ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:ポルトガルの旅( 76 )

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ファイアル島から見たピコ島の勇姿

遂にこの秋日本とポルトガルを結ぶチャーター機が飛ぶことになった。今まで何万人の日本人がポルトガルは遠いと嘆いていたことだろう。東京からリスボンに昼過ぎに到着、しかもアソーレス諸島も訪れるツアーができるとは‼︎ 

リスボンに2泊、アソーレスのファイアル島2泊、サンミゲル島2泊、ポルト2泊という、珍しい行程で、更にピコ島の日帰り観光も入るという、アソーレス大好き人間の私にとっては夢のような旅だ。今回はツアーガイドとして行くので責任重大である。


飛行機からファイアル島に近づくと、どうしても隣のピコ島に眼が釘付けになる。ポルトガルの最高峰でもあるピコ島は、雲海の中に尖った山頂を見せて旅人を歓迎する。特に日本人にとっては感動的な光景だ。ファイアル島のオルタ空港では若いベルギー人のガイドのマリーさんがお迎えに来ていた。彼女は半年祖国の旅行代理店のオフィスで働き、半年オルタでガイドをするという素敵な生活を送っている。オルタに住むようになってたった4年だそうだが、歴史や地理に精通しているばかりではなく、島民にもかなり顔がきくようである。私が個人でアソーレスに行くときは英語のガイドブックとタクシーの運転手を頼りにしていたが、次回からは島のガイドさんを依頼するのも視野に入れようと思う。


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世界中のヨットマンが集まるオルタ港

ファイアル島に着いたのは月曜日の午後で、定休日にもかかわらずフラメンゴ地区の植物園はほぼ地球の裏側からやって来た私たちのために開けてくれた。入ると懐かしい湿った土の匂いがする。リスボンでは嗅ぐことのない匂いだ。学芸員から聞くアソーレス諸島の固有種や人間が島に持ち込んだ植物の話は興味深く、花の沢山咲く時期にぜひまた訪れたいと思った。またここには最近発見された世界に2株しかない新種を含む素晴らしい蘭のコレクションがあり、蘭の愛好家には必見だ。

ファイアル島中央のカルデイラ(火山盆地)には固有植物80種のうち50種があり自然保護区になっている。許可を得て専門のガイド同伴でないと入れないので、機会があればぜひ行って見たい。


翌日はホエールウオッチングを兼ねたボートでピコ島に渡り、捕鯨博物館と世界遺産のワイナリーを見学というプログラムだ。船を操縦するのはファイアル島に知らない人はないという島の有名人、ノルベルト船長である。ヒッピーがそのまま年取ったような、海賊のような風貌の船長は、ファイアルを捕鯨の島からホエールウオッチングの島へと転換させた立役者だ。船長は他の船と連携しながら鯨のいる場所を探し当て、私達はマッコウクジラの潮吹きと水上に飛び出した尻尾を2回も見ることができた。マイルカやマダライルカがシンクロ水泳のように2頭一緒に海面に顔を出してはくるりと潜ったり、船と競争するかのように一緒に泳ぐのを見るのも愉快だ。


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クジラやイルカを撮るには良いカメラと腕が必要なので、停止中の船しか取れず

ポルトガルはかつてマッコウクジラを捕って鯨油や肥料を作っていた。日本の捕鯨と異なるのは食用目的でない事と、手漕ぎのボートから手で投げる槍で仕留めるという伝統的な手法で行われた事だ。今は捕鯨博物館となった鯨加工場の前に立つ鯨捕りの彫像には、地球上最大の動物に原始的な道具で立ち向かっていたアソーレスの男たちの勇気がしのばれる。


世界遺産になっているピコ島のワイナリーでは、数世紀に渡り火山岩を積み上げて作った石垣に囲まれたわずかな区画に一本一本ぶどうの木を植え、手で摘み取り運ぶという気の遠くなる作業に思いを馳せ、不毛の地と格闘してきた先人の汗と知恵が作り上げた景観に感動せずにはいられない。ピコ島醸造組合でそのエッセンスである高貴な香りのピコワインに舌鼓を打った。

機械化による効率主義や大量生産といった文脈から離れて細々と継承され、数世紀の間アソーレスの経済を支えてきたこの二つの産業は、反捕鯨の潮流やブドウの病気や自然災害などのカタストロフに打ちひしがれても再び立ち上がるアソーレス人の不屈の精神を反映している。


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アソーレスの人々がしばしば直面したカタストロフは、火山の噴火と地震である。ファイアル島のカペリーニョス火山は自然の威力をまざまざと見せつける、恐ろしくも美しいモニュメントだ。火山灰に埋もれた灯台の下は、アソーレス諸島で最も人気の高いミュージアムの火山センターとなり、1957~58年の大噴火の映像記録や、火山の成り立ち、種類などを解説している。火山の噴火によって島の茶畑とオレンジ畑が全滅し、多くの人々がアメリカ大陸に移民した。当時のケネディ大統領が特別にヴィザを発給し、カナダも米国に倣ったという事だ。


3日目はファイアル島からサンミゲル島にプロペラ機で移動。小さな飛行機は座席が自由席である。空港からサンミゲル島のガイドのマヌエルさんと共に、島に2つしかない海の見えない村の一つのフルナスに向かう。ここは去年の冬に湯治にきた所である。フルナス湖のほとりは硫黄の匂いと湯気のたちこめる温泉で、そこでは地熱によって有名な鍋物のコジード・デ・フルナスが作られる。今回は時間の関係で残念ながらツアーのメニューには入っていなかったが、サンミゲル島に来たらぜひ食べてみるべき料理だ。その代わりもう一つのフルナス村の温泉地のカルデイラス(お釜)で、名物のボーロ・レヴェドという薄甘いパンをお土産に買った。温泉で茹でたトウモロコシも有名だ。あちこちから湧き出る鉱泉水はそれぞれ微妙に味が違い、村人はペットボトルに好みの水を詰めて持ち帰る。


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茶摘みは機械で行うので茶畑は平ら

フルナス村では世界の名庭ベスト100にも選ばれたテーラ・ノストラ・ガーデンを散策し、その後にゴレアナ茶園の茶畑と製茶工場を見学した。紅茶とともに緑茶も生産しているが、よりシンプルな中国伝来の製法で作っており、日本茶と一味違う素朴な味わい。農薬は使用せず、除草係はヤギという、自然農法で栽培されている。


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奥が青湖、手前が緑湖

最後の日は、サンミゲル島の湖を巡る旅。神秘的な青と緑の湖のあるセッテ・シダーデス村、小高いすりばち状の噴火口にできたサンチャゴ湖、島で最も自然の姿を残すフォーゴ湖と、それぞれ異なる特徴を持つカルデラ湖をとても良いコンディションで見ることができた。


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島で最も澄んだ湖水のフォーゴ湖

この後一行はサンミゲル島からポルトに飛んで、ポルトからANAのチャーター機で日本に帰るのだが、10月にしては好天に恵まれ、アソーレスで雨具を使わずに済んだのはほとんど奇跡と言って良いと思う。ところが翌週はなんとアソーレスに台風がやって来てピコ島を荒らして行った。島への旅は、主催者も参加者もある程度気候条件による旅程の変更も念頭に入れておくべきだ。飛行機や船が欠航になるのはどの季節でも十分にあり得るのだから。










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by caldoverde | 2017-10-21 18:54 | ポルトガルの旅 | Comments(2)
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まだ6月だというのに、リスボンで40度を超えた。あまり暑がりではない私が暑いと感じるのは、だいたい35度以上の時だが、今日は乾燥したリスボンでさえ日本の真夏のような不快感を感じた。このような時期にはポルトガルではしばしば山林火災が発生するのだが、土曜日に起こり、60人以上もの犠牲者を出したペドロガン・グランデの火事は歴史上稀に見る大惨事だった。数日前ロンドンで起こった高層アパートの大火災の記憶も生々しい中、度重なる悲劇に、人々は大きなショックを受けた。

ポルトガルの夏は高温で乾燥するので、山火事がしばしば起こる。原因は気象条件に由来する天災の要素も放火や失火などの人災の要素もある。今回のペドロガン・グランデの火災は40度を超えるような気温の中、雨を伴わない落雷があり、それが発端となって山火事が起こり、強風で火が瞬く間に広がった。国道を走って逃げようとした車は煙で方向を失い、互いにぶつかったり、立木に衝突したりする間に煙に巻かれ、あるいは猛火に襲われて車の中で亡くなった犠牲者が多いということだ。逃げるための道具であった車が逃げ場を塞ぐ罠になってしまった。灰に近い状態にまで焼けた車は、いかに火の勢いが烈しかったかを物語る。

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1988年にシアード地区が大火災にあったリスボン

基本的には台風、地震、噴火などの自然災害が少ないポルトガルであるが、毎年大規模な山火事が発生している。喉元過ぎれば熱さを忘れるごとく、効果的な山火事対策は遅れており、このように人命を巻き込んだ山火事は、ますます暑くなる今後も起こる可能性は充分にある。人々の防災意識も希薄で、タバコの吸殻を平気でポイ捨てする輩も多い。どこか安全は消防署や警察任せという風潮を感じる。

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老朽化した建物も多いポルト

リスボンやポルトは今や世界で最も人気のある観光地で、歩道や古い建物の改装が進んでいる。しかし街は建物が密集し、道は狭く、路上駐車の車や、道路に張り出したテラス席などの障害物が多い。地震だって100%ないとは言えない(というか、必ず起こるぞと言う人もいる)。ポルトガルに限らず、旅行に来たら、避難場所や避難経路を確認しよう。パニックに陥らず、安全に逃げられるように。また怪我、病気、盗難に遭う方が増えている。お守りとして旅行保険は必ず加入して下さい。お願いです。



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by caldoverde | 2017-06-18 21:04 | ポルトガルの旅 | Comments(4)

黄金海岸のバカンス 3

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ゴールデンウィークの後、再びアルモグラーヴェ海岸に出かけた。去年の8月に初めて訪れ、荒々しくも美しい海岸線と砂丘に生きる不思議な植物に魅せられて以来、春から初夏の花の咲く時期にまた来たいと思っていた。

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特に見たかったのはハマカンザシの群生で、仕事でよく行くロカ岬のは白い花ばかりだが、アルモグラーヴェのはピンクで、とても可愛らしい。ちょうど咲き始めて間もない時期だったようで、まだ蕾の株も多く見られた。

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ナデシコに似た花や、アザミの仲間、ノギクの類いなど、名前の知らない花々。潮風に耐えながら冬をしのぎ、太陽が砂を焼く夏が来る前の、束の間の暖かさと雨露に力を得た小さな命が一斉に目覚め、砂丘は華やかに彩られる。

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わずかなスペースに数種類の植物が寄植えのように固まって生え、その小さな庭は海岸沿いに延々と続いて緑のベルトをなす。サラサラのベージュの砂浜が途絶えると、今度は褶曲した黒い岩に波が砕ける磯が現れる。

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この日は晴天で、水平線に徐々に隠れて行く夕日もバッチリ見えた。

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翌日は海ではなく村と農地の境界辺りを散歩した。この辺は意外と水が多く、せせらぎや鳥の声に耳を澄ませながら、砂丘とは違う草花や、牧場の豚や牛、可愛い民家の庭先を見ながら歩くのも結構楽しい。

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アルモグラーヴェ村で食べたのは、結局去年と同じクロダイ。新鮮で美味しいが、これしかない印象も。別のカフェでは、ランチとディナーの間の軽食にウツボのフライを出す。カリカリに揚げたウツボは脂が強いが、ビールのお供にちょうど良い。

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去年泊まったホテルは満室だったので、Airbnb(民泊紹介サイト)で見つけた家に泊まった。3室あったが、私が滞在中は他には宿泊客がおらず、静かに過ごせた。隣の棟にはオーナーの家族がいて、可愛いおばあちゃんが何かと気にかけてくれた。

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ポルトガル西南に位置するコスタ・ヴィセンティーナ(聖ヴィセンテ海岸)もじわじわ観光化の波が押し寄せ、ポルト・コヴォやヴィラ・ノヴァ・デ・ミルフォンテスなどはすっかりリゾート地になってしまった。今のところアルモグラーヴェ海岸は村の周辺が農地なのと、海と集落が自然保護区の砂丘で隔てられているせいか、他のビーチのように新築の別荘ラッシュは見られないが、休耕地が不動産屋に売られたら、あっという間に小洒落た外人向けの住宅で一杯になってしまうんだろうなと想像する。どうかこのまま素朴な農村の姿を残して欲しいと心から願っている。

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by caldoverde | 2017-05-10 22:26 | ポルトガルの旅 | Comments(2)

2度目のマデイラ その3

マデイラ3日目は、ホテルの近くの旅行社の主催する島の北部を巡るツアーに参加した。町のあちこちに様々なエクスカーションを提供する旅行社があるが、この会社は土日も営業しており、しかもすごく安い。9人乗りのバンであちこちの名所を周る1日観光で、驚きの22.40€だった。車もドライバー兼ガイドも古い、もといベテランで、マデイラ訛りのポルトガル語はいまいちよく分からなかったが、一人ではとても行けないような場所に連れて行ってくれるので、この値段は大変ありがたい。私の乗った車はポルトガル人カップル2組とフランス人女性1人、もう1台の車は英語とドイツ語のスピーカーの客だろう。

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バナナの花と果実

豪奢なホテルの建ち並ぶフンシャル西部は、かつてはバナナ畑だった。今は家庭菜園の規模の畑しか残っていない。私は普段マデイラバナナを愛食しているが、中南米のインポートものの2倍の値段なのが難点だ。しかし急斜面に石垣を作ってわずかな土地に植え、収穫し、運搬する労力を考えれば、高いものではない。リスボンではキロ2€以上だが島では1€くらいだった。

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カラフルな漁船の浮かぶ小さな港は、カマラ・ドス・ロボス(狼の部屋)。狼とは海の狼(アザラシ、トド)のことで、元々はトドの寝床という呼び名をもうちょっと典雅?にしたものだそうだ。以前マデイラに遊びに来た時は、この港が路線バスを使って自力で来れた最西端だったと思う。夜に着いたので、暗く寂しい印象だったが、今では観光客向けのバーでひしめき合っている。

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ひゃー
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カーボ・ジラゥンという高台には、世界で2番目に高いガラスの床の展望台がある。足元から500m下の海岸が見える高所恐怖症の人は近づけない観光名所で、10年前になかったものだ。すぐそばにはイギリスのデベロッパーによる真新しいバカンス用のコンドミニアムがある。泊まるのはもちろんイギリス人だ。長年君臨したジャルディン知事がマデイラの経済発展に大いに寄与したのは誰もが認めることだが、不動産屋や建築業との間に何もなかった訳はあるまい。観光客から集めたお金をもっと島民や自然保護に還元してもいいのではないかと思うが…

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いつか建物の上に岩が落ちる
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ポルト・モニスの海浜プール

マデイラは、海から屹立した崖に囲まれた、ほとんど平らな土地がない島だ。季節によっては強風が吹く。フンシャル以外には大きな船が停泊できるような港はない。小さな湾に造られた漁港は、今や漁業よりもその景観や天然プールを呼び物にしている。昼食をとったポルト・モニスは、荒磯と人工的なプールの対比が素晴らしく、レストランや水族館や科学館などの施設もそこそこあって、北部の最大の観光地になっている。一応ガイドブックで紹介されているレストランを覗いたが、あまりピンとくるものがなかったので、観光案内所で住民の食べる店はどこかと聞いたら、直ぐに教えてくれた。職員もそこで食べるのだろう。マデイラの郷土料理である一口大に切った牛肉の煮込み(ピカード)を頼んだ。ソースに浸ったフライドポテトが美味い。

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つつくように食べるのでピカード(刺された)なんでしょうか

マデイラのピークは1860mに達し、島のてっぺんは霧に覆われ、南海岸の暖かさとは対照的だ。日照の良い島の南斜面はほとんどが人の手の加えられた段々畑になっているが、島の北側はまだ天然の森が残っている。特に月桂樹林は氷河期を生き延びた貴重なもので、ユネスコ世界遺産になっている。良く考えると花や果物がいっぱいというマデイラのイメージは、市場や植物園によるものが大きい。島の本来の自然はアクセスの悪い北側に行かないと見られない。

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岩にぺったり張り付いたバラのようなサボテンの仲間
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花嫁のベールという名前の滝
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世界遺産になっている月桂樹林

アソーレス諸島とマデイラ島どちらが好きかと言われたら、迷いなくアソーレスと答えるが、マデイラ島の北東やポルト・サント島、デゼールタ島などの付近の小さな島も見たいので、また安い切符が手に入れば再訪したい。しかし島への旅行は天気に左右されやすい。私がリスボンに帰った翌日、マデイラ空港が強風のために何便かキャンセルになったというニュースを聞いた。今年は運が良いらしい。


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by caldoverde | 2017-04-10 18:56 | ポルトガルの旅 | Comments(5)

2度目のマデイラ その2

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ピカピカ光る太刀魚

マデイラの代表的な料理と言えば、魚は太刀魚と鮪、肉は月桂樹の串に刺して焼いたバーベキューであろう。市場には黒と銀の太刀魚がたくさん並べられていて壮観だ。1日目の夜はホテルの隣にあるレストランで太刀魚のフライを食べた。入り口に某国ガイドブック推奨のシールがベタベタ貼ってあり、それを参考に来たと思われる外国人客ばかりだったが、意外に味は悪くは無く、バックパッカー向けのガイドブックが推薦するだけあって値段もそれほど高くなかった。骨を取ったくせのない太刀魚のフライに焼いたバナナを添えクリーミーなホワイトソースをかけた料理は、子供にも、(私のように)歯の抜けた人にもお勧めの優しい味だ。

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とろけるような味わい

海岸通りのロープウェイ乗り場の向かいに、マデイラ・ヒストリー・センターという土産店とレストランとミュージアムが一緒になった施設がある。5€の入場料は上のレストランの10%割引券となる。展示物はパネルや映像が中心で貴重なものはないが、昨日観た映画の基礎知識によって興味深く見ることができた。
階上のレストランはオープンテラスで海や山の絶景が眺められ、料理に所場代が加算されても納得できる。その分割引券を使うのだ。定番メニューの他に、ガラスケースに入った魚を選んで調理してもらう事もできる。その日はカサゴに似たカルネイロという赤い魚があったので、グリルにしてもらった。一人で食べるには大き過ぎる(500g)かと思ったが、内臓を取って焼くとちょうど良い量だった。

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脂がのって美味しい

フンシャルの博物館は日曜日閉館の所が多く、CR7ミュージアム(クリロナ記念館)も、フランドルの宗教画が展示されている宗教美術館も、マデイラの重要産業だった砂糖の博物館も閉まっている。そんな訳で日曜日のマデイラは乗り物に乗って景色を楽しむのが良い。まずロープウェイ。以前来た時も乗ったが、あの時の恐怖が蘇った。眼下は赤い屋根の密集する斜面。よくこんな土地に建てるものだと感心するような切り立った崖っぷちに造られた家。ベランダにビーチチェアーが並ぶデラックスな家もあれば、屋根が落ちて廃墟になった家もある。小さなバナナ畑もあれば、数年前の土砂崩れや山火事の跡と思しき所もある。犬や鳥の鳴き声が聞こえるほどロープウェイの中は静かだ。それだけにロープを支える柱を通過する時に生じる音と振動が一層怖い。怖いけど眺めは最高だ。

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ロープが外れませんように…

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宣伝用の写真撮影中のトボガンの運転手(モデル?)

ロープウェイの上の乗り場の先には植物園とトボガン(かごぞり)乗り場がある。10年前はロープウェイで植物園に行き、帰りはトボガンで降りるというマデイラ観光の王道を体験したが、今回は植物園は広すぎて見学に時間がかかるのと、トボガンがまだ運行していなかったので、直ぐにロープウェイで下に降り、今度は路線バスに乗ってクラル・ダス・フレイラスに向かった。10年前は、垂直にそそり立つ岩に囲まれた谷底に家がポツポツ見える落武者部落のような所だった。海賊の襲撃を避けるため修道女たちが人里離れた山の中の谷底に住んだのが始まりだそうだ。平和な生活と引き換えに、大変な苦労があったと思われる。現在は私の予測に反して民家が増え、限界集落から村の規模になっている。かつての落武者部落のような秘密めいた印象はなくなっていた。

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猫の頭のような山

クラル・ダス・フレイタスの名産品は、栗。バス停側の屋台では栗のケーキやクッキー、干し栗を売っている。冬は栗のスープが登場する。売り子のおばさんが作ったと思われる素朴な栗ケーキを頬張り、やはり手製の栗のリキュールを飲んだ。警察が禁止しているのでおおっぴらに売れないんだと言いながら、小さなジュースの瓶に詰めたリキュールをこそっと小さなコップに注いでくれた。本当は一瓶買えば良かったのだが、甘い酒は頭が痛くなるのでね…ごめん。

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栗のブロア(どっしりしたパン)

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by caldoverde | 2017-04-06 09:09 | ポルトガルの旅 | Comments(0)

2度目のマデイラ

昨年の春足首を骨折し、予定していたマデイラ旅行は取りやめた。そのリベンジを果たすべく、4月初めに10年ぶりのマデイラ島訪問を決行した。

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飛行機はローコストキャリアのイージージェット、ホテルは2泊で30€という激安の旅。とにかく無事に飛んでくれれば良いし、眺めはどうでも寝る場所があれば良いのだが、ぎっしり乗客の詰まった小さな飛行機が飛び立つと、突然、マデイラの空港は滑走路が急な崖に並行して設けられた着陸の難しい造りで、ポルトガル航空TAPのパイロットが一番うまく着陸できる技術があると、昔聞いたことを思い出して不安になった。島に近づくと、たくさんの柱が支える高速道路の一部のようなものが見えてきた。飛行機は大きく旋回し、飛んできた方向と反対側から滑走路に入り無事着陸した。客席から拍手が起こった。ポルトガル人(田舎の人)が多い飛行機では、よく着陸時に拍手が起こる。故郷に帰れた嬉しさもあるのだろう。

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数日前にフンシャル空港が「クリスチアーノ・ロナウド空港」に改名され、本人、大統領、首相がセレモニーに出席し、銅像の除幕式が行われた。世界中に衝撃と失笑が巻き起こった。空港の正面玄関に置かれた、似ても似つかぬロナウドの首と記念写真を撮る観光客が後を絶たない。新たな観光名所が生まれた。

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空港とフンシャルの町を結ぶ高速道路はよく整備され、快適だ。10年前はまだ建設中の道路があって、島の移動はくねくねした山道をけっこう時間をかけて走っていた記憶があるが、かなりインフラが整備されている。山の斜面に引っかかるように建っているたくさんの白い家がマデイラの魅力的な景観を形成しているのだが、住民が街道に出るのに階段を昇り降りするのは大変だろう。潜在的にロナウドのような足腰の強靭な子供がいるだろうが、外に出るのを嫌って家でゲーム三昧の子が増えてはポルトガルサッカーの将来は明るくない。

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CR7ミュージアムの前の銅像もなんだかなあ。股間を掴んで記念撮影する若い女性もいた。

ホテルは昔ながらのペンサォン(ペンション)で、設備も古くダサいが、有名なラヴラドール市場のすぐ裏で、非常に便利な場所にある。午前10時過ぎに着いたので、荷物を預けて早速市場を見に行った。この日はクルーズ船がフンシャルに寄港していたので、船客でごった返していた。売り子もポルトガル人らしからぬ積極的な営業で、果物の試食をあちこちで勧められた。変わった果物を1個づつ数種類買ったら、計20€位になった。多分観光客値段にされたのだろう。
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マデイラ刺繍の販売所とマデイラワイン工場は、閉店ギリギリに滑り込んでちょっと覗くことができた。その日は土曜日なので、多くのモニュメントや施設は午後は閉める。リスボンはエンドレス営業している所がほとんどになったが、地方はまだ昼休みや土日休みをとる所が多い。昼ご飯は地元のおっちゃんがビールを飲んでいる店で、マデイラ名物のパン、ボーロ・デ・カコに挟んだ牛肉のサンドイッチを食べた。飲み物はマデイラのビール。観光客が多い所は、高くて大した味じゃないという偏見があるので、地元民のいる店は値段も味も許容範囲の可能性が高いという自分基準で飲食店を選ぶことにしている。

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今はどこもかしこもボーロ・デ・カコバーガー

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マデイラで初めてカサガイを食べた時は、あまりのうまさに衝撃を受けた

お昼の後は、城砦の中の軍事博物館、ショッピングセンター内のマデイラの歴史を紹介する映画、カテドラル、コレジオ教会などを見た。マデイラ島が大航海時代以来、いかに軍事的商業的に重要な拠点であったか、また昔からイギリスの植民地みたいな存在だったのが判った。
今もイギリス無くしてはマデイラは成り立たない。それをまざまざ見せつけられるのは、フンシャルの西にあるホテル街(ラブホではない)で、ラグジュアリーなホテルやレストランが集中している。かなり規模の大きなホテルも多く、この地区がハイシーズンになると、一体何万人滞在するのか想像できない。一方私の借りた宿のある旧市街には、失業者やホームレスもしばしば見受けられ、世界で最も魅力的な島の影の姿が垣間見える。

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老舗のリーズパレスホテルの向こう側にも延々巨大ホテルが立ち並ぶ

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by caldoverde | 2017-04-05 00:59 | ポルトガルの旅 | Comments(2)
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フルナスの最終日。午前中はまたカルデイラスにホットスプリングズを見に行った。プチプチ細かい泡が出る小さな湯だまりもあれば、煮えたぎった熱湯が勢いよく噴き上がる泉もある。灰色の泥がボコっと膨らんでは破裂する穴もある。白い地面からほんわか湯気が立っている場所もある。見ていて飽きない。あちこちに水が出るパイプがあるので、試しに口に含むと、ペッ酸っぱい!鉄臭い!シュワっとする!こんな小さなエリアに様々な泉質と温度の水が湧くのにまた驚いた。

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コジードと共にフルナス名物の双璧をなす、ボーロ・レヴェド

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こんなに美味い袋菓子がアソーレスにあったとは…ビールクッキー


最後の日はお菓子の食べ比べになった。カルデイラスの土産物屋で買ったビールクッキーはサクサクと香ばしく今まで食べたポルトガルの袋菓子で1、2を争う美味しさ。特産の里芋のケーキは、ねっとり感と土臭さを抑えつつ甘さも控えめにして意外と上品だ。お土産にフルナス名物のボーロ・レヴェドを買うついでに、その店の「豆のケイジャーダ」と「フルナス谷のケイジャーダ」という2種類のケイジャーダ(フレッシュチーズを使ったお菓子)も試してみたら、どちらも甘さ控えめで美味しい! 乳製品の産地であるアソーレスのお菓子は程よくバターやチーズが使われていて、本国の何を原料としているのか判らないやたら甘い菓子よりも上質だ。サン・ミゲル島のヴィラ・フランカ・デ・カンポやグラシオーザ島のケイジャーダは有名だが、フルナスの小さなお菓子屋のケイジャーダもなかなかの実力。せっかく温泉やサイクリングでカロリーを消費したのに元の木阿弥になった。

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黒糖饅頭に通じる味の里芋ケーキ

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某有名観光地のケイジャーダよりも数倍美味しい

最後の夜はたっぷり厚みのあるアソーレス牛のステーキを食べたいと思い、微生物センターの男の子に聞いたところ、サン・ミゲル島で一番美味しいステーキは、リベイラ・グランデの畜産協同組合のレストランであるという。残念ながらリベイラ・グランデまで行ってステーキを食べる時間は無いので、微生物センターにチラシが置いてある関係も窺われるが、彼の推挙する村のレストランに行ってみた。フルナス湖にもこの店の名前の立札の刺さった砂山があったので、温泉コジードで有名なんだろうが、インターネットの評判はあまり芳しくない。

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やっと来たら、冷めている

店内はそこそこお客が入っており、評判ほど悪くはないのではないかと期待した。しかし注文したステーキがなかなか来ない。 やっと来たら冷めている。出来上がったのを放置していたのか焼く温度が足りなかったのか。焼き直しを頼んでしばらくして食べかけのステーキが来たが、結果は全く同じであった。それどころかフライドポテトは更に萎びていた。我慢して食べ始めたが、リスボンで食べるステーキは厚かろうが薄かろうが熱々が来るのになあと思うと、もう一度言わずにはいられなかった。素材は良いのに調理人のセンスが足りないのか、客席に持っていくタイミングが悪いのか…グラシオーザ島でステーキをミディアムで頼んだらウェルダンで焼かれたのを思い出す。それがこの店の流儀だとしたら、私はクレーマーだ。

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作り直し?のステーキも大差なし

入店から2時間後、2枚目のステーキが来た。今度のは幾分熱いので、せっかくの新しい肉を無駄にするのは申し訳なく完食した。しかしフライドポテトの方は前の皿のリサイクルらしく、更に硬く芋ケンピのようになっていた。リスボンのアソーレス料理屋のトカゲステーキ・ミゲル風はこれまで食べた最も美味いステーキだったのに、現地のステーキはなぜこんなのか理解に苦しむ。しかしポルトガル語で話しても英語で返事する給仕を見て、何となく解った。夏はイギリスやドイツの観光客が怒涛のごとく訪れ、最近はアメリカ人の観光客も増えている。彼らはゴムのような肉や芋ケンピのフライドポテトもうまいうまいと食べているに違いない。コジードは温泉が作ってくれるので、料理人の腕はあまり関係しない。そう言えば、観光案内所の隣にも関わらず、職員が紹介した何軒かのレストランの最後におまけのように付け加えたのがこの店であった。

勘定を見ると、15€だと思ったら11€しかついていない。私は15€の仔牛のビッフェ(ステーキ)を頼んだのに、店員はビトックを厨房にオーダーしたらしい。だから目玉焼きが付いて薄くて硬かったのか。それにしても1時間かかってぬるい料理が出されたのは解せない。今度来るときは、島民が口を揃えて勧めるリベイラ・グランデの畜産協同組合で最高のアソーレス牛のステーキを食べてやる。

肝心のフルナスの温泉効果であるが、4日通って足首の痛みはほとんど消えた。骨折が治った後も捻った靭帯がずっと鈍痛を持っていたのだが、2日目辺りから軽くなっているのを感じた。水着着用だからこそ混浴の可能な露天風呂で、様々な国の様々な年代の人々の色んな言葉のおしゃべりを聞くのも楽しいし、赤い小川の流れ、里芋畑に来る小鳥、浴槽の石に生える苔などを観察するのも飽きない。思いの外楽しめた湯治だった。

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by caldoverde | 2017-01-01 06:49 | ポルトガルの旅 | Comments(4)
ずっとフルナスで温泉三昧しようと思ったが、ラゴアという町に「火山の家」という施設があるのを知り、また良いレストランがあるらしいので出かけることにした。フルナスから10時半に出発したポンタ・デルガーダ行きの路線バスは、くねくねした山道を走りいくつもの村や町を巡りながら正午ごろにラゴアに着いた。ラゴアには漁港があり、直ぐ隣に魚が美味しいと評判のレストランがある。ガラスケースにはいろんな魚が並び、お店の人が名前を教えてくれる。私は「インペラドール(皇帝)」というキンメダイに似た魚を注文した。この魚は高値で取引され漁が制限されていたらしい。ということは美味いのだろうが値段もそれなりに張るに違いない。先に来た客は前菜に私の大好きなカサガイを頼んでいたが、ぐっと我慢した。

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開いて炭で焼いた皇帝は、上品な白身の魚で、ノドグロのようにエラの内側が黒い。味もノドグロに似て程よく脂が乗り、とても美味である。デザートはマラクジャのムース。マラクジャ(パッションフルーツ)アソーレスの名産品の一つで、バールにはマラクジャのリキュールもよく置いてある。コーヒーを飲んでお勘定を見ると驚きの11€だった。ということは魚は7€ぐらいだった。カサガイも食べれば良かった。

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昼食後に「火山の家」を訪れた。海の真ん前にあり、隣はユースホステル。見学は午後の2時半、3時半、4時半の三回ガイドツアーが行われる。学芸員はアソーレス諸島やサン・ミゲル島の成り立ち、火山が生み出す様々な種類の石、世界中から集めた鉱物や宝石、化石などを解説してくれる。この日の2時半の回の客は私一人なので、色々質問したり、展示物をじっくり見ることができた。アソーレス諸島に旅行するようになって、地理や地学に興味を持てるようになった。中学生や高校生の頃だったら尚良かったのになあ。

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フルナスに戻り、また温泉を楽しんだ。夜はこれまた地元の家族連れやカップルが多い。住民は年間パスでも持っているのだろうか?毎日4€の入浴料は家計に大きいと思うが。お風呂はみな石で出来ていて、もちろん源泉掛け流し。お湯は透明だが、かなり鉄分を含んでいて、石の隙間や川底は沈殿した酸化鉄で赤く染まっていて、真っ白いタオルや薄い色の水着は染みがつく恐れがある。なおタオルは温泉で2€で借りることもできるし、水着も売っている。

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最初のお風呂は「瞑想の湯」深さ130cm、私が立つと頭から下が全部お湯に浸かる。水温は39度。次は「静穏の湯」深さは90cmほどで段差があり、掛けて腰湯に浸かることもでき、肩まで沈むこともできる。「河岸の湯」は山から流れて来る水と温泉の湯の混じったお風呂で水温は28度。「テルマエの集い」は浴槽の段差が3つあり、小さな子供も大人も一緒に入ることができる。またこの浴槽は滝がなく体に負担がかからない。「神話の湯」は浴槽の一辺が滝のカーテンになり、全身を優しくマッサージすることができる。それぞれの浴槽の底は沈殿物や小石でヌルヌルザラザラするが、海水浴の一つのバリエーションと思って我慢。お風呂の後はやっぱりビールが飲みたくなる。アソーレスの地ビール「エスペシャル」で乾杯!

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イケメンや美女と混浴できます。


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by caldoverde | 2016-12-29 06:24 | ポルトガルの旅 | Comments(2)
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フルナスの朝は、村を環状に囲む山や森に霞がたなびき、まるで日本の山村のようだ。通りに出ると道の奥は特に霧が深く立ち込めている。歩いていくうちにそれは霧ではなく湯気であることに気が付いた。道路のマンホールや排水溝の隙間から白い蒸気が立ち上り、硫黄の臭いが漂う。ついに湯気の大元に行き着いた。そこには黄色がかった白い地面にいくつかの石の輪があって、輪の中からほんわか湯気が立ち上り、あるいは煮えたぎった湯が恐ろしい音と共に噴出する。そばには川が流れ、河原の至る所でもうもう湯気が吹き出している。現地ではカルデイラス(ボイラー)と呼ばれているが、日本なら地獄釜とか地獄谷と名付けられそうな場所だ。怒り狂ったように吹き上げる熱湯の泉の合間に置かれた、中世の城や聖家族やラクダに乗った東方の三博士の書き割りがなんともミスマッチだ。閻魔様や鬼の方が断然似合う。

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昔の湯治場だった小さな建物は、今は温泉に棲息する微生物を紹介する科学館となっている。髪の毛の30分の1の細さの藻のような生物や、100度を超える温泉に存在するバクテリアなどが展示されている。中には地中の350度の高温を生き延びることのできる種もあるそうで、そんなのが人類を襲ったら大変なことになる。微生物センターでは温泉の水を使ったお茶やコーヒーも飲むことができる。

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そのあと、愛車のブロンプトンでフルナス湖畔のサイクリングに出かけた。初めてフルナスにきた時は、紫陽花の綺麗な、しかし車がビュンビュンとばす国道から外れて牧場に入り、そこからぬかるんだ細い登山道を歩いて湖に出たと記憶している。あれから9年、ひょっとして起伏の少ない舗装された遊歩道やサイクリングコースができていないかと期待したが、結局同じ山道を自転車を引いて歩くことになった。峠を越えるとき、別の道から来たイギリス人らしき女性に「ユーアークレイジー」と笑われた。

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しかしその苦労は、フルナス湖畔を自転車で半周し美しい景色を大いに楽しんだことで報われた。以前来た時に温泉の地熱でコジードを作っているのを見たのはここだった。レストランの立て札がつけられた砂山の下で、肉や野菜たちはじんわりと茹でられ互いの味がしみていく。水辺では鴨やガチョウのような鳥が、観光客から売店で販売している餌を貰っている。もう家禽化しているので、こいつらも温泉で茹でたら美味いのでは…と不謹慎ながら思った。

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コジードを作る温泉から湖沿いに5km位先にある、フルナス湖自然保護観察センターを訪れた。近年は牧場が原因の水質の富栄養化や、外来植物の繁殖が問題になっているので、フルナス湖を本来の姿に戻すのがセンターの目標である。観光や農業の振興と自然保護をいかに調和させるかが、アソーレスの大きな課題である。格安航空会社の就航に伴い大幅に観光客が増えたのは良いが、観光開発が自然を破壊しては本末転倒だ。今のうちにアソーレスに行けと警告する旅行サイトもある。ブームになる前に(もうなっているかもしれないが)是非とも訪れるべき場所だ。

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ようやく前日食べたコジードが1日半かかって消化された。夕食は同じ店「Tony's」でカサガイのグリルとアブロテイアという白身の魚のフライを食べた。アブロテイアはサン・ミゲル島ではよく食べられる魚で、鱈系の癖のないあっさりした味だ。飲み物はモランゲイロ(イチゴワイン)。酸味が強く、やや濁った、イチゴの香りのするワインははっきり言ってそんなに美味しいものではないが、地酒ということでアソーレスに来たら一度は飲んでみるのも良いだろう。

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by caldoverde | 2016-12-27 03:40 | ポルトガルの旅 | Comments(0)
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飛行機から見たロカ岬

かねがね春に骨折した足首の養生を兼ねて、12月は温泉に行こうと漠然と考えていたが、ネットでたまたま格安航空会社イージージェットのリスボンーポンタ・デルガーダ往復56€の航空券を見つけたので、冬のアソーレスも体験してみようと切符を押さえた。ローコストキャリアはちょっと考えていると値段がすぐに変わる。

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テーラ・ノストラ・ガーデンホテルの温泉プール。赤い水は水着を一つダメにした。

それからサン・ミゲル島の温泉を探したら、以前訪れたフルナスに天然温泉の公衆浴場があるではないか。昔行った時は気付かなかったが、地元ではよく知られた温泉で、数年前に新装開店し、なんと朝は7時から夜は23時まで一年中営業しているという。また最近フルナスのテーラ・ノストラ・ガーデンが、世界の名庭ベスト100の内ポルトガルから選ばれた5つの庭園のひとつとなったので、再訪したいと思っていたのと、地熱で作るフルナス名物のコジードももう一度食べたかったのもあり、今回のアソーレスの旅はあちこち移動せずにフルナスに連泊することにした。

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中央の白い家がポエムの家 (Casa do Poema)

フルナスの代表的な宿泊施設は何と言っても大きな温泉プールと素晴らしい庭園のあるテーラ・ノストラ・ガーデンホテルなのだが、シングルの部屋は狭いし冬でも結構高い。オフシーズンにもかかわらず温泉に近いホテルやペンションはほとんど満室で、唯一残っていたのが「ポエムの家」というポエマーな名前の築4年の小さな一軒家で、料金は4泊200€に清掃代35€。台所や洗濯機など長期滞在も可能な設備が全て揃い、リスボンのおしゃれなアパートのような内装だ。
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小さな家だが吹き抜けがあり、広々とした印象

自転車でフルナス湖の周辺を散歩したいと思い、後から自転車の積載を追加したら、料金が驚きの98€で、人間様より高い。格安航空会社の最安チケットで持ち込める荷物はキャビンに積める手荷物一つのみで、女性のハンドバッグや土産物の紙袋まで追加料金の対象になる。ケチ!
朝7時出発の便が10時半に遅れるとアナウンスがあり、結局9時半ごろリスボンを離陸した。一応お詫びの4.50€のミール券を貰った。この会社の機内食は有料なので、少しばかり得をしたような?
昼頃にポンタ・デルガーダの空港に着くと「ポエムの家」のオーナー、ルイスさんが迎えに来た。時間の都合がつけば、送迎や観光案内もしてくれるので、帰りも空港までのトランスファーを頼んだ。北回りの幹線道路をドライブしながらフルナスに到着し、早速宿の近くのレストラン「トニーズ」でフルナス名物温泉コジードを久々に食べることができた。
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3種の肉と芋+2種類の腸詰とキャベツ+人参+ご飯で限界の満腹度

昼食の後は、テーラ・ノストラ・ガーデンを散歩した。広大な庭には湯気の立つ小川が流れ、水辺には里芋が群生し、地面は苔で覆われ、赤や白の椿が咲き、銀杏が黄金色の落葉を歩道に敷き詰め、杉の巨木の下には季節外れのツツジもぽちぽち咲くかたわら、ジュラシックパークに出てきそうな巨大なシダが大きく葉っぱを広げ、見慣れないトロピカルな植物もありといった具合の、日本とヨーロッパと古生代の混じったなんとも不思議な庭園である。
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庭園の里芋の収穫。煮物が食べたい!

庭園の後は、天然温泉の「ポッサ・ダ・ドナ・ベイジャ」に出かけた。勢いよく流れる赤茶色の小川を挟んで、5つの異なった深さと温度の露天風呂があり、地元民や外国人のカップルや家族連れがまったりと湯に浸っている。水温は28度の一つを除き、他は39度の熱くもぬるくもなく、長時間浸れる湯加減である。お湯から出る度に冷たい空気に当たっては体を縮めたが、5つの浴槽を一巡りした頃には、身体がぽかぽか温まっていた。


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by caldoverde | 2016-12-25 20:56 | ポルトガルの旅 | Comments(2)