ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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パン雑炊(アソルダ)

昼食を食べるおじさんたちで賑わう大衆食堂
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 アソルダという料理はカチカチに硬くなったパンを残さず美味しく食べられるように工夫して出来上がったものだろう。焼きたてのホカホカのパンを敢えてぐちゃぐちゃのどろどろにしなくてはならぬ理由はない。日本の雑炊と同じ、残り物料理に違いない。しかし、突然アソルダが食べたくなった時、パンを買ってそのまま2~3日放置して硬くなるのを誰も待ってはいられない。そんなわけでアソルダはその卑賤な出自にもかかわらず、結構高級な料理店でも出される立派な1品料理となっている。リスボンにはパパソルダというアソルダ専門店があるくらいである。高そうなのでまだ行ったことはないが。

 私の初アソルダ体験は某ポザーダ(昔は国営の宿泊施設)のレストランであった。歴史的ポザーダというカテゴリーに入る、有名な観光地の有名なポザーダであったが、一人旅の日本人の女にはなんだか冷たい、慇懃無礼な雰囲気が感じられた。そこで海老のアソルダを注文した。陶器のキャセロールが黒服の給仕によって丁寧に運ばれてきた。キャセロールのふちにむき海老がぐるっと輪を描いて並べられている。きれいに並べるのは多少手間がかかるのかもしれないが、余り芸のない盛り付けである。おもむろに給仕は生卵を割ってぼとっと中央に落とすと、2本のスプーンでぐちゃぐちゃにかき回し始めた。生卵の嫌いな私は心の中で「あ"~っ」と叫んだ。アソルダに生卵が付物であることを知らなかった。知っていたら、注文時に卵は要りませんと対策を立てることができたのだが。きれいに並べられた海老の輪は跡形もなく、キャセロールの中はカオスとなった。こうなっては卵をより分けるのも不可能である。一気に食欲を失くした状態で食べ始めた。しかしスプーンで一口食べると、一条の希望の光が差した。けっこううまいじゃん。ニンニクがきいている。コリアンダーだかパセリだか知らないが香草も彩と香りを添えている。海老も表面に飾られていたものだけでなかったらしく、パン雑炊の中にごろごろ入っている。
 ところが食べているうちにだんだん飽きてきた。肉や魚なら副菜に野菜やポテトがついてくるのだが、アソルダはどこをとっても同じ内容である。薄味ならソースをかけたり醤油をかけたりして調整できるが、味もしっかりついているのでこれ以上いじりようがない。キャセロールに半分ほど残し、せっかくのリサイクル料理もその理念を完全に実現しないまま下げられた。もともと1皿2人前だったのかもしれない。だとすれば従業員の丁重だが冷ややかな態度も納得できる(わけないって。)
上の写真のレストランのアソルダ。卵が固まってて良かった。
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 あるポルトガル人がポルトガル料理を評して盛り付けに工夫がない、特にアソルダのどこに美学があるのかという趣旨のことを言っていた。然りである。今火から下ろしたばかりの小鍋にど~んと盛られてくるのは、ぺこぺこにお腹が空いているときには大いに有効だが、逆に多すぎて見ただけでげっぷが出てくるというのも有り得る。もっと食欲をそそるような美的な演出もあるはずだ。例えばパンをくり抜いてその中にアソルダを詰めれば、歯ごたえのあるパンと、どろどろに溶けたおかゆ状のパンの2つの食感が楽しめて飽きないと思う。あるいは海老などの具は別に盛り、その付け合せとして海老のスープで調理したアソルダを添えるとか。そんなことを考えていたら、もともと残り物料理なんだからそんなに気取ることはないんだよ、と言う大衆食堂のおばちゃんシェフのがらがら声が頭の中で聞こえてきた。
 そう、アソルダは1人で食べるものではない。みんなでわいわい取り分けながら、色んなものと一緒に食べるのが美味しいのだ。
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by caldoverde | 2007-12-06 06:06 | パン・ご飯 | Comments(11)

かぼちゃの夢

 ポルトガルのかぼちゃは一般に皮がオレンジ色で中身も鮮やかなオレンジ色。ハロウィーンのお化けを作るあのタイプだ。水っぽくて甘味はほとんどなくてすぐに煮崩れる。こちらに来て何度日本のぽくぽくしたかぼちゃの煮物が食べたくなったことか。残念ながら根本的に種類が違う。皮が緑色の一見北海道のかぼちゃ風のものでも、煮てみるとやっぱり水っぽくて美味しくない。でもこちらのかぼちゃにはこちらの調理法があるのだ。スープにしたり、ジャムにしたり、またくり抜いてウサギのシチューを詰めたりと日本にはない独自の食べ方がある。そしてクリスマスの時期にはかぼちゃを使ったお菓子が登場する。

 それはソーニョス(夢)という名の揚げ菓子である。一口大の、かぼちゃを練りこんだドーナツ生地を油で揚げて、シナモンと砂糖をまぶしたものである。お菓子屋でもよく売っているが、家庭でも作られる。日本のおはぎみたいなものだろう。小さいのでつい何個も食べたくなるが、油と砂糖をたっぷり使っているので食べすぎ注意である。なぜ「夢」という名前なのか?夢のように美味しいお菓子なら他にいくらでもありそうだが。夢のようにふわふわとはかなく、一口で終わってしまうからか。クリスマスのお菓子天国の夢に浸っている間にポルトガル人は血糖値を上昇させベルトの穴をまた移動させるのだ。
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 ポルトガル人の夢といえば宝くじを当てることだろう。この国はカフェと競うように宝くじを扱う店が非常に多い。ユーロミリオンという定期的にヨーロッパ全域で発売される巨額の宝くじを当てたポルトガル人が何人かいる。人口がわずか1千万の国だから、その確率はかなり高いものである。日本のジャンボの6億円どころではない。何百何十億円である。ポルトガルでは当選者が狂わないように心理学の専門家がケアしてくれるそうだ。私も何回か挑戦したがかすりもしなかった。敗者に対する心理的ケアは行ってくれないのだろうか。
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by caldoverde | 2007-12-02 04:51 | お菓子・カフェ | Comments(5)