ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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<   2009年 03月 ( 4 )   > この月の画像一覧

 日をおいて再びトマール近郊のレストラン「ア・ルリア」に、季節も終わりに近づきつつあるキノコ、シレルカを食べに行った。メニューはこの前とほぼ同じ、シレルカ入りスクランブルエッグ、焼きシレルカ、サーヴェルのフライ魚卵入りアソルダ添え、焼肉盛り合わせと、ベジタリアンの参加者のために前菜に小鰯のマリネ、メインにタコのオーブン焼きも加えた。今回は焼肉の付け合せとしてアソルダの代わりにシレルカのリゾットを頼んだ。

たっぷり玉葱ののった小鰯のマリネ。元祖南蛮漬け。
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信じられないほど柔らかいタコのオーブン焼き
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 シレルカ関係のメニューで一番美味しいのはこのリゾットだと思う。ふわっとキノコ特有の春の土のような香りが立ち、とろりとクリーミーなリゾットのお米は弾力のある、しかし芯はないポルトガル人好みの炊き上がり。細かく切ったベーコンが隠し味になって、塩味も程よく、お替りの進む味だ。肉や魚がなくても、このリゾットだけでも満足できそうだと思うのは、やはり米が主食の日本人だからだろうか。
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 この日は6人でワイン、デザート、コーヒーも頼んで1人当たりたったの18ユーロだった。レストランの帰りに生のシレルカを分けてもらおうと考えていたが、あまりにも満腹し、このうえ食べ物を持ち帰る気にはならなかった。しかし、夜にこの文章を書いている内に、まだ胃は昼間食べたものを消化中であるにもかかわらず、シレルカのリゾットを好きなだけ食べたいという欲求が湧いてきた。生シレルカを持ち帰っていれば、明日自分で作れるんだった。どうしよう、誰か車を出せる人に頼んでキノコがなくなる前にトマールに行くべきか・・・

 ポルトガルのど田舎にはしばしば、こんなところにこんな店がと思わせるような、味が良くてボリュームたっぷりでしかも安いという、三拍子揃ったレストランがある。そのような店はガイドブックにもミシュランにも載っていないが、ポルトガル人はちゃんと知っている。前に「ア・ルリア」に行ったときは平日で、客の入りもそれほどではなかったが、地元の名士といった雰囲気のお金持ちそうなおじさんたちのグループや、高級車でやってきたスーツ姿の中年夫婦が食べていた。今回は給料が出た後の日曜日だったので、入り口で順番を待つ家族連れがいたり、外の駐車場が満車だったりとかなりの繁盛ぶりを見せていた。不景気にもかかわらず、いや不景気だからこそ、人はますます安くて美味いところを嗅ぎ分ける嗅覚が発達するものだ。
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by caldoverde | 2009-03-30 08:32 | 野菜・果物・キノコ | Comments(3)

復活祭とチョコレート

 もうすぐ復活祭(イースター)らしい。らしい、と言うのは毎年違う日付の移動祝祭日なので、いつも直前になるまではっきりした日にちが判らないからだ。敬虔なキリスト教徒なら、前年から次の年の復活祭がいつになるかちゃんとチェックし、イースター休暇の旅行の計画を立てているはずだ。異教徒の私はスーパーやカフェに卵やウサギの形をしたチョコレートが並び始めて、ようやく復活祭が近づいていることを悟る。

 観光の仕事中、お客様から「お土産に買いたいのでポルトガルのチョコレートのメーカーを教えてください」という質問を受けることがあるが、答えに窮してしまうことが多い。ポルトガルはベルギーやスイスのようにチョコレート加工生産の伝統があるわけではないし、もちろんカカオの産地でもない。それは理解している上で、せめてポルトガルに行ってきたという証拠に職場や知り合いに配る義理土産、保存が利いて持ち運びしやすく手ごろな値段のものとして、ポルトガルのチョコレートをという気持ちはよくわかる。しかし普通のスーパーや食料品店、カフェにあるチョコレートは多国籍企業の大メーカーのものがほとんどである。ポルトガル国産のチョコとなるとなかなか見つからない。どこ産のチョコでもいいから、パッケージにベレンの塔やニワトリのイラストを印刷したものをお土産屋に置いてくれれば、日本人観光客はだいぶ助かると思うのだが。

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Imparial社のアーモンドチョコRegina、卵チョコ(中は空洞)のFantasias、コインブラで今でも作られる元祖金平糖

 では、ポルトガルのチョコレートメーカーは全く存在しないかと言うと、全生産量の何割かを外国に輸出しているチョコレート工場があるのだ。北部のヴィラ・ド・コンデという町のインペリアルという会社だ。この会社はJubileu、 Regina、Fantasias等のブランド名でそれぞれ違うタイプのチョコレートを生産している。しかしこの会社のチョコが私のアパートの下にもある全国で最も多い店舗数を誇るスーパーに並ぶのは、春の復活祭と冬のクリスマスの時期だけである。(ヴァレンタインデーはポルトガルでは今のところそれほどチョコレートの需要は大きくない。)
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一粒一粒個性的なポルトガルの金平糖

 さて、復活祭のお菓子というと日本の金平糖と語源を一にするコンフェイトと呼ばれるアーモンド菓子が代表的だ。砂糖やチョコレートでコーティングしたアーモンドはいかにも春らしいパステルカラー。殻付きゆで卵を練りこんで焼いたパン、フォラール・デ・パスコアや、チョコレートで出来た巨大な卵もカラフルな包装に包まれて店頭を賑わす。どれも卵型、または卵そのものを使ったものばかり。これはキリストが再び蘇る日である復活祭のシンボルが、生命の再生、誕生を表す卵であるからだそうだ。
 そしてもうひとつのシンボルはウサギである。生命の誕生や子孫繁栄を願う古代人の信仰をキリスト教が取り込んで、繁殖力旺盛なウサギを復活祭のシンボルにしたそうで、大小のウサギ型チョコレートもスーパーの特設コーナーにひしめいている。

 復活祭用のウサギ型・卵型のチョコやアーモンドチョコ、クリスマス用のサンタクロース型・ツリー型のチョコがインペリアル社の主力商品である。またこの種の商品を作る零細企業も意外と多い。したがって復活祭とクリスマスの前後はポルトガル産のチョコが比較的容易に手に入る。

 しかし、いつまでも伝統にこだわっていては新しい購買層の獲得は難しい。今年のイースターにはついに卵やウサギの以外のキャラクターが登場した。それは、ご存知Hello Kittyである!日本生まれの人気キャラクターがついにキリスト教2千年の伝統に殴り込みをかけた!しかも復活祭とは何の関係もない猫がである!幼児向けのキャラクターとして30数年前日本で誕生したキティちゃんは今やポルトガルの若い女性にも大人気で、リスボンのバイシャ地区にはサンリオショップがオープンし、こちらの携帯電話会社ではキティちゃんのケータイも売られている。チョコの卵と並んだキティちゃんの人形はれっきとしたライセンス商品。復活祭の伝統のない日本ではおそらく売っていないレア物だろう。ところがこのイースターエッグキティは英国の会社の商品で、純粋のポルトガル土産とは言えないところが難である。もっともキティファンにはそんなことは関係ないだろう。
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特別出演、近所の猫ゴルムさんとイースターキティ
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by caldoverde | 2009-03-29 02:40 | お菓子・カフェ | Comments(5)
 ポルトガルの春ならではの味覚にはこのシレルカというキノコの他に、ヤツメウナギとサーヴェルという魚がある。これらは海水と淡水の間を行き来する魚でポルトガルでは特定の川でしか捕れない。昔は王様しか食せない高級魚だったヤツメウナギだが、今年はこの不況の影響で値崩れし漁師が困っているとニュースが伝えていた。庶民には嬉しいことかもしれない。しかし、実を言うとヤツメウナギリゾットが値段に見合ったおいしいものかというと、キノコを食べに来た我々4人はそれほどでも・・・という意見で一致した。

店の池で飼われているヤツメウナギ。他の魚の血を吸って生きている。目が怖い。襲われて亡くなる漁師もいるとか。古代ローマでは生きた奴隷を餌に与えていたという。
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 レストランのオーナーのアドヴァイスもあって、今の時期に河に産卵に来るサーヴェルのフライを選んだ。付け合せはサーヴェルの卵入りのアソルダ(パン粥)である。リスボンでもサーヴェルを食べたことはあったが、薄く切った切り身をカリカリに揚げたもので、ポテトチップだか揚げせんべいだか分らないものであった。また付け合せはニンニクとコリアンダーだけのアソルダだったが、トマールのこの店のは魚卵入り、親子丼だ。

金色に輝くサーヴェル。卵も美味しそう。
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  サーヴェルの身はリスボンで食べたものより大きく、厚い。淡白な魚の味と揚げた香ばしさが調和して素晴らしい。付け合せのアソルダがこれまた超美味。魚のだしにコリアンダーとニンニクの風味が効いたなめらかなパン粥の中に混じった、魚卵のプチプチ感が歯に心地よい。
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 そしてお目当てのシレルカのアソルダが付いた焼き肉の盛り合わせは2人前であるが、4人で分けても十分な量。羊肉や牛肉など何種類かの肉の中に、こんがり焼かれたシレルカの軸も混じっていた。私は肉より断然キノコがいい。そしてアソルダは、なんと材料となるパンをくり抜いた器に盛られて見た目を楽しませ、キノコのいい匂いは鼻をくすぐる。もう肉はどうでもいい。アソルダを…絶句。
焼肉盛り合わせ。これで2人前。
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シレルカのアソルダをアップで。これだけでは食欲はそそりませんが・・・
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by caldoverde | 2009-03-13 21:39 | 野菜・果物・キノコ | Comments(5)
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田舎のドライブインといった風情のレストラン「ア・ルリア」。中央の池には衝撃的な生き物が・・・!(次回続く)

 時々コメントをつけてくれるOvosMolesさんから、世界遺産のキリスト修道院のあるトマールの近郊にシレルカというものすごく美味いキノコがあるので食べに行きましょうというお誘いがかかった。たまたま立ち寄ったレストランで食べたヤギ肉の付け合せのキノコ入りアソルダ(パン粥)が、頭を打ち抜かれるような衝撃的な味だったという。そのシレルカというキノコは春先の雨の多い時期が終わり暖かくなる頃松林に生える季節ものだそうだ。そんなキノコは名前も聞いたことがなければ、リスボンのスーパーで見たこともなかった。

 だいたいポルトガルにはキノコが少ない。スーパーや市場にあるのは人工栽培のマッシュルームばかり。ようやくここ何年かの間に大きなデパートやグルメショップができたおかげで、生の椎茸やなめこやしめじやエノキダケが見られるようになったが、とても高い。1パック6~7ユーロもするのだ。鍋物をすると魚や肉よりキノコが高くなる。エノキダケやしめじなんぞにそんなに払えない。

 しかしマツタケやトリュフのような栽培できないもの、特定の季節や地域でしか取れないものなら少々高くても納得しなければならない。だからシレルカがもし一般的に知られていたらすごく高価なはずなのだが、そのレストランはそう高い店ではなかったという。それなら車を飛ばしてでも行く価値がある。

 OvosMolesさんが1か月以上も前からコンタクトを取ってくれていたおかげで、店は私たちのためにシレルカを確保してくれていた。店の入り口には立派なキノコが野の花に囲まれてディスプレーされている。ワクワク…
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 最初の前菜はシレルカの軸の部分を炒めたものがたっぷり入ったスクランブルエッグ。キノコの軸はこりこりと歯ごたえが良くて、土の匂いと春の芽吹きの薫りの混じったような野生的な香り。それをふんわりやさしい卵が包む。
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多分トリュフのオムレツにひけをとらない味

 前菜その2はオリーブオイルとニンニクをたっぷり使ったシレルカの丸焼き。こんがり焼いたキノコから薫り高い汁がオリーブオイルに溶け出して、パンに付けて食べるとこれがまたえも言われぬ佳肴となる。
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贅沢なものなんですが思わず笑っちゃうこの盛り付け
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by caldoverde | 2009-03-12 08:16 | 野菜・果物・キノコ | Comments(6)