欲しいと切に願う。頑張れポルトガルブランド!
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揃えでなくバラバラで欲しくなる楽しいワイングラス。
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by caldoverde | 2013-01-08 20:14 | 話題の店 | Comments(6)