ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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タグ:アレンテージョ料理 ( 4 ) タグの人気記事

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いい色に揚がったタラのコロッケ

今年の夏も郷里の仙台に帰省し、日系ブラジル人のポルトガル語講師ヴァレリア先生とその生徒さんたちと共に、ほぼ恒例になったポルトガル料理の夕べを開いた。

今年のテーマは「マッサ・デ・ピメンタン」(赤ピーマンのペースト)を使った料理ということで、ヴァレリア先生は自家製のペーストを用意し、私もリスボンで出来合いのペーストを買っては来たものの、どんな料理に使われるかと聞かれると、首をひねってしまう。地方によっては何にでもこの赤ピーマンペーストを使うのだろうが、使用確実なアレンテージョ風ポークの他には、ビファナの豚肉がひょっとしてこれに漬けたものかもしれないという程度しか思い浮かばなかった。

日本ではある料理研究家が「マッサ」という呼び名でこの赤ピーマンペーストを紹介し一時ブームになり、ポルトガルにはない独創的なレシピを紹介していた。さすが換骨奪胎の得意な日本である。そのうち冷奴や寿司にも使われるようになるかも?
しかし今回は超スタンダードなアレンテージョ風ポークを中心に、これまたベタなポルトガル料理をいくつか紹介することにした。材料は全て日本で調達できる。
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これは何でしょうか?ヒント:スムージーやポタージュスープを作る時も便利

前菜はタラのコロッケ。ポルトガルの干し鱈が無いじゃないかと言われそうだが、生の切り身で全然オーケー。塩茹でにして、骨や皮を取ってほぐすのだが、日本には薄い柔らかい皮の骨のない切り身の鱈が売られているので、手間がかからない。以前作った時は布巾で鱈を揉みほぐし繊維状にしていたが、ヴァレリア先生の片腕のブラウンのハンドブレンダー(写真)が、鱈もジャガイモもあっという間に混ぜてくれて非常に楽だった。

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タコのサラダは茹でたタコの足を使えば超スピードでできるオードブルだ。タコの細切りに生の赤ピーマン、黄ピーマン、玉ねぎ、パセリ、にんにく、レモンなどをみじん切りにしてたっぷりのオリーブオイルであえるだけ。タコには塩気があるので 、ほとんど調味料を追加する必要はなかった。

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ひよこ豆のサラダも、水煮の缶詰を使えば簡単だ。玉ねぎやゆで卵、パセリ、レタスなどでボリュームアップ。これも味付けはオリーブオイル。

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メインは肉+肉になったが、アサリと豚肉を合わせたアレンテージョ風ポークと、チキンのビール煮。どちらも肉の下味付けに赤ピーマンペーストを使った。ポークは更に白ワインをひたひたに注いで月桂樹の葉と共にマリネし、チキンはビールで煮込む。分量は適当に。
最後にピーマンの千切りや、イタリアンパセリ、コリアンダーなどで飾り、出来上がり。

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付け合わせはトマトライス

今後はEUとの協定で輸入品がより安く買えるようになるらしい。ポルトガルの食材やワインが日本の日常の食卓にさりげなく登っている、そんな日も遠くないだろう。

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by caldoverde | 2017-07-24 15:21 | インターナショナル料理 | Comments(2)
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羊の揚げ餃子とトマトご飯

残念ながら閉店してしまったフランス菓子店「サランボー」のあった通りに、何だか洒落た店ができていた。「ア・シャルクタリア(腸詰屋)」という店名は、以前カンポ・デ・オリーク市場と同じ並びにあったアレンテージョ料理屋と同じだ。あそこは鴨のパテが美味しくて、見ただけで歯が疼くような伝統菓子のデザートが並ぶ、ちょっと高級そうな小さなレストランだった。市場の盛況に押されて閉店したのかと思ったら、こんな通りの奥まったところに引っ越していた。郷土料理の店はその地方らしさをアピールした置物や家具を使うところが多いが、こじんまりとした店内は何の飾りもなくシンプルで都会的だ。

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小さな容器に入った鴨のパテは、以前別の場所の同名の店で食べたのと同じ味、やはり同じスタッフがやっているようだ。パンに塗って食べると止まらなくなる。両隣のテーブルではお店の人の勧める小アジのマリネを食べている。丁寧に皮や内臓を取った小アジもオリーブオイルの色も綺麗だ。色鮮やかな焼きピメントのサラダはキリッと酢がきいて夏の暑い日にはぴったり。

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この日のお供はMoreiaさんで、彼女は鮫のスープと白ワイン、私は羊の揚げパイと赤ワインをメインに頼んだ。自分でも鮫のスープを作るというMoreiaさんは、全く臭みのない上品な味と絶賛。白ワインによく合ったのだろう。羊の揚げパイは、付け合わせのトマトご飯共に、もうちょっと素朴な田舎料理らしい味だ。軽く冷やした赤ワインが一層素朴さを引き立てる。夏は赤も冷やすと美味しい。

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人通りの少ない道の奥に作ったフランス菓子屋さんは潰れてしまったが、この「シャルクタリア」は、不利な場所にもかかわらず前の店からの顧客がしっかりついているようで、親しげに店の人と話していた。値段はその辺のカフェの昼定食並というわけにはいかないが、清潔な店構えと少数精鋭のメニューは、より洗練された昼食を食べたい時にいい。カンポ・デ・オリーク地区のもう一つの有名なアレンテージョレストラン「マガーノ」もそうだが、前菜の種類が豊富で、メイン無しで小皿料理とワインだけで食べたくなる。この日は小さなミートパイはパスしたが、次回はぜひ他のエントラーダ(前菜)とともに賞味したい。

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by caldoverde | 2017-07-10 05:12 | 話題の店 | Comments(2)

鮫のスープ

 延々とコルク林の続くアレンテージョ地方の郷土料理と言えば、やはり黒豚を筆頭とした肉料理ばかりと思われがちであるが、意外なことに魚料理もある。世界遺産の町エヴォラの魚市場を覗いたら、ギザギザの歯をむき出したジョーズの頭が売られていた。人間の頭ほどもあるグロテスクな三角形の頭はどんな料理になるのか想像がつかないが、小さな鮫はこの地方の名物のソパ・デ・カサォン(鮫のスープ)に使われる。海など背伸びしても見えない大平原の小さな村にさえ、この鮫のスープをお勧め料理にしているその名もソパ・デ・カサォンというレストランがあった。

 リスボンからテージョ河を越えた対岸のアラビダ半島の南にある港町セトゥーバルには日曜も営業している魚市場があり、そこで小さな鮫カサォンが売られているのを見たことがある。アレンテージョのレストランで供される鮫はこの港からやってくるのだろうか。今でこそ高速道路が発達して内陸でも新鮮な食物が簡単に入手できるようになったが、つい20年ぐらい前の南ポルトガルは曲がりくねった狭い国道やのろくさした鉄道だけだった。港から何時間もかけて運ばれた魚の鮮度は大丈夫だったんだろうかという疑問が湧くが、鮫は腐りにくい魚で日本でも昔から山間部で食べられてきた、ということで納得。

 鮫は淡白な白身で小骨はなく、大きい骨も軟骨で子供やお年寄りにも食べやすい。アレンテージョ料理はコリアンダーやポエージョという香草をよく使う。どちらも独特の香りで肉の臭みをカモフラージュする。この鮫のスープもたっぷりと香草を使う。鮮度が落ちた魚も香草を使うことによって美味しく食べられるように工夫したのかもしれない。また鮫のスープには必ず酢を使う。これもにおい消しのためなのだろうか。しかしそれほど酢の味は感じない。ホワイトシチューをゆるくしたようなマイルドな味である。そしてこの地方のスープやシチューに欠かせないのはパン。それも硬くなったパンの方がいい。でなければ揚げてカチカチにする。皿や鍋にパンを敷いてその上からスープやシチューを注いでテーブルに運ばれる。

 それではポルトガルの女性シェフによる鮫のスープの実演を動画で。材料はオリーブオイル、ニンニク、コリアンダー、塩、鮫、水、小麦粉、酢、固いパン。



 ダイナミックだ。分量も時間もほとんど適宜、といった感じである。レポーターが引っ張り出してきたのは巨大なコルク容器で、これに暖かい食べ物や冷たい飲み物を入れると適温が保たれるという元祖ランチジャーである。アレンテージョの土産物屋にこれの小さいものが売られている。

 リスボンのホテルの最上階の眺めの良いレストランで食べた鮫料理は更にデリケートな味であった。鮫の肉はとても柔らかくて口の中でとろけるようだ。新鮮で魚臭さがまったく感じられない。ソースのコリアンダーも控えめで、コリアンダー嫌いの人でも美味しく食べられるはずである。でもこの盛り付け、やっぱりポルトガル、かなあ。
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by caldoverde | 2009-02-27 09:32 | シーフード | Comments(6)

羊の揚げ餃子

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 私の住むカンポ・デ・オリーク地区は住宅地と商業地区を兼ねており、徒歩圏内にほとんどあらゆる種類の店やサービス機関がある。レストランやカフェも多く、リスボンの地区別に発行される無料のガイドブックによると、カンポ・デ・オリーク地区の飲食店はざっと数えて約190店。正確な数字は知らないが、この地区の人口が1万人だとしたら、50人ちょっとに1件の割合で食べ物屋がある勘定になる。ひょっとすると住民全員が外食できるキャパシティがあるかもしれない。
 ここでは車や電車で遠出しなくても地方の郷土料理を徒歩5分で味わうことができる。町内のアレンテージョ料理店は知っている限り三店ある。その中のひとつMaganoは値段もそう高くなく、また前菜が魅力的なので、一人のときやあまり重いものを食べたくないときは前菜何種類かとワインだけで食事することもできる。
見た目も可愛いマッシュルームの前菜
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 アレンテージョは豚肉が美味しいので、当然黒豚の生ハムがある。黒豚か白豚かは知らないが、豚肉とアサリの「ポルコ・ア・アレンテジャーナ」ももちろんある。ところがあの「黒豚の秘密」はない。代わりに「黒豚の羽」pluma de porco preto がある。長年品種改良を重ねたアレンテージョの黒豚はカラスの羽のような大きな耳を持つに至り、耳は主にサラダにされるが、耳の付け根のわずかな筋肉の部分が「黒豚の羽」と呼ばれ一頭で2つしか取れない希少な部位として珍重される。狩の季節になると、ハンターが遠目で黒豚の耳を見てウサギと間違えて撃ってしまうことがある。他人の家畜を殺してしまったことをごまかすために周囲の人に「これは秘密ね」と口止めを頼み、脂ののった一番美味い肉を賄賂に贈ったので「黒豚の秘密」secreto de porco preto という名前が付けられたのだと言う。冗談はさておき「黒豚の羽」は「黒豚の秘密」よりもっと柔らかくて脂肪は少ない。

 アレンテージョといえば羊の肉や羊のチーズも有名である。以前紹介した羊のシチューのエンソパード・デ・ボレーゴが代表的な料理であるが、他には揚げた餃子のようなパイの中に羊肉のミンチの入った pasteis de massa tenra de borregoはリスボンでは珍しいかもしれない。パイ自体は美味しいけれど、日本人の感覚だとソースか醤油みたいなものがあるともっといいかな。羊のパイはトマトご飯がセットになって1人前の食事となるが、前菜として皆で仲良く分けて食べてもいい。
最初の写真が羊のパイ、これは付け合せのトマトご飯
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 Maganoには食指をそそる前菜がいろいろあり、前菜だけでお腹は十分膨れる。ソラマメとチョリッソのサラダ、ヒヨコマメと鱈のサラダ、焼きピーマンのマリネ、揚げたトレズモス。トレズモスは7月の日記「にこごりサンド」に挟まっているような肉の切れ端をハム状に固めたものではなく、豚の皮か脂肪を揚げたもので、パリッとした香ばしさに噛み締めるとじわっと脂肪の旨みが広がる食べ過ぎ注意のおつまみである。他にもマッシュルームにホウレンソウを詰めてチーズをかけ焼いたミニグラタン、たらこのサラダ、peixinhos de horta(畑の小魚)と呼ばれるモロッコいんげんの天ぷらなど。数種の肴にモチモチのアレンテージョのパンがあれば、お一人様でちびちび飲んでも寂しくはない。
たらこのサラダ
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モロッコいんげんの天ぷら
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デザートはセリカイアというアレンテージョの独特のお菓子。非常にきめの細かいスポンジケーキの表面にシナモンを振りかけ、プラムのシロップ漬けを添えたもの。
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by caldoverde | 2008-10-29 00:34 | 肉料理 | Comments(6)