ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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 近所に、昔ながらのスタイルを踏襲している小さなオヤジ系バールがある。夏は外のテーブルでカタツムリを食べるおじさん達、冬は中でサッカーを見ながらビールを飲むおじさん達、何十年来の固定客がついているようだ。何の変哲もない揚げ物と甘いものが少々、定員12名の夫婦でやっている小さな店だ。しかし、最近気になる張り紙が通りに面して張り出されている。「ベスト・オブ・ビファナ」このカンポ・デ・オリーク地区で一番美味しい豚肉サンドイッチの店として雑誌に載ったらしい。

 ビファナは焼いたり煮たり揚げたりした豚肉の薄切りを、カスカスの軽いパン、カルカッサに挟んだポルトガルの伝統的なファストフードで、ハンバーガーの豚版みたいなものである。張り紙によるとこのバールのビファナは何か秘密があってそこらのものとは一線を画しているらしい。
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 まず、豚が違う。どんぐりを食べて肥育した黒豚を使っているそうだ。さらにこれを作る奥さんは特別なレシピを持っているらしい。と言ってもそんな込み入ったものでないことは確かだ。だいたいばあちゃんが作っていたように作っているだけとか、とにかく研究に研究、修行に修行を重ねた結果ではないことはほとんどのポルトガルの食堂のメニューに言えることだ。

 グラスの赤ワインと共にやってきたトンバーガーは、丸いパンの端から豪勢に肉がはみ出した状態で半分に切ってある。玉ねぎやトマト、ピクルスなどの野菜はない。シンプルに肉とパンだけだ。肉はそれほど脂のない赤身の部分のようだ。軽く焦げ目がつき、あっさりとした塩味だ。いや、もともと油がたっぶりのっていたのをパンが吸収したのだろう。肉に接した面がしっとり肉汁を含んで滋味がある。肉とパンの間にはぎゅっとつぶしたニンニクの粒が2個ほど挟んであり、これがピリッと辛い強烈なアクセントになっている。ギョーザを一皿食べたような匂いが口の周りに漂っているのがわかる。

 全体の印象は、パンは空気の多い、屁のようなカルカッサにもかかわらず、肉の存在感が結構大きいので重量感、満腹感がある。絶対評価では「大変良い」「良い」「もう少し」のうち、味は「良い+」を与えられると思う。目で味わう日本人にとっては彩りにやや欠ける。値段もこの豚サンドとコップのワインとコーヒーで4ユーロ10セントだったので「良い+」としよう。昔はもっと安かったと思う。

 お腹の弱い方、臭いに繊細な方はニンニクを残した方が良い。ニンニクも食べてしまったら、その後の大事な会合やデートに影響しないよう、ちゃんと歯磨きをし、マウススプレーをした方が安全だ。いやむしろ接待費や交際費の削減が叫ばれている今日この頃、会議やデートはニンニクたっぷりワラジ豚ステーキのビファナでスタミナを補給し、不景気や恋愛の危機を乗り切るのも一つの手である。でもヴァレンタインデーのディナーがビファナだったら交際の継続を考える。
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別の日に同じ店でテイクアウトしたビファナ。豚肉はグリルではなくパプリカで味付けした煮豚。こちらの方が正統派?
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by caldoverde | 2012-02-08 08:27 | ファストフード | Comments(7)