ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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アリェイラの栗添え

 今年の5月の中旬のリスボンはいつもより早くジャカランダの花が咲き始め、気温は35度まで達した。こんな日はそうめんやざるそばしか作る気が起きないし、またこれが最高にうまい。しかし毎日麺類ばかりではビタミンやたんぱく質が不足し、夏バテを誘引する。夏が来る前にバテてしまってはしょうがない。私の住む極小アパートでは臭いや煙が充満して作る気の起きない焼肉や焼き魚、揚げ物などを摂って体力を補給しなければと考え、近所をぶらぶら散歩しながら適当な飲食店を物色した。

 自宅から数本先の通りに昔からあって昔から変らずこれからも変わるまいと思われる店が目に留まった。いつ通りかかってもあまり入る気の起こらなかったその店が妙に気になったのは、その日のお勧めの中に「アリェイラの栗添え」というメニューがあったからである。アリェイラというのはこのブログの初めの頃登場したポルトガルの腸詰の一種で、多くのレストランの一番安い肉料理だ。しかし大抵目玉焼きと青菜の炒め物とフライドポテトが付け合せについてきて、安い割には非常に充実感を味わえるメニューである。ところがその店のアリェイラは珍しく栗が付け合せになっている。どんなものか好奇心がむらむらと湧き、確かめずにはいられなくなった。
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 「大喰い」という名のその食堂は、週末の昼過ぎだと言うのにスカスカだったが、「予約席」の札が置かれたテーブルもあるので、なじみの客もいるのだろう。そのうちにパラパラと人が入ってきた。一人の男性客は親しげに給仕と握手し挨拶をしていた。若い男女のグループもいるが、やはり男性が多い。たしかに女性一人では入りづらい店名だ。スタッフはテーブル係も厨房も男性である。皆腹が出ている。先ほど給仕と握手していた客も若いのにメタボ体型だ。
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 十年を越えるポルトガル生活で幾度も食べたアリェイラだが、今日は初めての「アリェイラの栗添え」だ。ゆっくりと赤ワインを飲みながら店の内部を鑑賞しつつ、料理の到着を待った。今までこの店に入りづらかったのは店名のせいばかりではなく、内装にも起因していた。なんか落ち着かない模様のタイルには、誰かの家族の写真と子供が描いたような絵と賞状みたいなもんがぎっしりと飾ってある。黒い床と黒い家具と黒いテーブルクロス。その上に白い紙のテーブルクロスと天井から煌々照らす蛍光灯。明るいのか暗いのかさっぱり判らない。店の中は見通しが良すぎて、会話も筒抜けだ。デート向けではない。女性はもっとムードのある店が好きだ。「大喰い」というレストランに誘われて告白されても成功率は低いだろう。
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 ついに待望の「アリェイラの栗添え」が来た。待望は失望に変わった。料理は名前どおりのものだったが、それ以上のものでもなかった。私はただのアリェイラではない何かを期待していたのであるが・・・許せないのは青菜の炒め物がなかったことだ。これでは脂肪と炭水化物だけではないか。ビタミンはどうしてくれるのだ。栗は好きなので全部食べたが、フライドポテトは残し、あらためて青菜の炒め物を注文した。
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 それにしてもなぜあの暑い日に揚げ物と栗なのか、料理人のセンスを疑う。店のインテリアのセンスも疑う。そしてそのような日にそのような店でそのようなものを食べる自分の感覚も大いに疑う。
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by caldoverde | 2010-05-26 10:32 | 肉料理 | Comments(7)