ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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<   2012年 07月 ( 5 )   > この月の画像一覧

 グラシオーザ島の最終日。太陽が戻ってきた。午前中は自転車で海岸や町の中を散歩した。アソーレスが美しいのは雨が多いせいではあるが、やはり雨天と晴天とでは、美しさ楽しさが段違いである。すれ違う島民から挨拶されることもしばしばで、リスボンでは失われかけている素朴さがまだ残っている。そして、こんなものも残っている!
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 この島にはコビトロバ(burro anão)という独特の種があって、今は数十頭しかおらず絶滅が危惧されている。名前の通り小柄なとても可愛いロバだ。20世紀始めの写真には、大勢の女性達がロバに乗って島内を移動する様子が記録されている。島に居る間2度ほどロバが曳く荷車を見た。速度は人間が歩くのと変わりない。自転車の方がはるかに早い。私が見たのは茶色のメスのロバで、とても優しそうな顔をしている。乗っていたおじさんに声をかけて触らせてもらった。

 ポルトガル北部ミランデーラにも絶滅が心配されているロバがあり、ロバの養子制度を設けて種を保存しようという団体があるが、グラシオーザ島ではどうだろうか。レンタカーならぬレンタロバや観光ロバ車を創ったり、車のラリーだけでなくロバレースを開催して、ロバ券も販売すれば、島の活性化に大いに役立つと思うのだが。私もロバ主になりたいと思い、burro anao と検索すると、なんとたったの数百ユーロ(数万円)で売買されている。血統書つきの犬猫より安い。どなたか希少なロバのオーナーになりませんか?
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おじさんが牧場で牛や馬の世話をしている間、ロバと犬はおとなしく待っている
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意外と美人です

 12時を少し回って昨日頼んだタクシーが迎えに来た。ドライバーのアントニオさんに、まず昼ご飯を食べるので適当なレストランに行くように頼んだ。彼が選んだのは島の中心の方にあるキンタ・ダス・グロッタス(QUINTA DAS GROTAS)という、地主の館を改装したレストランだった。ポルトガルの典型的な石造りの田舎家の建物で、内装も可愛いカントリー調で、窓からの眺めも良い。新しいホテルを除けばおそらくグラシオーザで一番大きなレストランだろう。メニューもサンタ・クルスのショボめの食堂とは違って郷土料理っぽいものが揃っている。
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 前菜は島で作っているチョリソ。アソーレスのチョリソはニンニクやピメントがピリッと効いていて、本土のものよりもパンチがある。
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 メインはタコのグリルを頼んだ。やはり赤いピメントがアクセントに添えられたタコはプリッとジューシーで、ブロッコリーはゆですぎず緑も鮮やかで、香りの良いオリーブオイルをたっぷり吸った皮つきの子ジャガイモもホクホクと美味しい。いつもは残すジャガイモを全部平らげてしまったので、デザートはパスしてコーヒーを頼んだが、帰り際にガラスケースに入っているものを見て激しく後悔した。昨夜プライア地区で食べたチーズプリンよりも更にクリーミーかつ濃厚そうなチーズ系デザートが何種類かある。ポルトガルのチーズケーキは原材料不明の「チーズケーキの素」を使ったような怪しげなものが多いが、この島のケイジャーダや昨日のチーズプリンは、コテコテの濃いミルクの味が本物だと納得させるものがある。このレストランのデザートもその期待をはずすことはなかっただろう。翌日から3日間絶食するつもりで食べておくべきだった。

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サンタ・クルスのカフェで食べたチーズタルト。リスボンにある類似のお菓子よりはるかに美味しい!

 食事後はこの島のハイライトである火山が造った洞窟、フルナス・デ・エンショフレに向かった。この島最大のクレーター、カルデイラの噴火口の底にある洞窟へは138段の螺旋階段を使って降りることができる。
 田舎道を走っていたタクシーがトンネルに入り、そこを抜けると、いきなり周りを高い森に囲まれた火山の真ん中にいる。樹木の濃い緑のリングの中に牛が放牧されている。駐車場で車を降り、坂道を上っていくと森の中にガラスとコンクリートでできた小さなモダン建築がある。それが洞窟の入り口だ。
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 石造りの螺旋階段は中世の教会や城の塔のようだ。今は緑で覆われた噴火口の底にぱっくりと口を開けた深淵を初めて探検したのは19世紀、モナコ大公アルバート1世だった。白っぽい石の断崖にはコケや羊歯が生えているが、陽の差し込まない底のドームには生物の姿はなく、水が溜まっている。かすかなイオウの臭いがする。季節によってはイオウ臭が強くなり危険だということである。この山から湧く温水が海の方に流れ出てカラパッショ温泉になっているわけである。

 カルデイラを後にし、マリアという女性が隠れ住んでいたという洞窟、島でもっとも風光明媚といわれるセーラ・ブランカ(白山)などを周りながら4時ごろ空港に着いた。
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 グラシオーザ島で生まれ、2年間サン・ジョルジェ島にいた期間を除きこの島を離れたことのないドライバーのアントニオさんは、色々な質問に朴訥と答えてくれ、なかなか楽しい旅となった。空港で別れを告げる際、次の来訪はいつかと尋ねられ、わからないと答えたが、最後のレストランで食べなかったデザートとロバの散歩とカラパッショ温泉のためにまたグラシオーザに戻りたくなった。小さな島だが3泊4日では短すぎた。
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by caldoverde | 2012-07-24 08:05 | ポルトガルの旅 | Comments(6)
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右の白い建物がカラパッショ温泉、すぐそばには無料の海水プール

 2日目の午後から3日目にかけて、島は雲に覆われ小雨もパラついて文字通り白い島になってしまった。景色は望めないので、またバスでカラパッショ温泉に行くことにした。プールとジャグジーバスに加えてリンパマッサージを受けた。リンパ腺を思いっきり絞り上げるのかと思いきや、優しく撫でたり軽くつまんだりといったマッサージで新陳代謝を促すのだそうだ。環境音楽の流れる中、リスボンのアパートの騒音も忘れて久しぶりに心地よい眠気を感じた。
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 昨日はこの近くのレストランで食べたので、この日は別の所で食べようと、サンタ・クルスに向かうバスを途中下車して、港のあるプライア(浜)地区を訪れた。浜といっても20mくらいの小さな黒っぽい砂浜があるだけだが、島では唯一の砂浜だ。ちょうどアソーレス諸島各島を結ぶ連絡船が入港し、また乗客を乗せてピコ島へ向かうところだった。港のそばにもあの特徴的な形の風車がいくつかある。休暇を得た移民労働者や他島や本土で勉強していた学生たちはとんがった赤い屋根を見て、ああ、故郷に帰って来たと実感するにちがいない。
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中央の小島は野鳥の生息地として保護されていて立ち入り禁止
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右の風車は宿泊施設になっている

 プライア地区には非常に重要な名産品がある。ケイジャーダ(チーズ菓子)だ。薄い皮にチーズを使ったフィリングを詰めて焼いたものでヒトデの形をしている。島のカフェにエッグタルトはなくてもケイジャーダは必ずある。その名物菓子の工場がプライアにあると聞き、ぜひ出来たてを食べたいものだと思っていた。海岸通りのカフェにそのケイジャーダがあると住民から聞き、さっそくコーヒーと共に名物のケイジャーダを賞味した。ポルトガル各地にご当地自慢のケイジャーダあれど、私の評価ではグラシオーザ島のは国内で1、2を争う美味さだ。少なくとも見かけから想像するよりもずっと美味しい。硬そうに見えたフィリングは実はしっとりして、まったりとした舌触り。フレッシュ・チーズに砂糖を焦がしたカラメルの香ばしさをからめ、シナモンなどの香料は使っていない。かなり甘いが小さめなので、苦いエスプレッソ・コーヒーに良く合う。グラシオーザ島以外では、6個入り箱詰めでサン・ミゲル島の空港で売られている。生にはかなわないが、お土産としてはかなりのレベルなのでお奨めだ。
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 夕食はケイジャーダを食べたカフェの隣の、白壁に石があちこち顔を出す伝統的な島の建物のレストランで、地元の白ワインとボカ・ネグラという魚のグリルの夕食をとった。この島のワインもピコ島の世界遺産のワイナリーと同じように石垣で囲まれた畑で作られる。香りはとてもフルーティだが、味は辛口。アルコール度数は11度程度で、軽く、はかなく、後に残る余韻みたいなものはないが、とても飲みやすい。
 ボカ・ネグラはテルセイラ島でも食べた赤魚系の魚で、レストランのお姉さんも推すだけあって、新鮮で美味しかった。サラダのほかに野菜炒めが付いていて、味噌汁と白いご飯があれば120点。
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 デザートはチーズのプリン。ねっとりとした舌触りの、乳脂肪分が高そうなプリンは酪農王国のアソーレス諸島ならではのデザートである。グラシオーザ島のスイーツは特にミルクの味と香りが濃厚である。
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 夕食後はプライア地区からのバスはもうないので、レストランでタクシーを呼んでもらいサンタ・クルスにもどった。海岸沿いの景色のいいところを走ってくれと頼んだが、正直そうな運転手は、この道が早いと内陸寄りの幹線道路を選び、途中眺めの良い場所で停めて、景色を見せてくれた。信用できそうな人だったので、翌日の最終日に3時間ほどの観光とそのまま空港への送迎も頼んだ。
 島のタクシーにはメーターはなく定額制で、彼は料金表を引っ張り出し、50ユーロくらいだと見積もりを出した。今まで他の島では60~70ユーロほど払っており、また翌日は土曜日でもあったので、60ユーロ払うということで明日の昼にホテルに来るように依頼した。
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by caldoverde | 2012-07-23 07:36 | ポルトガルの旅 | Comments(3)
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 2日目は朝一番に広場にある観光局に行き、バスの時刻表を手に入れた。10時半にサンタ・クルスを発つ路線バスで30分ほどで、島の南にあるカラパッショ温泉に行くことができる。この旅の大きな目的は何と言ってもこの温泉である。帰りのバスは午後4時ごろ温泉の付近を通過し、5時前後にサンタ・クルスに到着する。4時間たっぷりカラパッショで温泉に入ったり、海水浴をしたり食事ができる。
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 この日の午前中も好天に恵まれ、カラパッショからは陽光きらめく群青の水平線の上に、中間の青のギザギザの鋸のようなサン・ジョルジェ島、その後に淡いブルーの富士山のような完璧な姿のピコ島、そして少し離れてこんもりとしたテルセイラ島と、様々な青の諧調に息を呑んだ。
 温泉の建物は集落の外れにあり、切り立った崖が小さな湾に落ち込む山裾にある。昔からこの温泉はリューマチの療養に有名だったが、数年前に改装して最新の施設を備えたスパになった。健康な人も温泉プール、ジャグジーバス、各種マッサージなどが利用できる。私はプールとジャグジーバス、ヴィシーマッサージを選んだ。
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 まず最初はヴィシーマッサージ。持参した水着に着替えマッサージ台にうつぶせに横たわると上から暖かくしょっぱいシャワーが降り注ぐ。華奢な女性マッサージ師の手は意外と暖かく心地よい重みで体に圧力をかけ撫で上げる。お湯の固まりになった猫が体を押し付けるようなとでも言ったらよいだろうか、あまりの気持ち良さにいつまでもここにいたくなるほどである。次に温泉プールで30分。利用者は私一人の貸切で、だら~んと浮かんだり遠慮なく泳ぐこともできた。暑くもなく冷たくもない柔らかいお湯に心も体もとろけてしまった。最後に個室に入って水着を脱ぎジャグジーバスで愉悦の世界へ。まさに極楽。タオルやバスローブ、キャップはスパで貸してくれるが、水着とビーチサンダルは必須。
 温泉の前の海水プールでは、見事な肢体の女性が日光浴をし、子供や若い人が水遊びに歓声をあげているばかりでなく、地元のお年寄りも水浴をしている。こちらもリューマチなどに効果があるのだろう。
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 温泉でふやけた後は近くのレストラン「ドルフィン」で遅目の昼食。魚のフライ2種と牛肉、豚肉、つけ合わせの野菜のビュッフェとカサ貝のグリル半人前。体力的に食べ放題で元を取るのが難しくなってきたが、ここグラシオーザ島では割と安い値段でビュッフェを出す店が多く、食いしん坊にはありがたい。味はまあまあ。
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左はアボテイア、右はビクーダという魚のフライ
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牛肉のシチューと骨付きの豚肉
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アソーレスに来たらこれを食べなくては。カサガイ(ラパス)

 カラパッショからホテルに戻るころは時折小雨のぱらつくあいにくの空模様になってしまったが、大した雨ではなかったので、届いた自転車で海岸沿いをサイクリングした。比較的平坦だが、ゆるい上り坂で向かい風にあうとさすがにきつい。4キロほど走ったところに灯台があり、そこにはクジラ島と呼ばれる岩礁がある。黒い鯨が迷い込んだ湾の内側は、鯨を飲み込もうとする怪物の黒い口のような、不気味な洞窟や崩れつつある崖になっている。たおやかなグラシオーザ島の中で数少ない荒々しい風景である。
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 ホテルに自転車を置いて、今度は徒歩で近くの山の中にある闘牛場を見に行った。サンタ・クルスには、火山の天然の地形を利用して作られたすり鉢状の闘牛場がある。それを囲む噴火口の縁には小さな教会が3つある。闘牛は8月に本土から闘牛士を呼んで2回行われるが、それ以外の時期は草ぼうぼうでゴミだらけ。森を切り通して作った、山をぐるりと回る自動車道は真新しく、急な坂の歩行者専用の近道は完全に雑草で覆われている。どちらも利用者はほとんどいないようだ。自然をうまく利用した円形競技場は闘牛以外にもっと活用されていいと思う。
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 海岸や道路に牛を放すトウラーダ・ア・コルダも夏の間、島のあちこちで行われる。私の滞在中は2カ所で行われたようだ。闘牛の始まる時間は午後6時。見たかったが会場がホテルからは離れているので今回は見送った。

2010年にグラシオーザ島のグァダループという集落で行われた闘牛の模様をyoutubeで




 闘牛とともに静かなこの島を興奮させる数少ないイベントは自動車レース。7月13日、14日はグラシオーザ・ラリーが行われ、街や海岸沿いの道をエンジン音を轟かせながら30台ほどの車がレースを行う。サンタ・クルスの広場周辺には人が大勢集まっていた。日中すれ違うのは中高年ばかりだったが、まだ若者や子供もいたんだと、島の将来を案じていた?私は少し安心した。車が爆音を轟かせながらやってくると、観客はフェンスから乗り出し盛んに声援を送った。ラリー参加者は大半がテルセイラ島のドライバーだそうだ。


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by caldoverde | 2012-07-21 09:05 | ポルトガルの旅 | Comments(6)
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 今年のアソーレス諸島への旅は「白い島」ことグラシオーザ島。グラシオーザとは優美なという意味で、なだらかな地形と穏やかな気候から名付けられた。雨の多いアソーレス諸島の中でサンタマリア島につぐ乾燥した島だ。古い地層を形成する石が白いことから「白い島」だそうだ。この島は比較的肥沃で様々な穀物やチーズ、ワインが生産され、またお菓子でも有名だ。
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 グーグルアースで調べると、自転車で走れる平坦な道がありそうなので、昨年に引き続きピンクのブロンプトンをお供にすることにした。 飛行機を予約時にスポーツ用具の荷物ありとリクエストしていたので、追加料金を払わないで預ける事ができた。去年はリクエストせずに持ち込んだので空港で35ユーロ払った。
 リスボン~グラシオーザ間の直行便はない。12時30分発ボストン行きのアソーレス航空SATAのエアバスをサン・ミゲル島で降り、そこでプロペラ機に乗り換え、途中テルセイラ島を経由し16時過ぎにグラシオーザ島に到着。

 ところがグラシオーザ島に自転車が来ていない。サン・ミゲル島で荷物の積み残しがあったらしく、10人ほどの乗客がロスト・バゲージの手続きをしていた。午後4時すぎに空港に着いて、9時までは明るいので島をサイクリングするつもりだったが、自転車の届く翌日の午後に延期となった。手続きをしている間に人もタクシーもいなくなり、荷物はリュックと自転車用バッグだけだったので、ホテルまでは徒歩で向かった。いい天気で荷物も苦にならず、30分ほどのんびり歩いた。
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 家付きで売りに出されている風車があった。この島の風車はとんがった赤い帽子とオランダ式の羽が特徴だ。この島に最初にやって来たのはポルトガル中部の人だったが、北部のミーニョ地方、南部のアレンテージョ地方からの入植が行われ、フランドルからも移民がやってきた。オランダ人は酪農を伝え、穀物を挽く風車を作った。したがって島の建物はキリンの網目模様のようなミーニョ風の石造りだったり、白壁に青い縁取りのアレンテージョ風だったり、フランドル風の風車だったりとバラエティに富んでいる。元々は粗い黒い溶岩を積み上げただけの粗末な造りの家だったが、地震で大きな被害が出たので、セメントで固めなくてはならなくなったそうだ。

 宿泊したホテルRESIDENCIAL ILHA GRACIOSAは、元は地主の館で、隣は小さなワイナリーになっている。バーではこのワイナリーで作る甘い強化ワインとブランデー(アグアルデンテ)が飲める。食堂にはぶどうを絞る圧搾機とタンクが残っており、テーブルや椅子はワイン樽だ。島一番の町サンタ・クルスにはこのホテルのような白い館が集まっていて、その佇まいからも白い島と呼ばれるようになったのだろう。

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 散歩中に白壁にベーカリーと書かれた建物を見つけた。中には島名物のお菓子とパンが並び、夕食前のすきっ腹を思いっきり誘惑した。ええい、デザートとメインディッシュの順番を変えてしまえ、とお菓子を2個買い歩きながら食べた。リスボンの値段の半額で、しかもリスボンにないタイプのお菓子だ。
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アメリアスという、干しブドウやシナモンなどを混ぜた生地のケーキ。
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この店のマドレーヌはチョコでコーティングされ、中にはとろりとした蜜が入っている

 夕食は町の中心の広場に面した店で、カタプラーナ(魚介シチュー)を食べた。島なので新鮮なカニや貝を期待したが、冷凍物だった。カニカマが入っていた。カニカマは嫌いじゃないがレストランで使うのはイエローカードだ。海に囲まれた島でカニカマは即退場だ!
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量は申し分ないんですが・・・
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by caldoverde | 2012-07-20 01:20 | ポルトガルの旅 | Comments(2)
 この夏も恒例の工芸見本市(FIA)がリスボンのエキスポ地区のFIL(国際見本市会場)で7月8日まで行われている。毎年欠かさず訪れる見本市だが、年を追う毎にポルトガルの伝統工芸の展示エリアが縮小していくのを寂しく感じていた。しかも昨今の経済危機である。廃業に追い込まれた職人や工房も多いのではないかとの危惧を抱きながら、あまり期待もせず行ってみたところ、意外なことに昨年とはちょっと様子が違っていた。
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夏にウール製品は不利だが、目を引いた可愛いフェルトのケープと帽子
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ブリキのちりとりみたいなものはトースター
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 第1パビリオンがポルトガルの伝統工芸とコンテンポラリークラフト、第2パビリオンが世界の手工芸品、第3パビリオンが郷土料理やお菓子の出店と、構成はいつもと同じである。
 第1パビリオンのエントランスでは毎年テーマを設け、特別展が開かれる。ここしばらく「鉄」「土」「糸」「木」と工芸品の材料が主題だったが、今年はなんと「甘いもの」である。私は今回の工芸見本市にかつてない興奮を覚えた。
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 ポルトガル全国の伝統菓子が分類され、ガラスケースに展示されている。過去の記事でも触れたが、大部分のポルトガルのお菓子は修道院に起源を持ち、卵の黄身をふんだんに使った真っ黄色いものが圧倒的に多い。和菓子同様、材料はほぼ共通している。しかし地方によってその配合や形態は千差万別で、そこから豊かなバリエーションが生まれる。

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ケイジャーダ(チーズ菓子)は地方によって味も形も様々
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紙に包まれ焼かれた元祖カステラのパン・デ・ロー
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ベレン名物はエッグタルトばかりじゃないとビールケーキ
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マジパンでできた鯛の尾頭付き

 苦い抹茶が欲しくなるような強烈な甘さが、ガラス越しに視覚を通じて感じられる。実際に賞味できるようにいくつかの菓子店も出張販売を行っており、近所のカフェ「アロマ」がリスボン一の誉れを受けたご自慢のエッグタルトを売っていたのはサプライズだった。
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 私はお香の臭いの充満する第2パビリオンがどうも苦手だ。エスニック系はある日突然凝るとはまるが、嫌いになるのもある日突然やって来る。しかしポルトガル人は安価でインパクトのあるエスニック小物を上手に取り入れている。だから田舎臭い伝統工芸コーナーよりよっぽど賑わっている。人ごみの苦手な私は素通りして第3パビリオンに直行。


 何なんだこの賑わいは?不況の影はどこに?と思うくらい第3パビリオンは盛況だった。平日にもかかわらず仕事帰りの勤労者や家族連れで溢れかえっている。陽気なサンバのBGMがパチンコ屋の軍艦マーチと同じ効果を与えるのか、とにかく心も体も浮き立つ。内容は毎年同じ、生ハムとチーズを挟んだサンドイッチをメインとした屋台が主であるが、今年はだいぶ出店が増えた印象。軒からぶら下がる様々な腸詰、鮮やかな赤い切り口を見せた生ハム、大胆にくり抜かれた丸いチーズが怒涛のごとく視界に押し寄せ、生唾を飲み込ませる。屋台の周りの折り畳みテーブルは、薄く切った生ハムやチーズを並べたお皿を囲み談笑する家族や友人達で巨大居酒屋のような賑やかさだ。
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 オーブンを持ち込みその場で焼いているパン屋の出店には、チョリソパンやピザなどのおなじみメニューと並んで、イワシパンがあった。炭火で焼いた鰯をパンに乗せて食べるイワシサンドは珍しくないが、パン生地の上にイワシを丸ごと置いてオーブンで焼いたイワシパンは初めて見た。初めて見たけど味は想像できた。頭や骨を取る面倒も想像できた。なので、食べるのに苦労を要さず、やはり初めて見る鱈(バカリャウ)パンにした。どちらもありそうでなかったものだ。
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イワシが丸ごと二匹!
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干し鱈入りコッペパン

 この手工芸品見本市の入場料は5ユーロ。工芸品を買ったり、食事をすると結構な散財になる。なのにこの賑わい。衰退の道を歩んでいるかに見えた伝統工芸品も、若い世代がその良さを見直し継承していこうとする兆しが感じられた。毎日テレビでは不景気なニュースばかり報道されるが、ちょっとだけ雲間から光が差したように感じた。
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イワシも甘いお菓子に
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ポルトガル版たいやきくん?
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アマランテの由緒あるお菓子です
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口に卵をくわえたトカゲのお菓子。これも縁起物らしい
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by caldoverde | 2012-07-06 17:01 | カルチャー | Comments(5)