ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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黄金海岸のバカンス 3

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ゴールデンウィークの後、再びアルモグラーヴェ海岸に出かけた。去年の8月に初めて訪れ、荒々しくも美しい海岸線と砂丘に生きる不思議な植物に魅せられて以来、春から初夏の花の咲く時期にまた来たいと思っていた。

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特に見たかったのはハマカンザシの群生で、仕事でよく行くロカ岬のは白い花ばかりだが、アルモグラーヴェのはピンクで、とても可愛らしい。ちょうど咲き始めて間もない時期だったようで、まだ蕾の株も多く見られた。

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ナデシコに似た花や、アザミの仲間、ノギクの類いなど、名前の知らない花々。潮風に耐えながら冬をしのぎ、太陽が砂を焼く夏が来る前の、束の間の暖かさと雨露に力を得た小さな命が一斉に目覚め、砂丘は華やかに彩られる。

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わずかなスペースに数種類の植物が寄植えのように固まって生え、その小さな庭は海岸沿いに延々と続いて緑のベルトをなす。サラサラのベージュの砂浜が途絶えると、今度は褶曲した黒い岩に波が砕ける磯が現れる。

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この日は晴天で、水平線に徐々に隠れて行く夕日もバッチリ見えた。

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翌日は海ではなく村と農地の境界辺りを散歩した。この辺は意外と水が多く、せせらぎや鳥の声に耳を澄ませながら、砂丘とは違う草花や、牧場の豚や牛、可愛い民家の庭先を見ながら歩くのも結構楽しい。

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アルモグラーヴェ村で食べたのは、結局去年と同じクロダイ。新鮮で美味しいが、これしかない印象も。別のカフェでは、ランチとディナーの間の軽食にウツボのフライを出す。カリカリに揚げたウツボは脂が強いが、ビールのお供にちょうど良い。

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去年泊まったホテルは満室だったので、Airbnb(民泊紹介サイト)で見つけた家に泊まった。3室あったが、私が滞在中は他には宿泊客がおらず、静かに過ごせた。隣の棟にはオーナーの家族がいて、可愛いおばあちゃんが何かと気にかけてくれた。

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ポルトガル西南に位置するコスタ・ヴィセンティーナ(聖ヴィセンテ海岸)もじわじわ観光化の波が押し寄せ、ポルト・コヴォやヴィラ・ノヴァ・デ・ミルフォンテスなどはすっかりリゾート地になってしまった。今のところアルモグラーヴェ海岸は村の周辺が農地なのと、海と集落が自然保護区の砂丘で隔てられているせいか、他のビーチのように新築の別荘ラッシュは見られないが、休耕地が不動産屋に売られたら、あっという間に小洒落た外人向けの住宅で一杯になってしまうんだろうなと想像する。どうかこのまま素朴な農村の姿を残して欲しいと心から願っている。

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by caldoverde | 2017-05-10 22:26 | ポルトガルの旅 | Comments(2)
アングラの市場。左端がウツボ
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  昨年のアソーレス旅行の日記(8月19日)に寄せられたMOREIAさんのコメントの中に、かの島々ではクラカスという巨大フジツボのシチューなるものがあるという情報を頂き、今回の旅行ではフジツボを食べるのが目的のひとつとなった。ところがアングラ・ド・エロイズモのレストランのメニューを覗いてもそれらしきものは見当たらない。泊まったペンションのおじさんにクラカスはどこで食べられるのか尋ねたところ、アングラから少し離れたサン・マテウスという漁港のレストランにあるという。英語のガイドブックにも載っているアデガ・サン・マテウスという店だ。アングラの人が知っているのなら悪くないだろう。バスに乗ってサン・マテウスを目指した。

立派なガレージと犬小屋
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  街の中心から離れると小さなビーチやリゾートホテルが2つ3つほどあり、その後は街道沿いに凝った1戸建ての住宅が続く。集落には白壁に思い思いの色で縁取った庶民の家が肩を寄せ合う。黒い溶岩の固まった磯ではときおり釣を楽しむ家族の姿が見える。そのうちにやや大きめの集落に近づくと、クレーンが岩を動かす作業をしている小さな湾があり、漁船が10隻ほど泊まっている。そばには教会もある。目指す店は、この教会の向かい側にある。内部がブルーのアズレージョ張りの典型的なポルトガルの居酒屋(タスカ)では、開店まもなく入ったにも関わらず、すでに5,6人のおじさんたちがビールを片手に盛り上がっていた。その後に漁師風の若い男性、熟年夫婦など地元の人たちがやってきた。

魚の仕分けをする漁師さん
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  果たしてメニューにお目当てのフジツボはあるだろうか…ありました! 前菜部門にCRACAS(1個55セント/65セント)とある。この値段の違いは大きさに拠るのだろうか。どのくらいの大きさかは見当が付かないので、とりあえず2個頼んだ。前菜にはLAPAS(カサガイ)もあり、これも捨てがたい。マデイラ島でラパスを食べたときはパンで殻に残った汁を吸い取って食べたくらい美味しかった。1人前では前菜としては多いので半人前にしてもらった。

  メインデイッシュのメニューには聞いたことのない魚の名前が並ぶ中、知っているものがあった。MOREIA(うつぼ)である。私の駄文に時々コメントを書いていただく貴重な読者の方のハンドルネームでもあるこの魚は、ルイ・ヴィトン模様の海蛇のような姿で、その外見だけで拒絶反応を起こし絶対に食べたくないと断言する人までいる。ところがローマ帝国を舞台にした漫画を執筆中のヤマザキマリさんによると、古代ローマ人はこの魚を非常に好み、金持ちはウツボを自宅の池に飼い、名前やアクセサリーまで与えて可愛がって食べたそうだ。こげ茶に金の花模様のような皮はなめして装飾品に使い、それが後にあのフランスの有名ブランドのモノグラムが生まれるきっかけとなったのである(嘘ですが。)
  フジツボ、カサガイ、ウツボのアソーレス名物トリオでこの日の昼飯は決まった。

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  まずフジツボ。直径4cmくらいで殻には海藻がびっしり生えている。金属の耳かきのような小さな楊枝が添えられ、これで中身をかき出す。かき出した身はびっくりするほど…小さい。小さいけど、海の旨みが濃縮された、牡蠣を圧縮したような味だ。殻の中に汁が残っていて、貝をつまんで顔を天井に向け汁を飲み干したかったが、周りの目が気になって止めた。

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  今度はカサガイが鉄板に載せられて来た。赤いピーマンとニンニクが効果的なアクセントになっている。身はそれほど熱々でなく、大きいのは半生であったが、バターやオリーブオイルの存在を感じさせず、貝本来のあっさりした味を生かした日本人好みの調理法ともいえる。上品にフォークとナイフで身だけをはずして食べた。ところが食べ終わって私のフライパンが下げられた後ふと見ると、別のテーブルの客が手でカサガイの殻を口に持っていきチュッと汁を吸いながら貝を食べているではないか。ああくやしい。私の貝殻を戻してくれえ。フジツボの汁も飲み干すべきだった。

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  メインのウツボが来た。黄金色にからっと揚げたウツボは柔らかく適度な脂肪の感じられる白身魚である。いかにも精がつきそうな、ウナギ系の味である。でもウナギのような泥臭さは全くなく、小骨も除いてあるので食べやすい。レモンでさっぱりといただく。皮の内側はゼラチン質で噛むとニチャニチャと弾力があって、なんとも言えない独特の食感だ。古代コーマ人は特にこの部分を特に嗜好したそうだ。こってりしているので好き嫌いが分かれるだろう。日本式にタレをつけて蒲焼にすると美味いと思う。
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by caldoverde | 2008-07-27 02:15 | ポルトガルの旅 | Comments(3)

ウツボバーガー

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 ポルトガル南部、アルガルベ地方は今や国際リゾート地として、ホテルやマンションが林立し、英語が幅を利かせ、ポルトガル語の話せない人間が「パブ」と称する飲み屋で働いているという。(すいません、私英語が話せないもんで)田舎くさい、素朴なポルトガルの好きな私にとってはあまり魅力的なところではない。それでも大西洋と地中海を結ぶ位置にあるこの地は、魚介類が豊富で食べ物に関してはまだ伝統的なものが残っているようだ。イワシはやはりアルガルベものが旨いそうだ。リスボンの日本料理店はこの地方の卸屋さんからマグロを買っている。

 このアルガルベ地方はポルトガル建国後もしばらくアラブ人が留まり抗戦していた土地で、アラブの影響が色濃く残っているという。アラブ人はヨーロッパに米や砂糖、様々な果物等の農作物を伝えた。そのひとつにアーモンドがある。1月になると桜に良く似た、淡いピンクの花を咲かせる。
 伝説によると、昔この地方を治めていたアラブ人の王様が、ヨーロッパの北国から王妃を迎えた。ところがこの美しい海と温暖な気候のアルガルベにやってきた王妃はなぜか日に日に元気を失くしていく。心配した王が理由を尋ねたところ、王妃は、自分の故郷で見られた雪がここには降らなくて寂しいと言うのだ。いくら権勢を誇る王といえどもアルガルベに雪を降らすことはできない。しかし王は一計を案じ、冬の間に王宮の庭にアーモンドの木を植えさせた。そして春先のある日、王妃を高い塔の窓辺に呼び、下を見るように言った。見下ろした庭には雪が降ったように一面に白いアーモンドの花が満開となっていた。そして王妃は健康を取り戻し、幸せに暮らしたという。

 そんな美しい伝説のある美しい花を愛でながら飲食するという習慣はポルトガルにはない。どんな見事な満開の時期でも、アーモンドの木の周りにはビニールシートやロープは見当たらない。カラオケの音もない、静かなお花見が独占できる。真に花の美しさを愛する人はぜひポルトガル、アルガルベ地方にどうぞ。アーモンド林がリゾートマンションに変わってしまう前に。

 そのアーモンドを使ったお菓子が、マジパンである。和菓子のねりきりのような、粘土状の柔らかいアーモンドの粉で作ったペーストに色をつけて野菜や果物をかたどった可愛いお菓子で、見るだけで楽しい。ポルトガル人も器用じゃないか(失礼)と感心するものも。マジパン菓子は、アーモンドの甘いリキュール、アマルギーニャとともに遠い国から嫁いできた王妃の心を和ませたに違いない。
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 さて、そんな雅な話から、本題の食いしん坊な話題に戻る。アルガルベに住んでいた日本人の知人に教えてもらったこの地方の名物は、ウツボである。あの蛇のように長く、白黒まだら模様の、凶暴な顔をしたグロテスクな魚である。水族館やドキュメンタリー番組で見る、岩の下に隠れながら餌になる魚を虎視眈々と狙っている、醜い魚である。ぎざぎざの鋭い歯はダイバーや漁師の指も噛みちぎってしまう恐ろしい魚である。勇猛果敢なアルガルベの漁師たちはそんな危険な魚と格闘し、勝利した(たまたま魚網に引っかかっただけなのかもしれないが)そして凱旋の旗を揚げた。クリーニング店で使う針金ハンガーに広げられ、潮風になびいているのは、ウツボの開きだ!ぺらぺらのほとんど皮1枚の薄さになったウツボの干物を油で揚げて、パンに挟んで食べるのがアルガルベ名物ウツボバーガーである。中身のウツボのてんぷらは、よく駄菓子屋で売っているイカ天みたいな感じだった。味はイカ天ほど濃くないので、とんかつソースなどをつけて食べるともっと旨いと思う。

 この地方の有名な料理は、細長いマテ貝のリゾットである。一般的なシーフード、タコ、アンコウのリゾットはトマト味だが、アルガルベのある町で食べたマテ貝のリゾットは珍しく白っぽい色ですごく美味しかった。バターを使うのか店の人に聞いたら、バターは全く使っておりません、オリーブオイルだけですという回答だった。それでもどこか乳製品の存在を感じさせる香りと味がある。それがマテ貝の旨味なのか?もう一度食べたいが、残念なことにどの町の何と言う名前のレストランか覚えていない。幻の味である。リスボンの闘牛場の地下にマデイラに本社のあるスーパーが開店し、そこにマテ貝も売っているので、そのうち自分で再現しようと思う。

 またまた超簡単なアルガルベ料理のレシピを紹介する。ティボルナという。材料:焼きたてのパン、オリーブオイル、ニンニク、塩の花。作り方①ニンニクを皮がついたままつぶす。②皿に、オリーブオイル、つぶしたニンニク、塩の花を入れる。③手でちぎった熱々の焼き立てパンを②に浸して食べる。簡単でしょ。でも美味しさは材料の質に大きく左右される。
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by caldoverde | 2007-05-10 19:30 | シーフード | Comments(5)