ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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アンコウ(タンボリル)

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 市場やスーパーの鮮魚コーナーにいくと、世の中には自分を凌ぐ容貌の生き物がたくさん存在することを確認し安堵する。ギザギザの歯をむく黒太刀魚、ピカソの絵のような平目系、そしてだらしなく開けた口から内臓が飛び出して、体全体がべったりと潰れたような格好のアンコウ。数ある魚の中でも、とりわけ私に自信を持たせてくれる顔をしているのがこのアンコウである。

 日本ではアンコウは捨てるところがないといわれ、特に肝は美味とされている。私は魚も動物も肝臓は得意ではないので積極的に食べないが、昔ナザレの魚市場でアンコウをさばく人が皮とかヒレと一緒に大きなアン肝を惜しみなくバケツに捨てているのを見て、あ~もったいないと思ったものだ。ところが最近はポルトガル人の間でも、アン肝のおいしさが認知されてきたようである。市場でひっくり返っているアンコウは、腹の真ん中に穴が開けられ、大きな肝を見せびらかしている。アン肝だけを使った料理があるのかどうかは知らないが、ポルトガル料理の人気者アンコウのリゾット(アロース・デ・タンボリル)は(本格的なレシピでは)アン肝を白ワインと混ぜたものを味付けに使う。一般的なレストランでは多分そこまで凝っていないと思うが、ぷりっと弾力のある淡白なアンコウが入ったリゾットは、ポルトガルの米料理の御三家に入れていいと思う。
マッサーダ・デ・タンボリル(アンコウとパスタの煮込み)小さく切ったピンク色のものがアン肝。スープが美味い!
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 他にアンコウの料理というと魚介類のシチューであるカルデイラーダやカタプラーナなど、トマト系の味付けで煮込んだものが主だ。日本風に刺身やしゃぶしゃぶや水炊きにしてもおいしいと思うのだが、日本料理店でも見かけない。でもポルトガルにあって日本になさそうな食べ方は、アンコウのバーベキューである。世界遺産の町シントラから少し離れたところにある田舎風の一軒家のレストラン、クラル・ドス・カペリーノスでは牛肉、豚肉の他にイカや海老、そしてアンコウを野菜とともに炭火で焼いたエスペターダ(串焼き)が名物である。給仕がテーブルにやってきて特殊な台に50cmはありそうな長い金属製串を吊るして、刺された肉、魚、野菜をめいめいの皿にサービスする。表面は香ばしい焦げ目がついて、中身はジューシーな肉や魚の炭火焼は単純にして美味しい。アンコウ本来のあっさりした味が楽しめて、トマト味に飽きた舌には新鮮だ。
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by caldoverde | 2008-05-30 23:29 | シーフード | Comments(8)
 ブラジルの代表的な料理フェイジョアーダは、黒豆に豚の耳や鼻など捨てるような部分を混ぜて煮込んだ、ずっしり重い、力のつきそうな料理である。かの地では水曜だか木曜の昼に食べる。夜に食べると胃がもたれてよく眠れなくなるそうだ。昔は文字通り放るもんを使った奴隷用の食べ物だったが、今は立派なレストランのメニューになるまで出世した。
 考えてみれば豚の耳や鼻は全体から見るとわずかな量しか取れない珍味である。品種改良して耳が6つある品種とか象のように鼻が長い豚が生産されれば、レストランでも毎日フェイジョアーダを出すだろう。
 ポルトガルでも豚の耳や鼻を使ったコジード・ア・ポルトゲーザは週の1,2回しか登場しない。店によって水曜か木曜、土曜か日曜のいずれかで、その日は店の入り口に「本日コジードあります」と張り紙してある。

 ポルトガルにもフェイジョアーダはある。むしろこちらがルーツだろう。フェィジョンは豆のことで、豆の煮込み料理はフェイジョアーダになる。使われる豆は赤豆や白いんげん豆が多い。フェイジョアーダ・デ・ショコスという料理はモンゴウいかと豆を煮込んだもの。Chocosと言ってもチョコレートではない。また季節にはカタツムリのフェイジョアーダが登場するレストランもある。いくら季節ものと言っても、食べようと言う気はあまり起こらないが。ポルトのトリパス・ア・モーダ・ド・ポルトもフェイジョアーダの1種と考えられる。

「モアンバ」を食べたアンゴラ料理店の木曜日のメニューはトラス・オス・モンテス風フェイジョアーダ。洗面器のような巨大なボウルに入っている。
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 ポルトガル北東部のトラス・オス・モンテス地方はリスボンからバスで5~6時間もかかる山また山の、9ヶ月の冬と3ヶ月の灼熱地獄と言われるような自然環境の厳しいところである。延々と続く山に自然の森はほとんどなく、みな人の手が入ったブドウ畑やオリーブ畑になっている。いかに人間が長い間自然と闘って荒野を開拓していったかがしのばれる。このような過酷な労働にはやはり力のつくものを食べないことにはやっていけないだろう。
 やせた土地でも収穫でき保存もきく豆を主に、冬は家の床下に入れて暖房機の代わりにした豚を余すところなく利用して、人参やキャベツなどそこらにある野菜を放り込んだ、スタミナたっぷりのフェイジョアーダ・ア・トランスモンターナは、リスボンという(田舎の)都会に住む私たちにとって、食べた後プールで泳いでジムでエクササイズしてショッピングセンター・コロンボをくまなくショッピングして階段を登ってマンションに帰り家中雑巾がけをするか、すぐに横になって食べたものが消化されるのを静かに待つかどちらを優先すべきか悩ませる食べ物だ。
 悩んだ末私が出す結論は、常に後者である。
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上の写真の拡大図。色んな腸詰入り。
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by caldoverde | 2008-05-25 08:45 | | Comments(11)

ポルトのフランス娘

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 ポルトの代表的な料理といえばモツ料理のトリパス・ア・モーダ・ド・ポルトであるが、実はもうひとつフランセジーニャというものがある。フランスの女の子というハイカラな響きを持つこの食べ物は、パリジェンヌみたいにおしゃれなものというよりは、大阪のお好み焼のごとく気取らずボリュームたっぷりで腹が膨れ、でもハンバーガーのように立ち食い歩き食いはできず、上品にナイフとフォークで食べる、食事とスナックの中間といった食べ物である。

 1960年代にフランスに移民していたポルトガル人が、クロックムッシューやクロックマダムといったフランス版ホットサンドイッチにヒントを得て考案したものだそうだ。マダムでもムッシューでもないのでマドモワゼルなんだろうが、この娘さんが一番大食いだ。

 耳付の食パン2枚の間に、牛肉のステーキ、ハム、ソーセージ、とろけるチーズをはさみ、更に一番上にもチーズをのせて、サンドイッチ全体に満遍なくピリッと辛いソースをかけてオーブンで焼いたもの。中身は店によって海老を加えたり、卵を載せたり、豚肉やベーコンに替えたりとバリエーションがある。しかし、どんなに中身が充実しようが、ソースがなければただのサンドイッチである。たっぷりとパンを浸すソースこそフランセジーニャがフランセジーニャである所以であろう。
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牛肉、ハム、ソーセージ、チーズの基本材料に海老を加えた「セビーリャ風フランセジーニャ」

 このソースは辛いものの苦手なポルトガル人の発明にしては珍しくスパイシーであるが、ひりひりするほどではなく、ビロードのようななめらかさでおいしい。カロリーオーバーを気にしてフライドポテトは抜いてもらったが、揚げたじゃがいもにこのソースをつけて食べたら、止められなくなるはずだ。ただの目玉焼きにこのソースを添えたら、結構高級な味になるのではないだろうか。一体何を材料に作っているのか、複雑な味である。ネットで調べても製法は秘密で店によって違うとしか書いてない。もしかするとポートワインを使っているとか…?ポルト発祥なので十分可能性はある。スーパーに出来合いのソースが売っているそうだが、ポルト周辺の地域限定なのか、リスボンでは見たことがない。今度ポルトに行ったときのお土産はフランセジーニャ用ソースにしよう。
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by caldoverde | 2008-05-02 08:24 | ファストフード | Comments(11)