ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

<   2011年 06月 ( 2 )   > この月の画像一覧

鰯横丁のヒメジ

a0103335_34155.jpg
ポルティマンの主、コウノトリ

 突然アルガルヴェに行く仕事が来た。去年のアルガルヴェ小旅行で鉄道を使うのは駄目だと学習した。また観光地で郷土料理を探すのも難しいことが判った。これらの反省を生かしWifiの入る長距離バスの中ではiphoneでよさげなレストランを探しながら3時間の移動時間を過ごした。ところが週末だったため、食指の動くレストランは皆休みだった。仕事のあるポルティマンのレストランリストはピザ屋とかハンバーガー屋ばっかり。外人相手のリゾート地はこんなものである。
a0103335_2554591.jpg

 ポルティマンに着いたのは夜9時半で、バス停近くのホテルにチェックインし、遅い夕食を食べようとした頃は10時を回っていた。必然的に今からオーダーを受け付けてくれるところで食べるしかなかった。しかし観光地だけあって広場の周りの飲食店はどこも開いていた。その中の「手長海老のリゾット」を名物料理として出している店に入り、それを注文したが2人前からということで断られた。女1人だからといって2人前食べられないというのは偏見である。私の腹を見よ。せっかくの客をみすみす逃すポルトガル人の商売だ。仕方がないのでシーズンの鰯の塩焼き5ユーロ90セントを頼んだ。店の売り上げは8分の1になった。

 やってきた鰯は6匹と数は素晴らしかったが、メザシほどの大きさの、痩せた鰯だった。6月のポルトガルの鰯は産卵期で脂がのって丸々としたものではなかったのか?味も炭火焼とはうたっているものの、何か中途半端な生焼けのような、冷凍じゃないかと疑ってしまうような貧相なものだった。写真を撮る気も失せた。
 デザートに郷土菓子のイチジクのタルトで口直しをした。はっきり言ってまた食べたいというものではないが、リスボンにはない珍しいものとして、アルガルヴェに来たからには一度は試してみるのも良い。
a0103335_2562367.jpg
一番下は黒いキャロブ豆の餡、真ん中がイチジクのペースト、上の黄色い部分はアーモンドとジラ(糸かぼちゃ)か卵の黄身クリーム。どこを食べてもねっとり。

 翌日の昼こそうまいものを食べるぞと意気込み、一緒に仕事をした地元のポルトガル人ガイドにお勧めのレストランを挙げてもらった。アルガルヴェの郷土料理のシェレンというトウモロコシの粉を使ったシチューを食べたかったのだが、それを出すレストランはスポーツクラブ所属の店で、日曜日は休みだということだ。日曜日こそスポーツクラブを営業すればもっと会員が増え、レストランにも人が入るのに、ポルトガル人はよう判らん。

 他に推薦されたのは、また鰯屋だった。昨夜の鰯がうまかったとしても2食続けて鰯は勘弁して欲しい。ところが彼は熱心に、そこがどんなに安くてうまいか語るのだ。5匹で5ユーロなら昨日の店と同じだが、観光客でなく地元のポルトガル人が食べに行くところだそうだ。そんなに言うのなら、と二つの橋に挟まれた川沿いの鰯横丁に行ってみた。

 そこには5~6軒ほど同じようなシーフードレストランが並び、どこもメニューの筆頭が鰯である。鰯と海老やイカのコンビネーションもあり、値段は5~6ユーロである。1列に並んだレストランの端から橋まで2往復して選んだ店は、並びの中央にあり、高校生くらいの男の子が呼び込みをしている店で、郷土料理の「マテ貝のリゾット」が決め手となった。1人分でも作ってもらえるかと聞くと、厨房の人に聞いてみますと言って店の奥に消えた。やはり2人前からということであった。しかし彼は諦めずにガラスケースの魚を一つ一つ紹介し、みな新鮮で美味しいよと力説する。特に珍しいものはなかったが、丸々と大きなサルモネッテ(ヒメジ)が目を引いた。男の子はサルモネッテは魚で唯一マリスコ(エビ、カニ、貝などの甲殻類)味の魚です、すごく美味しいです、と熱心に口上を述べた。がんばっているなあと感心し、またカールした金髪の可愛い子だったので、ヒメジを焼いてもらうことにした。
a0103335_2595092.jpg
暑い日ならヴィーニョヴェルデ500ml1人で飲めます

 川に面した席で冷たいヴィーニョ・ヴェルデを飲みながら魚が焼けるのを待った。その日は30度の夏日で、からっとした青空にかもめの飛ぶ川を眺めながらの食事は実に気持ちが良い。やって来たヒメジはハーブをまぶした茹でジャガイモとトマトサラダつき。ヒメジの身はプルンと弾力があり、全く魚臭くなく、淡白だがアミノ酸系の旨みのある味で、リスボンで食べたセトゥーバル産のヒメジよりも大きくてはるかに美味しい。私は魚の食べ方が下手で頭などは丸ごと残してしまうのだが、このサルモネッテはほおの肉やえらの内側まであさってしまった。
 多分鰯もそれなりにうまいのだろうが、もしまたポルティマンに来ることがあれば、またここでサルモネッテを探すだろう。お値段は鰯の3倍になるが、その価値はある。
a0103335_304974.jpg
思い出すとよだれが・・・
[PR]
by caldoverde | 2011-06-27 03:11 | シーフード | Comments(4)
 私の住むカンポ(原っぱの意)・デ・オリーク地区に、最近新しいベーカリーが立て続けに2軒開店した。ほとんど斜向かいといって良いほどの至近距離である。
a0103335_2313241.jpg
ここに限らず、ポルトガルの公園は爺さん広場

 地区の中央には、日本と逆でママ友よりもジジ友が幅を利かすパラーダ公園がある。この公園の周りには既存のカフェが三店、そこから半径500mの間には、思いつく限り十軒ほど似たような喫茶店やパン屋が集中するカフェ激戦区なのだが、その中のまさに公園に面した、一年程ずっと「健康上の理由で休業します」という張り紙をつけていたスナック&バー(ポルトガルではきれいなママさんやこだわりのマスターのいる夜専門の飲み屋ではなく、大衆食堂)で改装工事が始まったと思ったら、あっという間にオサレなベーカリーに変わっていた。その名はパダリア・ポルトゲーザ(ポーチュギース・ベーカリー)。
a0103335_2314783.jpg
オレンジとブラウンが基調カラーのパダリア・ポルトゲーザ

 5月のとある週末、公園に面した新しいパン屋には期待に胸膨らませ、店員の手際の悪さに頬を膨らませた住民が群がっていた。客を効率よく捌くための番号札が、逆に研修を終えたばかりか或いは全く研修を受けていない店員の混乱を招き、それに対して申し訳なさの微塵も感じられない接客にもかかわらず、従来の店にはない品揃えに惹かれた人々は続々と店に入って来て、やっと自分の番が来ると今度は選択に窮し、店員に商品の説明を求め、店内はより混迷の度を深めるのだった。

a0103335_23154062.jpg
外装は白、インテリアはナチュラルのデグスタ

 しかしその数日前にはわずか数10メートル離れたところにベーカリーカフェがオープンしたばかりであった。ブラウンを基調としたナチュラルなインテリア、通りに面した窓には木箱にクッキーやパンを木箱に入れたディスプレーと、ポルトガルパン屋と非常によく似ている。名前はデグスタ(デグスタサオン=試食、試飲)というグルメを連想させる店名で、ウッディな広々とした店内(というか、テーブルが少なすぎ)の奥にパンやお菓子を並べたカウンターがあり、こちらも思わず選択に迷うような多彩な品揃えだ。

 パダリア・ポルトゲーザは一部上場の大手スーパーのベーカリー部門にいた一社員が、大企業で培ったノウハウを生かし独立した店だそうだ。大企業のバックがあるので、商品や店のイメージなどのマーケティングはしっかりしている。店のロゴやオリジナルグッズのデザインなどは洒落ている。しっかりしていないのはやる気と手際が足りない若い店員である。
 一方デグスタ・ベーカリーは義務教育を終えてから長年カフェで働いてきた1従業員がその働きぶりを認められ、ついに店を任せられることになり、妻や息子とともに一家総出でがんばっているという雰囲気である。店のおじさんは手際が良いわけではないが、一人ひとり愛想よく応対し、一回の買物につき2回はありがとうと言うので、こちらこそこんな小さな買物ですみませんね、と申し訳なくなる。もっともポルトガルの飲食店は客一人の売り上げがコーヒー1杯50セント(60円)は別に珍しくない。

 では品揃えはどうか。パダリア・ポルトゲーザはふわふわ系のパンが得意分野のようだ。特に「パン・デ・デウス(神のパン)」という表面にココナッツをのせて焼いた丸いパンが主力商品である。ほとんど全てのカフェやベーカリーにはパン・デ・デウスがあるが、ここのはココナッツが惜しみなく使われていて、パン生地がふんわりと柔らかいのが特徴だ。日本で流行った「ハイジの白パン」みたいな、焼きの甘い、歯ににちゃっとくっつくようなタイプだ。甘みの少ないふわふわのものもある。表面にゴマやけしの実、オートミールなどをまぶした丸いパンは、見た目も楽しくバターやジャムなしでもそれ自体で美味しい。
 菓子はパン・デ・ローとナッツやフルーツを混ぜたバターケーキタイプのものが揃っている。生フルーツを使ったタルトは日本では珍しくないが、このポルトガルではかなり洗練されたほうである。
a0103335_23182317.jpg

a0103335_23163749.jpg

a0103335_2319715.jpg


 一方デグスタ・ベーカリーは田舎風のどっしりしたパンに力を入れているようだ。噛めば噛むほど味の出るトウモロコシのパンや、皮は固焼きせんべい、中はむちむちの弾力のあるアレンテージョタイプなど大きなパンがガラスケースの中やカウンターの後のかごの中に鎮座している。食事系のものとしては野菜やチキンを巻いたクレープがある。野菜のクレープはおじさんが「ムイト・ボン(すごくうまいよ)」とお勧めするだけあって、ふんわりした皮に色とりどりの野菜がたっぷりのヘルシーな軽食だ。
菓子系も充実していて、マフィンタイプのものが数種類、ホームメイドタイプのケーキも食指をそそる。チョコレートやアーモンドをふんだんに使ったちょっと重そうなお菓子が多い。
a0103335_2320575.jpg

a0103335_2321196.jpg
生クリームを薄いスポンジで挟んだ、サン・マルコスというケーキ。おじさんは切るのに失敗した。

 店の面積はデグスタのほうがポルトゲーザより1.5倍は広いのになぜか席は少なくがらんとしている。やたらと空間が多い。また道路に張り出したテラス席がないのはやや不利である。分煙設備のない店ではテラス席が喫煙席になるので、タバコを吸う人は中でゆっくりとコーヒーやパンを味わうことができない。もっとテーブルを増やさないと長っ尻のポルトガル人は入り口から中を覗いて通り過ぎてしまう。店の人の感じは良いので、応援したいのだが…。

a0103335_2405167.jpg
砂糖を使わないチョコタルト。見た目より軽くて甘さ控えめで美味い。

a0103335_140419.jpg

粉よりドライフルーツの割合のほうが多いヘビー級ケーキ
[PR]
by caldoverde | 2011-06-06 23:22 | パン・ご飯 | Comments(10)