ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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カタプラーナ

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 数年前日本の某テレビ番組でポルトガルが何度か取り上げられたり、コマーシャルにリスボンのケーブルカーが使われたりして、日本での関心や認知度が高まったせいか、観光業に携わる私にとって多少仕事が増えた時期があった。人の心は移ろいやすい。ブームも去り、以前のように暇になり、また誰か話題を作ってくれないかなあと願っているのだが、他力本願だけではいけない、自分も何かポルトガルをアピールすることを考えなければとブログを始めた次第である。

 あの頃よく受けた質問が、あの鍋はどこに売っていますか、というものだった。ほとんどの人がその鍋の名前を正確に覚えてはいなかったが、誰もがその特徴を言葉であるいは身振りで説明することができた。それだけ特徴のある変わった形の鍋なのだ。カタプラーナという。全体の形はUFOのような、どら焼きのような、ハンバーガーのバンズのような形をしている。蓋も本体も形は同じ。要するに二枚貝を巨大にしたようなものである。1箇所ちょうつがいでつながって、留め金が3箇所にあり、それで鍋を密閉する。
 
 野菜や魚介類を入れてワインとオリーブオイルを注いで蓋を閉め火にかけること約15分。あっという間にブイヤベースもどきが出来上がる。この鍋は原始的な圧力鍋で、途中蓋を開けることができないので、材料の香りやうまみが逃げず短時間で調理できる。レストランでカタプラーナを注文すると、給仕がワゴンでこの鍋を運び、テーブルで鍋の蓋を開ける。きれいなあかがねの打ち出し鍋はそれだけでも絵になるが、開くと宝箱のごとく色彩豊かな海老や貝が美味しそうな湯気を立てて現れるのだ。客の目の前で開けるというのが重要なポイントである。このパフォーマンスがあるかないかで美味しさが違うような気がする。近所にその名も「カタプラーナ」という店があり、味は悪くはないが、鍋がすでに開いた状態でやって来るので、面白くなかった。

 この料理はもともとアルガルベの郷土料理である。漁師たちが捕った魚を数種類ぶつ切りにして野菜と一緒にぶち込んで煮た素朴なものだ。当然海に近いところが旨いし、実は高級レストランのものよりも場末の大衆食堂風のほうが味はいい。高い店は鱈やアンコウやクエなど高めの魚を使ったり、それをわざわざ揚げたり、ジャガイモを面取りしたりして下ごしらえしている。安いところは安いペスカーダという白身魚やイカが主役となるが、材料が新鮮なら十分に美味しい。
 
 
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 カタプラーナ鍋は他にどんな料理が作れるのか。専門店やアルガルベにはウサギや鶏肉のカタプラーナもある。米やパスタを入れてもよい。他にはアサリの蒸し煮、アサリと豚肉を合わせたアレンテージョ風ポークなどがある。料理以外には枕にする、玄関に吊るして呼び鈴の代わりに銅鑼のようにたたく、炭を入れてアンカにして布団を暖める、バラしてヘルメットにするなどアイディア次第で様々な用途がある。ポルトガル旅行のお土産にいかがでしょうか。
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by caldoverde | 2007-06-11 06:45 | シーフード | Comments(3)

焼き魚

アゼーニャス・ド・マールの絶景
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 ポルトガルのレストランのメニューには焼き魚が必ず入っている。季節や場所によって魚の種類は変わるが、イワシ、アジ、スズキ、鯛、平目、クエ、赤魚、鮭など、おなじみの魚である。店によってはどこ産だとか、天然ものである旨をメニューに示している。リスボンでは日曜日は市場が休み。漁もない。したがって月曜日も市場には魚はほとんど入っていない。新鮮な魚を買うのなら火曜日となる。またカトリックの国ポルトガルでは、金曜日は宗教上の理由で肉を食べずに魚を食べる人が多いから、金曜日も魚の入荷が多いということだ。だからリスボンで魚を食べるなら火曜日から金曜日の間に。日曜・月曜は期待しないほうがいい。港町や高級店ではこの限りではないとは思うが。

 生きのいい焼き魚は下手に料理したものよりもずうっと美味しいことはよく判る。しかし、ただ焼くだけだ。それなのにびっくりするような値段が付けられていることがある。それは日本のすし屋と同じで、天然ものだとか珍しい魚だとか理由があるのだろうが。リスボンの高いことで有名な魚専門レストランでご馳走になったときは、赤魚の焼きものが約一万円もした。炭火で焼かれ香ばしく美味しかったが自分では絶対に払わない値段だ。この店はどうも接待用らしい。

 シントラ近郊の風光明媚な海沿いの小さな町、アゼーニャス・ド・マールの大西洋に張り出したプールのあるお洒落なレストランで海を眺めながら一人(寂しく)舌平目を食べたときは、メニューにキロ当たり60ユーロという値段がついていた。初めは一番安いキロ40ユーロのスズキにしようか悩んだが、どの位の大きさか見てから決めようと思った。おねえさんが皿に生のスズキと舌平目を乗せてきた。巨大だ。どちらも一人では平らげられそうにない。でもおねえさんは、舌平目は縁側を取ると小さくなりますよ、それにもっと小さいのもありますというので、高いほうの舌平目を注文することにした。

 舌平目が来た。A4の紙からはみ出しそうな大きさだ。メニューには炭火焼きと書いてあったが、白い側にうっすら焼き色がついている程度で、黒い側は殆ど焦げ目がない。私は生焼けより炭化しているほうが好きなのでちょっと不満だが、生臭くなく美味しい。付け合せの野菜炒めが日本の味っぽくて懐かしい。ボイルした新じゃがはちょっと冷めていた。熱々だったら尚可であった。かなりの量があり、その日の夕食は食べなかった。パンとバター、ワインのハーフボトル、コーヒーで全部で約32ユーロ、約5千円だった。客はほとんどスペイン人の観光客で彼らにはそう高くはなかったのかもしれない。後で知ったことだが、レストランの主人自ら釣った魚を出す店だということだ。そうするとこの値段はまあ、納得がいく。
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 私の好きな魚はサルモネッテという可憐な赤い魚である。リスボンではたまにしか見られず、アジや養殖ものの鯛、サーモンより高い。セツーバルという港からやって来る。近所のレストランで食べて以来ファンになった。この店ではきれいにした腹にニンニクや香草を挟み、表面にパセリを混ぜたパン粉をかけてカリッとオーブンで焼く。一皿2匹で12ユーロくらい。キュートな魚のプリンセスにはプチプチ泡の出るワイン、ヴィーニョ・ヴェルデがぴったり。自分でも料理してみようと思い、近所の市場で生のサルモネッテを2匹買った。5ユーロ。生も高い。5ユーロならその辺のバールで定食が食べられる。市場のおばさんがうろこやワタを取ってくれるので、調理は簡単だ。アパートにはオーブンも魚を焼くグリルもないので、フライパンにオリーブオイルを引いて焼いたが…結果は無残なものとなった。フライパンだと表面はすぐ焦げるが、中まで十分に火が通らない。まあまあ旨かったが、やはり店で食べたほうがいい。ポルトガル人が外で魚を食べる訳が判った。プロが炭火で焼いた魚のほうが美味しいに決まっている。それに家の中が煙や魚のにおいで臭くならずに済むからだ。

悲惨な結果になったサルモネッテ
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by caldoverde | 2007-06-04 07:07 | シーフード | Comments(5)