ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カテゴリ:野菜・果物・キノコ( 13 )

マデイラの誇り

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最近街中でよく見るポスター、バナナを手ににっこり微笑む美魔女?と「私にとってバナナはマデイラで2番目に優れた輸出品」のコピー。

世界中で流通しているバナナは数社しかない大会社で栽培される単一品種で、もしバナナの病気が流行したらたちまち全滅する恐れもあるという。そう言えば日本ではバナナに品種があるなんて考えもしなかった。リスボンの大きなスーパーやデパートに行くと、バナナにも色んな種類があることが分かる。アフリカ料理に使う大きなバナナから子供の手のような可愛らしい小さなもの、赤い皮に包まれたものと大きさも色も多様である。

しかし普通のスーパーや八百屋に並んでいるのは、大メーカーのバナナともう一つ、マデイラバナナの2種類だ。私が選ぶのはいつもマデイラバナナ。輸入物に比べて少し高いが、小さめで小腹が空いた時のおやつにちょうど良い。甘みも強く、国産品なので殺虫剤などの心配も少ないと思う。

ポルトガルの食糧自給率を高め経済を活性化させるためにも、マデイラバナナを奨励する運動をひとりで密かに行っていたが、マデイラバナナ協会からはポスターのモデルになるオファーは来なかった。ミス・マデイラバナナに選ばれたのはマデイラ島出身のドローレス・ドス・サントス・アヴェイロ夫人、クリスティアーノ・ロナウドのご母堂である。ポスターのキャッチコピーの「マデイラで2番目に優れた輸出品」がバナナだとしたら、第一の輸出品は当然自分の息子であると誇らしげにドローレスおばちゃんは微笑む。

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シールには「ドローレス母さん推奨」の文字

現在、ヨーロッパはイギリスのEU脱退とサッカーのユーロ選手権で沸いている。開催国フランスでは熱い戦いが繰り広げられているが、ポルトガルは楽勝と思われていたF組でまさかの苦戦、アイスランド、オーストリア、ハンガリーとの対戦で引き分けてリーグ内3位に止まり、決勝進出をかけたクロアチア戦では、100分を超える延長の末に遂にロナウドのシュートをクアレズマがゴールに押し込み、危うく敗退の危機を脱した。ジリジリイライラする試合運びではあったが、最後の最後で本領を発揮したポルトガル代表、30日のポーランド戦ではより積極的なプレイを期待する。もう引き分け(ドロー)にならない(レス)ように、ドローレス母さんも応援している。フォルサ!ポルトガル‼︎
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by caldoverde | 2016-06-27 18:13 | 野菜・果物・キノコ | Comments(7)

ポルトガルの黒ダイヤ

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トリュフと一緒にお見舞いに頂いた野生のアスパラガス

骨折して外出がままならない2016年の3月は、18年のポルトガル生活を通じて最も来客を受け入れた月になりそうだ。お見舞に差し入れられた食糧は治った後も当分しのげそうな程で、ありがたい限り。しかも今の時期にしか手に入らない珍しいものまで頂いた。世界三大珍味の一つのトリュフを持ってきてくれたBさん、これからは必ず試合を応援します(心の中で)
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Bさんの旦那様の地元リバテージョ地方のある村がトリュフの産地で、春にトリュフ市が開かれ、ご夫妻は毎年山ほど買ってきては飽きるほど(!)堪能している。昔は誰でも採れたのに、今ではプロの採集者がごっそり採ってリスボンの高級レストランに卸すのだそうだ。トリュフはポルトガルでは地元民と一部のスノッブな人達だけの秘密の喜び。アレンテージョ地方ではトリュフを「アレグリア(喜び)と呼ぶ。貧しい農民たちが土の中から宝物を見つけた時の反応を表す呼び名だ。

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土を洗い流した状態。高級品はブラシで一粒残らず土を取り払うそうだ。

土の付いたトリュフは、小ぶりの里芋か新じゃが芋位の大きさで、普通のキノコに比べて重みと密度を感じる。インターネットで得た情報によれば、トリュフは香りが素晴らしいそうだが、嗅覚の弱い私が鼻を近づけてみても、微かな土のような匂いしかしない。しかしこの土の香りこそがトリュフの芳香を構成する重要な要素ではないのだろうか。だったらある程度土を残しておく位が良いのかな?と考えたが、実は表面の凸凹には土が入り込んでいるので、もったいないようだが、やはり薄く皮をむいて、穴に詰まった土はナイフの先などできれいに取ったほうが良い。そうしないと砂粒がジャリジャリと歯に当たる。

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薄く輪切りにしてみると、淡いピンクがかった断面にうっすらと白い模様が見える。まるでイベリコ豚の霜降り肉のような色柄だ。半分程輪切りにして、残りはみじん切りにした。フライパンにバターとオリーブオイルを半々にして熱しトリュフを炒め、そこに溶き卵を投入しオムレツを作った。卵2個に対しトリュフ1個というのは、結構贅沢な割合ではないだろうか。

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見かけはアレですが、美味しいです

芋のような外観だったトリュフはやはりキノコらしいシャキシャキした質感で、炒めるとマッシュルームに野性味を増したような香りが楽しめる。出来上がった料理に蓋をする必要がある程には香りは強くない。頂いたトリュフは希少で高価な白トリュフではなく、時に大量に採れるポピュラーな種類。それでもリスボンのスーパーで見ることはまずないので、たまたまこの時期に怪我をしたという偶然も重なって口にすることのできた珍味である。こんなことになって今年はトマールにシレルカを食べに行くのは叶わないかなと思っていたが、意外な形で別のキノコを賞味することができた。明日はリゾットにしようかパスタにしようか。

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頂いたアスパラガスを加えてパスタとリゾットを作ってみた。手前味噌ですが激うま。
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Bさんはトリュフを丸ごと肉や野菜と一緒に煮込むと美味しいよと教えてくれた。他の食材を制圧するほど強烈な香りを持たないポルトガルのトリュフは、逆に肉や野菜の旨味を吸収しつつ、歯切れの良さとかすかな春の味を楽しませてくれる。その気取りのない佇まいには世界三大珍味としての高慢さはない。謙虚というかもったいないというか、ポルトガルは実は色んな分野で埋もれた宝石(人材や資源、自然など)を保有している国だ。埋もれた宝石が乱獲され絶滅したり海外に流出したり値段が高騰しないことを切に望むばかりである。
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トリュフを加えたポルトガルのビーフシチュー、ジャルディネイラ(庭師の意)
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by caldoverde | 2016-03-27 03:37 | 野菜・果物・キノコ | Comments(4)

地の果てる処のキノコ

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 リスボンから車で約45分も走ると世界の果てに行き着く。ユーラシア大陸最西端ロカ岬。ここはまたリスボンとは異なる特殊な小気候の地域に属し、独特な植物の宝庫でもある。
 岬を覆うように生えているのは巨大化した「マツバギク」。5月頃満開になり、ピンクや黄色の花はとても可憐で、太い指のような葉は秋になると先が赤く色づいてこれも美しい。繁殖力が強く、時々引き抜かれている。
 春は白い小さな葱坊主のような「アルメリア」が咲く。別名ハマカンザシとも呼ばれるこの花が風に揺れる様は、夢二の描くはかなげな少女のようだ。
 数年前までやたら生えていたが、おそらく駆除されたのだろう。最近あまり見ない「ドクゼリ」は不気味な宇宙人のような姿である。
 何十年に一度しか花を咲かせない「リュウゼツラン」はポルトガルの海岸部でよく見られ、電柱のように丈のある茎を伸ばしてあまり美しくはない黄色い花を咲かせると、倒れて枯れてしまう。
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 そして春と秋の、暑くもなく寒くもない時期の雨の後には、ロカ岬にキノコがにょきにょきと生えてくる。春のキノコは巨大な白いキノコで、秋は茶色のこれまたかなり大型化する茶色いキノコが出現する。時々コメントを寄せてくれるOVOSMOLESさん、PATOさんはキノコ狩りの名人で、季節にはリスボンから車を出してロカ岬にキノコを採りに行き、仕事でロカ岬に来る時はビニール袋を持参する程の熱心さである。当然地元の人も黙ってはいない。ロカ岬の観光局のおばさんもキノコハンターの一人で、彼女は食用と毒キノコの見分けがつくと自負している。彼女によると、軸にスカートをはいているのは食べられるということだ。

 先日ロカ岬に行ったところ、このおばさんがずっしり重いビニール袋を私にプレゼントしてくれた。中身は日本では見たこともないような巨大なキノコがたくさん入っていた。椎茸に似た茶色のひび割れた模様のある笠で、軸はかなり長く、開いた状態のものは確かに軸にスカートをはいたような格好に見える。とても一人で食べきれる量ではないので、同じくこのブログの読者のMOREIAさんにおすそ分けすることにした。彼女の旦那様はご母堂がこのキノコをよく料理し食べていたということをおっしゃったので、私も二人の経験者のお墨付きを得たものと心強く、早速その晩に調理に取りかかった。
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 一番大きい直径が15cm位あるものは焼き魚用のグリルでシンプルに焼いて、ポン酢で食べた。マツタケどころか椎茸ほどの香りも何もない淡白な味だ。
 丸い、笠の開いていないものは玉ねぎ、ニンニク、ベーコン、ソーセージと一緒に炒めてワインのつまみとして食べた。これも特に印象に残る味や香りはないのだが、キノコ特有の歯ざわり、弾力があり、悪くはなかった。
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 しかし食べ終わってしばらくすると腹の具合がおかしくなり、胃腸が不穏な音を鳴らし始めた。ふと数ヶ月前ポルトガルに住むタイ人の家族がキノコで食中毒を起こし亡くなったというニュースが頭の中によぎった。静かなトイレの中で体と心の安定を試みた。最近少々便秘気味だったが問題は一気に解決した。キノコとソーセージの炒め物が私の贅肉となるのは回避された。喜ばしいことだ。

 インターネットで調べると、私の食べたキノコは「オニタケ」か「カラカサタケ」のようだ。ところがこの両キノコは人によって食用とされたり毒キノコとされたり評価はまちまちである。生食厳禁と警告している人もいれば、調理法を紹介しているHPもある。15cm以下のものが毒だという人もいれば、人によって食中毒を起こす可能性もありという記述もある。どうも100%安全なキノコではないらしい。調理の仕方や体質によっては当たる可能性もあるオニタケ?は、命を賭してまで食べたいような美味なものでもなかったので、まだ冷蔵庫に眠っているキノコの処分を今検討中である。
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石川県HP「いしかわ きのこ図鑑」より
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by caldoverde | 2011-11-22 02:29 | 野菜・果物・キノコ | Comments(11)

愛しのフィーゴ

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バス停に張られたビール会社のポスター

 クリスティアーノ・ロナウドがこんなに注目を浴びる以前は、ポルトガルサッカーの星といえばフィーゴだった。2004年ポルトガルで開催されたヨーロッパ選手権の主将を務め、数々の賞を獲得し、ポルトガルサッカーの黄金時代を築いた名選手である。巨額の契約金で他国のクラブに引き抜かれてもポルトガルにとってはバスコ・ダ・ガマに匹敵する英雄だ。
 漆黒の髪にきりっと濃い眉の下から覗く鋭い黒い瞳、うっすら青いひげの剃り跡、そして渦を巻く胸毛(今は脱毛して、ロナウドのようにつるっとした胸になった)マッチョなラテン男性の典型といった風貌である。奥様は金髪碧眼の元モデルの北欧美女である。サッカー選手は北欧美女が好きだ。クリスティアーノ・ロナウドの彼女もロシア系のモデルだ。

 フィーゴ率いるポルトガルが4位に入賞した2006年ワールドカップは、フランスのジダンとイタリアのマテラッツィの頭突き事件も有名である。引退を控えたジダンは有終の美を飾ることが出来なかった。サッカー音痴の私の記憶にも残るこの事件は、今「テルマエ・ロマエ」で大ブレイク中の漫画家ヤマザキマリさんが「赤い牙」という同人誌で発表した作品「VICTORIA」でも扱われている。「テルマエ」のプレリュードとも言うべき帝政ローマを舞台とした大真面目ギャグ漫画で、主人公はフィーゴとジダンそっくりのグラディエーター。熱狂する大観衆と皇帝の見守るコロシアムで行われる競技は…私にとってヤマザキさんの最高傑作のひとつであり、機会があったら是非単行本に入れて欲しい作品である。

 さてそんな有名なフィーゴも素顔はとても気さくで、ポルトガルにいるときはおばちゃんたちと仲が良い。彼女たちの間では、とってもスイートで、柔らかいと評判である。フィーゴはよく下町の辻に現われては皆からべたべた触られていたり、匂いを嗅がれたり、挙句に2ユーロで買われたりする。私も何度も買っては情熱をむさぼったものだ。季節がすぎるともう彼はリスボンには来ない。また来年までの辛抱だ。あ~フィーゴは本当に美味しいなあ。
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 フィーゴ(無花果)は日本と同じように、よく民家の庭先に植えられており、初夏から初秋にかけ、自分ちで採れた無花果をキロ2ユーロほどで売って小遣いを稼いでるおじさんおばさんがリスボンのあちこちに出没する。先日は珍しく若者が道端で無花果を売っていた。よれよれのTシャツにジーンズ、蓬髪にキャップといういでたちは、イチジクよりドラッグを売るのに似つかわしく、売り物は彼自身の地所から出荷されたものとは思えなかったが、フィーゴの誘惑には勝てず、数メートル通り過ぎてから引返し買うことにした。兄さんはベトベトする使い古しのビニール袋の底に3,4枚の無花果の葉っぱを敷いて、箱に無造作に積み上げられた無花果から15個袋に投げ入れ私に渡した。意外なことにおじさんおばさんが売っているものよりも傷みは少なかった。ということは食べ頃になる前の未熟な実が多かったとも言える。誰かに見つかる前にやみくもに木から収穫したのだろうか。

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フレッシュチーズに添えたり
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生ハムを巻いてみたけどそれだけで食べるのが一番美味しい
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by caldoverde | 2010-10-04 06:33 | 野菜・果物・キノコ | Comments(6)

春のフラワーキノコ

 またまたキノコの話で恐縮します。
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 ケーブルカーのグロリア線を上り、展望台を見ながら坂道を上っていくとプリンシペ・レアル公園に出る。そこでは毎週土曜日に有機野菜市が開かれる。以前ここでHokkaidoというかぼちゃを5ユーロも出して買い、ホクホクのかぼちゃの煮物を食べる気満々だったのに、身が入ってなくてがっかりしたことがあった。それでも近所のスーパーにはない野菜や有機ワイン、有機オリーブオイルなど変ったものが多いので、覗くだけでも楽しい。
 先日はトマールの近郊でシレルカという季節もののキノコを満喫した。ひょっとするとこの市でシレルカが手に入るかもしれないという淡い期待を抱きながら、春の強風の吹きすさぶ中、プリンシペ・レアル公園に出かけた。
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食用の花を売るおじさん
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有名な泥棒市よりはまだマトモなものが多いかも

 その日はたまたま公演で骨董品やハンディクラフトの市も開かれ賑わっていた。公園の一角の有機野菜市にはいくつかの出店が並び、様々な野菜やジャム、ワイン、オリーブオイルなどが売られている。私のお目当てはキノコなので、キノコのないテントはさっさと飛ばして次に移動。何番目かの出店で私の目が釘付けになった。シレルカではなかったが、キノコがある。しかも華やかなピンクや黄色の!こんな美しいキノコは生まれてはじめて見た。ピンクの方は、ヒラタケのように大き目の傘が重なり合っていて、匂いはあまり強くない。バラ色のグラデーションが官能的だ。黄色い方はシメジのように小さな傘が群生している。金貨のようなリッチな感じがするが、もろくて、ちょっと触っただけでいくつか傘が壊れてしまう。じっくり観察するには買わなくては。値段も考えず衝動的にこの2種のキノコを買ってしまった。
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 ポルトガル人はどんな風にこれらのキノコを料理するのか知らないが、私は簡単にパスタにして食べることにした。オリーブオイルをニンニクで香りをつけ、キノコを入れて炒め、生クリームとパルメザンチーズを加える。それだけでは彩りが物足りないので、パスタとともにポロ葱をゆでて、キノコクリームソースとあえた。春のキノコクリームパスタの出来上がり。
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 味は、シメジやヒラタケとほとんど同じで、淡白でシコッとした歯ごたえがある。クリームと相性が良い。後でネットで調べると、ピンクはトキイロヒラタケ、黄色はタモギタケというきのこのようだ。色から連想される幻覚症状は起こらなかった。それどころか食べた後、キノコなどにまた5ユーロも出してしまったと、覚醒する私だった。
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by caldoverde | 2009-04-07 07:38 | 野菜・果物・キノコ | Comments(2)
 日をおいて再びトマール近郊のレストラン「ア・ルリア」に、季節も終わりに近づきつつあるキノコ、シレルカを食べに行った。メニューはこの前とほぼ同じ、シレルカ入りスクランブルエッグ、焼きシレルカ、サーヴェルのフライ魚卵入りアソルダ添え、焼肉盛り合わせと、ベジタリアンの参加者のために前菜に小鰯のマリネ、メインにタコのオーブン焼きも加えた。今回は焼肉の付け合せとしてアソルダの代わりにシレルカのリゾットを頼んだ。

たっぷり玉葱ののった小鰯のマリネ。元祖南蛮漬け。
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信じられないほど柔らかいタコのオーブン焼き
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 シレルカ関係のメニューで一番美味しいのはこのリゾットだと思う。ふわっとキノコ特有の春の土のような香りが立ち、とろりとクリーミーなリゾットのお米は弾力のある、しかし芯はないポルトガル人好みの炊き上がり。細かく切ったベーコンが隠し味になって、塩味も程よく、お替りの進む味だ。肉や魚がなくても、このリゾットだけでも満足できそうだと思うのは、やはり米が主食の日本人だからだろうか。
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 この日は6人でワイン、デザート、コーヒーも頼んで1人当たりたったの18ユーロだった。レストランの帰りに生のシレルカを分けてもらおうと考えていたが、あまりにも満腹し、このうえ食べ物を持ち帰る気にはならなかった。しかし、夜にこの文章を書いている内に、まだ胃は昼間食べたものを消化中であるにもかかわらず、シレルカのリゾットを好きなだけ食べたいという欲求が湧いてきた。生シレルカを持ち帰っていれば、明日自分で作れるんだった。どうしよう、誰か車を出せる人に頼んでキノコがなくなる前にトマールに行くべきか・・・

 ポルトガルのど田舎にはしばしば、こんなところにこんな店がと思わせるような、味が良くてボリュームたっぷりでしかも安いという、三拍子揃ったレストランがある。そのような店はガイドブックにもミシュランにも載っていないが、ポルトガル人はちゃんと知っている。前に「ア・ルリア」に行ったときは平日で、客の入りもそれほどではなかったが、地元の名士といった雰囲気のお金持ちそうなおじさんたちのグループや、高級車でやってきたスーツ姿の中年夫婦が食べていた。今回は給料が出た後の日曜日だったので、入り口で順番を待つ家族連れがいたり、外の駐車場が満車だったりとかなりの繁盛ぶりを見せていた。不景気にもかかわらず、いや不景気だからこそ、人はますます安くて美味いところを嗅ぎ分ける嗅覚が発達するものだ。
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by caldoverde | 2009-03-30 08:32 | 野菜・果物・キノコ | Comments(3)
 ポルトガルの春ならではの味覚にはこのシレルカというキノコの他に、ヤツメウナギとサーヴェルという魚がある。これらは海水と淡水の間を行き来する魚でポルトガルでは特定の川でしか捕れない。昔は王様しか食せない高級魚だったヤツメウナギだが、今年はこの不況の影響で値崩れし漁師が困っているとニュースが伝えていた。庶民には嬉しいことかもしれない。しかし、実を言うとヤツメウナギリゾットが値段に見合ったおいしいものかというと、キノコを食べに来た我々4人はそれほどでも・・・という意見で一致した。

店の池で飼われているヤツメウナギ。他の魚の血を吸って生きている。目が怖い。襲われて亡くなる漁師もいるとか。古代ローマでは生きた奴隷を餌に与えていたという。
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 レストランのオーナーのアドヴァイスもあって、今の時期に河に産卵に来るサーヴェルのフライを選んだ。付け合せはサーヴェルの卵入りのアソルダ(パン粥)である。リスボンでもサーヴェルを食べたことはあったが、薄く切った切り身をカリカリに揚げたもので、ポテトチップだか揚げせんべいだか分らないものであった。また付け合せはニンニクとコリアンダーだけのアソルダだったが、トマールのこの店のは魚卵入り、親子丼だ。

金色に輝くサーヴェル。卵も美味しそう。
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  サーヴェルの身はリスボンで食べたものより大きく、厚い。淡白な魚の味と揚げた香ばしさが調和して素晴らしい。付け合せのアソルダがこれまた超美味。魚のだしにコリアンダーとニンニクの風味が効いたなめらかなパン粥の中に混じった、魚卵のプチプチ感が歯に心地よい。
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 そしてお目当てのシレルカのアソルダが付いた焼き肉の盛り合わせは2人前であるが、4人で分けても十分な量。羊肉や牛肉など何種類かの肉の中に、こんがり焼かれたシレルカの軸も混じっていた。私は肉より断然キノコがいい。そしてアソルダは、なんと材料となるパンをくり抜いた器に盛られて見た目を楽しませ、キノコのいい匂いは鼻をくすぐる。もう肉はどうでもいい。アソルダを…絶句。
焼肉盛り合わせ。これで2人前。
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シレルカのアソルダをアップで。これだけでは食欲はそそりませんが・・・
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by caldoverde | 2009-03-13 21:39 | 野菜・果物・キノコ | Comments(5)
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田舎のドライブインといった風情のレストラン「ア・ルリア」。中央の池には衝撃的な生き物が・・・!(次回続く)

 時々コメントをつけてくれるOvosMolesさんから、世界遺産のキリスト修道院のあるトマールの近郊にシレルカというものすごく美味いキノコがあるので食べに行きましょうというお誘いがかかった。たまたま立ち寄ったレストランで食べたヤギ肉の付け合せのキノコ入りアソルダ(パン粥)が、頭を打ち抜かれるような衝撃的な味だったという。そのシレルカというキノコは春先の雨の多い時期が終わり暖かくなる頃松林に生える季節ものだそうだ。そんなキノコは名前も聞いたことがなければ、リスボンのスーパーで見たこともなかった。

 だいたいポルトガルにはキノコが少ない。スーパーや市場にあるのは人工栽培のマッシュルームばかり。ようやくここ何年かの間に大きなデパートやグルメショップができたおかげで、生の椎茸やなめこやしめじやエノキダケが見られるようになったが、とても高い。1パック6~7ユーロもするのだ。鍋物をすると魚や肉よりキノコが高くなる。エノキダケやしめじなんぞにそんなに払えない。

 しかしマツタケやトリュフのような栽培できないもの、特定の季節や地域でしか取れないものなら少々高くても納得しなければならない。だからシレルカがもし一般的に知られていたらすごく高価なはずなのだが、そのレストランはそう高い店ではなかったという。それなら車を飛ばしてでも行く価値がある。

 OvosMolesさんが1か月以上も前からコンタクトを取ってくれていたおかげで、店は私たちのためにシレルカを確保してくれていた。店の入り口には立派なキノコが野の花に囲まれてディスプレーされている。ワクワク…
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 最初の前菜はシレルカの軸の部分を炒めたものがたっぷり入ったスクランブルエッグ。キノコの軸はこりこりと歯ごたえが良くて、土の匂いと春の芽吹きの薫りの混じったような野生的な香り。それをふんわりやさしい卵が包む。
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多分トリュフのオムレツにひけをとらない味

 前菜その2はオリーブオイルとニンニクをたっぷり使ったシレルカの丸焼き。こんがり焼いたキノコから薫り高い汁がオリーブオイルに溶け出して、パンに付けて食べるとこれがまたえも言われぬ佳肴となる。
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贅沢なものなんですが思わず笑っちゃうこの盛り付け
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by caldoverde | 2009-03-12 08:16 | 野菜・果物・キノコ | Comments(6)

Save the キャベツ

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 日本にいたときはキャベツに品種があるなんて思いもよらなかったが、ポルトガルのスーパーや市場には常に何種類かのキャベツがある。中国キャベツ(コーヴェ・シネーザ)とはご存知白菜。しかしこちらではどのように白菜を調理するのかは知らない。日本で一般的に見られるキャベツはポルトガル風ポトフ「コジード・ア・ポルトゲーザ」でダイナミックに煮込まれる。肉やチョリッソの旨みをたっぷり吸った甘味のあるキャベツは本当に美味しい。

 心臓の形をした可愛い「コーヴェ・コラソン(ハートキャベツ)」と言う品種は、柔らかくて甘味があるので細かく切ってスープに使われることが多い。

 ミーニョ地方発祥でポルトガルを代表するスープとなっているカルド・ヴェルデは「コーヴェ・ガレガ(ガリシア・キャベツ)」と言われる菜っ葉が欠かせない。ベテラン主婦は濃い緑色の固い葉っぱをくるりと巻いて目にも留まらぬ速さでトトトトと千切りにし、中堅主婦はハンドルでぐるぐる回す道具で細く刻み、新米主婦は市場で既に刻まれビニール袋に入ったキャベツを買い、ズボラ主婦はスーパーでレンジでチンするだけのレトルトを買い、私はレストランでプロの作ったものを食べる。

ちりめんキャベツと生ソーセージ
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 葉が鮮やかな緑色で美しい縮緬模様の「コーヴェ・ロンバルド(サボイ・キャベツ、ちりめんキャベツ)」は煮崩れないので、ソーセージを巻いてポルトガル風ロールキャベツにする。この料理で使うソーセージは、香辛料をたっぷり使って固く干しあげたチョリッソではなく、生の挽肉を羊腸に詰めたフレッシュ・ソーセージ。挽肉を使うより簡単で美味しい。
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  ポルトガルの土産物屋でよく見るキャベツや果物の形をした食器を作る陶器の会社は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したボルダロ・ピニェイロという陶芸家件漫画家が興した。アール・ヌーヴォーの影響を受け自然からのモチーフをふんだんに使った、リアリズムと装飾性の融合したユニークな陶器やアズレージョなどをたくさん生産してきた。比較的手ごろな値段のテーブルウェアや、ポルトガルの庶民を現したユーモラスな人形や、動物や植物をリアルにかたどった置物などを作る本社は、古い温泉病院のあるカルダス・ダ・ライニャ(王妃の温泉)という町にある。この町の名物の焼き物としては、ボルダロ・ピニェイロの製品のほかに、私のような上品な女性が口に出すのも憚るような仕掛けのあるマグカップもまた有名である。日本にも温泉地にはとんでもないみやげ物があるが、ポルトガルも然り。

 ところが昨今の世界を覆う不況の影響で、この歴史ある陶器メーカーが経営危機に瀕しているという。ウェッジウッドやローゼンタールなど世界的に有名な高級ブランドだけでなく、ポルトガルにもその余波が押し寄せてきたのである。この愛すべき陶器が生産されなくなるのは残念だ。何とか持ち直して欲しい。
キモ可愛いボルダロ・ピニェイロの陶器
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by caldoverde | 2009-01-20 08:35 | 野菜・果物・キノコ | Comments(8)

マルメラーダ

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 スーパーや八百屋にマルメロが並び始めた。新鮮な果物を人に例えたら、桃は赤ちゃんのほっぺ、サクランボは少女の唇、メロンはセクシーな女性の脚や胸(貧困な想像力にご容赦を)、ではマルメロは…マルメロに例えられて嬉しい人は誰もいないと思う。握りこぶしで洋梨の形を作ったような無骨な姿。見かけは悪くても中身は甘くて美味しいのだろうと思いきや、酸っぱくて生食はできないそうだ。
 そんなマルメロだが、イベリア半島では人々にとても愛されている。「マルメロの陽光」というスペイン映画は、老画家が果実のたわわに実るマルメロの木を一心に描き続けるのを淡々と描いた作品だった。私もマルメロの不思議な形に心惹かれ、鉛筆を取って描いてしまった。
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 マルメロで作ったジャム、マルメラーダはポルトガルで最も一般的なジャムだ。安いペンションの朝食や、大学の学食の定食には、必ずと言っていいほど小さなパッケージ入りの、または薄く切ったマルメラーダがバターとともにだされ、これをカルカッサというスカスカのパンに挟んで食べるのだ。

 ポルトの名所ドン・ルイス橋のたもとのレストラン街、リベイラ地区の河から一本中に入った薄暗い通りにある小さな店で昼食をとった時、デザートに出たのが、ケイジョ・フラメンゴと呼ばれる赤いワックスで覆われたオランダタイプのチーズの上にマルメラーダをのせたものだった。チーズといえば思い出すあの典型的な匂いと味を持つチーズと、山形銘菓「のし梅」にも似た甘酸っぱいマルメロ羊羹の組み合わせという意表をついた取り合わせに衝撃を受けた。日本では想像のつかない食べ方だが、チーズの塩分や匂い、マルメラーダの甘さが適度に中和され、慣れるとやみつきになる秀逸なデザートである。
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 ポルトガルのお菓子屋には、自家製マルメラーダを製造販売しているところがある。中にはオリジナルの陶製の容器入りのものや、注文に応じお客さんが持ち込んだ容器に入れてくれるところもある。可愛いどんぶりのような容器に入ったマルメラーダは甘い物好きへのプレゼントとして喜ばれるに違いない。
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 マルメラーダは容器入りのほかに、つまんで食べられるように一口サイズに切って砂糖をまぶしたものもある。また、ジャムではなく、果物の形とさくっとした歯ごたえを残したコンポートもある。このような製品はグルメショップやポルトガルの国産品だけを扱う専門店にあり、お値段も良い。一方、普通のスーパーにある量産品のマルメラーダは、他のジャムに比べるとずっしり重いが安い。

 昔住んでいた下宿の女主人のマルメラーダ作りを手伝ったことがある。果実の皮をむいてお湯でゆで、柔らかくなったらムーランというハンドルでぐるぐる回す裏越し器でなめらかにし、それに砂糖を加えて煮る、という工程だった。私はむいた皮をゴミ箱に捨てたが、後からマダムにあの皮はどうしたと聞かれて捨てたと答えたら、がっかりされた。マルメロの皮にはペクチンがたくさん含まれ、皮をゆでたお湯に砂糖を加えるとこれまたマルメロゼリーができるのだそうだ。そのときは既にマルメロの皮の上にかなりの地層が形成されていた。
 私は半強制労働が一つ減ったことでほっと胸を撫で下ろした。
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by caldoverde | 2008-10-04 23:56 | 野菜・果物・キノコ | Comments(13)