ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:シーフード( 38 )

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 ようやく整備が終わりリニューアルオープンとなったケルース宮殿の庭園を見に行った。ポルトガルのベルサイユの異名をとるケルース宮殿は現在も絢爛豪華な調度品で満たされ、各国の来賓が宿泊する迎賓館として使われている。またその庭園はポルトガルで唯一、三つのスタイル(英国式、フランス式、ローマ式)で作られた庭だそうだ。少し前までは植え込みの枝も伸び放題で荒れた印象のあった庭が、きれいに刈り込まれ、彫刻も修復され、噴水や運河にも水が流れるようになった。昔は大きく膨らんだドレスを着た女王や貴婦人が優雅に庭のバラの花を摘むふりをして用を足していたんだろうなあ、と感慨に浸りながら散歩した。

アズレージョで飾られた運河
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 宮殿を出て軍の建物から町の方面に伸びる道に入るとすぐ、がやがや人声のする間口の小さな大衆食堂風レストランの前を通りかかった。時刻は12時過ぎ。昼食をケルースで食べる予定はなかったが、本日のメニュー「鱈の舌」につい好奇心を抑えられなくなり、家族連れで賑わうご近所食堂にお一人様で突入した。

 以前「鱈の顔」を注文し、食べるところが少なくてがっかりしたことがあったが、それを友人に話したら、私の食べ方がもったいないのだ、と指摘された。目玉や骨や皮をしゃぶりつくさなくてはいけないのだと。この「鱈の舌」なら骨や皮がなく捨てるところがないはずだ。また、頬など良く動かす筋肉の部分は美味いと言われてる。しかも1匹に1枚しかない希少な部位だ。リスボンではお目にかかったことがない「鱈の舌」はいったいどんな味だろう。

 ポルトガル人は鱈料理には赤ワインを飲む。私もこの辺に住んでいる「通の」外人風を装ってコップの赤ワインを注文し、ちびちびやりながら「鱈の舌」の到着を待った。出てきたものは、モロッコいんげん、丸ごとじゃがいも、ゆで卵、ゆで人参、というおなじみのポルトガル大衆食堂の付け合せセットの中に、透明がかった白い肉のようなものが十切れほど盛られたステンレスの楕円皿。これが本日のおすすめ「鱈の舌」であった。予想はしていたものの、料理以前の、素材をただそのまま出しただけ、といった単純極まりないものだった。いや、こういうシンプルな料理こそ、料理人の素材の目利きや下ごしらえの丁寧さが顕れるものである、と気を取り直し、フォークにぶるるんとした白いかたまりを突き刺し、口の中に入れた。
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・・・いつもの鱈の味だった。強いて言えば違いは、ゼラチン質の部分が多くぷりぷり弾力があり、アンコウの歯ごたえに似ているということか。バカリャウ・コジードに比べ格段に美味というほどでもないが、骨や皮がないのでとても食べやすい。小さなお子様向けである。味付けは干鱈そのものの塩味で、これにオリーブオイルとビネガーをかける。たしかに不味くはないけど世の中にはもっとおいしく食べる方法はあるのでは?
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 舌の大きさはちょうど一口サイズだから、串に刺して炭火で焼いたらどうだろう。ネギと交互に刺して、塩またはたれで味付けした焼き鳥ならぬ「焼鱈」、ゆでた鍋ごとテーブルに運びポン酢醤油で食べる「鱈の水炊き」、甘味噌を塗ってオーブンで焼いて「鱈田楽」、醤油で煮た鱈の舌と野菜を炊き込んだ「鱈飯」、ふっくら戻した鱈の舌をバターで焼いた「鱈バター」きゅうりと一緒に酢に漬けた「鱈きゅう」etc. どなたか日本人の板前さん、または日本料理を勉強したポルトガル人のシェフの方、こんなメニューを出す居酒屋をポルトガルに作ってくれますまいか。名前は「鱈福」とか「莫迦良(バカリャウ)」などいかがでしょうか。
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by caldoverde | 2009-05-19 04:46 | シーフード | Comments(4)

鮫のスープ

 延々とコルク林の続くアレンテージョ地方の郷土料理と言えば、やはり黒豚を筆頭とした肉料理ばかりと思われがちであるが、意外なことに魚料理もある。世界遺産の町エヴォラの魚市場を覗いたら、ギザギザの歯をむき出したジョーズの頭が売られていた。人間の頭ほどもあるグロテスクな三角形の頭はどんな料理になるのか想像がつかないが、小さな鮫はこの地方の名物のソパ・デ・カサォン(鮫のスープ)に使われる。海など背伸びしても見えない大平原の小さな村にさえ、この鮫のスープをお勧め料理にしているその名もソパ・デ・カサォンというレストランがあった。

 リスボンからテージョ河を越えた対岸のアラビダ半島の南にある港町セトゥーバルには日曜も営業している魚市場があり、そこで小さな鮫カサォンが売られているのを見たことがある。アレンテージョのレストランで供される鮫はこの港からやってくるのだろうか。今でこそ高速道路が発達して内陸でも新鮮な食物が簡単に入手できるようになったが、つい20年ぐらい前の南ポルトガルは曲がりくねった狭い国道やのろくさした鉄道だけだった。港から何時間もかけて運ばれた魚の鮮度は大丈夫だったんだろうかという疑問が湧くが、鮫は腐りにくい魚で日本でも昔から山間部で食べられてきた、ということで納得。

 鮫は淡白な白身で小骨はなく、大きい骨も軟骨で子供やお年寄りにも食べやすい。アレンテージョ料理はコリアンダーやポエージョという香草をよく使う。どちらも独特の香りで肉の臭みをカモフラージュする。この鮫のスープもたっぷりと香草を使う。鮮度が落ちた魚も香草を使うことによって美味しく食べられるように工夫したのかもしれない。また鮫のスープには必ず酢を使う。これもにおい消しのためなのだろうか。しかしそれほど酢の味は感じない。ホワイトシチューをゆるくしたようなマイルドな味である。そしてこの地方のスープやシチューに欠かせないのはパン。それも硬くなったパンの方がいい。でなければ揚げてカチカチにする。皿や鍋にパンを敷いてその上からスープやシチューを注いでテーブルに運ばれる。

 それではポルトガルの女性シェフによる鮫のスープの実演を動画で。材料はオリーブオイル、ニンニク、コリアンダー、塩、鮫、水、小麦粉、酢、固いパン。



 ダイナミックだ。分量も時間もほとんど適宜、といった感じである。レポーターが引っ張り出してきたのは巨大なコルク容器で、これに暖かい食べ物や冷たい飲み物を入れると適温が保たれるという元祖ランチジャーである。アレンテージョの土産物屋にこれの小さいものが売られている。

 リスボンのホテルの最上階の眺めの良いレストランで食べた鮫料理は更にデリケートな味であった。鮫の肉はとても柔らかくて口の中でとろけるようだ。新鮮で魚臭さがまったく感じられない。ソースのコリアンダーも控えめで、コリアンダー嫌いの人でも美味しく食べられるはずである。でもこの盛り付け、やっぱりポルトガル、かなあ。
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by caldoverde | 2009-02-27 09:32 | シーフード | Comments(6)

マテ貝のリゾット

 近所の市場を覗いたら、丸々太った鯖が目に入り、鯖の味噌煮でも作ろうかと考えた。おばさんが鯖の重さを量り頭や内臓を取ってくれる間、不意に鯖の並んでいるそばにマテ貝があるのに気が付いた。最初から見えていれば鯖など買わず(1匹4ユーロ以上した)即座にマテ貝を買っていたのだが。子供の頃から眼鏡をかけている私は視界が異常に狭く、すぐ目の前にいる知人に気がつかずに、挨拶もせず通り過ぎるといった失敗は数知れない。
 長さ約10cmのマテ貝が20本ほどゴムで束ねられて、白いべろを出している。まだ生きている。デパートでマテ貝を見たが真空パックで包装された死んだもので、値段も高かった。この近所の市場でマテ貝を見るのは、というか貝類が売られているのはめったにない。値段は8ユーロ。かなりの予算オーバーとなるが、この機を逃したら自分の人生でマテ貝を食べるチャンスはもう二度と巡って来ないかもと思うと、既にさばかれ返品不可能となった鯖とともにマテ貝も買ってしまった。
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 私はマテ貝を日本で食べたことがない。初めて食べたのはアルガルヴェのどこかでマテ貝のリゾットを食べたときだった。どの町の何と言うレストランか思い出す手がかりは全く失ってしまったが、上品なあの味は忘れがたい。お米のクリーミーな舌触り、貝の歯ごたえ、日本料理にも通じる旨みのあるスープの味、そしてかすかなコリアンダーの香り。私が食べたポルトガルの米料理のベスト3は、漁師町のシーフードリゾット、北部の鴨の炊き込みご飯、そしてこの南部のマテ貝のリゾットである。もう一度食べたいものだと常々思っていたが、リスボンでこの料理をメニューに入れているレストランを見たことがない。となるとアルガルヴェに行くか自分で作るしかない。
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 インターネットでマテ貝のリゾット(arroz de lingueirão)のレシピを調べると色んな作り方があるが、私がたった一度食べてとても美味かったのは、トマトを使わない白いシンプルなリゾットだった。それに一番近いと思われるレシピを参照し、幻の味の再現にチャレンジした。

1、マテ貝をゆでる。
 砂出しをしたマテ貝を洗い、水を張った鍋に入れて火にかけゆでる。ゆで汁は米を煮るためにとっておく。
2、玉ねぎ、ニンニクをみじん切りにしてオリーブオイルで炒める。
 リゾットに限らずほとんどのポルトガル料理の基本中の基本で欠かせないもの。透明になる まで炒める。香りづけに月桂樹の葉も加える。
3、殻から出したマテ貝を加えて炒め、貝のゆで汁、白ワインを加え、米も入れて煮る。割合は米1に対し水分3くらい。米の硬さはお好みで。
4、塩で味を調え、仕上げにコリアンダーの葉を散らす。

 店で食べたリゾットの貝は小さく切られていたが、家で作るときは気前良く長いまま使う。ゆでると殻よりも大きくなって食べ応えがある。日本では殻つきのまま焼いたり、天ぷらやヌタにしたり色々な食べ方があるようだが、リゾットにして食べるのは、多分ポルトガルのアルガルヴェ地方だけだろう。自分で作ったマテ貝のリゾットはプロの味には及ばないが、貝をふんだんに使って贅沢感が味わえた。
オリーブオイルとニンニクで炒めただけでも美味い。
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 アルガルヴェには他にも独特の魚介料理がある。有名なカタプラーナはリスボンでも食べられるが、ウツボのフライのサンドイッチや、ツブ貝と豆の煮物などは現地に行かないと味わえない。ポルトガルで一番美味しいイワシはアルガルベ産だそうだ。アルガルヴェでは観光客向けのピザやハンバーガーなど無視して、地元の漁師を捕まえてどこの店が美味いか聞いてみよう。
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by caldoverde | 2008-11-28 08:31 | シーフード | Comments(7)
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 6月のポルトガルは最高だ。日本ではじめじめした梅雨なのに、リスボンでは抜けるような青空、緑も瑞々しく、ジャカランダの花も満開。皆上着を脱ぎ捨て、海に行く格好と変わらない姿で街を歩いている。30度近い気温でも吹く風は涼しく、木陰はオアシスだ。そして6月はイワシの季節。この頃のイワシは脂がのり、中には卵を持っているものもあって、最高においしくなる時期である。

 そして6月はお祭りの季節でもある。6月12日はリスボンの守護聖人、聖アントニオ祭が行われる。リベルダーデ大通りではパレードが行なわれる。リオのカーニバルのように各地区がチームを組み、テーマを決めて衣装を揃え、ブラスバンドにあわせてフリをつけて歌いながら行進する。リオのカーニバルの豪華さや洗練度・露出度とはまた違った、素朴さ、ダサさが魅力である。一番ダサい、もとい優れたチームはちゃんと賞が贈られる。

 各地区の広場ではモールが飾り付けられ、ステージが設けられ、各種屋台が登場して、リスボン子は飲んだり食べたり歌ったりと、明日の休日をゆっくり寝坊するために夜中、いや明け方まで楽しむ。賑わうのはアルファマやケーブルカーのあるビカ、バイロアルトだが、観光地としても有名なこれらの地区はよそから来た人たちが多く、傍若無人な若者に占拠され本来主役であるはずの住民やお年寄りがはじき出されているような感じがした。
 
 ところが数年前偶然に近所をぶらぶら散歩していたら、塀の中からにぎやかな音楽が聞こえてくる。狭い入り口から覗くと、おおっ、やっているではないか、お祭りを。中に何かあるのか気にもかけたことのない塀の中は空き地?になっていて、イワシや焼きチョリソを売る屋台が出ていて、ステージも設置されている。食べ物の屋台にはすでに行列が出来ている。これはもう並ぶしかない。まだ日は高い。これからますます人がやってきて、すっかり日が暮れた頃に並んだならばイワシにありつくには1時間もかかるに違いない。
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 お祭りで売られているイワシは、今年は1匹1ユーロ75セントだった。場所によっては2ユーロのところも出ただろう。数年前は1ユーロだった。ポルトガルは順調にインフレが進んでいる。お祭り以外の日にカフェの定食で食べる値段は5~6ユーロ。1皿3,4匹にじゃがいもやサラダが付いてくる。お祭り屋台ではつけあわせがない。ナイフもフォークも箸もない。ではどうやって食べるのかというと、イワシの尻尾をちぎれないように慎重につまんで、頭を天に向け大口を開け、イワシの頭からバリバリと噛み砕く・・・人は誰もいない。別売りのパンにイワシを乗せてパンのお皿ごと食べる。面倒だから尻尾も骨も食べる。別売りのサラダを買ってレタスやトマトや玉ねぎのスライスを載せるともっと良い。イワシは伝統的には焼きぴーマンのサラダを添える。とてもおいしいがこれは手間がかかるので屋台ではそこまでは用意していない。
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 メインがイワシなら、デザートはこれまたお祭りにつきものの揚げ菓子、ファルトゥーラスやチューロス。ファルトゥーラスは小麦粉を練ったものを大きなフライパンのような鍋に渦巻状に落として揚げ、バチンバチンとはさみで切ってシナモンを混ぜた砂糖の中に転がした、一本食べれば半日分のカロリーが補給できるような駄菓子である。
 スペインのチューロスはドロッとしたココアに浸しながら食べるので、中には何も入っていないが、ポルトガルのチューロスは中の穴にチョコやらジャムやら詰めたものが主流である。中身は毒々しい赤や緑のジャム、チョコレート、カスタードクリームらしき黄色いものなど数種類ある。どちらも子供に食べさせたくない菓子の上位に上がりそうだ。でも今日はお祭りだからと特別にお許しを得た子供たちは、コインを握り締めて揚げ菓子の屋台にやってきて、紙に包んだ熱々のファルトゥーラスやチューロスを受け取ると、ふうふう吹きながら駆けていく。
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 この広場では2時までお祭りが続く。ステージではルイス・アントニオ(誰?)オン・ステージ。ポルトガルの歌や、ポルトガル訛りのイタリア語でカンツォーネを歌い、住民は踊ったり飲んだり食べたりおしゃべりしてコミュニティの親睦を深める。のんびりまったりしたご近所のお祭りであった。

  6月はポルトガル各地でその町の聖人にちなんだお祭りが行われる。有名なのは23日―24日のポルトのサン・ジョアン(聖ヨハネ)祭。23日の夜はポルトの人たちはプラスチックのハンマーを持って誰彼となく他人の頭をピコピコたたきまくる。聖ヨハネは頭痛のときお祈りする聖人だからだそうだ。この日ポルトを訪れる人はたたかれっぱなしではつまらないので結局おもちゃのハンマーを買ってしまうことになる。
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by caldoverde | 2008-06-17 20:47 | シーフード | Comments(8)

アンコウ(タンボリル)

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 市場やスーパーの鮮魚コーナーにいくと、世の中には自分を凌ぐ容貌の生き物がたくさん存在することを確認し安堵する。ギザギザの歯をむく黒太刀魚、ピカソの絵のような平目系、そしてだらしなく開けた口から内臓が飛び出して、体全体がべったりと潰れたような格好のアンコウ。数ある魚の中でも、とりわけ私に自信を持たせてくれる顔をしているのがこのアンコウである。

 日本ではアンコウは捨てるところがないといわれ、特に肝は美味とされている。私は魚も動物も肝臓は得意ではないので積極的に食べないが、昔ナザレの魚市場でアンコウをさばく人が皮とかヒレと一緒に大きなアン肝を惜しみなくバケツに捨てているのを見て、あ~もったいないと思ったものだ。ところが最近はポルトガル人の間でも、アン肝のおいしさが認知されてきたようである。市場でひっくり返っているアンコウは、腹の真ん中に穴が開けられ、大きな肝を見せびらかしている。アン肝だけを使った料理があるのかどうかは知らないが、ポルトガル料理の人気者アンコウのリゾット(アロース・デ・タンボリル)は(本格的なレシピでは)アン肝を白ワインと混ぜたものを味付けに使う。一般的なレストランでは多分そこまで凝っていないと思うが、ぷりっと弾力のある淡白なアンコウが入ったリゾットは、ポルトガルの米料理の御三家に入れていいと思う。
マッサーダ・デ・タンボリル(アンコウとパスタの煮込み)小さく切ったピンク色のものがアン肝。スープが美味い!
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 他にアンコウの料理というと魚介類のシチューであるカルデイラーダやカタプラーナなど、トマト系の味付けで煮込んだものが主だ。日本風に刺身やしゃぶしゃぶや水炊きにしてもおいしいと思うのだが、日本料理店でも見かけない。でもポルトガルにあって日本になさそうな食べ方は、アンコウのバーベキューである。世界遺産の町シントラから少し離れたところにある田舎風の一軒家のレストラン、クラル・ドス・カペリーノスでは牛肉、豚肉の他にイカや海老、そしてアンコウを野菜とともに炭火で焼いたエスペターダ(串焼き)が名物である。給仕がテーブルにやってきて特殊な台に50cmはありそうな長い金属製串を吊るして、刺された肉、魚、野菜をめいめいの皿にサービスする。表面は香ばしい焦げ目がついて、中身はジューシーな肉や魚の炭火焼は単純にして美味しい。アンコウ本来のあっさりした味が楽しめて、トマト味に飽きた舌には新鮮だ。
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by caldoverde | 2008-05-30 23:29 | シーフード | Comments(8)

リスボンお魚フェア

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 テージョ川に面したコメルシオ広場を囲む建物の一角で、先ほど「リスボンお魚フェア」なる催し物が開かれた。中にはブースが5つ6つあり、そこではポルトガルの有名シェフ、そうでもないシェフが実際に料理を作るところを間近に見ることができる。そして出来上がった料理は入場料15ユーロの中に含まれる食券と引き換えに試食することができる。また切符を買うとワイングラスも渡され、ワインを1杯試飲できる。料理はもちろん魚を素材にしたもので、ポルトガル人にもっと魚の美味しさや魚料理の多様性を知ってもらおうという趣旨だそうだ。また外国向けにポルトガル料理を紹介しようという狙いもあるようで、英語を話す取材の人たちも多く見られた。
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 一番端のブースは寿司のケータリングをするポルトガル人の寿司職人のコーナーだった。黒い空手着のような割烹着を着た坊主頭のごつい親方が、器用に刺身を作ったり、ツマを切っている。有名シェフが腕を奮うポルトガルの魚料理を食べようという当初の目的は、いつもは敬遠するガイジンが握る寿司へと方向転換しつつあった。しかも、5ユーロ分の食券で握り二つに巻物6個という数は、リスボンの日本料理店で食べることを考えるとそれほど高くない(実際は15ユーロ払っているのだが。) 彩りの良い寿司や刺身はやはり他の魚料理よりも目を引く存在である。それではひとつ、ポルトガル人の寿司職人のお手並み拝見といきましょう。
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 結果。マグロの赤身とサーモンの握りだが、率直に言うと、リスボンの某有名日本料理店の寿司より美味しかった。寿司飯の炊き加減がちょうどいい。某有名店の寿司飯は私には柔らかくて、ご飯の弾力や香りがあまり感じられない。ネタも新鮮で、こんな美味しいマグロの赤身は久しぶりに食べた。巻物はなんだか色んな具が入った、いかにも外国で発明された寿司、といった感じではあるが、十分おいしい。海苔もいいものを使っている。初めは偏見の目で見ていたポルトガルの寿司職人も結構やるではないか。これにピリキータという赤ワインで有名な銘柄のロゼをお供にすると、見た目にも麗しく味もぴったり。5ユーロでこんな美味しい寿司が食べられるのなら、週1度は行きたい。このシェフたちはパーティーなどで出張調理するので、家に呼んで寿司を握ってもらうのも可能である。もっとかっこよかったら私一人のために寿司を握りに来てもらうところだ。

 寿司で空腹をなだめることはできたが、何か物足りない。せっかくだから洋物の魚料理も食べてみようと、更に5ユーロ出して食券を買いもう1品食べることにした。他のブースでは凝ったオードブルやセツーバル産の牡蠣を出しているところもある。1皿でなるべく色んなものを味わえるものはないか、と観察していたら、3種類のオードブルの盛り合わせを作っているブースがある。シェフの名前を見ると本屋で平積みになって売られているイタリア料理の本の著者と同じである。国会議事堂の前にある美味しいという評判のイタリアンレストランのシェフだ。また器が凝っていて、今はプラスチック容器に押されて日本ではほとんど見ることのない経木を使い、しかも船の形をしている、という点も大いに魅力を感じ、これを選んだ。
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 イカとニョッキのピリカラソース、白身魚の燻製りんごピューレ添え、魚のすり身のムースのトマトソースコリアンダー風味、の3種。イカのニョッキは日本のするめイカのような懐かしい味で唐辛子の効いたソースと好相性。魚の燻製とりんごピューレはぜんぜん関連のないシュールな組合せで、お互いの個性を引き立てている。最後の魚のムースは京都の料理のようなはかない味で、個性の強い他の2点に押されてあまり印象に残っていないが、吸い物の椀だねにしたら美味しいと思う。この船の器を持ち帰りたかったが、袋にも入れずに汚れた経木を壊さないようにバスや電車に持ち込むのは難しいと判断し、残念ながら会場に捨ててきてしまった。
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by caldoverde | 2008-04-16 18:21 | シーフード | Comments(11)
 バールやカフェのガラスケースには、甘い菓子パンやケーキとともにサルガードと呼ばれる塩味の揚げ物がおいてある。ちょっと小腹が空いた時、コーヒーまたはビールにサルガードをつまめば、しばらく凌ぐことができる。このサルガードの代表的なものが鱈のコロッケ、パステイス・デ・バカリャウ。ラグビーボールのような形で黄金色に揚がった鱈コロッケは熱くても冷めても美味しい。前菜、スナックのイメージが強いけれど、トマト味のリゾットやサラダを添えて1品料理にしているレストランもある。パーティでもよく登場し、すぐになくなるほど人気が高い。ご飯のおかずにもなるので作ってはいかが。

材料
・ジャガイモ
・鱈(日本では甘塩鱈の切り身など)
・卵
・パセリ
・塩・胡椒
・揚げ油

作り方
 ジャガイモと鱈を茹でて、皮や骨を取り、みじん切りにしたパセリや塩、胡椒、卵とともにフードプロセッサーにかけてよく混ぜる。機械がないときはすり鉢でジャガイモをつぶし、鱈は布巾などでもんで、繊維が細かくほぐれるようにする。
 カレースプーンを両手に持って、片方のスプーンで種をすくい、もう一方のスプーンで形を整えて、熱した油に落とし入れて、狐色に揚げる。
 分量は例によって適当。ただし、鱈をジャガイモと同量以上は使うこと。このコロッケはパン粉や小麦粉などの衣をつけない。細かい鱈の繊維が衣の役割をするので、鱈をケチると油の中でコロッケが崩れてとけてしまう。その場合は、日本式のコロッケ同様、小麦粉をつけて、卵を絡め、パン粉をまぶして救済する。

 高級な雰囲気のレストランで鱈料理がある!とばかりにパタニスカス・デ・バカリャウというものを頼むと、美男の蝶ネクタイの給仕がうやうやしく金縁のお皿かなんかに盛り付けてくれたものはどう見ても駅の立ち食いそばのてんぷらで、失望するか、ぷぷっと吹いてしまう危険性がある。パタニスカスは小麦粉を卵や水で溶いたものに細かくほぐした鱈や玉ねぎ、パセリを混ぜて、塩味をつけて油で揚げたものである。これこそ日本のかき揚げの元祖ではないかと思えるくらい、懐かしい味である。レストランのメインになるときは、やはりトマトや豆のリゾットなどと一緒にサービスされることが多い。しかしバールでビールを立ち飲みしているおじさんがつまみに食べているパタニスカスと本質はなんら変わらない。でも、できれば甘辛いつゆに入ったうどんやそばと食べたい。できれば給仕も腹の出たおじさんではなく、クリスチアーノ・ロナルドのような可愛い男の子の方が望ましい。
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パステイス・デ・バカリャウとパタニスカス
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by caldoverde | 2007-07-29 21:54 | シーフード | Comments(4)
本題とは関係ないけどバカリャウ・アサード(焼いた鱈)。魚の下の緑色の液体はオリーブオイル。上には揚げたニンニクがのっている。
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 鱈にジャガイモはつきものである。鱈料理と称するものの中には、芋の割合が7割位でこれはジャガイモ料理ではないか?と言いたくなるようなものも多い。でもジャガイモと鱈の相性はとてもいいので不満はない。だから美味しい鱈料理は、適度な塩抜きといいジャガイモが必須条件だろう。

 ジャガイモと鱈の組合せが絶妙なハーモニーをかもし出す料理が、バカリャウ・ア・ブラスである。このメニューはよくツアーの食事にも登場する。拍子木切りにしたジャガイモと玉ねぎと細く裂いた鱈を炒めて卵でとじたものだ。比較的簡単な料理なので、私は日本では干鱈の代わりに甘塩鱈の切り身を茹でて作る。ただしその場合干鱈独特の歯ごたえや風味は不足する。ジャガイモは種類に注意しないとべちゃっとなってしまう。私は手抜きして、切ったジャガイモをビニール袋に入れてレンジでチンしたあと玉ねぎと一緒に炒める。カロリーをそれほど気にしなければ、フライドポテトにして、玉ねぎは別に炒めて後から一緒にしたほうが美味しいと思う。鱈を加えて炒め、最後に溶き卵をいれて卵とじにする。あまり加熱すると卵がポロポロになって美味しくない。皿に盛り、パセリとオリーブの実で飾る。

 レストランによってはこのじゃが鱈の卵とじを工夫して独特のスタイルにしているところもある。5,6年前にメールトラというポルトガル南部の小さな町で食べたバカリャウ・ア・ブラスほど繊細なものにまだ出会った事がない。ジャガイモが拍子木切りよりさらに細いマッチ棒くらいに切られていて、鱈がそぼろ状というかでんぶ状というか、細かい繊維になるまでほぐされ、それが細いジャガイモに満遍なく絡み付いて、しかもその鱈の繊維が絡みついたジャガイモが卵の黄身の黄金色に輝いている。どんな風にしたらこのようなバカリャウ・ア・ブラスになるのか不思議だった。

 雑誌で見た、ブラジルのポルトガルレストランで作るバカリャウ・ア・ブラスは、フランス料理のようなしゃれた盛り付けになっている。卵を絡めたフライドポテトを小さな円形にまとめ、その上に鱈の切り身を乗せ、その上にまたジャガイモのガレットを重ね、また鱈の切り身、というふうに層を重ね、てっぺんにオリーブとパセリをかわいらしく飾ってケーキのようにしている。大皿に卵とじをてんこ盛りにして、ランダムにオリーブやパセリを散らしただけのポルトガル流盛り付けと比較するとずいぶん洗練されている。

 この店のバカリャウ・ア・ブラスは違う、私は、あるいは家族はこんなふうに作る、という情報があればよろしくお願いします。
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by caldoverde | 2007-07-21 18:15 | シーフード | Comments(8)
 ポルトガル料理といえば鱈料理と言われるくらい沢山の種類があるそうだ。鱈料理ばかりを集めた分厚い本も売られている。理論上1年間違う鱈料理を食べられるはずなのだが、実際にレストランで食べられるのは種類がほとんど限定されている。

 ポルトガルで言う鱈とは日本でよく見る生や薄塩の切り身がプラスチックトレーに3枚入っているようなものとは全く違う。スーパーや専門店には縦横50cmほどの洋凧の形に開かれた大きな干し鱈が何枚も重ねられて強烈な匂いを放っている。表面には塩が吹いている。これをギロチンでバチンバチンとカットし、ビニール袋に入れて量りにかけて値段をつける。スーパーにはあらかじめカットしてあるものや、細く裂いたものもある。

 干鱈は塩抜きしないと食べられない。1日以上、水を替えながら干鱈を戻す。この戻し加減がなかなか難しいようだ。塩を抜きすぎても残しすぎてもいけない。アルファマ地区の小さな食料品店では昔ながらにたらいに水を張って鱈をもどしながら売っている。
 
 このような手間を経てようやく鱈は調理されるが、代表的なものはバカリャウ・コジード。私が初めてレストランで自分で注文して食べたのもこれだった。バカリャウというのは鱈で、コジードというのは煮たという意味だ。つまり、鱈の煮物である。切り身を上品な薄味のだしで煮て、ゆずとかハジカミとか香りのいいつまが添えられて、きれいに形を整えた野菜や、食べられないけど花や葉っぱが添えられて…という日本の煮魚を想像すると、どーんとパンチを食らう。これは言語や文化を共有するブラジル人にとってもそうらしい。

 日系ブラジル人の知人はポルトガルのレストランでバカリャウ・コジード・コン・トードスという料理を注文した。コン・トードスとはみんな一緒という意味である。どんなすごい料理が出てくるかと期待しながら待つと、ただ水で茹でただけの大きな鱈の切り身と茹で野菜が出てきた。不審に思った彼は店の人に「コン・トードス」とは何だと尋ねたところ、鱈と一緒のジャガイモや人参やブロッコリや卵がトードス(皆さん)だということであった。鱈と上記のつけあわせを同じ鍋にぶち込んで茹でるから「みんな一緒」であるらしい。味付けは鱈から出る塩味のみ。これにオリーブオイルやビネガーをかけて食べる。ブラジル人の知人は第一印象では呆れたようだが、食べてみると結構美味いと言っていた。上手に塩抜きしていたのだろう。

 私の初バカリャウにおけるリアクションもブラジル人の知人同様であった。出てきたものを見て、これがレストランと称するところで出される料理かと驚いた。白い皿にのっているのは白身魚の大きな切り身とゆで卵とジャガイモである。色彩がない。しかしこれは許せる。許せないのは塩辛くてとても全部は食べられなかったことである。今考えるとそこは黙っていても観光客が来る立地である。地元の人はわざわざそんな店に行かないだろう。文句を言うべきだったが、その頃はあまりポルトガル語が話せなかった。
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by caldoverde | 2007-07-18 10:23 | シーフード | Comments(2)

小魚の唐揚げ

 日本の家庭でもおなじみのお惣菜の南蛮漬けは、南蛮国でも味や作り方はほとんど同じで、小あじなどの小魚をから揚げにして、野菜を入れたヴィネガーソースに漬ける。米酢や醤油を使えば和風、オリーブオイルにワインヴィネガーなら洋風。ポルトガルのレストランの前菜やバールのつまみに時々登場する。これはケルースのポウザーダのレストランで出された、おしゃれな盛り付けの南蛮漬け。
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 メインディッシュの小魚料理には、ぺティンガとカラパウジーニョがある。前者は小さなイワシ、後者は小あじである。長さが10cmくらいの小魚に軽く衣をつけて揚げたものに、トマトライスやパンをどろどろのおかゆ状にしたアソルダが付け合わされる。熱々の魚のフライにレモンをきゅっと絞り、歯の丈夫な人は頭や骨も丸ごと食べてしまおう。香ばしくてとても美味しい。
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 もうちょっと大き目のものとなるとペスカディーニャというものがある。ペスカーダという鱈系の白身魚の小さいもので、体の割りに大きな口をしている。その口に自分の尻尾をくわえさせられ輪になった状態でから揚げにされる。味は小あじや小イワシより淡白である。
 揚げたての魚のフライにはやっぱり生ビールか、緑のワイン、ヴィーニョ・ヴェルデがよく合う。

 お隣のスペインの珍味はウナギの稚魚であるが、ポルトガルではあまり見たことがない。高いので私の予算でいける店にはないだけかも。ところがスーパーの高級海産物コーナーにウナギの稚魚が私の手に届く値段で売られていた。手にとってよく見ると、原材料は魚のすりみであった。背中を表すためにうっすら灰色に着色され、小さな目までついている。非常によくできている。
 もう少し大きくなったウナギのから揚げをポルトで食べたことがある。ペスカディーニャのように輪にして揚げてあった。しかし骨が硬くて肉の部分が少ない。ウナギの味はどこへ?何度も言うが、日本のウナギの蒲焼は最高だ。
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by caldoverde | 2007-07-04 17:58 | シーフード | Comments(4)