ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:酒・ワイン( 12 )

ビール博物館

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コメルシオ広場をぐるりと取り囲むアーケードが次々とレストラン、ツーリストインフォメーション、ミュージアムに変わっていったのはここ数年。以前はすっきりしていたこの辺の風景も、広場を侵食する勢いでパラソルが花開き、その下で談笑する観光客が増えた。いかにも観光地然としているので、地元民としてはコメルシオ広場に行って何か食べようという気は起こらないが、ひとつ気になるものがあったので、初心に立ち返り観光客になった気持ちで、改めてこのリスボンの表玄関を訪ねてみた。
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広場の中央には、アーチの上に歴史上の人物の彫像のある威風堂々とした凱旋門がある。NHKの「ヒストリア」でも紹介されたポンバル公爵、インド航路の発見者ヴァスコ・ダ・ガマ、見事な戦略でスペイン軍を破った武将にして聖人のヌーノ・アルヴァレス・ペレイラ、ローマ帝国に抵抗したルジタニア族の英雄ヴィリアト。実はこの凱旋門の上に登れるとは最近まで知らなかった。
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アーチをくぐり、アウグスタ通りに入る直ぐ右に入り口がある。入場料2.5€。エレベーターでアーチに上ると、意外な広さに驚く。中央には天窓が取られ、前後の窓からは鮮やかな赤い屋根瓦がひしめき合うリスボンの街並みが見える。更に階段を上ると、彫刻の後ろに隠れていた展望台に出る。
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北を向けば中央のアウグスタ通りは花模様のカーペットを敷き詰めたように伸び、その両側にはポンバル公爵が復興したバイシャ地区が整然と広がる。
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その右手、サン・ジョルジェ城のある丘の斜面はアルファマ地区やモラリア地区のカラフルな民家が押しくら饅頭。テージョ河に目を向ければ、大型客船が古い建物の向うからクジラのごとく辺りを睥睨している。南はテージョ河とコメルシオ広場のパノラマが広がる。改めてリスボンがいかに美しい街か思い知らされる。どんよりした冬の曇り空、鈍く光る金属のような河の色、白い巨大な彫像は昔の映画を思い起こさせる。
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ベルリン天使の詩ならぬリスボン天使の詩
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コメルシオ広場と彫像の足指

コメルシオ広場の角にある「ビールのミュージアム」Museu da Cerveja は、名前だけが「博物館」で実態は単なるビアホールかと思っていたら、2階は本当にビールの資料館となっている。入場料3.5€を払うと、陶器のコップに注がれたビールがサービスされる。クリーミーな泡にわずかに甘みを含んだコクのある味。
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修道院タイプのビール?コップはお土産
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ビール片手に階段を上ると、ポルトガルのビールの歴史を説明したパネルや昔のビール瓶が並ぶ展示室がある。ポルトガルではローマ帝国時代以来、北ヨーロッパの影響でビールが飲まれてきたが、18世紀は国内産業(ワイン)を守るために外国人を除いてはビールが禁止されていたそうだ。ポルトガルはワインの国というイメージは古より確立されてはいるものの、ポルトガルのカラッとした夏空に合うのはやはりビール。特にインペリアルと呼ばれる生ビールである。せっかくビール博物館に来たので、生ビールとパスティス・デ・バカリャウ(鱈コロッケ)で一休みすることにした。
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天気が良ければなお美味い

実は真の目的はこのコロッケだった。ここのはただのパスティス・デ・バカリャウではなく、中にセーラ・ダ・エストレーラチーズが仕込まれていて、半分に割ったコロッケからとろ〜とチーズが流れ出す写真が店の看板となっている。また建物の入り口にブースがあって、看板娘がコロッケを作る作業を実演している。その辺のバールだとコロッケ1個1€〜1.5€、生ビールも同じような値段だが、ここは観光地中の観光地なので、合計5€は覚悟しておいた。
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可愛い看板娘はポーズをとってくれた

さてコロッケのお味は。普通に美味しい。鱈コロッケの部分はジャガイモよりも鱈の分量が多いようで、歯ごたえも鱈の味もしっかりしている。エストレーラ・チーズは独特の強い香りと滑らかな舌触りが美味。しかし…美味いものが2つ合わさって美味さが倍以上になるかというと…鱈もチーズも個性が強いので味が溶け合うというよりぶつかり合う感じだ。鱈コロッケは鱈のみで、チーズはパンと一緒に、と別々に食べた方が美味しいような気がする。鱈コロッケにはビールが似合うが、チーズはワインの方が相性が良い。2大名物を一つにというアイディアはポルトガルにしては革新的ではあるが。値段も革新的だ。 生ビール300cc3.5€、コロッケ2.95€、計6.45€。高っ!
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見た目は大いにそそる
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by caldoverde | 2015-01-30 03:00 | 酒・ワイン | Comments(4)
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 3日目は、ようやく我がポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデの番である。ミーニョ地方の葡萄畑はアレンテージョやドウロ上流の広大な葡萄畑と比べるとこじんまりして、また葡萄の木の仕立て方も多いに異なる。民家の敷地を区切る生垣のように、横に張ったワイヤーにツルをはわせている。ミーニョ地方やガリシア地方は海洋性気候で雨が多く、内陸に比べると日照時間が少ないので、葡萄に良く陽が当たるようにこのように作るのだそうだ。このような土地の葡萄は酸味が強く、そのような葡萄で作られたワインはアルコール度数は低くなり、長期熟成させるタイプではなく、早めに飲み切るタイプとなる。然して「緑のワイン」(ヴィーニョ・ヴェルデ)が生まれる。
 100%アルバリーニョ種から作られるものはヴィーニョ・ヴェルデの中でも高級品と見なされる。大衆的なヴィーニョ・ヴェルデは、ロウレイロ種など数種類の葡萄をミックスして作られる。実は私は高級品のアルバリーニョ100%より、気軽に飲める大衆的なヴィーニョ・ヴェルデの方が好きだ。なぜか?アルコール度が軽めでガスが多く含まれているので、暑い日にビール感覚で飲めるからである。ゴクゴク…プハー。しかし今回は高貴なヴィーニョ・ヴェルデを賞味するために来たのだ。
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16世紀の建物の入り口には面白い顔の井戸がある

 エレガントなアルバリーニョ100%の緑ワインはレゲンゴ・デ・メルガッソという小さな町の貴族の館(ソラール)のあるワイナリーで生まれる。ミーニョ地方はポルトガルの中でもソラールが集中している地域で、16世紀~18世紀に建てられたクラシックな邸宅がホテル(ツーリズモ・デ・アヴィタサォン)となっているところも多い。貴族の親戚や友達のいない方でも気軽にお屋敷に泊まることができる。
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ハネムーンにいかがでしょうか

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 訪れた日は葡萄の収穫(ヴィンディマ)が行われていた。りり子さんはヴィンディマに合わせてワイナリーの日程を組み、しかも参加する気満々でやって来た。私は葡萄畑や工場を見るだけでも十分満足したのだが、彼女は収穫した葡萄を踏み潰すことまで想定し、ショートパンツを持参して来た。その日はあいにく雨が降っては止みという天気で、工場の外で採り入れた葡萄を機械に入れる作業も一時中断される程の土砂降りに見舞われた。そんな天気にも関わらず、毎年ヴィンディマ時期に雇われる地元の人々は既にひと仕事終えて、お昼を食べに帰るところだった。りり子さん、Ovosmolesさん、私は葡萄を切る鋏を借りて、一応ヴィンディマに参加した。葡萄はほとんど残っておらず、たまたまよく熟れた葡萄を見つけたら、それはアルバリーニョではなく雑種の葡萄だということだった。ワイナリーは100%アルバリーニョという品質を守るため、ヴィンディマには経験と責任感のある、代々葡萄摘みを手伝ってきた家族を直接雇うのだそうだ。
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仕事が終わったころに畑に向かう私たち
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白ワインの女王アルバリーニョ

 お昼は廊下が広くなったところにテーブルを置いただけの社員食堂で、従業員達が食べる昼食をごちそうになった。一応肉と魚のブルコース、ワインも赤と白が出る。魚はマッサーダ・デ・バカリャウ(干鱈とマカロニの煮込み)、肉体労働を終えた人達のためか、やや塩辛いが、鱈の出汁がマカロニにしみて旨い。これに貴婦人のようなアルバリーニョ・ワインの組み合わせは、美女と野獣のようであるが、お互いに引き立てるナイスカップル。肉は香ばしく焼いたチキンで、相棒はミーニョ地方ならではの酸味のきいた赤のヴィーニョ・ヴェルデ。
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 アグアルデンテと呼ばれるポルトガルの焼酎の中でも最高のものはヴィーニョ・ヴェルデから作られたものだという。隣に座っていた運送会社の社長のマリオさんが、食後に小さなグラスでアグアルデンテをうまそうに飲んでいたのを私が見逃すはずはなかった。マリオ社長は自家製アグアルデンテを作り、自分の名を入れたラベルまで印刷し、親しい人にプレゼントしたり、カフェに卸したりしている。まあ、密造酒である。そのマリオブランドのアグアルデンテの置いてあるカフェで食後のコーヒーと、消化薬(アグアルデンテ)を飲んだ頃は3時をとうに回っていた。ポルトガルの中で特に南部のアレンテージョの人々はのんびりやと言われているが、ミーニョの人も負けていない。いや、もてなし好きなのかもしれない。
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「マリオ2000」非売品です

 既に夕刻になりつつあったが、モンサォンというヴィーニョ・ヴェルデの一つの指定産地の中でも特に名高いアルバリーニョの緑ワインを作るパラシオ・ダ・ブレジョエイラを訪ねた。堂々たるシンメトリーの豪壮な館(パラシオ)がここで作られるワインの名前となっている。19世紀に作られた比較的新しい宮殿で、内部は豪華だが当時のブルジョアの成金趣味の香りもそこはかと漂う。残念ながら宮殿内は撮影禁止、また宿泊設備はない。しかし売店のワインやアグアルデンテは市価より安いので、ワイン好きには必見の場所だ。
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 この日はパラシオ・ダ・ブレジョエイラに行く前に、同じモンサォンにある「アルバリーニョ会館」にも立ち寄る予定だったが、レゲンゴ・デ・メルガッソでの葡萄狩りと昼食が予定より長引いたので残念ながらパス。「アルバリーニョ会館」では様々なメーカーのヴィーニョ・ヴェルデが試飲できるらしい。この町には温泉もあるので、いつかゆっくりとワインと温泉を楽しみたい。
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by caldoverde | 2013-10-16 04:27 | 酒・ワイン | Comments(2)
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 2日目は、ガリシアの風光明媚な小さな村サント・アンドレにある小さなワイナリー、「カサル・デ・アルマン」を訪ねた。ツーリズモ・ルラル(農業観光ホテル)を併設し、ワインの醸造、広報、ホテルやレストランの運営、インテリアまで家族経営によって行われている。18世紀の石造り総二階建ての建物は、ポルトガル北部にもよく見られる典型的なカントリーハウス。室内はそれぞれ違うインテリアで可愛らしくまとめてある。ビーチリゾートや有名な観光都市の豪華なホテルもいいけど、朝は鳥の声で目覚め、深呼吸すれば新鮮な酸素がたっぷり補給できて、食事は地元で採れた海の幸山の幸を地ワインで味わうのも素敵だ。ただし交通機関はないので、レンタカーや近くの町からタクシーで行く事になる。
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 トルティーリャ(スペインオムレツ)と地元産のチョリソ、パンをつまみにここで造られる白ワインをテイスティング。ガリシアワインのコンクールで賞を取ったというだけあり、華やかな香りと爽やかな酸味の調和したすばらしいワイン。私は昨日のワインよりもこちらの方が気に入った。
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 今度はミーニョ川を挟む谷の上にある赤ワインのメーカー、「レジナ・ヴィアルム」に向かった。ここは完全に人里離れた孤絶した場所にある。しかしこの地には古代ローマ人がすでに葡萄畑を作り、ここで作られたワインを輸出していたという。角ばった怒り肩の個性的な瓶と力強い渋みのある味は、古の大帝国の伝統を継承していることを誇示しているようだ。
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 葡萄畑は45度もあろうかとも思われる急斜面にある。うっかり足を滑らせようものなら、何百メートル下の谷底に転げ落ちてしまいそうだ。ポルトガルのドウロ河上流の葡萄畑のように、斜面に等高線を描くように葡萄が植えられているが、異なるのは、日の良く当たる谷の片側にしか畑がないことである。ガリシア地方はイベリア半島の内陸に比べ、雨が多く日照時間が少ない。そんな所でも日光が最大に当たるような場所を選んで良質のワインを作っていた古代ローマ人の知恵は偉大である。
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 昼食は小さな石の村のモダンな内装のレストランでガリシア地方の名物料理に舌鼓を打った。パプリカをたっぷり使った朱色のチョリソ、マイルドなガリシアチーズ、そして木皿に敷き詰められたガリシア風タコ!タコにはガリシアのアルバリーニョがよく似合う。メインは豪快な子ヤギのロースト。肉にはスムースな地酒の赤ワイン。デザートは素朴な(すの入った)カスタードプリン、滑らかで濃厚なコーヒープリン、ライスプリンの3種。
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 レストランの外には汽車ポッポ型観光バスが止まっていた。今の時期、こんな辺鄙な場所に観光客が来るのだろうか?と訝っていたが、私たちのために特別に用意してくれたらしい。谷の斜面を切り通したくねくねの山道を走る観光バスは、ガリシア州庁事務局長アントニオ氏による格調高いガリシア語のガイド付き。山には葡萄ばかりでなく樹齢何百年という栗の木が青い実をびっしりつけている。昔はガリシア地方やミーニョ地方の主食は栗だった。
 このエクスカーションの記念写真は地元の新聞に「日本の輸入業者がガリシア訪問」みたいな扱いで写真入りの記事になってしまった。
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 汽車型観光バスを降りて、今度は普通の車に乗り換えて更に山奥にある、この地方で一番うまいワインを造ると言う「ギマロ」を訪問。と言っても田舎の細道の途中にある小さな醸造所である。何となく日本のお笑い芸人にいそうな感じの若い男性が私たちを迎え入れた。この工場では今も伝統的かつ家内手工業的なメソッドで良質のワインを造っている。大きな工場では取り入れた葡萄の実を軸から外したり、軸ごと実を潰して汁を絞る工程は機械化されているが、ここでは若手芸人、もとい若手醸造技師のペドロさんの手によって葡萄は揉み潰され、余分なタンニンのない上質のワインが出来上がる。彼は紫色に染まった掌を誇らしげに見せてくれた。ここでは軽快な若いテーブルワインからジビエに合いそうな重厚なタイプまで、わずか4人のスタッフで生産している。先ほどの昼食で出された赤はここの製品だった。ここで作られるワインは有名なポートワインメーカーにも卸されている。

チャーミングなペドロさん。「ギマロ」は「楽天」や「神の雫」でも紹介されています。

 最後に彼が大きなスポイトで樽から吸い上げたのは、白い濁り酒のような液体だった。恐る恐る口に含むと、とろけるような甘さと極わずかなガスの弾けるのを感じた。「うまいっ!」モストと呼ばれる発酵中の葡萄ジュースだった。まだ絞られて間もないワインの赤ちゃんは、スペインではポピュラーな飲み物だそうだ。
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石だらけの急峻な葡萄畑では作業はすべて人力で行われる
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by caldoverde | 2013-10-10 20:22 | 酒・ワイン | Comments(4)
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 ポルトガル北部のミーニョ地方とスペインのガリシア地方のワイナリー巡りをしませんかと友達のりり子さんからお誘いが来た。カミーニャという北部の町に住む彼女のご親戚が、ミーニョとガリシアのワインと観光のプロモートに意欲的で、ぜひ日本に紹介したいという。彼は良質のワインを生産するワイナリーを選定し、葡萄の収穫時期に合わせて日時をアレンジしてくれた。私とOvosMolesさん、そしてその話を持ちかけてくれたりり子さんの3人は、各ワインメーカーから日本の観光使節あるいは有望なインポーターとしての歓待を受けた。

 ポルトガルとスペインの国境をなすミーニョ川を隔てて向かい合うミーニョ地方とガリシア地方は、気候や文化が共通する点も多く、ワインもこの2つの地方で栽培される独特の品種の葡萄から作られている。アルバリーニョという白葡萄は、ポルトガルでは高品質のヴィーニョ・ヴェルデ(緑ワイン)の代名詞、スペインではこの品種で作られる白ワインのブランド名になっている。
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 一般的なヴィーニョ・ヴェルデはアルコール度数10度前後の軽めの若いワインだが、アルバリーニョ種から作られるヴィーニョ・ヴェルデは13度と普通のワインに近い度数となる。トロピカルフルーツ、柑橘系、ナッツ系などの複雑な香りと味わいを持ち、まろやかな酸味の豊潤なワインとなる。
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テラス・ガウダ社のアルバリーニョワインときのこの缶詰

 初日に訪れたワイナリーは、スペインのミーニョ川河口に近いオ・ロサル村にあるテラス・ガウダ(Terras Gauda)。近代的な設備を持つ工場では、アルバリーニョを中心に、他の品種とも組み合わせた白ワインを数種類作っており、その優等生的な味と品質は国内外から高い信頼と評価を得ている。ワイナリーや工場は1年中見学を受け付けている。
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若く美しい女性が工場を案内します

 ワイナリー見学の後、ガリシア州の最南西端ア・グアルダのサンタ・テグラ山を訪れた。ここには円環状に石を積み上げた住居跡が密集する「カストロ」(ケルト人の集落)がある。山の斜面にはたくさんの石の輪がびっしりへばりつき、まるで海底の巨大な珊瑚礁が陸に現れうごめいているように見える。
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りり子さんはここで何かに憑りつかれた

 この日の夕食は、ポルトガルの松坂牛ことミランダ牛のステーキ。50cmもありそうな細長い皿に乗ってやって来た肉は、その大きさと厚みで私たちを圧倒したが、そのうまさは、淑やかな農耕民族のやまとなでしこを瞬く間に肉食系女子に変貌させてしまった。
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by caldoverde | 2013-10-07 21:06 | 酒・ワイン | Comments(3)

ワイン市@闘牛場

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 新酒の季節である。全国のワイナリーがリスボンのカンポ・ピケーノ闘牛場に集合し、選りすぐりのワインをテイスティングさせてくれるワイン市が11月の初めに開催された。赤レンガのアラビア風の闘牛場は、グラスを片手にどのワインを試飲しようかと右往左往する左党たちで賑わった。入場は無料で、試飲する人はプラスチックなら1ユーロ、ガラスは3ユーロのグラスを購入する。ワインだけでなく、チーズやハム・ソーセージ、お菓子、ジャムなど様々な地場産品も出品しているので、飲めない人も結構楽しめる。
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 私はたまたま財布が空っぽで、最後の1ユーロ硬貨でプラスチックのグラスを買った。試飲にはプラコップと決まっているではないか。きりっと冷やしたロゼはそのままでもいけるが、赤はやはりつまみがければなどとチーズをつまんだりしながら歩いていると、一緒に来た日本人たちが、あるワイナリーの宣伝マンに捕まっている。滑らかな口上で、ワインのテイスティングの仕方を教授している。

 彼はリスボンの農業試験場で教鞭をとる醸造技師でもあり、私のプラスチックのグラスを見て、即座にこれはダメだと却下し、ガラスのグラスを私に貸し与え、赤ワインを注いだ。まず、鼻をワイングラスに全部突っ込むようにして香りを嗅ぐように言われた。いきなりグラスの足を持ってグルグル回すのはツーリスト(通リスト/痛リスト?)だそうな。
 あら不思議、私の持っていたプラコップに鼻を入れて嗅いでもあまり香りを感じないのに、口のすぼんだガラスのグラスに注いだワインは同じものとは思えないほどよく香る。あの形には理由があると漠然と知っていたが、実際にこんなに違うとは、ここで初めて実感した。
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先生の推すメーカーとは違いますが、SEXYという銘柄のワイン。赤、白、ロゼ、スプマンテあり。

 この先生が最初に味見させたのは、アレンテージョ地方の赤ワイン。香りが華やかでフルーティ、味は軽やかな酸味のある、飲みやすいワインだ。次にドウロ地方の赤ワイン。アレンテージョワインほど強くはないが、落ち着いた香り。口に含むとじんわりと渋みが広がり、果実味とは全く違う、土や革を連想させる、タンニンの強い辛口のワインである。これが暑い地方(アレンテージョ)と寒い地方(ドウロ)のワインの違いだそうだ。前者は軽い食事または食事なしでも飲めるが、後者は食事と一対をなす。近年はポルトガルでも世界的にも飲みやすいアレンテージョタイプが好まれているが、本当のワインの醍醐味を味わうならば、ドウロワインであると先生は言いたげだった。
 食事なしでワインそのものを楽しむタイプも紹介してくれた。ドイツワインと同じリースリングのダン地方の白ワインは、日本人が昔から馴染んできた甘口ワインと同じ系統で、デザートワインにぴったり。後でお金をおろして買いに来るからと、1本予約した。

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 会場の中央にはエッグタルトとチョコレートのコップ入り甘口ワインというとんでもない組み合わせを販売するキオスクがあり、エッグタルトにかぶりついてはチョコのコップからリキュールのように甘い液体をすする男女が周りを取り囲んでいた。
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可愛い木綿の帽子を被ったジャム、白いどんぶりに入ったマルメラーダ、ハーブ入り塩の花

 イベリコ豚の生ハム、可愛いビンに入った手作りのジャム、珍しい伝統菓子、お洒落な装丁の料理本、ミニチュアサイズのオリーブオイルなど、ワインの他にも食指の動くものでいっぱいだ。もし財布に100ユーロ入っていたら、ほとんど使ってしまっていたところだ。幸い(?)所持金がゼロに近かったので、散財せずに済んだ。それでもリースリングワインの取り置きを頼んでいたので、7ユーロのワインを買うために20ユーロATMから引き出したが、あの先生は他のお客さんに講義中で忙しそうだったので、邪魔しては悪いと思い、買わずに闘牛場を後にした。コイン一つでポルトガル中のワインを堪能した秋の一日だった。
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大理石模様のチーズはなんとチョコレートをミックスしたもの
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by caldoverde | 2012-11-05 10:07 | 酒・ワイン | Comments(6)
 ポルトガルのどぶろくモランゲイロの店「ゼー・ドス・コルノス」は元は炭屋だった。メニューを見ると肉や魚の炭焼きが主力らしい。ポルトガル料理はあまり手を加えずに塩を振って焼くだけのものが一番美味かったりする。元炭屋の焼肉や焼き魚がハズレな訳がない。日をおいて昼食時に一人で乗り込んだ。
 狭い店は既に満員で外に5人連れが待っている。しかし私はうまく滑り込むことができた。6人がけのテーブルの、男に囲まれた真ん中に相席である。どのテーブルにも赤い液体の入ったラベルのない瓶がおいてある。
 おじさんが具のたっぷり入ったスープを運ぶのを見て、同じものを注文した。「石のスープ」から肉類を除いたようなリッチなスープだ。
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具は二種類のキャベツ、豆、ニンジン、ジャガイモ、米の形のパスタなど

 向かいの男性は手で骨付肉を頬張っている。私も同じものを頼んだ。「ボン?(おいしいですか?)」と聞いたら「いや、ムイトボン(超美味い)」という返事。やってきたのは長さが30cmもあろうかと思われる肋骨の上に山盛りのフライドポテト。骨と骨の間にナイフを入れて切り離し、トウモロコシを食べるように両手で骨を持ち、肉を歯でこそげ取る。焦げた部分が香ばしい。ちょうど良い塩加減だ。自家製ピリピリソースをつけるとまた食欲が刺激されイチゴワインが甘く感じる。
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もう古いiPhone3GSで撮った写真。結構美味そうに撮れます。

 隣の男性はこれまた旨そうな砂肝の煮込みを食べている。煮汁のしみたご飯を横目で見るとまた口の中に涎が。
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オレンジ色のビンがピリピリソース。唐辛子、ニンニク、レモンまでは材料を特定できた

 ネクタイを締めた会社員、現場で働く職人、学生風の若者、薬局の店員か美容師らしき女性、銀髪を綺麗にセットした老婦人など色んな人々がイチゴワインを傍らにお喋りに花を咲かせ、山盛りの肉やフライドポテトに舌鼓を打ち、おじさんと兄さんがコマネズミの様にテーブルを回り、厨房に注文を伝える怒号が飛び交う。頭に被り物をつけた青いワンピース型エプロンのおばさんシェフは厨房と炭火のグリルを行ったり来たり。
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 熱気と喧噪に満ちた下町食堂は、過去へのサウダーデばかりでない、ぎゅうぎゅう絞られる庶民の怒りを内包した炭火の如きパワーを感じた。
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by caldoverde | 2012-10-06 05:12 | 酒・ワイン | Comments(10)
 アソーレスの地酒にヴィーニョ・デ・シェイロというものがあると地元の人や友達から聞いていたが、島ではお目にかかることはなかった。それどころか販売が禁止されているらしい。観光局のパンフレットに名産品として堂々と書いてあるのにだ。

 数少ない日本語のアソーレス諸島の紀行文の中に、リスボンにそのヴィーニョ・デ・シェイロと同じものを飲ませてくれる酒場があるという記述をおぼろげに記憶していた。確かモラリア地区にあるその酒場の事はどこか秘密めかして書かれていた。著者は誰にも教えたくなかったのだろう。

 知人にその秘密の酒を飲ませる秘密の酒場に案内されたら、在住の日本人がよく納豆や大根を買いに行く中華食材店のすぐ隣だった。常連には「ゼー・ドス・コルノス(牛の角のゼー)」と呼ばれている。店の奥の壁に牛の角が飾られている。昔は炭を売る店だったそうだ。
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つまみは豚耳と小鰺の唐揚げ。他に豚足や赤いピメントの粉をまぶしたチーズ、アソーレスのチーズなどがある

 ヴィーニョ・デ・シェイロは別名モランゲイロと呼ばれる。モランゴとはイチゴで、イチゴのような香りのワインという意味だ。店の人によるとミーニョ地方のヴィーニョ・ヴェルデの赤と同じものだそうだ。
 いかにもブドウの皮ごと絞りましたと言わんばかりの濃い赤紫色の液体がコップになみなみ注がれると、表面を発酵時に生じるガスの泡が薄く覆う。モランゲイロはアルコール度数が低くすぐに酢になってしまうので、作ったその年の内に飲み切る酒だ。軽く冷やして飲むと美味い。サングリアにしても良い。イチゴを思わせるフルーティーな香りと酸味、軽い口当たり、低めのアルコール、そして1杯1ユーロという値段がついつい杯を重ねさせるが、要注意!

 モランゲイロはメチルアルコールを生成しやすい性質を有している。メチルアルコールは失明を引き起こし量によっては死んでしまう程の猛毒だ。日本で戦後、酒税のかからないメチルアルコールを使った酒を飲んで失明した人がいた、という話を聞いた事がある。だからモランゲイロはEUでは流通してはいけないことになっている。

 では、ポルトガルでワインを飲んで失明したという話は…あまり聞かない。アル中はいっぱいいるけど。西洋人は日本人よりずっとアルコールに強い体質だ。勤め人でも昼食にワインやビールを飲む人が多い。飲みやすいからといって日本人がモランゲイロをガバガバ飲んだら失明する可能性があるかも。

 私は酒に弱くはないが、モランゲイロの有毒性を聞いてこの日はコップ4杯にとどめた。一応まだ目は見えている。
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by caldoverde | 2012-09-29 05:45 | 酒・ワイン | Comments(7)
 小さな子供連れでポルトガル旅行を敢行した友人夫婦がいた。急激な環境の変化で、子供の具合が悪くなるというトラブルもあったが、彼らはおおむねポルトガルは良い所で、ポルトガル人は親切だという好印象を持った。日本人の赤ん坊が可愛い可愛いとどこでも大人気だったそうな。一度でも容貌を褒められてみたいと思う方は、赤ん坊にかえってポルトガルに来てみると良い。それが無理なら、女性はそのままで(二重まぶた手術、白塗り化粧、茶髪やパーマは不要)2週間ほどポルトガル旅行を楽しむと良い。旅の途中でピロポ(よっかわいこちゃん、といったナンパの常套句)の一つも聞くことが出来ると思う。ただし、とんでもない変なおっさんから声をかけられることもあるので、くれぐれもご注意を。

 しかし残念なことに、たったひとつ、友人と私のネガティヴな意見が一致した点がある。
「ポルトガルに美男子は全然いない」
 しかし今は、私はこの意見に対し修整を加える必要がある。
「ポルトガルに美男子はたくさんいない」
 美人は三日で飽きるがブスは三日で慣れるというあの有名な至言にも似ている。
 それどころか、ポルトガルってイケメン多くない?C・ロナウドとかモウリーニョ監督とか。最近街のあちこちで見かけるこの人とか。
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一つの政府=19+1 19人のお友達に加えて仕事するもう1人を!
19人って閣僚かな

 誰このおじさん?コメディアン?
 私はグーグルで検索した。パウロ・フットレ45歳。往年のサッカーの花形選手で、「欧州のマラドーナ」と称される。1998年横浜フリューゲルスで選手としてのキャリアを閉じた。現在はアトレティコ・マドリードでスポーツディレクターとして後進の指導に当たっている。最近自伝を出版した。

 このポスターは「リコール・ベイラン」というポルトガルのリキュールの宣伝だ。元々このメーカーは「リコール・デ・ポルトガル」(我こそは国民的リキュール)というキャッチフレーズを使ってきた会社で、つい最近までは出来の悪いアメリカの50年代ピンナップガールのイラスト(最悪)をイメージキャラクターにしていたのだが、突然パウロ・フットレを採用した。
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ダサい・・・

 これらの宣伝は近々行われる総選挙のポスターをイメージしてパロったものだ。
「国民全員に中華鍋を!」「あなたも僕みたいなポルシェが欲しい?」「全ての失業者にコネを!」「みんなに工学士の称号を!」などという公約(口約)を掲げて黄色いポスターを張り出している。

 外人の私には、それらの風刺全ては分らないが、「工学士の称号を」というのは、予算案が誰からも支持されず辞任し、今は総選挙までとりあえず首相をしているソクラテス氏をからかったものだと想像できる。私はソクラテスの顔は嫌いでないが、就任してすぐ公約を破り、いきなり税金を上げたのには非常に不信感を抱いた。そのうちボロボロと疑惑が浮上し、その一つが学歴詐称事件である。ソクラテス氏はあまり権威のなさそうな大学に何日か顔を出し、工学士のペーパー免状を取得したという疑惑が取沙汰されたことがある。

 現在、ポルトガルの与党、社会党を率いるのは先ほど首相辞任を表明したソクラテス氏であるが、野党の中道右派、社民党のリーダーはペドロ・パッソス・コエーリョ氏。彼もそう悪くはない。(顔が)ポルトガルの高級紙プブリコの「付録」によると、コエーリョ氏は最近若い女性を中心に支持層を伸ばしているという。若い頃の写真の眠そうな目が、目下人気絶頂の英国俳優ロバート・パティンソン(映画「トワイライト」主演)に似ているからということである。
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 私はコエーリョ(ウサギ)は好きでも嫌いでもない。あっさりして個性的な匂いやクセがないぶん、あまり印象に残らない。このようなインパクトのある形でない限り。
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 一つ彼に提案しよう。選挙運動でかぼちゃのマスクかなんかをかぶったら、絶対当選すると。私は選挙権ないけど。
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by caldoverde | 2011-05-16 05:41 | 酒・ワイン | Comments(8)

どぶろくレストラン

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 友達からアグア・ペを出すところがあるので食べにいかないかとのお誘いを受けた。アグア・ペとは出来たての弱いワインで、秋から初冬にかけての期間限定品だ。11月11日の聖マルティンの日は栗を食べアグア・ペを飲むのがポルトガルの慣わしである。「アグア」は水で「ぺ」は足。なぜこんな名前なのか、昔はブドウを足で踏んでワインを造っていたので、足から出る水=アグア・ペなのだろうか、毛むくじゃらのおっさんの足が踏んで作ったのだろうかなど疑問を持たずに飲めば、瑞々しい乙女のようにピンクの甘く爽やかなワインである。友達によるとアグア・ペは店で売ってはいけない酒だそうだ。個人が自分の楽しみに作って、家族や知り合いの間だけで飲まれる密造酒らしい。しかし小さな食料品店などでは季節になるとラベルのないビンやペットボトルなどにアグア・ペを詰めて売っているようだ。

 そのポルトガル版どぶろくとうまい料理を出すもぐりのレストランは、リスボン郊外のとある街の住宅地のはずれにある。もちろん看板も何もなく、敷地は鉄の塀で囲まれ外から中の様子を見ることはできない。「何時にそっちに行くから、例のものを用意してくれ」などと他人に判らない符牒で連絡を取り合い、門のインターフォンで「山」「川」などと合言葉を使い、警察や税務署や保健所の人間が電柱の陰で見張っていないかをよく確認してから、人に見られないようにささっと入る必要は特にないようだが、紹介してくれた友達からは、絶対他の人を連れて来ないでくれと釘を刺された。なので残念ながらどこにあるのかは明かすことができない。近所には周知の事実なのだろうが、皆見て見ぬふりをしているのだ。
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 塀の中には突然リスボン郊外のこぎれいな住宅地から数百キロワープしたような田舎の風景が出現する。物置小屋の軒先に下がった洗濯物、雑草の生い茂る小さな畑、ごつごつした実をつけているオレンジの木、手製の鳥小屋やウサギ小屋、走り回る犬、そしてこれまた違法建築っぽい小さな家。すだれの下がった勝手口から中に入ると、営業用ガラスケースの中の美味そうな腸詰やチーズ、手製のライスプリンなどがお出迎えする。傍にはアグア・ペを入れたワイン樽が4つほど。食事をする部屋は満席時には3~40人は入れるだろうか、簡素なテーブルと椅子が並ぶ。壁や天井にはいろんな飾り物がつけられ、しっかり飲食店モードになっている。黄ばんだポスターや埃のかかった置物から、相当長いこと営業が続けられていることがうかがえる。
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 ポルトガルの北部で作られる赤い陶器のピッチャーになみなみ入ったアグア・ペは小さなガラスのコップで飲む。イチゴを思わせるフルーティな香りと酸味、軽い炭酸ガスの口当たりが心地よい。アルコール度数は8%で、ヴィーニョ・ヴェルデよりも弱い。次から次へと美味しいペティスコス(小皿料理)がやって来て、若いワインも水のようにぐいぐいとすすむ。
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 細かく波打つように削ぎ切った生ハムとベイラ地方のチーズ。
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 牛もつと白豆を柔らかく煮込んだドブラーダは、まろやかでやさしい味。
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 何で調味したのか濃厚な味の砂肝。これがあればお酒は何杯でもいけそう。
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 たっぷりのオリーブオイルとニンニクをかけた干し鱈の炭火焼は皮も香ばしい。
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 豚のリブの炭火焼。骨までしゃぶれる美味しさ。
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 懐かしのおふくろのチャーハンといった趣の砂肝のピラフ。
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 デザートは庭のオレンジ。見た目は悪いが甘い!

 食事の最後は自家製のアグアルデンテ(焼酎)で締めくくり。
口に含むと焼けるような刺激の中にブドウの甘みがじんわりと広がる。

 食事が済んで外に出ると、車がやって来て60代と思しき3人の男性が降り、塀の中に入っていった。昔からのなじみの客か、それとも役所の幹部が一般人のふりをして査察に来たのか。前者なら良いのだが、と祈らずにはいられない、秘密のレストランであった。
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by caldoverde | 2010-12-13 21:37 | 酒・ワイン | Comments(4)

燃える水

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 ポルトガルの焼酎といえば、バガッソまたはアグアルデンテという酒がある。バガッソは搾りかすの意味、つまりかすとり焼酎。アグアルデンテはアグア(水)とアルデンテ(燃える)の合成語であるから、アルコール度数の高い蒸留酒ということになる。どちらも原材料はブドウだが、アグアルデンテは搾りかすではなくワインから作る。日本の焼酎は色んな原料があってそれぞれの味が楽しめるが、ポルトガルはローマ時代の昔からワインを造っていたので、酒も酢も焼酎もブドウから作るものが圧倒的に多い。

 どちらも安物は無色透明でかなりくせがあり、いかにも場末のバールで赤ら顔のオヤジが立ち飲みしているものといったイメージがある。ところがアグアルデンテをオークの樽で寝かせて熟成したアグアルデンテ・ヴェーリャはポルトガルのブランデーと呼ばれるくらい薫り高い。値段も高い。500mlの瓶で安くても10ユーロ以上、いいものは数十ユーロ、もちろん高ければ高いほど美味しい。ホテルのバーなどでグラスを頼めば、1杯8ユーロ位するだろう。昔リスボンの空港でお土産に「アデガ・ヴェーリャ」という銘柄のアグアルデンテを買った。当時5000円くらいだった。グルメの友達に飲ませると大いに気に入った。私ももちろん気に入った。初めて買ったものがかなり良いものだったので、以後はそれより安いものを買うとどうも美味しくない。しかしおいそれと買える値段ではないので、何とか安くて味のいいものを探し続けている。

 先日久しぶりにオビドスに行った。お土産はオビドスの名物チョコレートと心には決めていたけれども、チョコレートとともに飲む何かが欲しくなった。でも同じくオビドス名物のジンジャ(サクランボのリキュール)では甘すぎる。怪しいポルトガル語を話すイギリス人夫婦の経営する地場産品の店に入ると、奥にはこの辺で作られているワインが棚に並び、テーブルの上にはうまそうなアグアルデンテが2本、試飲用に出ているではないか。チョコレートにピッタリに違いない。1本はポルトガルで唯一、コニャックと銘打つことが認められたアグアルデンテだそうで、蝋のシールが貼られ、なんだか偉そうな様子をしている。もう一本はそれよりもっと安い、とは言っても21ユーロの細長い瓶に入ったアグアルデンテであった。心はもう安い方に買うことに傾いていたが、一応比較検討したうえで選ぶ、というフリをして両方飲んでみた。奥さんは安い方が柔らかくて好きだと言っていた。私もあまり樽臭の強くない安い方が気に入ったので買うことにした。
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芋虫ではありません。オビドスで買ったオレンジピールのチョコレート。
 アグアルデンテ・ヴェーリャはきれいな琥珀色で、ふんわりと柔らかな香りが立つ。舌にのせるとまろやかな甘味さえ感じる。しかし、喉を通るときピリピリと焼け付くような刺激が電流のように走り、飲み下すとめまいがするような芳醇な薫りが鼻から抜けていく。これにオレンジピールのチョコレートなどつまみに添えると、まさに至福のひと時である。革のソファに体を深く沈め、窓から夜景を眺めながら、けだるいジャズに耳を傾け、という環境なら尚可、である。実際はアパートの備品の凹んだソファで、窓からは向かいのアパートの窓と洗濯物しか見えないのでカーテンは閉め、TVから見ているわけでもない馬鹿みたいに簡単なクイズ番組を垂れ流しにしながらパジャマ姿で晩酌、といったところ。酔って眠くなったらそのままソファに寝るか、またはベッドによろよろと倒れこめるように準備を整えて。
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by caldoverde | 2008-04-05 03:04 | 酒・ワイン | Comments(3)