ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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星の山脈チーズ

カンポ・デ・オリーク地区に、人気シェフのヴィトル・ソブラルが「タスカ・ダ・エスキーナ」に続いて2店目のレストラン「セルヴェジャリア・ダ・エスキーナ」を出店ししばらく経つ。住宅地のど真ん中で探すのが難しいし、駐車場はないし、不景気だし、難しいんじゃないかと思っていたが、さすが本を何冊も出している一流シェフだけのことはある。高いから私は自腹では行かないが、舌の肥えた固定客をつかんでいるようだ。
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窓の向こうの黒い車の止まっている店が「セルヴェジャリア・ダ・エスキーナ」

その斜向かいに、尖った三角形の頂点を切り落としたような変な敷地に建てられた小さな家があった。ずっと売りに出されていたが、久々に通りかかったら可愛らしい飲食店になっていた。不揃いの家具にキッチュな小物、石の壁にレトロな照明と、今流行りのヴィンテージ・カフェのスタイルだ。「オフィシーナ・コン・シャ」(お茶のある工房)という店名が示すように、2人の子供のお母さんである女性オーナーは、古い家具の修復をしているそうだ。
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赤い謎の照明器具とおばあちゃんが作ったようなレース編みの敷物が良い感じ。

お茶とお菓子ばかりでなく、彼女の故郷のベイラ地方の名産のチーズや肉の加工品をワインとともに味わうこともである。ポルトガルで最も有名で高価なチーズと言えば、ケイジョ・ダ・セーラ・ダ・エストレーラ(星の山脈のチーズ)。トロトロのクリーム状のチーズをスプーンですくい、パンやクラッカーに塗って食べる。これがエストレーラ・チーズの一般的なイメージだ。しかしこの小さな工房では、有名なクリーミーなチーズに加え、ハードやセミハードなど異なったタイプのエストレーラ・チーズを盛り合わせたプラトーがある。添えられた黒いパンはそれ自体甘みを感じてとても美味しいが、チーズと一緒に食べると、お互いの旨みをより際立たせる。
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エストレーラ山脈はポルトガル唯一の積雪のある地方。厳しい冬を越すために、様々な肉加工品が発達したのだろう。この地方で作られる腸詰の盛り合わせもある。ピリッとした味、プリッとした歯ごたえの赤いチョリッソ、黒いスパイシーなブラッド・ソーセージ、フニャッとして酸味のあるファリニェイラ、ニンニクのきいた柔らかいアリェイラが、カットされ軽く焼かれ、木の皿で香ばしい匂いを放つ。アリェイラを口に入れて思わず目を見張ると、オーナーが「私の故郷の、手造りのいいものだけ選んで取り寄せているんです」と誇らしげに言った。確かに他のレストランで出される腸詰よりも美味しいものばかり。
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2人の子供たちを見ながら一人奮闘する女性オーナーの、故郷の味をリスボンにと開いた小さな店が、スターシェフの店の前に、どこまで地域に根付くことができるだろうか、見守りたい。
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by caldoverde | 2014-10-24 23:48 | 話題の店 | Comments(3)

モンゴウイカの黒ご飯

引っ越したら同じ通りになり、より一層親しみの湧いてきた「カーザ・ドス・パッサリーニョス(小鳥の家)」は、カンポ・デ・オリーク地区のポピュラーなレストランだ。家族や友達と大勢で食べても良いし、お一人様用のテーブルもいくつかある。通りかかるたびに今日のお勧めは何だろうと気になる。三角に折られて窓ガラスに貼られた紙のテーブルクロスに書かれたその日のお勧めに「モンゴウイカの黒ご飯」というものがあった。店に入って席に着くと、そばのテーブルの客がまさにそれを食べようとしているところだった。私の心は即座に決まった。予想通りのいかすみのリゾットであった。
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本場イタリアのイカスミリゾットがどのようなものか知らないが、ポルトガルらしい点は多分、コリアンダーが散らされている事だろう。イタリアなら、イタリアンパセリとパルメザンチーズが添えられるであろう。

またモンゴウイカだけでなく、海老も結構入っている。どちらも自分が主役だとばかり主張して譲らない。このイカスミリゾットは、元々ポルトガルにあるアロース・デ・マリスコス(海鮮リゾット)を変形させたものと思われる。
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分厚い身のモンゴウイカは、焼くとプリプリになるが、煮るとかまぼこのように柔らかい弾力と味になる。モンゴウイカのグリルを頼むと墨付きか、墨なしか訊かれる事がある。墨付きを頼めば、イカスミがソースになって、独特の風味が楽しめる。イカスミリゾットが登場した日は、グリルにするには大きすぎるモンゴウイカを仕入れたのだろう。

大きなモンゴウイカの料理にもう一つ忘れてはならないのは、フライ(ショコス・フリットス)だ。これは港町セトゥーバルの名物で、これ専門のお店が何軒か並ぶ通りもある。「カーザ・ドス・パッサリーニョス」の定番にショコス・フリットスがあり、他の日替わりメニューにも時々魚の名前にセトゥーバルのと付け加えているので、この店の魚は主にセトゥーバルから仕入れているものと思われる。
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デザートは、チジェラーダ・ダ・ベイラというものがあったので、どういうものか試してみた。オレンジ風味の出来損ないのプリンみたいなもので、見かけは良くないが、味は悪くはない。
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この店のハウスワインの白はプレッソンと言う発泡性のヴィーニョ・ヴェルデタイプで、スッキリして美味しい。生ビールのようにゴクゴク飲みたくなる。しかしビールよりはずっとアルコール度数は高いので、気を付けて飲まないといけない。また店内2カ所にモスカテルワインの瓶が置いてあり、席が空くまで、またはお会計が来るまでセルフで飲んで待っててくださいというサービスもある。飲み過ぎても歩いて帰れる距離にこんな店があるのは嬉しいことだ。
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by caldoverde | 2014-10-13 19:12 | シーフード | Comments(12)

砂肝と肉ロール

引越しを機に台所に憧れのオーブンを設置したのに、生来怠け者の私は滅多に使う事がない。一人分の食事を作ろうとしたら、材料費が外食の値段を上回ることがしばしばで、しかも一度に食べきれず、2〜3日同じメニューになるので飽きてしまう。だから、よほど気合を入れないと料理できなくなってしまった。おにぎり、そうめん、うどんの類は、お金もかからずいくら食べても飽きないのだが…

面倒な時は、アパートの近くにあるカフェで軽い食事をする。特にすご〜くうまいというわけでもないが、朝は7:00から夜は22:00まで開いていて、コップで赤ワインやヴィーニョ・ヴェルデを飲みながら、無料wifiを使ってネットサーフィンをしたり、TVでサッカーの試合を観たりと極めて便利な店である。
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多分ワイン・トマト・玉ねぎなどで煮込んだ砂肝。コリコリ感があとを引く

時々無性にこの店の砂肝が食べたくなる。冷たいビールやヴィーニョ・ヴェルデをグイッと、または赤ワインをちびちびやりながら、ポルトガルの大衆新聞「コレイオ・ダ・マニャン」の肉色の写真が満載の広告ページを慌ててめくり飛ばし、爪楊枝で砂肝をつつくと気分はすっかりオヤジである。

あまり食欲のない時は、白身魚のフライか、揚げ物と飲み物で済ます。2€ちょっとである。
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ハムにひき肉をのせて巻き込み、オーブンで焼いたものと思われる。ミートローフですね

昼定食は日替わりで2種類あり、今日は肉ロールとスパゲッティボロネーズソースだった。きっとスパゲッティは昭和の喫茶店のスパゲッティミートソースに似たようなものだろうな、と思い、肉ロールにした。漠然とロールキャベツを想像していたが、名前の通り肉を肉で巻いたものだ。しかもミートソースがかかっている。味はかなり濃い。付け合わせのフライドポテトやライスを食べるまいと思ってもダメだった。隣のガテン系のおじさん達も同じものを食べている。働く人には力がつきそうだが、私には肉がつきそうだ。赤ワインと肉ロールとコーヒーで4.95€だった。満腹した私は5€札を出し、気前よく「釣りは取っといてくれ。」と店を出た。私はまた質実共に太っ腹になった。
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by caldoverde | 2014-10-02 22:32 | 肉料理 | Comments(10)