ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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 1年以上も前にエスニック食品店で買ったモアンバスープキットが流しの下から再発見された。モアンバは鶏肉で作るので、炒める手間を省こうとローストチキン半羽を買ったが、そのままでも美味そうなので料理にする前に食べてしまった。鶏でモアンバを作ろうとしたらいつまでも材料がなくならないので、同じキットで作れる魚のシチュウ、カルルに方針を転換した。
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 モアンバもカルルもアフリカやブラジルで多く使われるデンデ椰子の油を使う。モアンバキットはデンデ油とココナッツミルクの二つの缶詰がセットになったものだ。デンデ油はどういうものか調べると、お腹の弱い人は下すことがあると書いてある。ココナツミルクもかなり油分のあるものだ。この2つをたっぷり使った料理に慣れると、ブラジルのバイーア地方の女性のようになる訳だ。これらのリスクを避けるために、デンデ油をちょっとだけ使ってなんちゃってアンゴラ料理にチャレンジしてみた。

 以前アンゴラ料理店で食べたカルルには、干し魚と生の魚が使われていた。干し魚からは良いだしが出て、スープが非常に美味だった。ポルトガルで手軽に手に入る干物といえば干鱈、それしかない。もうひとつ生の魚を使おうと思ったが、魚でなく海老にした。野菜はオクラ、必須である。それにホウレンソウが加わる。

 デンデ油は腹をこわしやすいということなので、スープのベースになる玉ねぎとニンニクの炒めは、オリーブオイルを使った。玉ねぎが色づいてきたら、缶詰のトマト、赤ピーマン、オクラ、海老、鱈を圧力鍋にぶち込み、デンデ油とコンソメを少量加え適当に煮込んだ。鍋が一杯になったので、結局ホウレンソウは使わなかった。
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 悪くはない出来あがりだが、煮込みが足りなかったせいか汁がサラサラで、アンゴラ料理店で食べたカルルのようなとろみに欠けていた。専門店ではフンジというマンジョッカのくずもちが付け合せに出されるが、日本米でご飯を炊いてカレーのようにして食べても食欲が進む。デンデ油を抑えたためか、トマトの酸味が効いているせいか、本式の材料にはない赤ピーマンを入れたせいか、アフリカ料理というよりも地中海系の味になった。アクセントを効かせたいときは、ピリピリソースを数滴入れると味が引き締まる。

 本場のカルルは野菜はオクラやホウレンソウの他にナスやズッキーニ、サツマイモなどを使い、干し魚と生魚を交互に層にして、中火でじっくり煮る文字通りのスローフード。一人前をパパッと短時間で作るよりも、やはり一族郎党、集落の人々が皆食べられるような量をどーんと作ったほうが断然美味しいに違いない。

アルカンタラ地区のアンゴラレストラン「モアンバ」の動画はこちら↓ 
店主やお客さんのインタビューです。

http://youtu.be/gAAsieUvC48
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by caldoverde | 2012-10-23 00:15 | インターナショナル料理 | Comments(3)
 私の住むアパートの1階と地階にあるカフェの騒音問題をめぐって10月10日にオーナー達と管理会社が会議を開くことになったが、それに先立つ8日に、オーナー数人そして私と隣の大猫ガト君のおばさんの2人の店子による住民会議が行われた。
 私とガト君のおばさんは杜撰な工事の写真や、騒音についてのアンケート、カフェの取得した営業許可、建物の用途に関する登記書類などのコピーをとり、製本して資料としてオーナー達に渡した。
 資料をまとめると最初からおかしな事だらけだったことが益々明確になってきた。
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我輩は猫である。名前も猫(ガト)である。体重は7kgである。

1、元々建物の1階と地下の店舗は商業を目的とし、ものを作る(料理や製菓)ためのものではなかった。したがって、地下を飲食店にするには高さが足りず、床下の地面を掘ってどうやら基準をクリアしたらしい。

2、カフェのオーナーが管理組合に申請した名目は「パステラリア(菓子店)」だったが、市から取得した業種のカテゴリーは「伝統的レストラン」で、副次カテゴリーとして「パステラリア」「バール(飲み屋)」「テイクアウト」が加えられていた。

3、カフェは管理組合に営業時間を7時から23時と申請したのに、後に市から午前1時までの営業許可を取得している。住民には知らされていない。

4、飲食店の排気装置は建物から最低50cm離して設置し、半径10m内は近隣の建物と接してはならないという規則があり、カフェは営業を始めるに当たって完璧に法律に準拠した換気及び防音の設備を施す旨を管理組合に言っているが、実際は全く無視されている。
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カフェの排気装置は屋上の物置のコンクリートの屋根に直に置かれている。隣の建物からはわずか15cm程しか離れていない。そばには煙突になるはずのアルミ管が放置されている。

5、住民の度重なる苦情に対し、リスボン市警察はカフェのオーナーに説明を求めたが、査察は行わず、「店は全て法律の基準に従っており、苦情は根拠がない」と言うオーナーの言葉を鵜呑みにした。

 市役所や警察は以前から同じ店の苦情をメールや電話でかなり受け付けていたが、具体的な証拠がなかったので動かなかった様だ。私はアンケートや写真を直接窓口に持って行ったので、案外早く役所がリアクションを起こし騒音検査が行われたらしい。

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近所の建物を覆うタイル。これを選んだ建主って・・・

 市の環境課の騒音検査はカフェによって3度キャンセルされ、その都度日時が改められた。仏の顔も3度まで、遂に堪忍袋の緒が切れた私は、騒音だけでなく営業許可も問題にしようと再度市役所に行き、関連部門の建築家を紹介された。

 ガト君のおばさんと私がオーナーの一人に資料を見せながら状況を話している最中に、件の市の建築家が電話を入れ、おばさんが全ての経緯を説明した。

 その会話の中で、更に驚くべきことが露見した。書類上カフェの営業は何と今年の9月からということになっているそうだ。実際の開店は昨年の9月である。怒りを通り越して脱力した。全てがデタラメだ。

 建築家は私の撮った写真を見て、なすべきことが全くなされていないことを確認し、近いうちに市当局による査察が行われることを告げた。

 開店前に査察やらんかい普通は?!、と私達はツッコミを入れたくなった。今はポルトガルでも行政改革で色んな手続きが簡略化されたので、書類を揃えて役所にお金さえ払えば、店を開くのは簡単になったようだ。

 カフェのオーナーは組合に登録された土木技師でもあり、適当に工事して適当に書類を作るのはお手の物、市役所の知り合いにでも託せば、多少の手抜きは誤魔化せると目論んだのだろう。しかし誤魔化すには騒音はあまりにも酷すぎた。直ぐに苦情に対応して騒音を無くしていれば、営業許可の問題にまで進展しなかったのに。うちはちゃんとやっているの一点張りで、挙句にどこかの騒音検査技師を派遣して「問題なし」という報告書を管理会社に提出させた。その後、本物のリスボン市の技師が私の家で検査を行ったのは前の記事の通り。
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これも近所の建物。壁が植物で覆われている。

 はたして罰金で済むのか、工事のやり直しを命じられるのか、営業を取り消されるのかは知らないが、カフェも黙認していた管理会社も何らかの責任を取らなければならないだろう。

 結果を見るまでしばらくは騒音を我慢しなくてはならないので、音楽を聴きながら寝ようと思い、雑音カット機能のあるイヤホン1万6千円也を買ってしまった。これもカフェに請求できるだろうか?(まだたぶん続く)
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by caldoverde | 2012-10-11 08:26 | 生活 | Comments(6)
 ポルトガルのどぶろくモランゲイロの店「ゼー・ドス・コルノス」は元は炭屋だった。メニューを見ると肉や魚の炭焼きが主力らしい。ポルトガル料理はあまり手を加えずに塩を振って焼くだけのものが一番美味かったりする。元炭屋の焼肉や焼き魚がハズレな訳がない。日をおいて昼食時に一人で乗り込んだ。
 狭い店は既に満員で外に5人連れが待っている。しかし私はうまく滑り込むことができた。6人がけのテーブルの、男に囲まれた真ん中に相席である。どのテーブルにも赤い液体の入ったラベルのない瓶がおいてある。
 おじさんが具のたっぷり入ったスープを運ぶのを見て、同じものを注文した。「石のスープ」から肉類を除いたようなリッチなスープだ。
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具は二種類のキャベツ、豆、ニンジン、ジャガイモ、米の形のパスタなど

 向かいの男性は手で骨付肉を頬張っている。私も同じものを頼んだ。「ボン?(おいしいですか?)」と聞いたら「いや、ムイトボン(超美味い)」という返事。やってきたのは長さが30cmもあろうかと思われる肋骨の上に山盛りのフライドポテト。骨と骨の間にナイフを入れて切り離し、トウモロコシを食べるように両手で骨を持ち、肉を歯でこそげ取る。焦げた部分が香ばしい。ちょうど良い塩加減だ。自家製ピリピリソースをつけるとまた食欲が刺激されイチゴワインが甘く感じる。
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もう古いiPhone3GSで撮った写真。結構美味そうに撮れます。

 隣の男性はこれまた旨そうな砂肝の煮込みを食べている。煮汁のしみたご飯を横目で見るとまた口の中に涎が。
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オレンジ色のビンがピリピリソース。唐辛子、ニンニク、レモンまでは材料を特定できた

 ネクタイを締めた会社員、現場で働く職人、学生風の若者、薬局の店員か美容師らしき女性、銀髪を綺麗にセットした老婦人など色んな人々がイチゴワインを傍らにお喋りに花を咲かせ、山盛りの肉やフライドポテトに舌鼓を打ち、おじさんと兄さんがコマネズミの様にテーブルを回り、厨房に注文を伝える怒号が飛び交う。頭に被り物をつけた青いワンピース型エプロンのおばさんシェフは厨房と炭火のグリルを行ったり来たり。
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 熱気と喧噪に満ちた下町食堂は、過去へのサウダーデばかりでない、ぎゅうぎゅう絞られる庶民の怒りを内包した炭火の如きパワーを感じた。
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by caldoverde | 2012-10-06 05:12 | 酒・ワイン | Comments(10)

酔っ払いの木

 初夏のジャカランダと並んでリスボンの美しい花木といえば、初秋に咲く「酔っ払いの木」。濃いピンクの細長い花弁は縁がフリルの様に波打ち、花の中心部は黄味を帯び、白地に濃い紫の斑点模様。大きさは10~15cm、割りと大きな花だ。そのあでやかさは人気の極みの女優のようだ。
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カテドラルの鐘楼と
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ジェロニモス修道院と

 しかし幹を見るとぼってりした下半身デブで酒飲みのビール腹のようである。この姿が「酔っ払いの木」別名「トックリキワタ」と呼ばれる由縁である。おまけに幹の表面はびっしりと棘で覆われている。まるで男性の髭の剃り残しのような。木の周りには重すぎて風に吹き寄せられることもない花弁が、打ち上げられたヒトデのようにぐったりと横たわり、通行人に踏み潰される。
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 トラベスティと呼ばれる女装した男性の芸人が後輩に人気を奪われ落ち目になっていく、芸(ゲイ)の世界の愛憎を描いたポルトガル映画「Morrer Como Um Homem(男として死す)」がある。「酔っ払いの木」は精一杯着飾りながら、肉体の衰えにおののく中年男であるこの映画の主人公を思い出させる。



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酔っ払いの木の下で飲む酔っ払いたち
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木によって花の色や形が違う
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by caldoverde | 2012-10-02 18:56 | 動植物 | Comments(6)