ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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空港でも聖アントニオがお出迎え

最近の気候の変化はジャカランダの開花を遅らせ、イワシも不漁で、6月のリスボン祭り月間には供給不足で輸入の冷凍物に頼っているという。水道橋の見えるカンポリーデの公園の祭りの屋台のメニューを見ると、1匹2€という結構なお値段だ。昔は1匹1€だった。しかし6月12日の聖アントニオの日の前夜祭はやはりどうしてもイワシが食べたい。屋外で炭火で焼いたイワシをパンにのせて食べるとめちゃ美味い。しかし冷たい風の吹く中を長時間立って待った挙句に皿を持って空いた席を探してウロウロするのは何度か経験済み。今年は足の怪我もあるので、イワシはレストランで食べることにした。しかし今日は4連休の3日目でしかも日曜日。広場の屋台以外のほとんどの店は休業している。
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眺め抜群のカンポリーデのお祭り会場

カンポ・デ・オリーク市場のそばにあるグリルレストラン「ヨーロッパ」は、そんな日にもかかわらず営業していた。しかもペニーシェという漁港で水揚げされたイワシが本日のおすすめだ。12.5€と高めではあるが、一皿6匹にサラダが付くので屋台と値段はそう変わらない。粗塩をまぶされていい具合に焦げ目のついた小ぶりのイワシは、ワタの苦さもうまさを引き立てるアクセントになって食欲は加速され、次から次へと骨と頭だけになっていった。
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サラダの焼きピメントも美味い

満腹してアパートに帰り、テレビをつけるとちょうどリベルダーデ大通りのパレードの生中継が始まるところだった。今年は十数年ぶりに地元のカンポ・デ・オリーク地区が参加するので、ぜひ見ようと思っていた。優勝するのは大抵アルファマなどの歴史と伝統のある古い地区だが、そうでない地区も斬新なアイディアで勝負。例えばカンポリーデ地区は刑務所があるので、衣装は縞々の囚人服をイメージしたものに、鉄格子を小道具に使うなどのユニークな演出もあった。
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最近のポルトガルは空前の数の観光客を迎えているらしい。バイロ・アルトやアルファマは今夜は外国人でごった返すことだろう。しかし観光客の来ない普通の住宅地でも祭は行われている。昨夜は向かいのアパートの小さなベランダに提灯や小旗を飾って音楽を流し、十数人ほど集まってパーティをしていた。毎週末なら苦情を入れるが、音楽が明らかにお祭り用なのでこの日1日だけと目を瞑るしかない。
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by caldoverde | 2016-06-13 20:22 | シーフード | Comments(4)

夏の模様替え

ポルトガルの夏の味覚はイワシ。ほとんど真っ白になるほど粗塩を振り、青い煙をもうもうと上げて焼かれるイワシの炭火焼。そばにいると髪も洋服も臭くなりそうだが、食べ始めると全く気にならなくなるのは納豆と同じである。ガスコンロで焼くより、外で炭火で焼いた方がずっと美味しい。だからイワシの塩焼きは家ではなくレストランで食べるか、野外で食べるべきものである。

庭付きの家に住む人々はサルディニャーダ(イワシパーティ)を開き、友人や親戚を呼んでイワシをご馳走することもある。あまり台所に顔を出さない男性も鍋奉行ならぬ炭奉行を司る。

そんな訳で、私は家で魚を焼くことはほとんどなく、家でのイワシはもっぱら缶詰を食す。土産物屋にも可愛いパッケージのイワシ缶が並ぶようになったが、最近こんなものを見つけた。一見オイルサーディンのようだが実は…
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箱を開けると薄紙に包まれて…
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イワシ型チョコレート!なかなか可愛い。ポルトのチョコレートメーカー「アルカディア」の直営店で売っている。甘党へのお土産にいかがでしょうか。

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スッキリしたビフォア

引っ越した家にはほとんど飾り物がない。ミニマリズムに徹しようかと思ったけど、なんか殺風景である。絵か何かを壁に飾ろうか…と思ったら、去年か一昨年アソーレスに行った時に空港で買ったステキなポスターがあったのを思い出した。また実用面から時計もあると良い。またしてもインターネットでレトロな時計を格安でゲット。その下に養子に出そうかと考えていた猫のクッションをおいて、何となく生き物の気配のする部屋となった。
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モノが増えたアフター
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アソーレスの魚図鑑ポスター。よくレストランに貼ってあります。魚を猫たちが狙っています。時計はミッドセンチュリー・デザインの代表作、ジョージ・ネルソンの「ボール・クロック」

よく通りかかる近所の椅子張替え店のウィンドウに、面白いものが飾ってあった。ディスプレイ用のアンティークかと思ったが売り物で、しかも思ったよりも安かったので、これも購入。これは何でしょう?
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縦10cm、横30cm、高さ4cm、馬鹿げた大きさの魚の缶詰型のハンガーである。TUNNYというからマグロであるが、ちょっとだけ開けられた蓋から覗く頭はイワシにしか見えない。玄関ドアにくっつけた白い下駄箱の上に取り付けた。ますます女らしさのない部屋になった。
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左の青い壁時計はヨーロッパの駅で使われるオランダの「カールソン」の中古で、ムーブメントは台湾製。でもちゃんと動くので良し!15€。

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ベッドカバーとライトもミッドセンチュリー風にしました。できればヴァザルリのポスターなど飾りたい。
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by caldoverde | 2014-06-30 04:48 | 生活 | Comments(12)
 今年も6月がやって来た…ってもう半ばだが、リスボンはお祭りムード全開だ。街中にはイワシの幟旗が翻る。これはリスボン祭りのシンボル、イワシのデザインコンクールで入賞した作品で、店のディスプレイにも使われる。今年の入選作品には、日本人がデザインした鯉のぼりのような青海波で覆われているイワシもある。

 6月12日の聖アントニオの日の前夜祭は、サンチャゴ巡礼のポルトガルルートを2ヶ月かけて歩きに来た友人と一緒に、アルファマに負けじ劣らぬ伝統的な、以前はちょっとヤバい地区だったモラリアへ出かけた。
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 まず、モランゲイロの店で駆けつけ1杯。狭い店は既に満員で、外で何組ものグループが順番待ちしていたが、女2人はカウンターに滑り込み、立ったまま生ハムをつまみにイチゴワインを飲んで景気をつけ、モラリアのラビリンスに向かった。
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レア物です。オークションは3000円から

 道端ではビール会社のロゴの入ったイワシの帽子が配られている。決してかぶる事はないのは分かっているが、タダの物をもらってしまうのは人の性である。他にもマンジェリカンや聖アントニオのカッパ頭の帽子もあり、大人も子供も嬉々としてかぶっていた。
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 スラム街の様だったモラリア地区もだいぶきれいになり、民家の玄関先はみな臨時のレストランになっていた。どこも席が埋まり、順番を待つグループもある。こういう場合は一人か2人の方が空いている席に滑り込み易い。「モラリアお祭り実行委員会」のTシャツを着た若者たちがサービスをする店で、イワシと焼肉、サラダとサングリアを頼んだ。
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しめて27€なり。お祭りだからまあいいか。

 イワシは青い鱗にダイヤモンドのような結晶状の塩を振りかけられて、じわじわと炭火で焼かれる。やや生焼け気味ではあるが、新鮮で美味しい。スライスしたパンにサラダのレタスやトマトを敷き、その上にイワシの身をのせてイワシサンドにして食べると、旨さが倍増する。黒っぽいパンがこれまた美味なのである。更に焼きピーマンを添えるとパーフェクト。丸ごと焼いて焦げた皮を取り、細く切った肉厚のピーマンは、イワシの味をいっそう引き立てる。
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 9時を回りようやく日が暮れると、いよいよ人出は増え、立ったままビールを飲む若者たちで道が埋まった。そこに賑やかなマーチが聞こえてきた。ついさっき出番が終わったばかりのモラリアチームが、リベルダーデ大通りのパレードから戻って来たのだ。残念ながら今年は(も)伝統あるアルファマチームが優勝を獲得したが、アルファマに対抗意識を燃やすモラリアチームもいつか雪辱を果たす日がくるだろう。

親子でダンス


人とイワシの煙でいっぱい


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by caldoverde | 2013-06-15 03:46 | カルチャー | Comments(5)

イワシ萌え

 長い夏が唐突に去って秋のしみじみとした寂寥を感じる間もなく、クリスマス商戦が始まった。近所にもクリスマス需要を当て込んだと思われる店がオープンした。市電28番の終点プラゼーレス墓地から一つ手前のサント・コンデスターヴェル教会停留所前にある、洒落たデザインの食品や小物などを売るピメンタ・ローザ(ピンクの胡椒)という店だ。
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この教会の向かい側にある

 中身はスーパーで売っているものと大差ないが、パッケージによって立派な贈答品に変身した品々が、細りゆく一方のポルトガル人や私の財布の口を無理やりこじ開けさせる。

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 ポルトガルのイラストレーターがセンスを競う魚の缶詰。ポルトガルを代表する魚のイワシの他に、マグロ、イカ、ニシンの缶詰がお洒落な紙箱に包まれ、更に贈答用に4個入る箱も用意されている。缶詰は3ユーロより、贈答箱は4個買えばサービスされる。
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 イワシの缶詰をイメージしたレトロなパッケージにイワシ型のチョコレートを詰めたイワシチョコ。可愛いイワシ模様の銀紙に包まれたチョコの中身はイワシのペーストで、チョコと潮の香りが絶妙なハーモニーを醸し、お父さんのビールのお供にも、育ち盛りのお子様にもぴったりのスナックです。
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 …というのは嘘です。チョコは単なるミルクチョコで、銀紙をよく見るとバルセロナのメーカーが製造しているではないか。箱はポルトガルのイメージをこれでもかと押し出しているのに、中身はスペイン製、詐欺じゃん!しかもいいお値段。でも面白いから許す。


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 陶製のイワシは、中に磁石が仕込まれクリップ留めの機能を有する。


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 イワシプリントのエコバッグ。コットン製で数パターンのイワシシリーズがある。


 今までは突き抜けたデザインがあまり見られなかったポルトガル製品に、ようやく可愛いなと思えるものがぼちぼち出始めてきたようだ。ポルトガルは消臭力のミゲル君ばかりでなく萌えキャラクターをどんどん世界に売り込み、オタクのメッカとなることを国策に掲げるべきだ。それはギリシャ、イタリアに次いで懸念されているポルトガルの経済破綻を回避する有効な手立てとなるだろう。
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上は糸カボチャ、下はサクランボのジャムと陶器の入れ物のセット。カボチャは判るが、下の容器の蓋は微妙な形。
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民族衣装に使われていたコットン生地で作ったパソコンバッグ。ダサ可愛い。
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by caldoverde | 2011-11-07 21:32 | 話題の店 | Comments(8)
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聖アントニオ祭のシンボル鰯をデザインした旗とヌーノ・ゴメス似の可愛い少年

 6月12日はリスボンの祭り、聖アントニオ祭。国営放送RTP1では終日お祭りの様子を実況生中継している。日中はカテドラルの集団結婚式の模様を(某宗教団体のではなく、リスボン市が一般市民から公募し選ばれたカップル)、夜はリベルダーデ大通りで行われるパレードを延々と放映している。垢抜けないが微笑ましくそしてエモーショナルな、市民の祭りにかける心意気をポルトガルのお茶の間に伝えてくれる。

 ポルトガル建国と共に建立されたカテドラルの厳かな雰囲気のなか、神妙な面持ちで神父のお祈りや祝辞に耳を傾ける十数組の新郎新婦の中に4組ほど髪がほとんど白くなった渋いカップルが参加している。いったいどのようないきさつで、今日自分の子や孫と同じ年代の若者たちと共に結婚式を挙げることになったのだろうか。そのうちの1人の男性は感極り、神父さんに誓いの言葉を述べるところで絶句し目頭を押さえ、傍らの新婦も声を震わしながら夫への生涯の愛を宣誓していた。
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 パレードはマルシャ(マーチ)と呼ばれるように、1,2,1,2という行進曲のリズムのブラスバンドの演奏に合わせて、振りをつけながら歌い練り歩く仮装行列だ。リオのカーニヴァル同様、地区ごとにテーマを決め、主題歌を作り、踊りを振り付け、衣装を用意する。メンバーは各地区精鋭?の演奏家、歌手、ダンサーから編成される。
 聴いたとたんずっこける様な歌や踊りの不ぞろいさ、下手くそさだが、とにかく一生懸命だ。そして主題のローカルなところ、オラが町内、オラがリスボン、どんなに広がってもオラがポルトガルから決して逸脱しない、地域への愛や国への誇りが感じられるところがいい。
 リオのカーニヴァルのようにビーナスのような肢体の女優やモデルがパレードの中心になる訳ではない。主役は魚屋の女将さん、パン屋のおじさん、カフェのお姉さん、警備員のお兄さん、家政婦のおばさん、高校生、主婦、公務員その他普通の人々であり、推定平均体重は65~80kgである。練習は仕事の後の夜、教会や集会所で行われる。



 この夜はリスボン各地区の広場や通りに鰯の炭火焼や揚げ菓子、マンジェリコ(バジリコの一種の鉢植え)の屋台が登場し、臨時のステージでバンドが生演奏を行い、老若男女が踊るアライアルという地域の祭りも同時に催される。地域の有志が世話役になって祭りの企画・実行が行われるので、屋台で鰯を売る人々もプロではなく祭り好きの一般市民で要領悪いことこの上ない。

 私と近所の漫画家ヤマザキマリさんは近くのお祭り会場で鰯を食べようと誘い合わせた。彼女はシカゴへの引越しと大ヒットした「テルマエ・ロマエ」の締め切りに追われ大わらわの状況であるが、この日は夕食と気分転換をかねて二人で祭りに出かけた。

 まず、何はなくとも鰯を食べなくてはならない。前の経験から鰯の屋台は長蛇の列となるので相当の待ち時間を覚悟はしていたが、なかなか順番が回ってこない。列がほとんど動かないのだ。食べ物を用意するカウンターでは頭に緑の被り物(マンジェリコのつもりか)をのせた男女4~5人が喋りながら豚肉サンドを作ったり、サングリアを調合したり、チョリッソを揚げたりしているのだが、一向に鰯は焼き上がらない。一人がんばっているのは炭火で鰯を焼いている男なのだが、火力が足りないのか煙で燻されるこのセクションを手伝おうという仲間がいないのか、なかなか焼けない。手持ち無沙汰にしている仲間がふいごや団扇で火に勢いを与えればもうちょっと早く焼けるのに。夕食がまだだった私たちは先に出されたサングリアをちびちび飲みながら待った。夜風は意外と冷たく、祭りの賑やかさと反比例して次第に口数は少なくなり、二人の胸中にはもう鰯も代金も諦めて別のところで食べようか…という考えさえ浮かんできた。

 しかし明けない夜はない。遂に1時間後、待ち望んだ鰯の炭火焼がぺこぺこしたプラスチックの皿にのってやってきた。鰯の熱が手に伝わってきた。早く食べたい。早くこの熱い皿をテーブルに下ろしたい。ところが席がない。立って食べるにはあまりにも心もとないプラ皿、箸もナイフもフォークもスプーンもない。最後の手段はゴミバケツをテーブルに見立てて立ち食いか?と言うところまで追い詰められたが、運よく食事を終え立ち去ろうとしている家族のテーブルに滑り込むことができた。この日の鰯は今までの人生で食べた鰯の中でもベスト3に入る味だった。たっぶり塩をまぶした皮は香ばしく、身は固すぎず柔らかすぎず絶妙の火の通り具合。オスは白子、メスは卵を持っていて、小さな魚の中に色んな味が楽しめた。炭火の煙に燻されながら待つこと1時間、じりじりと焼かれた私たちの情熱と食欲は、祭りの屋台の鰯を世界最高峰のシェフによる至高の味へと変えた。



 今年のステージはバンドがファドをロック風にアレンジしたものや60年代の曲を英語で歌うなどアメリカンな演奏を繰り広げていたのだが、どんな曲でもソシアルダンス風に踊れるのはさすがラテン民族である。しかも70~80歳とおぼしき老人が信じられないような軽快なステップを踏んでいる。一人でも、パートナーと一緒でも、決まっている。

 そして曲は変わり、フランク・シナトラの「ニューヨーク・ニューヨーク」。ステージ近くで年の頃アラカンの昔のお嬢さんが曲に合わせて踊る、と言うよりも当て振りをしている。彼女には鰯の屋台も踊る老人たちも走り回る子供たちも見えない。ここはリスボンの下町の盆踊り会場ではない。カーネギーホールかブロードウェイのステージでスポットライトを浴びるスターなのだ。この完璧なりきりおばさんを見てヤマザキさんは「ライザ・ミネリ?」と絶句した。曲はフィナーレに近づき、一人のおじさんがつかつかと近寄るともうたまらないといった様子でこのおばさんをがばっと抱きしめ一緒に踊り始めた。日本のおじさんなら「お前恥ずかしいから止めろ」と無理やり手を引いて外に連れ出すところであろうが、ラテンの男は糟糠の妻の熱演にかつての情熱を蘇らせたのだ。しかし妻はライザ・ミネリを辞めない。両手は宙に泳ぎ、華麗に舞う。そして感動のフィナーレ。割れんばかりの聴衆の拍手に彼女は答える。両腕を思いっきり伸ばし手をひらひら動かしながら…



 ヤマザキさんは感動で溢れる涙を拭っていた。今月中旬にシカゴへの引越しを控えたヤマザキさんにとっては、おそらく最後のリスボン鰯祭りになる。味のあるジジババを描かせたら天下一のヤマザキさんにとって、この祭りは多くのインスピレーションを与えるものだっただろう。いつかこのリスボンの鰯祭りのことを漫画に描いて、ポルトガルの良さ、暖かさを日本の読者に伝えて頂けたらと思う。でも一番望むのは、またリスボンに舞い戻って一緒に鰯を食べたり近所を散歩したりすることだよ、ヤマザキさん!
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by caldoverde | 2010-06-17 07:21 | シーフード | Comments(4)
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 6月のポルトガルは最高だ。日本ではじめじめした梅雨なのに、リスボンでは抜けるような青空、緑も瑞々しく、ジャカランダの花も満開。皆上着を脱ぎ捨て、海に行く格好と変わらない姿で街を歩いている。30度近い気温でも吹く風は涼しく、木陰はオアシスだ。そして6月はイワシの季節。この頃のイワシは脂がのり、中には卵を持っているものもあって、最高においしくなる時期である。

 そして6月はお祭りの季節でもある。6月12日はリスボンの守護聖人、聖アントニオ祭が行われる。リベルダーデ大通りではパレードが行なわれる。リオのカーニバルのように各地区がチームを組み、テーマを決めて衣装を揃え、ブラスバンドにあわせてフリをつけて歌いながら行進する。リオのカーニバルの豪華さや洗練度・露出度とはまた違った、素朴さ、ダサさが魅力である。一番ダサい、もとい優れたチームはちゃんと賞が贈られる。

 各地区の広場ではモールが飾り付けられ、ステージが設けられ、各種屋台が登場して、リスボン子は飲んだり食べたり歌ったりと、明日の休日をゆっくり寝坊するために夜中、いや明け方まで楽しむ。賑わうのはアルファマやケーブルカーのあるビカ、バイロアルトだが、観光地としても有名なこれらの地区はよそから来た人たちが多く、傍若無人な若者に占拠され本来主役であるはずの住民やお年寄りがはじき出されているような感じがした。
 
 ところが数年前偶然に近所をぶらぶら散歩していたら、塀の中からにぎやかな音楽が聞こえてくる。狭い入り口から覗くと、おおっ、やっているではないか、お祭りを。中に何かあるのか気にもかけたことのない塀の中は空き地?になっていて、イワシや焼きチョリソを売る屋台が出ていて、ステージも設置されている。食べ物の屋台にはすでに行列が出来ている。これはもう並ぶしかない。まだ日は高い。これからますます人がやってきて、すっかり日が暮れた頃に並んだならばイワシにありつくには1時間もかかるに違いない。
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 お祭りで売られているイワシは、今年は1匹1ユーロ75セントだった。場所によっては2ユーロのところも出ただろう。数年前は1ユーロだった。ポルトガルは順調にインフレが進んでいる。お祭り以外の日にカフェの定食で食べる値段は5~6ユーロ。1皿3,4匹にじゃがいもやサラダが付いてくる。お祭り屋台ではつけあわせがない。ナイフもフォークも箸もない。ではどうやって食べるのかというと、イワシの尻尾をちぎれないように慎重につまんで、頭を天に向け大口を開け、イワシの頭からバリバリと噛み砕く・・・人は誰もいない。別売りのパンにイワシを乗せてパンのお皿ごと食べる。面倒だから尻尾も骨も食べる。別売りのサラダを買ってレタスやトマトや玉ねぎのスライスを載せるともっと良い。イワシは伝統的には焼きぴーマンのサラダを添える。とてもおいしいがこれは手間がかかるので屋台ではそこまでは用意していない。
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 メインがイワシなら、デザートはこれまたお祭りにつきものの揚げ菓子、ファルトゥーラスやチューロス。ファルトゥーラスは小麦粉を練ったものを大きなフライパンのような鍋に渦巻状に落として揚げ、バチンバチンとはさみで切ってシナモンを混ぜた砂糖の中に転がした、一本食べれば半日分のカロリーが補給できるような駄菓子である。
 スペインのチューロスはドロッとしたココアに浸しながら食べるので、中には何も入っていないが、ポルトガルのチューロスは中の穴にチョコやらジャムやら詰めたものが主流である。中身は毒々しい赤や緑のジャム、チョコレート、カスタードクリームらしき黄色いものなど数種類ある。どちらも子供に食べさせたくない菓子の上位に上がりそうだ。でも今日はお祭りだからと特別にお許しを得た子供たちは、コインを握り締めて揚げ菓子の屋台にやってきて、紙に包んだ熱々のファルトゥーラスやチューロスを受け取ると、ふうふう吹きながら駆けていく。
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 この広場では2時までお祭りが続く。ステージではルイス・アントニオ(誰?)オン・ステージ。ポルトガルの歌や、ポルトガル訛りのイタリア語でカンツォーネを歌い、住民は踊ったり飲んだり食べたりおしゃべりしてコミュニティの親睦を深める。のんびりまったりしたご近所のお祭りであった。

  6月はポルトガル各地でその町の聖人にちなんだお祭りが行われる。有名なのは23日―24日のポルトのサン・ジョアン(聖ヨハネ)祭。23日の夜はポルトの人たちはプラスチックのハンマーを持って誰彼となく他人の頭をピコピコたたきまくる。聖ヨハネは頭痛のときお祈りする聖人だからだそうだ。この日ポルトを訪れる人はたたかれっぱなしではつまらないので結局おもちゃのハンマーを買ってしまうことになる。
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by caldoverde | 2008-06-17 20:47 | シーフード | Comments(8)
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 ポルトガルの代表料理といえばイワシの塩焼きだ。ポルトガルを巡るツアーにも大抵1度は入っている。場所はナザレ。海の見えるレストランで食べるイワシ。典型的ステレオタイプのメニューだ。でもまずくはない、たとえ冷凍であったしても。これにあったかい白いご飯があれば最高だ。大根おろしが付いていればもう何も言うまい。でもここはポルトガル。郷に入れば郷に従えと言うではないか。せっかくだからポルトガル式に食べようではないか。

 大抵は1人前3,4匹のイワシにジャガイモを丸ごと茹でたのが2,3個ごろんと付いてくる。普通はレタス、トマト、玉ねぎのサラダがセットになっている。ジャガイモがご飯なら、サラダは大根おろしと考えれば良いだろう。日本から持参した醤油をかけるとしょっぱくなりすぎるので注意。イワシには十分すぎるほど荒塩がふってある。これに適宜オリーブオイルやビネガーをかけて食べる。しつこいと思ったら使わなくても良い。十分に味は付いている。 

 ナイフとフォークを使ってイワシを食べる。いったいどこから始めたら良いのか。頭が右側にあったり、背中が手前に、腹が向うになっていたりして、日本の魚の盛り付け方から見るとめちゃくちゃだ。まずこれから直さなければ始まらない。皿の向きを変えたり、魚をひっくり返たりして正しい位置に戻す。慣れないフォークとナイフを使うので、この時点でイワシはだいぶ形が崩れる。左手のフォークで胸びれのあたりを押さえて、右手のナイフを腹に差込み骨と身を分離させる。そのまま右手に力を加えてナイフを浮き上がらせると、皮がちぎれて身がはがれる。背びれが半分くっついてくる。頭としっぽのほうには若干身が残っているが、とりあえず大部分の身は取った。でもそのままでは一口で入らないので、半分に分ける。焦げすぎた皮はナイフでこそげ取る。背びれ、胸びれも取る。ワタも取る。取るとせっかくの可食部も廃棄する部分にくっついていく。イワシは、猫が盗み食いをしたような無残な姿となる。

 ふと、隣のポルトガル人の皿を見ると、実に美しく食べている。まず丁寧に焦げた皮を取る。まるでよろいか何かのようにかぱっと上手に外している。そして細心の注意を払いながら骨から身を外す。残った骨にはひとかけらの身もついていない。まるで額に入れて飾りたくなる程きれいに骨と頭と尻尾が残っている。外したイワシの身はまるで日本の板前さんが魚をおろしたように、皿の別の場所に完璧なフォルムを保っている。そして彼はオリーブオイルを魚の身にたっぷり注ぎ、ナイフで切り身を何個かに分け口に運ぶ。エレガントである。さすがに長い間イワシを食してきた国民だけあると感心したというか、器用な日本人というプライドが自分の食べたイワシの姿のようにぐちゃぐちゃに崩れたというか。いいんだよっ。どうせイワシなんて庶民の食べるもんなんだからそんなに気取る必要なんてないのさ!ところが日本では昨今イワシが高騰し、築地では一匹千円のイワシも登場したというではないか。そしたら高価なイワシはポルトガル人のようにきれいに無駄なく食べるのが正しいマナーになるかもしれない。

 ポルトガルを旅行する際、フォークやナイフの扱いに自信のない方は日本からお箸を持参しよう。更にチューブ入り「もみじおろし」も持って行くと、ポルトガル料理に飽きたとき油攻めにあっている胃をいたわることもできるし、日本料理店に行かずとも現地で手軽に日本の味が楽しめる。

 イワシを食べるときのワインは赤。なぜかと言うと赤ワインのタンニンがイワシの脂っこさをすっきりさせるので、というポルトガル人の解説である。背中の青い魚と赤ワインは健康にも良いような気がする。お試しあれ。
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by caldoverde | 2007-04-11 18:32 | シーフード | Comments(0)