ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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 サンタ・マリア島の休日も最後となった。飛行機が発つのは午後8時。たっぷり時間はある。天気もだいぶ良くなり、連絡を待っていた遊覧船について再確認の電話を入れると、フォルミーガ島に行くグループの船に入れてもらうことは叶わず、最少人数4人のボートを一人でチャーターすることになった。料金は4時間120ユーロである。ホテルで朝食をとっている家族連れやカップルに声をかけようかとも思ったが、夫婦や家族水入らずで休日を楽しんでいるところ文字どおり水を差すことになるかと考え直し、豪勢に一人で貸切ることにした。
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 ヴィラ・ド・ポルトの港を出て、島を時計回りに航行した。空港のある西側は平原がすぱっと垂直に海から立ち上がる断崖絶壁。海水浴のできるような砂浜はない。崖は黄色っぽい地層がむき出しで、植物はほとんど見られない。このような海岸線が島の約4分の1を占めている。単純に計算すると1時間くらい同じ景色を見続けたことになる。サンタ・マリア島一周豪華クルーズは出だしで既に退屈気味になった。

ヴィラ・ド・ポルトの側に浮かぶ黄色い島
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 それでも途中いくつか小島がある。小島にはほとんど植物はなく、海面付近に海藻がへばりついているだけであるが、海鳥の繁殖地になっている。アソーレスでよく見られる鳥はガラジャウという頭が黒く翼が白とグレーのシャープなデザインの鳥と、カガーロというかもめがドバトになりそこなったような醜いアヒルの子みたいな鳥が代表的である。空港近くの小島はその2種族がきっちりと住み分けているそうだ。

黒い小島には鳥の白い〇〇が

 この辺では鯨やイルカはよく来るのかと船長のジョアンさんに聞いたところ、今年は水温が低いのでほとんど見ないということだった。哺乳類は水温の変化に敏感なのだろうか。アソーレス諸島で最も乾燥したサンタ・マリア島の別名は「黄色い島」、しかし住民は「太陽の島」と呼びたがる。こちらの方が断然イメージが良い。確かに日照時間は他の島に比べて多いが、7月で気温も水温も22~3度では人間にもイルカにも海水浴には肌寒い。「太陽の島」は誇大広告気味か。
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 コロンブスがこの島を見つけたときは、それこそマリア様がお助けくださったと喜んだことだろうが、フローレス島のように真水が豊富でも、サン・ミゲル島のように温泉の熱で熱帯の植物が豊富でもないこの島に上陸した船員達は、水や食料を求めてさまよい苦労したのではないだろうか。
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 島の北側から東南にかけての海岸線はギザギザのリアス式で、波も荒くなる。途中トイレに行きたくならないように、朝食はコーヒーと小さなケーキだけで済ませ4時間のクルーズに備えたが、揺れがひどくなるにつれて気分が悪くなってきた。写真や動画を撮ろうとカメラの焦点を合わせようとすると、よけい酔いが襲ってきた。喉も渇いたので水を飲もうとしたら、水が胃の中に入らずに出てしまった。ついでに胃の中の物もお供した。波に揺られたせいか、下腹もグルグルしだした。ジョアン船長にどこかに船を泊められないか聞いたが、「難しいね」と却下された。気分が悪くなった時や景色のいいところではエンジンを止めて休んでくれたが、操縦席から出るとエンジンの重油の匂いがまた気持ち悪さに拍車をかける。大変なクルーズになった。他の人を誘わないでよかった。コロンブスやヴァスコ・ダ・ガマ、マゼラン、ザビエルはこんな苦しい思いを何ケ月、いや何年も味わってきたのかと考えると、それだけで偉大な人々であった。

ご一緒に酔いしれてください

 昨年行ったフローレス島ほどの景勝はなく、船酔いで大変だったが、島を船で一周するのはたっての希望だったので後悔はない。海の水は透明で美しく、スキューバダイビングができたらどんなにか楽しめただろう。アソーレス諸島の中で最もマイナーな島、サンタ・マリア島は4日間ではその魅力を十分知ることができない、噛めば噛むほど味わいが出てくる、そんな島なのかもしれない。
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海から見たプライア・フォルモーザ(麗し浜) 

 島最後の食事はふたたび居酒屋「オ・ジョルジェ」でアボテイアという魚を食べた。名前からして熱帯魚風で、一昨日のヴェジャンのような赤魚系の美味しい魚を期待した。また大きな頭付きで出てきたが、ペスカーダというごくありふれた魚によく似た味で、ちょっと期待はずれだった。塩を振って冷蔵庫に入れたものをまた塩水でゆでたのかと思うほど、かなり塩辛かった。フライに頼めばよかった。日曜日は魚市場は休みなので新鮮な魚を期待するのは間違いだった。でもワインは良いので許そう。
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さらば、サンタ・マリア島!

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by caldoverde | 2011-08-02 05:12 | ポルトガルの旅 | Comments(6)
黄色い島サンタ・マリア島に自生する黄色いウイキョウの花。島ではスープの風味付けに使う。
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 2日目のタクシー観光の途中、フィッシングボートやスキューバダイビングをアレンジする船屋に立ち寄り、明日か明後日島一周の遊覧船は出ないか尋ねた。翌日フォルミーガス島に行くグループの船が出るので、入れてもらえるかどうか聞いてみるという返事だった。フォルミーガス島はサンタ・マリア島とサン・ミゲル島の間にある岩礁で、ダイバーのメッカとなっている。
 この日は天気がいまひとつで連絡を待ちながらホテルのプールに入ったり、周辺を散歩したり、ジャグジーで温泉気分を味わった。残念ながらこの島には温泉はない。
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 サンタ・マリア島はアソーレス諸島の中で異色の島である。様々な分野で1番の島なのだ。
1、九島の中で最も古い。800万年前この島が誕生した時、他の八島は存在していなかった。
2、大航海時代、1427年ポルトガル人ディオゴ・デ・シルヴェスによって最初に発見されたアソーレス諸島の島とされている。
3、湿潤な気候のアソーレス諸島の中で、最も乾燥した島である。
4、九島の中で唯一火山活動の見られない島である。
5、アソーレス諸島随一の空港がある。
6、アソーレス諸島中最大の砂浜がある。
7、コロンブスがアメリカ発見後に立ち寄った島である。
8、諸島の中で最初に風力発電を取り入れた。
9、アソーレス諸島の中で唯一化石が採れる。

…etc.

 しかし個人的には最も地味な知られていない島のNo.1ではないかと思う。隣がアソーレス諸島最大の島サン・ミゲル島で、その影に隠れて忘れられた感は否めない。渋い、玄人好みの島と言えよう。

 サンタ・マリア島は常に外部の影響に翻弄され繁栄と斜陽を味わってきた。観光案内所の人やタクシー運転手にこの島の産業は何かと質問すると「何もない」という答えが返ってきた。

 空港周辺の平原はかつては穀倉地帯で、小麦やトウモロコシを輸出していた程であったが、国が牛を飼うのを奨励し、補助金を出すようになったので、農家は耕作をやめてしまったそうだ。他の島にも牛は多く、乳製品の工場があるのに、サンタマリア島に加工場はなく肉牛ばかりである。
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 第2次世界大戦中はポルトガルは中立国であったにもかかわらず、アメリカの都合によりサンタ・マリア島に空港を建設し、アメリカの情報収集の重要な基地となる。戦後は旅客機の給油所として昔のアラスカのような役割を果たしていたが、オイルショック以降、大西洋線は直行便となりその意義は失われた。

 捕鯨が行われていた頃に作られた監視所や解体所は再利用されず、廃墟となっている。ファイアル島やピコ島では観光資源として利用しているが。

 素晴らしい景観を誇るサン・ロレンソ湾やマイアの葡萄畑は過酷な作業や人手不足ゆえに収穫や栽培をやめてしまった所もある。特産物とされる島ワイン、ヴィーニョ・デ・シェイロは実際には流通していない幻のワインである。一説には当局によって販売が禁止されているとも。
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 島の最大の輸出品は移民である。かつては14000人を数えた住民は2001年に5500人に減少。廃校が検討されている学校も幾つかある。

 なんだかいけてない島サンタ・マリアだが、ひょっとすると埋れた宝石、隠れたパラダイスの可能性も。特に地学の専門家・研究者にとっては化石の宝庫である。釣り、ヨット、ウィンドサーフィン、ダイビングなどマリンスポーツの愛好家にとっては穴場である。山登りの好きな人には手頃なコースがいくつかある。バードウォッチャーにも興味深い。

 食べ物の値段も他の島に比べると安い。特産物はメロン。市場に生産者の名入りのシール付きのブランドメロンが売られていた。あまりメロンが好きでないので買わないでいたら土曜日には売り切れていた。ないと欲しくなるもので、食堂でデザートにメロンはないかと尋ねると、まだ少し早く7月の末が旬で来週出回るだろうという返事。リスボンで売っていないだろうか。
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 夕食はガイドブックではかなり良い評価が与えられ、ホテルにも宣伝用のカードをおいている「ローザ・アルタ」というレストランでステーキを食べた。アソーレス牛は旨いという思い込みがあったが、緑の少ないこの島の牛は少々痩せ気味なのか、切り方が薄いのか、ミディアムなのにジューシーさが足りなかった。うーむ英語のガイドブックのレストラン情報は私のツボにははまらないようだ。
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 前菜のケイジョ・フレスコ(フレッシュ・チーズ)はサンタ・マリア製とメニューに書いてある。スーパーにあるのは全てサン・ミゲル島産だった。農家の手作りかしらと興味が沸き、手を付けずに一度引っ込められたのものをデザートとして注文した。添えてあるのは赤いイチゴジャムならぬ、唐辛子ペースト。めちゃくちゃ辛い。
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by caldoverde | 2011-08-01 04:49 | ポルトガルの旅 | Comments(2)