ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

<   2013年 09月 ( 1 )   > この月の画像一覧

ある暑い日の午後、すでに時計は2時を回り、今さら材料を買って昼ごはんを作るのが嫌になり、適当な所で食べようと、手書きのメニューの紙が貼られた近所の安食堂にふらりと入った。初老の男性2人が注文を聞いたり料理を運んでいる。何となく年恰好が似ているので兄弟なのかもしれない。姿は見えないが厨房で調理しているのは奥さんだろう。彼らの高齢の母親である可能性もある。きっと兄弟(と勝手に認定)は、金を貯めて一緒にリスボンに店を開こうぜ、自分たちの慣れ親しんだ故郷の味のレストランを、と目標を立てたのだ。そしてようやく中古物件の店舗を見つけて家族で商売を始めた。大成功とは言えないまでも、細々と続けている。銀行の口車に乗らずに無理な設備投資はせず、昔からのお客さんを大事にしながら…(多分) エアコンではなく20〜30年前の型と思われる扇風機の回る、さしたる装飾品もないチープな内装は、最近リスボンで初めて見た小津安二郎の映画「秋刀魚の味」に出てくるラーメン屋(主人が東野英治郎=水戸黄門)を彷彿させる。
a0103335_2345456.jpg


そこで私は本日のメニューである「カルデイラーダ・ア・フラガテイラ」を注文した。カルデイラーダは鍋に魚介類と野菜を交互に重ねて煮込んだポルトガルのブイヤベースのようなもの。スーパーにはカルデイラーダ用の冷凍シーフードミックスまで売られている。もともとは漁師の料理で、獲れた魚やエビ・カニ、貝類何でもかんでもを野菜と煮込んだものである。しかし、フラガテイロとはなんだろう?

出てきたのは、ジャガイモと2種類の魚のトマト味煮込みである。貝も海老もなく、リスボンのカルデイラーダにありがちなカニカマもない。ミニマムな材料である。ではまずいかというとそんなことはない。むしろ美味い。スープはかすかにピリッと唐辛子が効かせてある。赤魚のような魚と、エイのぶつ切りが入っているが魚臭くないのは、刻まずに葉っぱ丸ごと煮込んだミントのせいか。
a0103335_23173214.jpg

フラガテイロとはテージョ河で漁をしていた漁船のことらしい。だから本式のカルデイラーダ・ア・フラガテイロは、アサリやウナギ、穴子などテージョ河付近で捕れる魚介類をふんだんに使う。エイや赤魚が沿岸漁業の魚かどうかと知らないが、あの魚シチューはつましい家庭に育ったオーナー兄弟や厨房スタッフが、2種類の魚しか入っていないジャガイモの煮込みを、これがカルデイラーダ・ア・フラガテイロだと言い聞かされて食べていたおふくろの味に違いない。(と勝手に想像)

デザートはチョコレートムースかフルーツサラダ、桃、バナナがあるというので、桃を頼んだ。漠然とピーチメルバのようにアイスクリームやキャラメルが添えられた小洒落たものを期待していたが、ここはポルトガルであった。

a0103335_2345679.jpg

[PR]
by caldoverde | 2013-09-22 22:57 | シーフード | Comments(5)