ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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 先日、日本ではエッグタルトの呼び名でおなじみのパステル・デ・ナタのコンクールがリスボンで行われた。最優秀賞に輝いたのは、私の家から歩いて3分のカフェ「アロマ」だった。カウンターと小さなテーブルが幾つかあるだけの小さな店だが、このカンポ・デ・オリーク地区で最も古いカフェだそうだ。向かいは取り壊されてマンションになる予定の映画館が恐竜の骨のような残骸をさらしているが、かつては映画の前後にコーヒーを飲む客で溢れかえった時代もあった。映画の黄金期は去り「アロマ」はTVもBGMも昼定食もない、町内のあちこちにある小さなカフェの一つとして地道に営業を続けていたが、再びスポットライトを浴びることになった。
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 クリスマス時期にはボーロ・レイがウィンドウを彩り、時々クリームたっぷりのエクレアやサヴァランがあって私を引きずり込むことがある。でも突出して美味いお菓子があるとは思わなかった。
 ある日、朝の焼きたてのお菓子が並ぶ時刻にたまたま入り、エッグタルトはベレンのパスティス・デ・ベレンのものしか食べない私がこの店のエッグタルトを食べたところ、凄く美味しく感じられた。
 ベレンのエッグタルトは皮がやや焦げてバリバリに硬くて油っこいが、「アロマ」のパイ皮はサクサク感が歯に心地よい。カスタードクリームはベレンのほうが甘さは控えめで私の好みだが、ポルトガル人には物足りないのか、2~3個食べる人も珍しくない。「アロマ」のは甘さがやや強く、1個で満足できる。そのような点が評価されたのだろうか。
 元祖「パスティス・デ・ベレン」がこのコンペティションに参加したのかどうか知らないが、住宅地の小さな店が、 有名店「スイサ」や5つ星ホテルのレストランのエッグタルトを抑えての最高賞は快挙である。
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生クリームが欲しくなるときは、「アロマ」のエクレア
 テレビのニュースで受賞が報道された翌日は、いつもは3~4人程度のカウンターに、お客が隙間なくぎっしりと列をなして順番待ちしていて、別のTV局も取材にきていた。突然殺到した人々に動じることなく淡々といつものペースで注文を受ける「アロマ」のおじさんに、今後もいつもの街角のカフェとして頑張ってくださいねと心の中で応援した。
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別のカンポ・デ・オリークのカフェLomar(「鳥の巣」のある店)のパステル・デ・ナタも、軽い塩味が効いて美味。午前中の温かい内に行くべし。
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by caldoverde | 2012-04-22 22:20 | お菓子・カフェ | Comments(5)

廃駅の謎と鯉の家

 カステロ・デ・ヴィーデに着いた日は復活祭、翌日はこの村だけの休日だった。役所や金融機関は4連休になる。路線バスも運休だ。村に2つしかないATMは空っぽになり、私は手持ちの現金15ユーロの範囲内で1日を過ごさなくてはならない。予定していたマルヴァン行きは明日に延期となった。
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 昔、カステロ・デ・ヴィーデから電車でリスボンに移動したことがある。その頃はリュックを担いで「地球の歩き方」を手にして旅をする若者が今よりも多かった。日本の鉄道の便利さや快適さに慣れていた日本人は鉄道を使いたがった。私もそうだった。ポルトガル鉄道(CP)の薄っぺらい時刻表を買い、ダイヤを調べ、乗り換えの駅や休日の運休なども良く確認したつもりだった。しかし駅の周りの環境は地図でおおよその位置が分かるのみで、実際に駅に到着すると愕然とすることがよくあった。町から数km時には10km以上離れた、野原あるいは山の中にある。周囲には店はおろか人家も人影も見当たらない。駅はもちろん無人駅。タクシーを呼ぼうにも公衆電話もない。
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 確かカステロ・デ・ヴィーデ駅もそんな所だった。村人が駅まで10分か15分だと言ったその言葉を信じ、ゆっくり景色を見たり、切符を買う時間の余裕も持たせて1時間前に村を出た。この道を真っ直ぐ行けばいいという言葉に従って。行けども行けども畑ばかりでそれらしい建物も線路も見えてこない。4~50分歩いてようやく道の脇に「駅」という看板が現れた。そこから先は草の生い茂る車のわだち跡のような細い道だった。草を踏み分けて進むとやっと線路があらわれ、数百メートル先に小さな1両の電車が止まっていた。もう出発時刻は過ぎていた。この電車を逃したらその日じゅうにリスボンに帰れない。駅員に手を降りながら線路を必死で走って電車に乗ることが出来た。

 今となっては笑い話だが、村人は駅まで「車で」15分と言ったつもりを私は「歩いて」15分と解釈したのだった。あの時は焦って駅の建物に目をやる余裕はなかったので、どんな駅舎でどんな場所にあったのか確かめたくなった。ゲストハウスのマダムによるとCPカステロ・デ・ヴィーデ駅は今は使われていない。しかし建物はとても綺麗なアズレージョで飾られているという。お昼を食べたら車で連れて行ってあげるというありがたい申し出を受けたが、結果的に自力で行くことができた。
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カステロ・デ・ヴィーデの風景を描いた美しいアズレージョと針のない時計

 途中までの国道は昔に比べ拡張され整備されたようだ。しかし廃線となった鉄道駅に向かう道は、通る車も殆どなく、もちろんすれ違う人も皆無だった。
 何もない草ぼうぼうの原っぱの中と記憶していたが、駅の近くに家がある。犬が数匹いて人が住んでいるのは確かだが、人の気配はなかった。なぜか「いらっしゃいませ」という看板が付けられている。ペンションだったのだろうか。庭先に牛の頭蓋骨が2つ置かれ、塀の上には置物が並べられ、畑の中に立てられたカカシは女の子のマネキン人形で、Tシャツを着せられズボンがずり落ちた状態になっている。非常に嫌な感じの薄気味悪い家だ。庭に煤で黒ずんだかまどみたいなものがありその上に花が置かれている。ヤバイ。この家は若い男女が行方不明となっている「ゴブリン王」事件の被疑者の家の雰囲気に似ていて気持ちが悪くなった。この辺りで電車で来た旅行者が行方不明になったという事件はなかったろうか?
ノスタルジーは恐怖に変わった。
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 それにしてもCPがこのような場所に駅を作ったのはいかなる理由や目的があったのか。人目についてはまずいものを運搬していたのだろうか。それならばこんな辺鄙な場所の駅や信じられない不便なダイヤ、町までのアクセスがない事に納得がゆく。

 何かが起こっても誰にもさとられそうにない場所から、無事にゲストハウスVILA MARIAに生還できた。村からは900m離れているが、庭からの眺めが素晴らしく、朝食も豪華でインターネットのホテル予約サイトでは老舗のホテルを抑えて最高の評価を受けている。女主人は気さくでとても親切だ。実は彼女は、昨日私が羊のモツスープを食べたレストランの経営者だったが、数年前に辞めて、古い家を購入し改装してこのゲストハウスを開いた。インテリアや備品にはもてなし好きのマダムの心遣いがすみずみ行き渡った素敵な宿だった。おやつや朝食に出されたケーキも彼女のお手製である。
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サン・マメーデ山系が目前に
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セーラ・ダ・エストレーラ犬のオスカー君
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食べ切れない朝食付きで1泊30ユーロだった
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ベッドの上にはポルトガルの山岳地方で作られる手織りの毛布

 夕食は村からゲストハウスに向かう街道の途中にある「CASA DAS CARPAS(鯉の家)」というレストランでアシガンという淡水魚のグリルを頼んだ。頼んだ後インターネットで調べると英名ブラックバスだった。少し後悔した。生態系を壊す犯人と見なされているブラックバスは、日本料理の板前さんにはまな板が臭くなると不評だ。この地方の料理によく使われるポエージョという香草のソース添えのブラックバスの塩焼きやいかに?

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「ええっ」と思わず声が出た。開いて凄い大きさになった魚と茹でジャガイモがオリーブオイルと香草とニンニクの緑色のソースにドップリ浸かっている。店の親父はニヤリと笑い「全部食べろ」と言い捨てた。
はっきり言って…美味い!魚は淡白で心配していた泥臭さはない。時折カリッと歯に当たる粗塩が味を引き締める。香草とニンニクをたっぷり使ったソースは魚の臭みをカバーするのみならず、ボイルしたジャガイモにつけて食べるとこれもまたやめられない美味しさ。
 ブラックバスに対する偏見が払拭された一品だった。
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by caldoverde | 2012-04-17 00:51 | ポルトガルの旅 | Comments(6)
 アパートの下のレストランが発生源と思われる騒音で熟睡できない日が続く。住民からアンケートをとり、管理会社や警察にも訴えた。しかし何の進展もない。遂にキレた私は静かな所で眠りたい一心で復活祭の日曜日に遠出を決行した。逃亡先はスペイン国境に近いカステロ・デ・ヴィーデとマルヴァンの2つの村だ。ここまでは冷蔵庫や空調のブォーンという不快音も追いかけて来るまい。
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 カステロ・デ・ヴィーデは昔スペインから逃げてきたユダヤ人コミュニティがあったことでも知られ、その伝統の名残があちこちに見られる。何年か前にこの町に泊まった晩はたまたま復活祭の前の「ハレルヤの土曜日」と呼ばれる日で、真夜中に村人がカウベルをカランコロンジャランジャランと鳴らしながら通りを練り歩く「ショカリャーダ」という行事に遭遇した。人々は「神の子羊」となって鈴を鳴らしながらぞろぞろ歩き、クリスチャンはキリスト復活を喜び、ユダヤ人は祖先のエジプト脱出を偲び、誰もが春の到来を祝い、家族の再会や健康を神に感謝しつつ、しめたての羊の料理やお菓子をたらふく食べる日曜を迎えるのである。
 今度は自分も鈴を思いっきり鳴らしてストレス解消しようかと思ったが、聖金曜日と復活祭に挟まれた土曜日に空室のある宿泊施設を当日に予約するのは無理があり、値段の下がる連休最後の日曜と翌日の2晩を違う宿に泊まることにした。


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 カステロ・デ・ヴィーデは波のようにうねる山の斜面に家がへばりついたような村で、最も高い場所には城があり、そこから見る景色は、山の緑、赤の屋根瓦、白い漆喰の対比が息を呑むほど美しい。村の中を歩くと、中世以来の不揃いの石を敷き詰めた狭い坂道を挟んで、白い小さな家が肩を寄せ合っている。玄関先の植木鉢に植えられた、あるいは敷石と壁の間のわずかな隙間にこぼれ落ちた種が咲かせた花々は長年の隣人にも見知らぬ旅人にも微笑みかける。
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民家の白壁には「2001花一杯通りコンクール3位受賞」と記された楕円形のタイルが埋め込まれている。
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 この日は異邦人の私も伝統に従って羊を食べると心に決めていた。カステロ・デ・ヴィーデの村役場が作った2012年復活祭プログラムの中に、レストランリストと復活祭期間の特別メニューが記されている。聞いたことのない料理ばかりだ。15軒のリストアップされた全ての店が特別メニューの筆頭に挙げている「サラパテル」が気になった。中央広場に面した村で最も有名なレストランで、サラパテルとはどういうものか尋ねると、羊の内臓を使ったスープだと言う。血も使うらしい。ヤツメウナギリゾットくらい見た目の悪い料理と想像できるが、珍しいものなので食べてみることにした。

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 給仕は薄くスライスしたパン2枚にオレンジの輪切り、ミントの葉を小奇麗にあしらった皿を持ってきた。その上からせっかくの上品な配置をすっかり覆い隠すように、肉の細切れのごろごろと入った黒っぽいスープを注いだ。パンやオレンジやミントの葉はスープの上に乗せたほうが食欲が増すと思われる。これは肋骨が付いている、これはレバーだ、これは腎臓かもしれない、スポンジ状に細かく穴の空いたこれは…と分析してしまい、総合的な味はうまいともなんとも感想は湧いてこなかった。翌日に泊まったゲストハウスの女主人によると、このスープはその昔ユダヤ人がいけにえに捧げた羊を、余すことなく食べるように作られたものと言うことだ。

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 メインディッシュは羊のシチューか山羊のローストか迷ったが、羊が重なるのもつまらないと思い、山羊のローストにした。これもいまひとつであった。今年は雨が少なく山羊も痩せていたのだろうか、骨ばっかりで実際に食べるところは見た目の25~30%だった。また付け合せはフライドポテトではなく肉と一緒にオーブンで焼いた皮付きの小ジャガイモだったら数倍良かった。皿にはポテトから落ちた揚げ油が溜まっていた。フライドポテトはどんなに美味しくとも店の格式を下げてしまうものである。

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この日に食べた一番美味しかったものは、この村名物のボレイマというケーキ。リンゴと赤砂糖を使った素朴な菓子。
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by caldoverde | 2012-04-12 00:36 | ポルトガルの旅 | Comments(5)
 宝くじが当たった。ユーロミリオンという数字選択式のヨーロッパ全域で発売される宝くじで、数字をぴったり当てた人がなければ賞金は次回に加算され、しばらく当選者が出ないと1等賞金はその辺の自治体の年間予算に匹敵するような巨額なものとなる。私にも遂に、今まで我慢していたものを大人買いするチャンスがめぐってきたのだ!!

 ちょうどオリーブオイルが切れかかっていたので、一番上等のヴァージンオイルを買うことにした。「GALLO」(雄鶏)というポルトガルで最も有名な銘柄の、2011年ー2012年にかけて収穫されたオリーブのみ使用したフレッシュ極まりない限定版で、値段は4.99ユーロ(約550円)である。今使っているオリーブオイルもヴァージンオイルなのだが、アラフォーのハイミスのようなトウのたった味なので、絞りたてのピチピチのオイルとどう違うのか比較してみたかったのもある。
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 GALLOのオリーブオイルは全て同じ形の瓶を使い、品質の違いはラベルで区別されるが、この2012年ヴァージンオイルは独特のくびれのあるガラス瓶全体を白地で被い、社名である雄鶏を金色でプリントした高級感溢れるデザインで、しかも立派な紙箱に入っている。雄鶏はポルトガルでは幸運のマスコットでもあるので贈答用にぴったりだ。もし日本で売られるとしたら、2~3千円くらいになるのではないだろうか。
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 オリーブオイルそのものを味わうために、パンも用意した。バターの代わりにオリーブオイルをつけて食べるのだ。白い皿に注いだオリーブオイルは緑と金を混ぜたような色で、芝を刈った後の庭のような青臭い、爽やかな香りだ。パンにオイルをたっぷり付けて食べると、ピリッとした刺激が感じられる。それは決してひりひりしたものではなく、スパイシーな心地よい辛味で、すぐに消えてしまう。この2012年版ヴァージンオイルは純真無垢な赤ちゃんではなく、鼻っ柱の強い、小生意気な娘だ。オリーブオイルの苦手な人には不向きだろうが、何にでもオリーブオイルをかけないと気がすまない地中海民族にとっては、彼らの理想の女性である聖母マリア(ヴァージン)の味に違いない。
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 もう一つ大人買いしたものは、チーズである。私は最近くじ運が強い。アパートの下にあるスーパーのはす向かいにまた別のスーパーがあり、数歩遠いためにめったに行かないのであるが、たまにここで買うとレシートと共にクーポン券が出てくる。結構利用しているにもかかわらずクーポンをもらったことがないという顧客もいるというのに、私は一つしか買わなくても、様々な商品が割引になるクーポンが2~3枚出る事があり、捨てるに捨てられずいたずらに財布を肥やしている。たまたまPASTOR社のチーズが40%引きになるクーポンをもらったので、1個500gもある大きなチーズを気前良くポンと一個買うことにした。割引後の値段は2.99ユーロ(330円)だった。直径10cm高さ6cmの淡い黄色のチーズは、指で押せば押し返すような弾力があり、塩辛くはなく、ほんのり酸味のあるクリーミーなとても食べやすいチーズだ。一人暮しなので普段は小さなサイズやカットしたチーズばかりを買うのだが、当選に気を良くした私はファミリーサイズを買い、大人食いをするのだ。
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 ちなみに私が受け取った賞金は12.25ユーロである。投資額は9ユーロなので3ユーロ25セントの利益だ。今までずっと9ユーロ分買っていたが、4回当たりが出た中で今回が一番ビッグな当選額。3ユーロ→9ユーロ→9ユーロ→12ユーロと順調に増えている。次回こそ大当たりに違いない。TVのインタビューを受けるかもしれないので、当たった時の心境を今からまとめておこう。
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ゲットしたクーポン券の中にはニベア製品を買って100ユーロ分の商品券が当たるというのもあるけど、ニベアは使わないし・・・

 宝くじとは関係なく、近々NHKラジオのインタビューを受けることになった。4月7日17時5分から始まる「地球ラジオ」に生出演。リスボンやポルトガルの食べ物について話す予定です。
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by caldoverde | 2012-04-02 07:02 | 調味料・その他 | Comments(9)