ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

<   2013年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

a0103335_494985.jpg

 3日目は、ようやく我がポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデの番である。ミーニョ地方の葡萄畑はアレンテージョやドウロ上流の広大な葡萄畑と比べるとこじんまりして、また葡萄の木の仕立て方も多いに異なる。民家の敷地を区切る生垣のように、横に張ったワイヤーにツルをはわせている。ミーニョ地方やガリシア地方は海洋性気候で雨が多く、内陸に比べると日照時間が少ないので、葡萄に良く陽が当たるようにこのように作るのだそうだ。このような土地の葡萄は酸味が強く、そのような葡萄で作られたワインはアルコール度数は低くなり、長期熟成させるタイプではなく、早めに飲み切るタイプとなる。然して「緑のワイン」(ヴィーニョ・ヴェルデ)が生まれる。
 100%アルバリーニョ種から作られるものはヴィーニョ・ヴェルデの中でも高級品と見なされる。大衆的なヴィーニョ・ヴェルデは、ロウレイロ種など数種類の葡萄をミックスして作られる。実は私は高級品のアルバリーニョ100%より、気軽に飲める大衆的なヴィーニョ・ヴェルデの方が好きだ。なぜか?アルコール度が軽めでガスが多く含まれているので、暑い日にビール感覚で飲めるからである。ゴクゴク…プハー。しかし今回は高貴なヴィーニョ・ヴェルデを賞味するために来たのだ。
a0103335_3432263.jpg
16世紀の建物の入り口には面白い顔の井戸がある

 エレガントなアルバリーニョ100%の緑ワインはレゲンゴ・デ・メルガッソという小さな町の貴族の館(ソラール)のあるワイナリーで生まれる。ミーニョ地方はポルトガルの中でもソラールが集中している地域で、16世紀~18世紀に建てられたクラシックな邸宅がホテル(ツーリズモ・デ・アヴィタサォン)となっているところも多い。貴族の親戚や友達のいない方でも気軽にお屋敷に泊まることができる。
a0103335_3441624.jpg
ハネムーンにいかがでしょうか

a0103335_4132994.jpg

 訪れた日は葡萄の収穫(ヴィンディマ)が行われていた。りり子さんはヴィンディマに合わせてワイナリーの日程を組み、しかも参加する気満々でやって来た。私は葡萄畑や工場を見るだけでも十分満足したのだが、彼女は収穫した葡萄を踏み潰すことまで想定し、ショートパンツを持参して来た。その日はあいにく雨が降っては止みという天気で、工場の外で採り入れた葡萄を機械に入れる作業も一時中断される程の土砂降りに見舞われた。そんな天気にも関わらず、毎年ヴィンディマ時期に雇われる地元の人々は既にひと仕事終えて、お昼を食べに帰るところだった。りり子さん、Ovosmolesさん、私は葡萄を切る鋏を借りて、一応ヴィンディマに参加した。葡萄はほとんど残っておらず、たまたまよく熟れた葡萄を見つけたら、それはアルバリーニョではなく雑種の葡萄だということだった。ワイナリーは100%アルバリーニョという品質を守るため、ヴィンディマには経験と責任感のある、代々葡萄摘みを手伝ってきた家族を直接雇うのだそうだ。
a0103335_3455779.jpg
仕事が終わったころに畑に向かう私たち
a0103335_4191976.jpg
白ワインの女王アルバリーニョ

 お昼は廊下が広くなったところにテーブルを置いただけの社員食堂で、従業員達が食べる昼食をごちそうになった。一応肉と魚のブルコース、ワインも赤と白が出る。魚はマッサーダ・デ・バカリャウ(干鱈とマカロニの煮込み)、肉体労働を終えた人達のためか、やや塩辛いが、鱈の出汁がマカロニにしみて旨い。これに貴婦人のようなアルバリーニョ・ワインの組み合わせは、美女と野獣のようであるが、お互いに引き立てるナイスカップル。肉は香ばしく焼いたチキンで、相棒はミーニョ地方ならではの酸味のきいた赤のヴィーニョ・ヴェルデ。
a0103335_3511760.jpg
a0103335_3521353.jpg

 アグアルデンテと呼ばれるポルトガルの焼酎の中でも最高のものはヴィーニョ・ヴェルデから作られたものだという。隣に座っていた運送会社の社長のマリオさんが、食後に小さなグラスでアグアルデンテをうまそうに飲んでいたのを私が見逃すはずはなかった。マリオ社長は自家製アグアルデンテを作り、自分の名を入れたラベルまで印刷し、親しい人にプレゼントしたり、カフェに卸したりしている。まあ、密造酒である。そのマリオブランドのアグアルデンテの置いてあるカフェで食後のコーヒーと、消化薬(アグアルデンテ)を飲んだ頃は3時をとうに回っていた。ポルトガルの中で特に南部のアレンテージョの人々はのんびりやと言われているが、ミーニョの人も負けていない。いや、もてなし好きなのかもしれない。
a0103335_465025.jpg
「マリオ2000」非売品です

 既に夕刻になりつつあったが、モンサォンというヴィーニョ・ヴェルデの一つの指定産地の中でも特に名高いアルバリーニョの緑ワインを作るパラシオ・ダ・ブレジョエイラを訪ねた。堂々たるシンメトリーの豪壮な館(パラシオ)がここで作られるワインの名前となっている。19世紀に作られた比較的新しい宮殿で、内部は豪華だが当時のブルジョアの成金趣味の香りもそこはかと漂う。残念ながら宮殿内は撮影禁止、また宿泊設備はない。しかし売店のワインやアグアルデンテは市価より安いので、ワイン好きには必見の場所だ。
a0103335_354518.jpg

 この日はパラシオ・ダ・ブレジョエイラに行く前に、同じモンサォンにある「アルバリーニョ会館」にも立ち寄る予定だったが、レゲンゴ・デ・メルガッソでの葡萄狩りと昼食が予定より長引いたので残念ながらパス。「アルバリーニョ会館」では様々なメーカーのヴィーニョ・ヴェルデが試飲できるらしい。この町には温泉もあるので、いつかゆっくりとワインと温泉を楽しみたい。
[PR]
by caldoverde | 2013-10-16 04:27 | 酒・ワイン | Comments(2)
a0103335_1902151.jpg

 2日目は、ガリシアの風光明媚な小さな村サント・アンドレにある小さなワイナリー、「カサル・デ・アルマン」を訪ねた。ツーリズモ・ルラル(農業観光ホテル)を併設し、ワインの醸造、広報、ホテルやレストランの運営、インテリアまで家族経営によって行われている。18世紀の石造り総二階建ての建物は、ポルトガル北部にもよく見られる典型的なカントリーハウス。室内はそれぞれ違うインテリアで可愛らしくまとめてある。ビーチリゾートや有名な観光都市の豪華なホテルもいいけど、朝は鳥の声で目覚め、深呼吸すれば新鮮な酸素がたっぷり補給できて、食事は地元で採れた海の幸山の幸を地ワインで味わうのも素敵だ。ただし交通機関はないので、レンタカーや近くの町からタクシーで行く事になる。
a0103335_1932614.jpg
a0103335_1945943.jpg

 トルティーリャ(スペインオムレツ)と地元産のチョリソ、パンをつまみにここで造られる白ワインをテイスティング。ガリシアワインのコンクールで賞を取ったというだけあり、華やかな香りと爽やかな酸味の調和したすばらしいワイン。私は昨日のワインよりもこちらの方が気に入った。
a0103335_1982388.jpg


 今度はミーニョ川を挟む谷の上にある赤ワインのメーカー、「レジナ・ヴィアルム」に向かった。ここは完全に人里離れた孤絶した場所にある。しかしこの地には古代ローマ人がすでに葡萄畑を作り、ここで作られたワインを輸出していたという。角ばった怒り肩の個性的な瓶と力強い渋みのある味は、古の大帝国の伝統を継承していることを誇示しているようだ。
a0103335_19182251.jpg

 葡萄畑は45度もあろうかとも思われる急斜面にある。うっかり足を滑らせようものなら、何百メートル下の谷底に転げ落ちてしまいそうだ。ポルトガルのドウロ河上流の葡萄畑のように、斜面に等高線を描くように葡萄が植えられているが、異なるのは、日の良く当たる谷の片側にしか畑がないことである。ガリシア地方はイベリア半島の内陸に比べ、雨が多く日照時間が少ない。そんな所でも日光が最大に当たるような場所を選んで良質のワインを作っていた古代ローマ人の知恵は偉大である。
a0103335_1922238.jpg

 昼食は小さな石の村のモダンな内装のレストランでガリシア地方の名物料理に舌鼓を打った。パプリカをたっぷり使った朱色のチョリソ、マイルドなガリシアチーズ、そして木皿に敷き詰められたガリシア風タコ!タコにはガリシアのアルバリーニョがよく似合う。メインは豪快な子ヤギのロースト。肉にはスムースな地酒の赤ワイン。デザートは素朴な(すの入った)カスタードプリン、滑らかで濃厚なコーヒープリン、ライスプリンの3種。
a0103335_1924418.jpg

a0103335_19271670.jpg

a0103335_19281081.jpg

a0103335_19303026.jpg

a0103335_19312880.jpg

 レストランの外には汽車ポッポ型観光バスが止まっていた。今の時期、こんな辺鄙な場所に観光客が来るのだろうか?と訝っていたが、私たちのために特別に用意してくれたらしい。谷の斜面を切り通したくねくねの山道を走る観光バスは、ガリシア州庁事務局長アントニオ氏による格調高いガリシア語のガイド付き。山には葡萄ばかりでなく樹齢何百年という栗の木が青い実をびっしりつけている。昔はガリシア地方やミーニョ地方の主食は栗だった。
 このエクスカーションの記念写真は地元の新聞に「日本の輸入業者がガリシア訪問」みたいな扱いで写真入りの記事になってしまった。
a0103335_19335299.jpg

 汽車型観光バスを降りて、今度は普通の車に乗り換えて更に山奥にある、この地方で一番うまいワインを造ると言う「ギマロ」を訪問。と言っても田舎の細道の途中にある小さな醸造所である。何となく日本のお笑い芸人にいそうな感じの若い男性が私たちを迎え入れた。この工場では今も伝統的かつ家内手工業的なメソッドで良質のワインを造っている。大きな工場では取り入れた葡萄の実を軸から外したり、軸ごと実を潰して汁を絞る工程は機械化されているが、ここでは若手芸人、もとい若手醸造技師のペドロさんの手によって葡萄は揉み潰され、余分なタンニンのない上質のワインが出来上がる。彼は紫色に染まった掌を誇らしげに見せてくれた。ここでは軽快な若いテーブルワインからジビエに合いそうな重厚なタイプまで、わずか4人のスタッフで生産している。先ほどの昼食で出された赤はここの製品だった。ここで作られるワインは有名なポートワインメーカーにも卸されている。

チャーミングなペドロさん。「ギマロ」は「楽天」や「神の雫」でも紹介されています。

 最後に彼が大きなスポイトで樽から吸い上げたのは、白い濁り酒のような液体だった。恐る恐る口に含むと、とろけるような甘さと極わずかなガスの弾けるのを感じた。「うまいっ!」モストと呼ばれる発酵中の葡萄ジュースだった。まだ絞られて間もないワインの赤ちゃんは、スペインではポピュラーな飲み物だそうだ。
a0103335_1941452.jpg

石だらけの急峻な葡萄畑では作業はすべて人力で行われる
[PR]
by caldoverde | 2013-10-10 20:22 | 酒・ワイン | Comments(4)
a0103335_2019895.jpg

 ポルトガル北部のミーニョ地方とスペインのガリシア地方のワイナリー巡りをしませんかと友達のりり子さんからお誘いが来た。カミーニャという北部の町に住む彼女のご親戚が、ミーニョとガリシアのワインと観光のプロモートに意欲的で、ぜひ日本に紹介したいという。彼は良質のワインを生産するワイナリーを選定し、葡萄の収穫時期に合わせて日時をアレンジしてくれた。私とOvosMolesさん、そしてその話を持ちかけてくれたりり子さんの3人は、各ワインメーカーから日本の観光使節あるいは有望なインポーターとしての歓待を受けた。

 ポルトガルとスペインの国境をなすミーニョ川を隔てて向かい合うミーニョ地方とガリシア地方は、気候や文化が共通する点も多く、ワインもこの2つの地方で栽培される独特の品種の葡萄から作られている。アルバリーニョという白葡萄は、ポルトガルでは高品質のヴィーニョ・ヴェルデ(緑ワイン)の代名詞、スペインではこの品種で作られる白ワインのブランド名になっている。
a0103335_20355099.jpg

 一般的なヴィーニョ・ヴェルデはアルコール度数10度前後の軽めの若いワインだが、アルバリーニョ種から作られるヴィーニョ・ヴェルデは13度と普通のワインに近い度数となる。トロピカルフルーツ、柑橘系、ナッツ系などの複雑な香りと味わいを持ち、まろやかな酸味の豊潤なワインとなる。
a0103335_21104058.jpg
テラス・ガウダ社のアルバリーニョワインときのこの缶詰

 初日に訪れたワイナリーは、スペインのミーニョ川河口に近いオ・ロサル村にあるテラス・ガウダ(Terras Gauda)。近代的な設備を持つ工場では、アルバリーニョを中心に、他の品種とも組み合わせた白ワインを数種類作っており、その優等生的な味と品質は国内外から高い信頼と評価を得ている。ワイナリーや工場は1年中見学を受け付けている。
a0103335_20231722.jpg
若く美しい女性が工場を案内します

 ワイナリー見学の後、ガリシア州の最南西端ア・グアルダのサンタ・テグラ山を訪れた。ここには円環状に石を積み上げた住居跡が密集する「カストロ」(ケルト人の集落)がある。山の斜面にはたくさんの石の輪がびっしりへばりつき、まるで海底の巨大な珊瑚礁が陸に現れうごめいているように見える。
a0103335_20253159.jpg
りり子さんはここで何かに憑りつかれた

 この日の夕食は、ポルトガルの松坂牛ことミランダ牛のステーキ。50cmもありそうな細長い皿に乗ってやって来た肉は、その大きさと厚みで私たちを圧倒したが、そのうまさは、淑やかな農耕民族のやまとなでしこを瞬く間に肉食系女子に変貌させてしまった。
a0103335_20434213.jpg

[PR]
by caldoverde | 2013-10-07 21:06 | 酒・ワイン | Comments(3)