ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:お菓子・カフェ( 24 )

さらば、サランボー

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今が旬のいちごのタルト

リスボンは今日もまた一つ新しい店が開いてはまた一つ閉じてゆく。古いガイドブックを見ると、もう存在していないお店も結構ある。TimeOut という街の最新情報を発信する雑誌でこの前見たので行ってみると、もうなかったという事も珍しくはない。別にどうって事のない、単価も高くないバールやカフェがしぶとく生き残っているのは、まさにどうって事のない、単価の安い店だからだと私は考える。いつも同じもの(だけ)があって、いつもの常連がいて、散歩がてらふらっと入って小銭でコーヒーやビールが飲める。平和な日常を売っているわけだ。
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タルト・タタンはリンゴだけでなく桃やあんず、梨もあった

時々オーナーの嗜好や理想を強く打ち出した、おしゃれなカフェが現れるが、長続きしない。そのような店はコーヒーとお菓子で2€では足りないので、たまに行くのには良いが、毎日となると懐がちょっと痛い。それにバターやクリームやチョコレートをたっぷり使ったケーキを毎日食べていたらダイエットにも影響する。しかし日常から少しばかりグレードアップしたものも無いと困る。困るのだ!
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本格的なパリ・ブレスト

フランス菓子とお惣菜の店 La Pâtisserie Salammbô が カンポ・デ・オリーク地区にひっそり開店して2年、知る人は知るが、地元の人にもほとんど知られないまま、5月半ばで閉店してしまう。同じ通りには改装して盛況のカンポ・デ・オリーク市場があり、色んな商店やレストランが集まっているのだが、どん詰まりに近いこの辺りは日中でさえ歩いている人は非常に少ない。雨の日や寒い日は開店休業になるだろうと予想はつく。
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野菜たっぷりのピザ

近くにフランス語学校があるせいか、この地区にはフランス人が少なからず住んでいるらしく、また年配のポルトガル人は第二外国語としてフランス語を習っていたり、フランスに出稼ぎに行っていた人も結構いるので、サランボーにケーキを食べに行くと、よく店の主人がお客さんとフランス語で会話していた。クロワッサンやバゲットもあるので、フランスの味を懐かしむ人がここにやって来る。しかし、コーヒー一杯だけ飲みたいポルトガル人は、まず入らないだろう。コーヒーはリスボンでは55セントから70セントだが、最も多い価格は60セント。一時サランボーでは70セントに値上げしたが、すぐに60セントに戻した。コーヒーだけ飲みに入った客が「高いね」と言ったらムッシューは「うちは良い豆を使っているから」と説明していた。日本人から見ると、エスプレッソ70セントは激安なのだが。
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パイもカスタードクリームも絶品のミルフィーユ

お菓子もその辺のポルトガルのカフェのものよりずっと良い材料を使っていると自負しているだけあって、店に入るとバターの良い香りが漂う。ある日のミルフィーユには本物のバニラビーンズの鞘が飾りに使われていた。ここのカスタード系のケーキは本当に美味しくて、日本の洋菓子と肩を並べられる。またここのチーズケーキは、コッテリして酸味がある正しいチーズケーキだ。ポルトガルのチーズケーキ、あれはいったい何なのだ。
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見かけはホームメイドですが、味は本物のブルーベリーチーズケーキ

お惣菜はフランスのみならず、色んな国の影響を受けたものが登場する。奥さんはカザフスタン出身のルーツは朝鮮半島という事で、キムチ風の人参サラダ、キクラゲのサラダ、ピロシキなど東洋風のものもあれば、ピザやタコのサラダなど地中海風もあり、週末にはブッフ・ブルギニョン、クスクス、羊のシチューなどフランスやその植民地の料理を注文販売するなど、バラエティに富んでいた。
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端右のキクラゲのサラダはまさに酢の物

残念ながら良いものを作るのとビジネスの成功は必ずしも連動しない。せめてもう少し人通りの多い場所にお店があったら、と誰もが考える。サランボーの主人は商業住宅地として人気の高いアルバラーデ地区の全ての通りを当たったが、家賃が月数千ユーロという事で諦め、カンポ・デ・オリークのこの店を選んだ。しかしやはり高い(または安い)物件はそれなりに理由があるのだろう。今後は自宅で注文を受けてケーキを焼くそうだが、いつかまた良い場所を見つけてサランボーを再開して欲しい。
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ホオズキとフランボワーズのタルトはパリの味…に違いない

5月14日まで、市電28番や25番に乗っておいで下さい。Rua Francisco Metrass, 109A-B, Campo de Ourique, Lisboa


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by caldoverde | 2016-05-04 01:36 | お菓子・カフェ | Comments(8)

女公爵の菓子

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4月25日橋から虹の橋が立ち上った1月5日

突然生クリームが食べたくなる時がある。リスボンには掃いて捨てるほどカフェがあり、また今はあちこちにスターバックスがあるが(コーヒーに山盛りのクリームを盛るのは反対だ)、生クリームを使ったケーキを常備している店は少ない。生クリームだと思ったらバタークリーム、あるいは植物性クリームだったこともある。生クリームは管理が難しいので、暖かくて緩いポルトガルの菓子屋は手を出さないのだろうか。
ケーキの王道イチゴショートなどは、アルメイダという果物屋兼喫茶店にしかない。ロシオ広場のスイサや、近所の「DoceMel(甘い蜜)」というカフェには生クリームを使ったケーキが常に数種類置いてあるのだが、どちらもデザインも技術も何十年も前のもので全く進歩がない感じ。伝統を守っていると言えば確かにそうではあるが。

最近また発作に襲われ、その近所のカフェで立て続けに3回も生クリーム系のお菓子を食べてしまった。これを最後に、もう生クリームはしばらくやめようと思う。こんなものを一気食いした後は…

妾(わらわ)は女公爵であるぞ
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スペインのアルバ女公爵のイメージかな
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ゴヤ作 アルバ女公爵
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2014年に逝去されたアルバ女公爵
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似てるかも

ホットドックのような形のシュー生地に生クリームを挟んだお菓子はドゥシェース(英語でダッチェス、女公爵)と呼ばれる。お店によってはクリームだけだったり、フルーツや鶏卵素麺をトッピングしたりと色々あるが、ここまで飾り立てたものはなかなかないし、ここまで巨大なものも見たことはない。値段もふつうの女公爵の2倍、量はどう見ても3人前だ。これだけのものを一人で食べれば、お腹が壊れるだろうし、もう二度とこのようなものは見たくなくなるだろうと危惧しながら完食した。翌日は別になんともなかった。あの大量の生クリームが身体に吸収されてしまった。それどころか時間が経てばまた挑戦できそうな気がしてきた。いや、当分はあのカフェの前は通らないようにしよう…。

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iPad miniと大きさを比較

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今年の誓いは早くも頓挫

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by caldoverde | 2016-01-11 20:31 | お菓子・カフェ | Comments(12)
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皆様は2月14日の聖ヴァレンタイン・デーはいかがでしたか?
ポルトガルではこの日を「恋人の日」と呼んでいるので、プレゼントは男性から贈っても女性から贈ってもかまわないのだが、今年は生まれて初めて年下のイケメンからハート型のチョコレートを贈られた。亜麻色の髪、薔薇色の頬の美形の彼の愛に応えたいが、体力がついていかない。彼の若さが眩しい。何しろ8歳だから…
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近所にChocolate, Café & Cultura (チョコレート、カフェ&カルチャー)と称する茶店がオープンした。経営者は2人の男性。多分恋人どうしである。ホットチョコレートや、チョコレートを使ったスイーツを、落ち着いたインテリアと心地よい音楽の流れる環境で楽しんでもらおうという趣向で、地下のサロンでは展覧会や講演会も行われる。なかなかアンビシャスなプロジェクトなのだが、一般的には、個人の趣味や理想を追求したお店はあまり長続きしない。居心地が良いと私のように長っ尻の客が常連になり回転率が落ちる。このカンポ・デ・オリーク地区ではカフェは飽和状態だし、住民は大体行きつけの店を持っている。変わった趣向のお店ができると一度は覗いてみるものの、また元の古巣に戻るのである。
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パッションフルーツのムース。お皿も美しい。

私の好きだった茶店はどれもセンスの良いインテリアで、新聞や雑誌が読め、スイーツもその辺のカフェとは違ったものがあったので、よく通っていたのだが、どこもさっぱり新しいお客さんは来なくて潰れてしまった。不思議である。ポルトガル人はダサくて、何十年も代わり映えしない菓子を並べ、知り合いがいそうなところにしかコーヒーを飲みに行かないのかもしれない。

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野菜とカマンベールチーズのキッシュ、フムスというひよこ豆のペースト。パリざます。

別の通りにはフランス人の旦那さんと旧ソ連何とかスタン(すみません、国名忘れました)人の奥さんのカップルによるフレンチ・ペストリー・ショップ La Patisserie Salambôが出来た。パリパリのパイ菓子や本格的なクロワッサンやバゲットのある小さな店だ。店内には馥郁としたバターの匂いが漂い、私の後に入ったマダムはフランス語で注文し、リスボンに小さなパリが出現したみたいだ。テーブルが4つ程しかないので、ゆっくりコーヒーを飲みながら読書を楽しむ余裕はなく、テイクアウトが主体となる。ここではフランス人が作る本格的なキッシュの他に、ロシア南部の何とかスタンの肉入りパイもスペシャリティだ。繁盛すればもっと客席のある物件に引っ越すべきだ。ヴァレンタイン・デーに恋人たちが仮想パリの小粋なビストロでおしゃれな食事をとりながら愛を語らえるように。
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焼鳥もおしゃれです。

容赦ない甘さの本格的ポルトガル菓子の店 Doc&Mel は開店して2年目だが、斜め向かいに既に長年の顧客を獲得しているカフェがあるので、あまり忙しそうではない。ここには探すと以外と見つからない生クリーム(植物性に非ず)系のケーキがあるので、猛烈に生クリームが食べたくなると行くのだが、普段はあまりお客さんが入っていない。そこそこ人がいるときは、サッカーの試合のある日曜日などで、行きつけの店が閉まっているのでここに来たという雰囲気がありありである。そういうお客はこの店自慢のケーキなどは食べず、ビールばかり注文する。
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いい仕事をしているのだが…
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プリンシペ・レアル地区には本格的なフランス菓子店があったのだが、ポルトガル人には高すぎたのか、残念ながら潰れてしまった。どうもポルトガルで商売を始めようとする人々は、マーケティングが不十分だったり、開店資金だけで店を開いて運転資金は考えていないのではないかと思われる。人口60万の中都市リスボンで生き残るには、既にある繁盛店とそっくり同じものを隣に作って従業員もそっくりな人を雇い、客が間違って入るように誘導した方が良い、と私は思う。
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by caldoverde | 2015-02-18 02:45 | お菓子・カフェ | Comments(10)

猫の舌

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僕は小鳥と虫がいいなあ(ガト氏談)

ポルトガルのお土産に何が良いですか、と聞かれると正直答えに詰まる。お菓子は生ものが多く、日本のようにしっかり包装されているものが少ない。ベレンのエッグタルトなどはその場で食べるべき名物の代表である。
しばしば金平糖はどこで売っているか聞かれるが、金平糖はコインブラやアソーレスでわずかに作られている程度で、日本人の想像する金平糖はリスボンには無い。金平糖は無いんです!もうガイドブックから抹消して欲しい。
また名物にうまいものなしと言われるように、シントラのケイジャーダは正直うまいとは思わない。京都の「八つ橋」が皆好きかと言うとそうじゃないように。

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手前のお菓子はガトーキャラメルというんでしょうか、中がとろけるキャラメル状です。
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キンディンという卵黄とココナッツの生菓子もある。味は6種類、これはパッションフルーツ。
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何が一番喜ばれたか、それはどこの空港にもある「ゴディバ」のチョコだ。外れがないし、私も貰ったら嬉しい。しかし、ポルトガルに行ったという証拠を、お餞別を頂いた人や年休を取った職場に持ち帰らなくてはならないという重責はよおく理解できる。

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「アルカディア」直営店で売っている

最近、その問題を解決してくれるお店がリスボンのあちこちにできた。ポルトに本社を置くチョコレートメーカー「アルカディア」の直営店が、エッグタルトの元祖パスティス・デ・ベレンの向かい側、カンポ・デ・オリークやローマ通り、シアードにある。上品なパッケージに様々な形のチョコレートを詰めたセットや、ご当地名物ポルトワイン入り、最高級のアグアルデンテと組み合わせたの贈答用など種類も様々。自分で好きなチョコを選んでオリジナルの詰め合わせを作ることも可能だ。もちろん1個から買える。

配り用、義理チョコ用なら「リングァス・デ・ガト」(猫の舌)という名の薄い一口サイズのチョコレートはいかが?ミルク、ブラック、シュガーレスなど甘さが選べる200gの箱入りが10€〜11€、箱やセロハン袋などに小分けにしてもらうことも。
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左はミルク、右はシュガーレス


ポルトガルにしてはしっかりした箱の中に並んだ薄手のチョコは、なかなか高級感があり、オーセンティックなポルトガルのメーカーものであるので、堂々と贈ることができる。しかもゴディバほど高くない。
しかしポルトガルらしいユルさもある。無理して模様など入れなければもっと高級そうに見えるのに…
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可愛くない。
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by caldoverde | 2014-04-08 08:30 | お菓子・カフェ | Comments(4)
 コインブラの東、内陸の町フンダォンはサクランボの名産地で、シーズンになるとふんだんなフンダォンのチェリーがスーパー、果物屋、そして街角の屋台で小山となって売られている。
 黒っぽいのが甘味が強いが、紅いのも適度な酸味と甘味のバランスが取れていて美味である。
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三角の筒入り2€、箱は2kgで8€

 フンダォンのサクランボは生食だけでなく、加工用にも使われる。イタリアのチョコレートメーカー、フェレロのモン・シェリというリキュール漬けのチェリーの入ったチョコはフンダォンのサクランボを使っているそうだ。モン・シェリは普通のスーパーでもよく売られている。

 最近フンダォンではご当地スイーツとして、パステル・デ・セレージャ(サクランボのエッグタルト)をフィーチャーし、全国的に広めようとプロモーション中である。イベント会場や観光地にサクランボ型のキオスクを出店し、注目を集めている。
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ベレン地区で行われた「ジャパン・フェスタ」に登場したサクランボ屋台。ちゃんと日本語で書かれた看板も。
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コスプレして集まったポルトガルの若者。

 私もフンダォンのチェリー・エッグタルトがどんなものか興味があった。TVで見たのは、パステル・デ・ナタのカスタードクリームの底の方にサクランボのコンポートが仕込まれたもので、なかなか美味しそうだった。

 6月の半ば、シントラ王宮の広場に設けられたサクランボのキオスクで、このチェリー・エッグタルトが1.25ユーロで販売されていた。見かけはTVで見たものとは違い、カスタードクリームの上にチェリージャムがのったものだった。美味しかったが特筆すべき画期的な味という程でもなかった。
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箱は可愛い  

 ところがキオスクの営業がその週の日曜日までという事を知ると、今しか食べられないものを食べておかなくてはという気になってきた。翌日は、自分で食べる分2個と隣のガト君のおばさんにおすそ分け用に1個の計3個を買って帰った。家に帰って箱を開けると、昨日見たのとはまたちょっと様子が違っている。パイのフィリングは、チェリージャムとカスタードクリームを混ぜたもので、見た目がなんかぐちゃぐちゃである。確かに胃の中では皆一緒くたになるのだが…飾りのサクランボをのせるとか、何か工夫しても良さそうなものだ。
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 しかし、食べてみるとそんな偏見は払拭された。昨日のより美味い!パイがサクサクして、元祖パスティス・デ・ベレンのエッグタルトより香ばしい。チェリージャムとカスタードが思いの外調和していて、新しい味と香りと食感を生み出している。今日1個、明日1個、隣のおばさんにも1個と考えていたのだが、気が付くと3個全部たいらげていた。でも、キオスクには「サクランボにはデトックス効果あり」という謳い文句が書かれていたので大丈夫だ。多分。
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by caldoverde | 2013-06-21 09:14 | お菓子・カフェ | Comments(5)

自転車カフェ

 ここ数年の間に自転車後進国だったポルトガルにも各地に自転車専用道路(シクロヴィア)が作られ、リスボンは、カイス・ド・ソドレ駅からベレンの塔まで、市北部のベンフィカから川沿いのエキスポ地区まで自転車で行けるようになった。街の真ん中にあるデパートのエル・コルテ・イングレスから、アルコ・セゴ地区にかけて延びるドゥケ・デ・アヴィラ通りも、車道を一方通行にし、快適なサイクリングコースと広々とした舗道が設けられ、親子でペダルを踏む姿や、颯爽と自転車通勤する人達が増えている。
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窓に飾られているのはイタリアのANITA
(https://www.facebook.com/VelociteCafe)


 そのアヴィラ通りの端、地下鉄サン・セバスチアン駅前に、ポルトガル初の自転車カフェVELOCITÉ CAFÉがオープンした。目印は建物から飛び出した自転車、または窓に吊り下げられた自転車である。店はカフェと自転車店プラス修理工房を兼ねていて、レンタサイクルもある。自転車に乗ったまま入って行けるようスロープがつけてある。店のそばには駐輪用の鉄パイプがあるので、愛車をチェーンで繋いでおけば安心して食事がたのしめる。白い壁一杯にリスボンの街のイラストを描いたおしゃれなインテリア。木の椅子やテーブルも可愛い。
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 メニューは軽い小洒落たものが多い。熱いコーヒーに氷を入れてレモンスライスとミントを浮かべたマザグランという飲み物に、山羊のチーズと蜂蜜のサンドイッチなるパリーのキャフェみたいな(行ったことないけど)ものを注文した。盛り付けもこのようにおっしゃれ~なのだが、味は普通である。
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 開店間もない頃から、舗道のテラス席ではいつもピタピタの自転車シャツを着た男達が談笑し、トラブルを起こした自転車を運び込むサイクリストがひっきりなしにやって来る。通行人も好奇心で中を覗き、珍しい自転車を眺めては店員に質問している。自転車好きの仲間が作った店なので、店員がメニューの注文取りよりも、自転車談議の方が熱心になりがちなのは仕方がない。(ポルトガルだから)
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左の棚には小さく折りたためる英国製bromptonがぎっしり

 私の愛車bromptonの部品を失くした時も、整備士は週末だったにもかかわらず知り合いのディーラーに連絡し、在庫の有無を確認、連絡してくれた。後日部品を受け取り、家で自力で取り付けを試みたがダメで、結局この店に持ち込んだ。支払ったのは部品の代金だけだった。
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シンプルで美しい東京バイク
(https://www.facebook.com/VelociteCafe より)


 仙台では見たことのなかったTOKYO BYKEというブランドや、ポルトガル唯一の国産車ÓRBITAなど変わった自転車があるので、自転車を愛する人はリスボンにお越しの際は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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貸し自転車はポルトガル製ÓRBITA
(https://www.facebook.com/VelociteCafe より)

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Osaka Byke?いいえドルチェ&ガバーナ。これはありませんでした。
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by caldoverde | 2012-11-11 07:33 | お菓子・カフェ | Comments(4)
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 先日、日本ではエッグタルトの呼び名でおなじみのパステル・デ・ナタのコンクールがリスボンで行われた。最優秀賞に輝いたのは、私の家から歩いて3分のカフェ「アロマ」だった。カウンターと小さなテーブルが幾つかあるだけの小さな店だが、このカンポ・デ・オリーク地区で最も古いカフェだそうだ。向かいは取り壊されてマンションになる予定の映画館が恐竜の骨のような残骸をさらしているが、かつては映画の前後にコーヒーを飲む客で溢れかえった時代もあった。映画の黄金期は去り「アロマ」はTVもBGMも昼定食もない、町内のあちこちにある小さなカフェの一つとして地道に営業を続けていたが、再びスポットライトを浴びることになった。
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 クリスマス時期にはボーロ・レイがウィンドウを彩り、時々クリームたっぷりのエクレアやサヴァランがあって私を引きずり込むことがある。でも突出して美味いお菓子があるとは思わなかった。
 ある日、朝の焼きたてのお菓子が並ぶ時刻にたまたま入り、エッグタルトはベレンのパスティス・デ・ベレンのものしか食べない私がこの店のエッグタルトを食べたところ、凄く美味しく感じられた。
 ベレンのエッグタルトは皮がやや焦げてバリバリに硬くて油っこいが、「アロマ」のパイ皮はサクサク感が歯に心地よい。カスタードクリームはベレンのほうが甘さは控えめで私の好みだが、ポルトガル人には物足りないのか、2~3個食べる人も珍しくない。「アロマ」のは甘さがやや強く、1個で満足できる。そのような点が評価されたのだろうか。
 元祖「パスティス・デ・ベレン」がこのコンペティションに参加したのかどうか知らないが、住宅地の小さな店が、 有名店「スイサ」や5つ星ホテルのレストランのエッグタルトを抑えての最高賞は快挙である。
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生クリームが欲しくなるときは、「アロマ」のエクレア
 テレビのニュースで受賞が報道された翌日は、いつもは3~4人程度のカウンターに、お客が隙間なくぎっしりと列をなして順番待ちしていて、別のTV局も取材にきていた。突然殺到した人々に動じることなく淡々といつものペースで注文を受ける「アロマ」のおじさんに、今後もいつもの街角のカフェとして頑張ってくださいねと心の中で応援した。
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別のカンポ・デ・オリークのカフェLomar(「鳥の巣」のある店)のパステル・デ・ナタも、軽い塩味が効いて美味。午前中の温かい内に行くべし。
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by caldoverde | 2012-04-22 22:20 | お菓子・カフェ | Comments(5)

世界遺産スイーツ

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 ユネスコ世界遺産の町エヴォラには数々の歴史的建造物があり、文化財的食べ物がある。フレッシュチーズを使った焼き菓子ケイジャーダもその一つである。エヴォラのケイジャーダはしっとりとして優しいミルクの味がする。マデイラ島やアソーレス諸島を含めたポルトガル全国にケイジャーダはあるが、エヴォラのそれは世界遺産級に美味である。町の中央ジラルド広場の一角にある「アルカーダ」という菓子屋のケイジャーダは私のお気に入りであったが、最近この店を凌駕するケイジャーダを見つけてしまった。
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カラサ通りを過ぎたところにある

 ジラルド広場のアーケードの緩やかな坂を下り、アーケードが終ったところで左に曲がり、小さな広場を二つほど通り過ぎながら奥に進むと右側に目立たない菓子屋がある。その名は修道院菓子処Pão de Rala という。Pão de Ralaとは直訳すると粗挽き小麦粉のパンという意味だが、粗挽き粉のパンとは対極にアンチヘルシーなウルトラヘビー級の重~~~く甘~~~い巨大な饅頭のようなアレンテージョ地方の郷土菓子である。
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 オリーブの実を象ったという真ん中に1本の筋を入れた丸いマジパン(アーモンドペースト)のかたまりの中に、鶏卵そうめん、糸かぼちゃのジャム、黄身クリームなど、色も甘さも強烈な材料を混ぜた餡を入れたもので、切り口を見るとねっとり目の詰んだ粘土のようなマジパンの中に、真っ黄色の糸と蜂蜜色の糸が蜜に絡み合ったものが挟まっている。昔は貴重品であった砂糖をこれでもかこれでもかと使った、血糖値の限界への挑戦を挑むような、形がボクシングのグローブに見えてくるような、そんなお菓子である。大食い大会でこの菓子が出されたら、どれだけの選手がお茶を飲まずに完食できるだろうか。
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 このお菓子には古い言い伝えがある。16世紀の若き国王セバスチャンが突然エヴォラを訪れ、ある尼僧院に泊まることになった。6月のうだるような暑い日にやって来た王様ご一行をもてなすために、貧しい尼僧院が用意できたのは、わずかなパンとオリーブの実と水のみであった。それでも長旅と灼熱の暑さに疲れた王と廷臣たちにとっては十分なごちそうであった。王はリスボンに帰った後、感謝の印にオリーブの形の菓子を尼僧院に賜った。それがこのPão de Ralaであったという。
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手前は胡桃の入った薄いスポンジと黄身クリームを交互に重ねたケーキ
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チーズのようですが中身は鶏卵そうめん
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ボーロ・レイはリスボンのものより豪華
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そのまんま卵です

 そんな由緒のあるお菓子を看板としたこの店のその他のラインナップは、マジパンで作ったチーズの形をしたケーキだとか、プラムの砂糖煮とか、卵黄を砂糖で煮詰めたプチフールとか、見ただけで歯がうずき胃酸の分泌が活発になる伝統菓子が中心であるが、その中で現代のしこうに合わせ?甘さがしつこくないものが、ケイジャーダとアーモンドタルトだ。
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手前がケイジャーダ。奥がアーモンドタルト

 花形のビスケット生地にフレッシュチーズ、砂糖、卵、小麦粉を混ぜたフィリングを入れて焼いたケイジャーダは、大きさはエッグタルトとほぼ同じ。甘党なら2個は楽勝の量と糖度である。初めてこの店のケイジャーダを食べたときは、しばらくこの手のものから遠ざかっていたせいか、今まで食べていたのは何だったのかと思えるほどの衝撃的な美味しさだった。それはまさしく新鮮な絞りたてのミルクの味だった。
 アーモンドタルトはさくさくとした感触と軽く焼いたアーモンドの香りが、田舎の菓子屋のものにしては洗練されていて、上等な紅茶が欲しくなるようなスイーツである。
 どちらも一個1ユーロとお土産に手ごろな値段ではあるが、やはりその日に作られた新鮮なものが美味しい。一方伝統のパン・デ・ラーラは一年間もつという店の人の話であるので、日本に持ち帰っても品質に影響ない。いや、360度に分けて毎日1度分づつ薄く切って食べて一年間楽しめると言うことか。この甘さなら食べ切るのに一年かかるだろう。
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黄色い町、うまい町エヴォラ
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by caldoverde | 2011-01-06 20:18 | お菓子・カフェ | Comments(4)

バルセロナ菓子店

 地下鉄ピコアス駅やサルダーニャ駅周辺は様々な会社が集まるオフィス街で、サラリーマンやOLが仕事前や昼に腹ごしらえするための気軽な飲食店が多い。またショッピングセンターもいくつかあり、流行に敏感な若い人やちょっと余裕のある奥様などがお友達とお茶をするところには事欠かない。しかしそのような人たちがまだ気付いていないらしい店を、シェラトンホテルのそぐそば、ポルトガルテレコム社の脇に発見した。
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「バルセロナ菓子店」は一見ファストフード店みたいな外観だが、よく見るとガウディの建物の一部をイメージに使い、オレンジとブラウンを基調とした60年代風モダンのシンプルでお洒落なインテリアだ。壁のテレビはサッカー中継ではなく自社製品の写真を大きく映し出している。お茶の時間は過ぎてもうすぐ昼食という微妙な時間だったせいか、客は誰もいない。小奇麗な店なのに不思議だなと思いながら入ってみると、ショーケースの中には色とりどりの直径5cmほどの小さなケーキがきれいに整列し、まるで日本の洋菓子店のようである。ポルトガルの菓子屋にしては相当凝っている。昼食前なのでコーヒーだけ飲んで出るという決意は瞬時に消滅し、気がつくとプチフールを三個も選んでいた。
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白黒のチョコムースのプチフールとコンデンスミルククリームのシュー。甘い!

 店名が示すとおり、オーナーはバルセロナ出身で、かの地の影響をうけたオリジナルなお菓子を作っている。バルセロナのお菓子の特徴はコンデンスミルクを使うことだそうだ。キャラメル状になった濃厚なコンデンスミルククリームを使ったパイは、リスボンではたぶんこの店にしかないだろう。
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カロリー高そう。

 サンドイッチなど食事系のものも、そこいらのカフェにあるようなごつい丸パンに無造作にハムやチーズを突っ込んだようなものではなく、味や色合いのバランスを考えてパンや中身を選び、ひとつの料理として作ろうとしている姿勢が伺われる。
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チーズ、肉、鱈、野菜などの小さなパイ。

 まだお客が少ないのは4ヶ月前にオープンしたばかりという事情もあろうが、ポルトガル人は食に関しては保守的なので、慣れ親しんだものばかり好んで食べるため、あるいはひそかに自分たちの食べ物が最高であると自負しているのでスペインのものなんか、という偏見やライバル意識が働いているのかも知れない。今はポルトガルのお菓子も甘さ控えめになりつつあるが、小さいながら強烈な甘さのバルセロナ菓子店のケーキが、変にポルトガル人の好みに迎合せず個性や創造性を保ち続けてくれるといいのだが。
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by caldoverde | 2010-04-09 07:57 | お菓子・カフェ | Comments(5)

リスボン甘い物散歩

 クリスマスシーズンになり、お菓子屋の店先にボーロ・レイが並ぶようになった。本屋もプレゼント用の楽しい本がいつにも増してディスプレーを賑わしている。そんな折、料理本のコーナーに「DOCE LISBOA」(甘いリスボン)という新刊を見つけた。手にとって開けば、めくるめくような魅惑のお菓子の美しい写真が次から次へと現われ、一気に最後のページまでめくらずにはいられない。この本はリスボンのカフェとその代表的なお菓子ガイドと言えるもので、創業19世紀の老舗から3年前オープンしたばかりの店まで、リスボンっ子に親しまれているカフェの内装やスタッフ、歴史やレシピを紹介している。
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Clara Azevedo, Luis Chimeno Garrido著 QUIDNOVI社 24,95€
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背景を取り去ると、ただの出来損ないのカップケーキ

 何より写真が美しい。あの何の変哲もないものが、こんなに美味しそうにお洒落に撮れているとは、素晴らしいセンスだ。オヤジ系の店ではお菓子は無造作にアルミのバットに並べられている。オーナーが女性、または女性客を意識している店ならアルミバットの上にレースペーパーを敷き、その上にお菓子を並べる。オーナーが差別化を計る店は、アルミバットではなく籐かごだったり、大皿だったりする。ところがこの写真集では大変に凝った背景にセットされているので、駄菓子がまるで京都の老舗の高級菓子に変身したように、現物よりはるかに美味しそうかつ高級そうに見えるのだ。お店の写真も、あそこはこんなインテリアだったのかと再認識させられるユニークなアングルから撮影されている。巻末には地図もついているので、この本を片手にリスボンの甘い物めぐりも可能である。
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今度は絶対これを食べる!

 しかし、写真が上手すぎるというのも時には考え物だ。正装し修整したお見合い写真を見て一目ぼれした相手に実際会ってみたらそれほどでもなかった…ということもあり得る。実際私はこの本を見て居ても立ってもいられず、本で紹介されている三店に行ってみた。しかし写真のお菓子は既に売り切れていたのかその日は作っていなかったのか、目的のものがなかったり、店もお菓子も実際はえらく平凡だったりと、イメージとのギャップがないとは言えない。曇りの日の午後に出かけたのが失敗だったかもしれない。リスボンのカフェでお菓子を味わうなら、品数が多く焼きたてのお菓子が並ぶ午前中に行くのが良い。

 ポルトガルのお菓子はほとんど生もので、持ち帰りが難しいものばかりだが、この本をお土産にすれば、甘いものの好きな人ならポルトガルの旅が楽しみになること請け合いである。
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この本の巻頭に紹介されている A Tentadora は近所にある古いカフェ。そこで食べたクレープ菓子をこの本に倣って撮ってみたが・・・
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by caldoverde | 2009-12-06 21:18 | お菓子・カフェ | Comments(7)