ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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リスボンお魚フェア

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 テージョ川に面したコメルシオ広場を囲む建物の一角で、先ほど「リスボンお魚フェア」なる催し物が開かれた。中にはブースが5つ6つあり、そこではポルトガルの有名シェフ、そうでもないシェフが実際に料理を作るところを間近に見ることができる。そして出来上がった料理は入場料15ユーロの中に含まれる食券と引き換えに試食することができる。また切符を買うとワイングラスも渡され、ワインを1杯試飲できる。料理はもちろん魚を素材にしたもので、ポルトガル人にもっと魚の美味しさや魚料理の多様性を知ってもらおうという趣旨だそうだ。また外国向けにポルトガル料理を紹介しようという狙いもあるようで、英語を話す取材の人たちも多く見られた。
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 一番端のブースは寿司のケータリングをするポルトガル人の寿司職人のコーナーだった。黒い空手着のような割烹着を着た坊主頭のごつい親方が、器用に刺身を作ったり、ツマを切っている。有名シェフが腕を奮うポルトガルの魚料理を食べようという当初の目的は、いつもは敬遠するガイジンが握る寿司へと方向転換しつつあった。しかも、5ユーロ分の食券で握り二つに巻物6個という数は、リスボンの日本料理店で食べることを考えるとそれほど高くない(実際は15ユーロ払っているのだが。) 彩りの良い寿司や刺身はやはり他の魚料理よりも目を引く存在である。それではひとつ、ポルトガル人の寿司職人のお手並み拝見といきましょう。
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 結果。マグロの赤身とサーモンの握りだが、率直に言うと、リスボンの某有名日本料理店の寿司より美味しかった。寿司飯の炊き加減がちょうどいい。某有名店の寿司飯は私には柔らかくて、ご飯の弾力や香りがあまり感じられない。ネタも新鮮で、こんな美味しいマグロの赤身は久しぶりに食べた。巻物はなんだか色んな具が入った、いかにも外国で発明された寿司、といった感じではあるが、十分おいしい。海苔もいいものを使っている。初めは偏見の目で見ていたポルトガルの寿司職人も結構やるではないか。これにピリキータという赤ワインで有名な銘柄のロゼをお供にすると、見た目にも麗しく味もぴったり。5ユーロでこんな美味しい寿司が食べられるのなら、週1度は行きたい。このシェフたちはパーティーなどで出張調理するので、家に呼んで寿司を握ってもらうのも可能である。もっとかっこよかったら私一人のために寿司を握りに来てもらうところだ。

 寿司で空腹をなだめることはできたが、何か物足りない。せっかくだから洋物の魚料理も食べてみようと、更に5ユーロ出して食券を買いもう1品食べることにした。他のブースでは凝ったオードブルやセツーバル産の牡蠣を出しているところもある。1皿でなるべく色んなものを味わえるものはないか、と観察していたら、3種類のオードブルの盛り合わせを作っているブースがある。シェフの名前を見ると本屋で平積みになって売られているイタリア料理の本の著者と同じである。国会議事堂の前にある美味しいという評判のイタリアンレストランのシェフだ。また器が凝っていて、今はプラスチック容器に押されて日本ではほとんど見ることのない経木を使い、しかも船の形をしている、という点も大いに魅力を感じ、これを選んだ。
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 イカとニョッキのピリカラソース、白身魚の燻製りんごピューレ添え、魚のすり身のムースのトマトソースコリアンダー風味、の3種。イカのニョッキは日本のするめイカのような懐かしい味で唐辛子の効いたソースと好相性。魚の燻製とりんごピューレはぜんぜん関連のないシュールな組合せで、お互いの個性を引き立てている。最後の魚のムースは京都の料理のようなはかない味で、個性の強い他の2点に押されてあまり印象に残っていないが、吸い物の椀だねにしたら美味しいと思う。この船の器を持ち帰りたかったが、袋にも入れずに汚れた経木を壊さないようにバスや電車に持ち込むのは難しいと判断し、残念ながら会場に捨ててきてしまった。
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by caldoverde | 2008-04-16 18:21 | シーフード | Comments(11)
 リスボン唯一のデパート、エル・コルテ・イングレスでハム・ソーセージフェアが催されていた。地階にあるスーパーの入り口付近の特設会場には、スペイン産の生ハムやポルトガル全国から集められた腸詰が山と積まれている。珍しいソーセージを手にとって見たり、骨付きの生ハムをナイフでこそげるようにして切る実演販売があったり、マネキンのおばさんたちからチョリッソを試食させてもらったり、結構楽しい。家内手工業的に作られた、形も不ぞろいな、様々な材料を使った腸詰類を見ると、豚やその他の食物を余すところなく利用し、保存に耐えるようにと工夫してきた先人の知恵がしのばれ興味深い。
 
 いつも利用する近所のスーパーでは見ない、変わった食肉加工品を見つけた。小さな枕のような形をしている白っぽい腸詰?である。名前はマラーニョスという。よく観察すると、四角い袋状のものは端がミシンで縫ってある。原材料を見ると、米が使われている。動物の内臓を四角い袋に縫って、その中にご飯や肉を詰めたもののようだ。しかしこれはどうやって食べるのだろう。袋から出して中身を食べるのか、そのままスライスして食べられるのか、または加熱しなくてはいけないのか、包装のビニール袋にはそのような注意書きはない。同じものを手にとってあーだこーだと言っているポルトガル人の夫婦に、これはどうやって食べるのですか、とポルトガル語で尋ねたら、旦那さんは得意の、私には苦手な英語で説明してくれた。半分判ったような判らないような顔をしていると、そばにいた店員が試食コーナーに連れて行ってくれた。
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 試食コーナーでは4種類の腸詰の薄く切ったものが鉄板で焼かれていて香ばしい匂いが漂っている。その中に一回り大きくて、白いつぶつぶとピンク色の切れ端と緑の草が混じっているものがあり、旦那さんはこれがマラーニョスです、と教えてくれた。豚の脂身だけで作られた腸詰に見えたそれを食べてみると、白いつぶつぶはまさしく米であり、ピンクの切れ端は肉で、緑の草は、なんとミントであった。卵抜きの肉チャーハンにミントで香りをつけたような、不思議な食感である。初めてミント味のチョコレートやアイスクリームを食べたときに受けたような軽い衝撃を感じた。ミントのあの清涼感はキャンデーや歯磨きには最適だが、腸詰とは意表をつく用途である。ミントにも食べ物を保存する効果があるのだろうか。
 
 珍しいのでひとつ買って家で食べてみようと思ったが、よく見ると2種類ある。何がどう違うのか迷っていたら、店員が、こちらはすでにゆでてあるので電子レンジでチンすればすぐに食べられます、と教えてくれた。簡単に食べられる方は空気を入れて膨らませたようにパンと張り切っている感じだが、もうひとつの方はシワシワでいかにも固そうだ。
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 さて、買ってきたマラーニョスをレンジで暖め、まな板で薄く切ろうとしたが、包丁がなまくらなためよく切れず、米がぱらぱらと散らばってしまった。包んである皮ごと食べてみたが、ゴムのように弾力があり噛み切れずに断念した。味はやはり歯磨風味の肉チャーハンのような不思議な味だった。本場のベイラ・バイシャ地方で知っている人が調理すればまたぜんぜん違うのだろうが、素人の私がレンジでチンして温めただけのマラーニョスにうまいか不味いかの判断は下せない。リスボンではレストランでもスーパーでもめったにお目にかかれないこの食べ物、やはりそれが生まれた所でないとほんとの味はわからない。

 作り方を調べると、肉はヤギの肉、そして袋はヤギの胃を使うらしい。ミントはヤギの肉や胃の臭み消しなのだろうか。そして米は炊いたご飯ではなく、生米を使う。これらの材料をヤギの胃の袋に詰めて、袋を縫い閉じ、米が柔らかくなるまでお湯でゆでる。ヤギの胃はきれいに洗わないといけないし、かなり手間ひまかかったものだ。この食べ物が作られるポルトガル中部スペイン国境に近いベイラ・バイシャ地方は、普通のツアーではめったに行くことのない地味な場所であるが、もしかすると珍味美味の宝庫なのかもしれない。
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by caldoverde | 2008-04-13 21:30 | 肉料理 | Comments(5)

燃える水

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 ポルトガルの焼酎といえば、バガッソまたはアグアルデンテという酒がある。バガッソは搾りかすの意味、つまりかすとり焼酎。アグアルデンテはアグア(水)とアルデンテ(燃える)の合成語であるから、アルコール度数の高い蒸留酒ということになる。どちらも原材料はブドウだが、アグアルデンテは搾りかすではなくワインから作る。日本の焼酎は色んな原料があってそれぞれの味が楽しめるが、ポルトガルはローマ時代の昔からワインを造っていたので、酒も酢も焼酎もブドウから作るものが圧倒的に多い。

 どちらも安物は無色透明でかなりくせがあり、いかにも場末のバールで赤ら顔のオヤジが立ち飲みしているものといったイメージがある。ところがアグアルデンテをオークの樽で寝かせて熟成したアグアルデンテ・ヴェーリャはポルトガルのブランデーと呼ばれるくらい薫り高い。値段も高い。500mlの瓶で安くても10ユーロ以上、いいものは数十ユーロ、もちろん高ければ高いほど美味しい。ホテルのバーなどでグラスを頼めば、1杯8ユーロ位するだろう。昔リスボンの空港でお土産に「アデガ・ヴェーリャ」という銘柄のアグアルデンテを買った。当時5000円くらいだった。グルメの友達に飲ませると大いに気に入った。私ももちろん気に入った。初めて買ったものがかなり良いものだったので、以後はそれより安いものを買うとどうも美味しくない。しかしおいそれと買える値段ではないので、何とか安くて味のいいものを探し続けている。

 先日久しぶりにオビドスに行った。お土産はオビドスの名物チョコレートと心には決めていたけれども、チョコレートとともに飲む何かが欲しくなった。でも同じくオビドス名物のジンジャ(サクランボのリキュール)では甘すぎる。怪しいポルトガル語を話すイギリス人夫婦の経営する地場産品の店に入ると、奥にはこの辺で作られているワインが棚に並び、テーブルの上にはうまそうなアグアルデンテが2本、試飲用に出ているではないか。チョコレートにピッタリに違いない。1本はポルトガルで唯一、コニャックと銘打つことが認められたアグアルデンテだそうで、蝋のシールが貼られ、なんだか偉そうな様子をしている。もう一本はそれよりもっと安い、とは言っても21ユーロの細長い瓶に入ったアグアルデンテであった。心はもう安い方に買うことに傾いていたが、一応比較検討したうえで選ぶ、というフリをして両方飲んでみた。奥さんは安い方が柔らかくて好きだと言っていた。私もあまり樽臭の強くない安い方が気に入ったので買うことにした。
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芋虫ではありません。オビドスで買ったオレンジピールのチョコレート。
 アグアルデンテ・ヴェーリャはきれいな琥珀色で、ふんわりと柔らかな香りが立つ。舌にのせるとまろやかな甘味さえ感じる。しかし、喉を通るときピリピリと焼け付くような刺激が電流のように走り、飲み下すとめまいがするような芳醇な薫りが鼻から抜けていく。これにオレンジピールのチョコレートなどつまみに添えると、まさに至福のひと時である。革のソファに体を深く沈め、窓から夜景を眺めながら、けだるいジャズに耳を傾け、という環境なら尚可、である。実際はアパートの備品の凹んだソファで、窓からは向かいのアパートの窓と洗濯物しか見えないのでカーテンは閉め、TVから見ているわけでもない馬鹿みたいに簡単なクイズ番組を垂れ流しにしながらパジャマ姿で晩酌、といったところ。酔って眠くなったらそのままソファに寝るか、またはベッドによろよろと倒れこめるように準備を整えて。
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by caldoverde | 2008-04-05 03:04 | 酒・ワイン | Comments(3)