ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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<   2009年 05月 ( 3 )   > この月の画像一覧

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 ようやく整備が終わりリニューアルオープンとなったケルース宮殿の庭園を見に行った。ポルトガルのベルサイユの異名をとるケルース宮殿は現在も絢爛豪華な調度品で満たされ、各国の来賓が宿泊する迎賓館として使われている。またその庭園はポルトガルで唯一、三つのスタイル(英国式、フランス式、ローマ式)で作られた庭だそうだ。少し前までは植え込みの枝も伸び放題で荒れた印象のあった庭が、きれいに刈り込まれ、彫刻も修復され、噴水や運河にも水が流れるようになった。昔は大きく膨らんだドレスを着た女王や貴婦人が優雅に庭のバラの花を摘むふりをして用を足していたんだろうなあ、と感慨に浸りながら散歩した。

アズレージョで飾られた運河
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 宮殿を出て軍の建物から町の方面に伸びる道に入るとすぐ、がやがや人声のする間口の小さな大衆食堂風レストランの前を通りかかった。時刻は12時過ぎ。昼食をケルースで食べる予定はなかったが、本日のメニュー「鱈の舌」につい好奇心を抑えられなくなり、家族連れで賑わうご近所食堂にお一人様で突入した。

 以前「鱈の顔」を注文し、食べるところが少なくてがっかりしたことがあったが、それを友人に話したら、私の食べ方がもったいないのだ、と指摘された。目玉や骨や皮をしゃぶりつくさなくてはいけないのだと。この「鱈の舌」なら骨や皮がなく捨てるところがないはずだ。また、頬など良く動かす筋肉の部分は美味いと言われてる。しかも1匹に1枚しかない希少な部位だ。リスボンではお目にかかったことがない「鱈の舌」はいったいどんな味だろう。

 ポルトガル人は鱈料理には赤ワインを飲む。私もこの辺に住んでいる「通の」外人風を装ってコップの赤ワインを注文し、ちびちびやりながら「鱈の舌」の到着を待った。出てきたものは、モロッコいんげん、丸ごとじゃがいも、ゆで卵、ゆで人参、というおなじみのポルトガル大衆食堂の付け合せセットの中に、透明がかった白い肉のようなものが十切れほど盛られたステンレスの楕円皿。これが本日のおすすめ「鱈の舌」であった。予想はしていたものの、料理以前の、素材をただそのまま出しただけ、といった単純極まりないものだった。いや、こういうシンプルな料理こそ、料理人の素材の目利きや下ごしらえの丁寧さが顕れるものである、と気を取り直し、フォークにぶるるんとした白いかたまりを突き刺し、口の中に入れた。
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・・・いつもの鱈の味だった。強いて言えば違いは、ゼラチン質の部分が多くぷりぷり弾力があり、アンコウの歯ごたえに似ているということか。バカリャウ・コジードに比べ格段に美味というほどでもないが、骨や皮がないのでとても食べやすい。小さなお子様向けである。味付けは干鱈そのものの塩味で、これにオリーブオイルとビネガーをかける。たしかに不味くはないけど世の中にはもっとおいしく食べる方法はあるのでは?
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 舌の大きさはちょうど一口サイズだから、串に刺して炭火で焼いたらどうだろう。ネギと交互に刺して、塩またはたれで味付けした焼き鳥ならぬ「焼鱈」、ゆでた鍋ごとテーブルに運びポン酢醤油で食べる「鱈の水炊き」、甘味噌を塗ってオーブンで焼いて「鱈田楽」、醤油で煮た鱈の舌と野菜を炊き込んだ「鱈飯」、ふっくら戻した鱈の舌をバターで焼いた「鱈バター」きゅうりと一緒に酢に漬けた「鱈きゅう」etc. どなたか日本人の板前さん、または日本料理を勉強したポルトガル人のシェフの方、こんなメニューを出す居酒屋をポルトガルに作ってくれますまいか。名前は「鱈福」とか「莫迦良(バカリャウ)」などいかがでしょうか。
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by caldoverde | 2009-05-19 04:46 | シーフード | Comments(4)
 ポルトで市電が復活した。数年前は一本しかなかった路線が、久しぶりに来てみると観光コースも含めて四本になっていた。推定平均時速10km。ダイヤは一時間に二本。交通手段としてはあまり役には立たないが、優美でクラシックな市電で世界遺産の旧市街やドウロ河沿いをのんびりと散歩するのはポルト観光の楽しみのひとつである。

サンフランシスコ教会前から発車する1番線
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 ポルトガルの大阪であるこの街は食い倒れの街でもある。トリパス、バカリャウ、タコの天ぷら、フランセジーニャ等々、大抵の料理はリスボンよりも気前よい大盛りだ。

 一方でポルトにはリスボンよりも洗練された面もある。世界的な建築家やポルトガルを代表するファッションデザイナーやメーカーはポルトを拠点としている。北部はアパレル産業の中心地なので、リスボン市民も洋服や靴・バッグは種類も豊富で比較的安いポルトで買物をするのは頷ける。
 ついでに男性モデルもポルトか北部の出身者が多いようだ。ポルトガルに初めて来た時は美男子が全然いない国だと思ったが、リスボンではなくポルトから入っていたら印象が違っていたかもしれない。
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 ある建築雑誌がポルトの海岸沿いのtaviというお菓子屋を紹介していた。創業1935年の老舗はイタリアの建築家によって、ポルトガルの民間建築の伝統を汲みながら自然とモダニズムを調和させた清潔感あふれるスペースに生まれ変わった。大西洋を望むテラス席、北部特有の花崗岩の石壁とナチュラルな木製の家具、自然光を取り入れた明るい室内、販売コーナーと飲食コーナーを大胆に分割する階段。なかなかオサレである。しかもインテリアに負けず劣らずケーキの写真が涎が出るほど美しい。まるで日本の洋菓子店のケーキのようだ。リスボンに無数にあるお菓子屋のどれひとつとしてこんなケーキを作っている店はない。ぜひこの店で大西洋を見ながら日本風(?)のケーキを食べたい。

市電に乗ってGO


 場所はドウロ河口のフォス地区に近いところで、市電1番の終点からさほど遠くもなさそうだ。taviまでは市電の旅としよう。この日は曇り空で雨が時折ぱらつくいかにもポルトらしい天気なのは残念だったが、わずか三人の乗客を乗せ、対岸のポートワインの工場群、世界最大のコンクリートアーチのアラビダ橋、可愛いアズレージョの小住宅、小さな漁船と漁師たちを眺めながらのんびりと河沿いを走る市電の旅は愉快だ。終点で降り、瀟洒な住宅や公園を見ながら古い城砦を通り過ぎ、海沿いの道から一歩入った小さな商店の並ぶ道をぶらぶら歩くと、海の見渡せる小さな芝生の広場が現れ、その隣に外観はごく普通の店舗兼住宅といったたたずまいのカフェtaviがある。
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 ちょうど雨雲が切れて青空が広がる海に面したテラス席に陣取り、ディジョンのマスタード風味ローストビーフとバナナペーストのクロワッサン、という凝ったサンドイッチを食べた。一皿に、パン、前菜(サラダ)、肉料理、付け合せ(ポテト)、デザート(バナナ)と全部揃ったフルコース。普通のカフェのてんこ盛りとは一線を画した、さすがケーキ屋と思わせる洒落た盛り付けである。
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 しかしデザートがバナナクロワッサンだけでは甘みが足りない。それに元々の目的はケーキなので、食べずに帰るわけにはいかない。冷蔵ケースには、高級レストランのデザートのような洗練されたお菓子が何種類かある。ピンクの饅頭型のバラのムースにも心惹かれるものがあったが、これまた珍しいイチジクのムースを選んだ。二種類のチョコレートを使った濃厚なガナッシェのベースに、プチプチと種が歯に心地よく感じるイチジクのムースを重ね、上にチョコレートの飾りをつけたもの。甘さは控えめだが、かなりこってり系で、小さくても十分満足できる。苦いエスプレッソの他にブランデーも欲しくなった。
 眺めの良い素敵な店で美しいケーキを味わいながら食べる、ポルトの贅沢な午後であった。
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水平線上にカステロ・ド・ケイジョ(チーズの城)が見えるtaviの前の海岸
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by caldoverde | 2009-05-16 00:51 | ポルトガルの旅 | Comments(4)

キオスクでリフレッシュ

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 リスボンの街には二十世紀初頭に作られた貴婦人の日傘のような優雅なデザインのキオスクがあちらこちらに見られる。そこでは宝くじ、タバコ、コーヒーやビールなどの飲み物、サンドイッチや菓子などの軽食などが売られている。残念なことに店をたたみ放置されているキオスクも結構ある。落書きされ荒れるがままのキオスクを再生させようとリスボン市が競売にかけ、三店を競り落としたのが以前紹介したレトロ雑貨店「A VIDA PORTUGUESA」のオーナーでもある女性実業家である。

  彼女はキオスクで売られていた飲み物の再現も試みる。時代が変れば人々の好みも変る。昔のレシピにそって忠実に再現した飲み物の中には、スタッフが思わず吐き出してしまうものもあったという。ポルトガルでも昔は甘いものは贅沢品貴重品で、甘ければ甘いほど良しという傾向があったのだろう。
 古きよき時代を懐かしむシニアばかりではなく、現代の若者の嗜好にもマッチするメニューを厳選し、新生キオスクが開店した。その名も「キオスク・レフレスコ(リフレッシュ・キオスク)」

 メニューは、スペインでは夏の清涼飲料としてポピュラーな「オルチャータ」、三十年代のレシピに着想を得た伝統的な「レモネード」、シダ科の植物のシロップとオレンジの花のエッセンスとレモンの皮から作られる「カピレ」という飲み物、ポルトガルの国民的リキュール御三家の「リコール・ベイラン(オレンジ系)」「ジンジーニャ(チェリー系)」「アマルギーニャ(アーモンド系)」など、従来のキオスクにはありそうでなかったものばかり。
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 カモンイス広場のキオスクは、最先端のブティックや飲食店が集中し若者や観光客で賑わうバイロアルトとシアードの間にある。壁の一面には今でも人気のあるガス入りミネラルウォーターのレトロなポスターをあしらっている。名物の市電が傍を走れば1930年代のリスボンにタイムスリップ。
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  緑豊かなプリンシペ・レアル公園の一角には、既に長年親しまれているコーヒーやビールを売るキオスクが存在するが、もう一方の角の新装開店したキオスクは独自のラインナップで新しい顧客を獲得しつつある。レースのような縁取りの屋根の下にともる丸いランプとピンク色が可愛い。
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 国会議事堂近くの住宅街の中にあるフローレス広場のキオスクは、白地に紫のコントラストが鮮やか。子供連れのママも、学校帰りの若者も、ベンチでくつろぐお年寄りも、緑一色だったオアシスに一輪の花が咲いたように感じていることだろう。
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  フローレス広場のキオスクでマザグランという冷たいコーヒーにレモンの輪切りを浮かべた飲み物を飲んだ。紅茶にレモンはわかるけどコーヒーにレモン?とギモンに思いながら飲んでみるとなかなか美味しい。しかし飲み終えてしばらくしたらトイレに行きたくなった。キオスクにはもちろんないし、公園内にも見当たらない。で結局公園に面したカフェでまたコーヒーを飲んでトイレを借りることになった。
 キオスクとその周辺の飲食店はこうして共存共栄を図っているのか。
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コーヒーと一緒にこのチョコレートプリンも食べてしまいました。
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by caldoverde | 2009-05-08 08:36 | ファストフード | Comments(5)