ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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<   2009年 04月 ( 3 )   > この月の画像一覧

 最近新しいデジカメを購入したので、景色の美しいところで気兼ねなくパチパチ撮りたいと思い立ち、緑豊かなミーニョ地方に二,三日遠出することにした。
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 ポルトガル北部には貴族の邸宅や農家を改装した宿泊施設が多い。大きな看板を出しているわけでもなく風景の中にしっくり溶け込んでいる。規模は10室前後で、施設によっては屋敷または離れを丸ごと一軒家族や友人と借りることも可能である。ただし、交通の便は良くないところが多い。観光の拠点としてのホテルではなく、施設やその周囲の環境そのものを楽しむためのホテルなので、貴族の館(turismo de habitação)なら格調高いインテリアや美しい庭園、農家(agro turismo)なら自然の美しさやアウトドアスポーツが楽しめることがセールスポイント。オーナー手作りの食事などアットホームなサービスが魅力である。
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 ブラガの町から車で15分ほど走った山あいの村に「キンタ・デ・カショパンイス」という農家ホテルがある。キンタとは農場または豪農の屋敷の意。建物はこの地方独特の灰色の花崗岩を使った総二階建てで、作業場や納屋に使われていた一階には厨房、食堂、集会室、倉庫などがあり、二階が客室になっている。カショパンイス農場の広大な敷地にはオレンジやレモンがたわわに実り、様々な花が庭を彩り、馬・羊・豚・ニワトリが放し飼いにされていて、カントリーライフが満喫できる。プールやテニスコート、自転車もある。近隣には乗馬クラブやゴルフ場もある。ボン・ジェズス教会やペネダ・ジェレース国立公園など有名な観光地も遠くない。

 しかし移動は自家用車かタクシー。宿泊客が使えるインターネットの設備はない。テレビ室はあるけど客室にテレビはない。ラジオの電波は届かない。近くにはスーパーもレストランもない、というふうに都会生活から隔絶した環境にある。でもたまにはパソコンから離れ、カフェの甘いものも絶ち、山道を歩いてデトックスするのは健康面でも精神面からも良いことだ。
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 部屋はポルトガルの伝統的な家具でまとめた簡素なインテリア。窓を開けると広いベランダの向こうにはミーニョ地方の豊かな緑のパノラマが広がる。深呼吸をするとどこからかいい香りが。オレンジの花の匂いだ。早速庭に散歩に出て、花や動物の写真を撮る。
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 この日の宿泊客は私とスペイン人の家族四人だけで、私が今年初めての泊り客だそうだ。しかも初の日本人である。特に何も出なかったけど。スペイン人家族は車で外へ食べに行ったらしく、がらんとした食堂で私一人の夕食をとる。食事は事前に注文すれば庭に放し飼いになっているニワトリをしめてもらうことも可能だが、一人だけなので何か軽いものを適当にと頼んで出てきたのが、羊肉のミンチの入った揚げ餃子。冷凍食品だろうが量もちょうど良く、付け合せのご飯やサラダもバランスが取れていて満足である。ワインはドウロ地方の良い年のものを取り寄せているそうで、普段自宅で飲む安酒とは違う、濃厚な紫色のボディのある上等なものだ。
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 朝食は卵料理などのつかない簡素なコンチネンタルブレックファストだが、特筆すべきは奥さん手作りのパン・デ・ローがサービスされることだ。いかにも地鶏の卵を使いましたと言わんばかりに黄金色に輝く元祖カステラは、リスボンのお菓子屋のものよりもずっと味が濃くて美味しい。
 昼食も兼ねるつもりで朝食を全部平らげて、近隣の村を散歩する。これで過剰カロリーと運動不足を一気に解消(だといいけど。)
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 もっとひなびた過疎の村を想像していたが、まだ新しく、庭もよく手入れされた立派な邸宅が多い。スペイン人客も同じ感想を述べていた。この辺の人たちは見栄っ張りで競うように家にたくさんお金をかけるんだ、というのがホテルのオーナー夫妻やタクシー運転手の意見である。
 ポルトガル北部の人々は勤勉で、出稼ぎしてお金を貯め故郷に家を建てる。オーナー夫妻も親から引き継いだこの地所を整備し維持するため、5年ほどアメリカで働いたそうだ。
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 家で飼っていた豚を二日前にしめましたが、夕食にいかがですかと言われれば、それはぜひとも食べてみたい。庭を元気に走り回り、のんびりと昼寝し、土の中の何かや菜っ葉を食べて育った豚ならきっとうまいに違いない。ここで飼われているのは白地にグレーのまだらのあるビザボー種という北部特産の豚だそうだ。
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 骨付き皮付きのかたまり肉をニンニクやワインで漬け込んで煮込んだ素朴な郷土料理は、生前野原を駆けまわっていたせいか、ちょっと硬かった。正直に言うと、生姜や葱で臭みを取って醤油と砂糖と酒でホロホロに柔らかく煮た角煮にしたほうがよほど美味しいだろう。
 今度来るときは台所を借りて日本風豚肉料理を伝授することにしよう。
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Quinta de Cachopães  www.cachopaes.com/
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by caldoverde | 2009-04-16 06:12 | ポルトガルの旅 | Comments(5)

黒豚とアスパラガス

 私の飽くなきキノコ探求は続く。
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PORTEL村で開催されたキノコ狩りのポスター

 トマールで食べたシレルカcilercaはアレンテージョ地方ではシラルカcilarcaと呼ばれているらしい。しかもある村では4月の始めに村主催のキノコ狩りが催され、その村の農家を改装したホテルには「シラルカの間」まである。村のレストランリストの筆頭に上がっている店の紹介は「シラルカあります」と宣伝している。これは行かなくては。キノコ狩りの行われた翌日、バスで約2時間のそのポルテールという村に出かけた。日曜日なのでバスは休日ダイヤ、一番早い便は11時半発で、着く頃にはレストランの昼の営業時間はそろそろ終る頃である。しかし日曜はみんなゆっくり食事をとるので店はまだ開いているはずだと確信し、件のシラルカがあるレストランに直行した。
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丘の上の古城を囲む白壁の家。典型的なアレンテージョの村ポルテール

 ほぼ満席のレストランに何とか滑り込み、シラルカ入りアソルダを注文した。しかし時既に遅し。シラルカ入りアソルダは売り切れていた。無念・・・シラルカのスクランブルエッグはあったようだが、15ユーロもするし、前菜なので腹は膨れそうにないし。と言うわけで仕方なく、この地方の名物の黒豚を食べることにした。キノコの代わりを黒豚で妥協できたのは、付け合せがよくありがちなフライドポテトではなくアスパラガスのミガス、そして肉はプレーザという聞きなれない部位であったことだ。

 有名な「黒豚の秘密」secreto de porco preto と、この「黒豚の戦利品」presa de porco pretoはどう違うのかと店のお兄さんに尋ねると、彼は私の体脂肪を瞬時に測定したのか、セクレトは脂っこいがプレーザは脂肪が少なくあっさりしているのでお勧めしますと言った。私も食べたことのないプレーザを選ぶことに異論はなかった。

 プレーザは赤身の歯ごたえのある肉で、シンプルな塩だけの味付けで炭焼きしたもの。なるほど、コテコテのアレンテージョの肉料理にしてはあっさりしている。赤身の好きな方にはお勧めである。でも味にパンチがないので、もみじおろしとかゴマだれがあるともっと良いかな。私は体に良くなくても、セクレトやプルーマなど脂肪たっぷりの部位の方が黒豚らしくて好きだ。でもしつこいものを避けたいときはこのプレーザを選ぶことにしよう。
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 それよりも印象に残っているのは付け合せのアスパラガスのミガスである。ミガスとアソルダは親戚のようなもので、どちらも固くなったパンで作る。違いは汁気の多いのがアソルダで汁気の少ないのがミガスだろうか。ミキサーで潰したのか、アスパラの形がほとんどなく色だけとどめたミガスは淡い緑で、アイスクリームみたいに丸くよそった姿は、春の和菓子を思い出させる。むっちりと目の詰まったアレンテージョパンのわずかに酸味を感じる小麦の味に、春の山菜のようなアスパラの青い香りが混じってなかなか美味い。ねっとりしているが油こくない。味も見た目も、パンをドロドロにしたアソルダよりは日本人に親しめるかもしれない。

 ところが思わぬ悲劇が私を襲った。黒豚はブッツンと弾力があり、ミガスはねっとり粘りがあるので、食べている最中に奥歯の冠が取れてしまったのだ。冠が取れなかったらもっと美味しく食べられたのに。リスボンで冠を被せなおすのに20ユーロかかった。
 こんなことなら初心を貫き、高くても歯に負担のないシラルカのスクランブルエッグにしておけば良かった。

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展望台から城を望む
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帽子はメンズのマストアイテム
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退職後は村の建物の模型造りをライフワークとするおじさん
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by caldoverde | 2009-04-10 01:48 | 肉料理 | Comments(7)

春のフラワーキノコ

 またまたキノコの話で恐縮します。
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 ケーブルカーのグロリア線を上り、展望台を見ながら坂道を上っていくとプリンシペ・レアル公園に出る。そこでは毎週土曜日に有機野菜市が開かれる。以前ここでHokkaidoというかぼちゃを5ユーロも出して買い、ホクホクのかぼちゃの煮物を食べる気満々だったのに、身が入ってなくてがっかりしたことがあった。それでも近所のスーパーにはない野菜や有機ワイン、有機オリーブオイルなど変ったものが多いので、覗くだけでも楽しい。
 先日はトマールの近郊でシレルカという季節もののキノコを満喫した。ひょっとするとこの市でシレルカが手に入るかもしれないという淡い期待を抱きながら、春の強風の吹きすさぶ中、プリンシペ・レアル公園に出かけた。
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食用の花を売るおじさん
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有名な泥棒市よりはまだマトモなものが多いかも

 その日はたまたま公演で骨董品やハンディクラフトの市も開かれ賑わっていた。公園の一角の有機野菜市にはいくつかの出店が並び、様々な野菜やジャム、ワイン、オリーブオイルなどが売られている。私のお目当てはキノコなので、キノコのないテントはさっさと飛ばして次に移動。何番目かの出店で私の目が釘付けになった。シレルカではなかったが、キノコがある。しかも華やかなピンクや黄色の!こんな美しいキノコは生まれてはじめて見た。ピンクの方は、ヒラタケのように大き目の傘が重なり合っていて、匂いはあまり強くない。バラ色のグラデーションが官能的だ。黄色い方はシメジのように小さな傘が群生している。金貨のようなリッチな感じがするが、もろくて、ちょっと触っただけでいくつか傘が壊れてしまう。じっくり観察するには買わなくては。値段も考えず衝動的にこの2種のキノコを買ってしまった。
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 ポルトガル人はどんな風にこれらのキノコを料理するのか知らないが、私は簡単にパスタにして食べることにした。オリーブオイルをニンニクで香りをつけ、キノコを入れて炒め、生クリームとパルメザンチーズを加える。それだけでは彩りが物足りないので、パスタとともにポロ葱をゆでて、キノコクリームソースとあえた。春のキノコクリームパスタの出来上がり。
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 味は、シメジやヒラタケとほとんど同じで、淡白でシコッとした歯ごたえがある。クリームと相性が良い。後でネットで調べると、ピンクはトキイロヒラタケ、黄色はタモギタケというきのこのようだ。色から連想される幻覚症状は起こらなかった。それどころか食べた後、キノコなどにまた5ユーロも出してしまったと、覚醒する私だった。
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by caldoverde | 2009-04-07 07:38 | 野菜・果物・キノコ | Comments(2)