ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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タグ:グラシオーザ島 ( 7 ) タグの人気記事

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お土産に頂いた島のアボカド

3日間だけの島の滞在もあっという間に最終日。初日にレストランで会った91歳の老紳士の家を訪ねた。島の名家に生まれ、コインブラ大学で学び本土のポルトガル銀行に勤めた後、故郷で余生を過ごすレオポルドさんは、自宅に人を招待し、自分が所有している本などを見せて島の話をするのを楽しみとしている。広い屋敷にはアボカドの果樹園があり、他の島にも売っているそうだ。この島の人は甘くない果物は好きじゃないのであまり売れないが、品質は上々との事。食べ方を紹介し、グラシオーザのアボカドだというシールを貼るとか、工夫すれば売れると思うが…

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ブドウも質が良さそう

昔はロバの島だったグラシオーザ島は他のアソーレス諸島の島々同様、牛の島になった。グラシオーザ島のチーズは淡黄色のセミハードタイプで、シャープなサン・ジョルジェのチーズに比べ、まろやかで食べやすい。リスボンのデパートでも手に入れる事ができるが、やはりデパートのお値段である。サン・ジョルジェ島の工場でチーズを買ったらあまりにも安かったので、グラシオーザの工場直営店にも立ち寄りたかったが、残念ながら時間がなかった。次回は買いに行くぞ。

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乳牛だけでなく、肉牛もたくさん飼育されており、ロバ牧場のそばでも美味しそうな赤牛の群れを見た。グラシオーザ島の最終日は地元の牛のステーキと決めた。
タクシーを呼び、以前タコを食べた事のある「キンタ・ダス・グロッタス」というレストランに行ってくれるよう頼んだ。その運転手はかつて私にそのお店を推薦した当人なのだが、彼によると最近経営者が代わったという。昨日会ったロバ牧場のフランコさんも夜にここで食事会があると話していたので、それほど内容は変わっていないと考えたいが…

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ニンニクと赤ピーマンがアソーレス風

飲み物はグラスワインの赤を頼んだ。色が薄く酸っぱくていかにも自家製、密造酒という感じだが、グラシオーザ島の赤ワインは生産量が非常に少ないので味はともかく珍しいものだ。

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モランゲイロと同じタイプの地酒。色が薄くて濁っているところがいかにも自家製。

前菜は揚げたチーズとメロンのジャム。熱々の揚げたてから少々時間が経っていたが…美味いじゃありませんか!

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カリッと揚がったチーズに甘いジャムがよく合う

メインのステーキは、ミディアムの焼き加減を頼んだ。ポルトガルの牛肉は、赤身なので生焼けの方が柔らかくて美味しいのだ。ところが来たものは、しっかり中まで火が通っていて、噛みごたえ満点のウェルダン。肉自体は悪くないと思うが、私の欲しいのはこれではない。わざわざタクシーで来たのに。ワインが空になったので、お代わりを頼むついでに、肉が焼きすぎて硬いと文句を言った。焼きが甘ければ、焼き直しを頼めるが、焼き過ぎは元に戻せないので、言うだけ言ってみた。そうしたら、さっきの不味い自家製ワインよりいくらかましなものが来て(市販のワイン)、給仕の女の子が別の肉が欲しいかと聞くので、クレーマーになるのは嫌だったが、別の肉を頼んだ。今度はちゃんと肉汁の滴るミディアムの状態で、より柔らかくデリケートな味となった。もっと欲を言えば、 肉の嵩が厚かったらなあ。そうすれば外側はこんがりで中も熱いけど生焼け、という理想的な状態になると思うのだが。

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こうでないと

その事をタクシーの運転手に言うと、アソーレスの人はしっかり焼いた、硬い肉を好むだそうだ。最初の肉はここではミディアムだったのか…クレーマーになってしまった。

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以前来た時は、デザートを省略して店を出る際に、ガラスケースに並べられた甘い物を目にして激しく後悔したので、今度は絶対コテコテのプリンを食べるんだ!と決意していた。残念ながら私の記憶にあったあのプリンらしきものはメニューには無かったが、給仕の女の子が推すパッションフルーツのババロアは悪くは無かった。

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民家の塀の上に飾られた法螺貝のように、ゆったりした歩みのグラシオーザ島

3年前にグラシオーザに来た事がある、と島民に言うと、全く同じでしょうと言われる。確かに見かけは変わっていないものの、このレストランや、カラパッショ温泉のように微妙に変わっているものもある。フランコさんのように、変えようと頑張っている人もいる。大事なのは島の価値を島の人たちがもっと認める事ではないだろうか。補助金頼りの酪農や、夏の観光収入だけでなく、島にはもっとポテンシャルがあると思う。昔はこの小さな島にピアノを所有していた家庭が驚くほどあり、音楽が非常に盛んだった。今もグラシオーザ島のカーニバルは他島から見に来る人々もいる程だという。インターネットの普及によって世界中のあらゆる情報が入る時代だが、発信する人がいなくては、知られないままだ。でも無理しない、頑張らないところが、安らぎを与えてくれる、それがグラシオーザ島の大きな魅力と言える。貧しい島から変わって欲しいが、素朴な島から変わって欲しくもない。また数年後訪ねてみようか。

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これも食べたいし。カサガイ。

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by caldoverde | 2015-07-12 22:39 | ポルトガルの旅 | Comments(2)
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グラシオーザ島は20世紀初めまでロバの島と呼ばれ、ロバを育て他の島に売っていた。コビトロバと呼ばれる独特の小型のロバは、イタリアのトスカーナ地方のロバに近く、どちらもアラブ人が北アフリカからヨーロッパに持ち込んだものがルーツだそうだ。元々砂漠の地方生まれのこの動物は、アソーレス諸島9島中2番目に乾燥したグラシオーザ島の気候が合っていたのかもしれない。しかし農家が助成金の出る酪農へと転換したり、島に見切りをつけてアメリカやカナダに出稼ぎするケースが増え、それに伴ってロバの数も激減し、今では数十頭しか残っていない。

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このグラシオーザ島のロバを保護し、血統を守ろうとしているイタリア人がいる。フランコ・チェラオロさんは、元々演劇やオペラ、映画の美術監督で、私も見たことのある「薔薇の名前」等有名な映画も担当し、その分野では高名な方らしい。彼はリタイアしてグラシオーザ島に移住し、家と土地、そして御用済みになったコビトロバを買い入れ、その飼育と繁殖を試み始めたという、ちょっとドン・キホーテ的な人物だ。

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身長は1mほど

牧場に飼われているコビトロバの毛色は、茶色もあれば、まだら模様もあるが、灰色の体に、首の周りの黒い筋、脚の先に細い縞模様が入るのが典型的。この特徴がはっきりした個体がコビトロバの純血種として、最近ポルトガルの固有種と認定された。農家でも獣医でもない一外国人の努力によって、コビトロバは絶滅寸前から救われたのである。

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フランコさんの家は築400年、5棟の小さな家がくっついた長屋のような建物だ。昔は長屋に全部で30人が住んでいたそうだが、今はフランコさんと彼のパートナーの2人だけになってしまった。集落全体では住民は100人もいたのだが、多くの家は廃墟となり記憶と共に風化している。フランコさんは庭に様々な果樹を植え、部屋の幾つかをバカンス用のアパートとして改装し、旅行者にロバとの休日を楽しんでもらうことも企画している。ロバやアソーレスの生態系に興味のある方は是非どうぞ。

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ロバに乗って散歩したいというリクエストに応じてくれたフランコさんは、そのアクティビティーにおいてはまだ新人、いや新ロバのシコという雄を選んだが、シコはロバらしい頑固さを発揮し、鞍を付けるのを手こずらせ、私が乗れば後戻りしたり止まったりと、さっぱり人間の言うことを聞かなかった。ロバ車も購入し、道具を仕舞うガレージの増設も計画し、将来の観光資源となるべく準備中のフランコさんであるが、まずロバの調教から始めないと。

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くつわを壊し、挙句に脱走したシコ

よそ者ゆえに、アソーレスの問題点も鋭く指摘するフランコさんであるが、毎日見る夕日が一つとして同じものではないという事を感動を込めて語っていた。アソーレスの自然は、芸術の国イタリアの舞台美術家をも飽きさせぬ、偉大な芸術作品なのだ。

お昼はフランコさんお勧めの、フォウガ(暇)と言う名の小さな港の小さな食堂で、アブロテイアという魚のフライを食べた。店のおばさんが正直に、これとこれは冷凍だけど、これはフレッシュだと教えてくれたのが、そのアブロテイアだった。カリッと揚がった衣に所々塩が効いて、淡白な魚の味をよく引き出している。

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その後はカラパッショ温泉でまったりするはずだったが、7月15日まで無料キャンペーン中の温泉プールでは中高生男子がしぶきを上げて泳いだり潜ったりして遊んでいるので、彼らが出るまでしばらく辛抱しなくてはならなかった。無料にするといい面とそうでもない面があるものだ。

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by caldoverde | 2015-07-12 21:28 | ポルトガルの旅 | Comments(7)
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赤いタマネギ型の屋根を持つグラシオーザ島の風車

九島全島を征服した後、昨年はお休みしたアソーレス諸島の旅は第二ラウンドに入り、グラシオーザ島の再訪から始まった。アソーレス諸島9島中、1番か2番目に地味な感じの島なのだが、なぜか惹かれる。食べ物が美味しかったのもあるし、人々が素朴で感じが良かったのもあるが、今回の目的は、前回も行ったカラパッショ温泉と、ロバ牧場を訪れることであった。昨年末にポルトガル北部のミランダ・ド・ドウロにミランダロバを見に行ったが、グラシオーザ島にも絶滅危惧種のコビトロバ(burro anão de Graciosa)を保護している協会があるのを知り、ぜひ訪問し、できればロバの背に乗って島を散歩したいものだと常々思っていた。

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今回拠点としたのはプライア(海岸)地区

春頃から時々アソーレス航空SATAのサイトで運賃をチェックし、行くか行くまいか悩んでいるうちに、急に値段が上がり、座席数も残りわずかになっていたので、えいやとばかりに購入してしまった。6月半ばのことである。ケチって一番安い日のチケットを選んだら、2泊3日となった。こちらの人にとってはあり得ない短い休暇らしい。

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宿はネットで評価の高かった、プライア地区の「カーザ・ダス・ファイアス」を予約した。島唯一の砂浜と自然保護区となっている小島が見える港を前景に、島の最も重要な観光地であるカルデイラ山を背景にした抜群の立地にある、このトゥーリズモ・ルラル(民宿)は、溶岩を積み上げた伝統的な漁師の家を改装したものだ。

リスボンの5つ星ホテルをも凌ぐ快適な設備は、素朴な外観からは想像できず、嬉しい驚きだった。初日は他に宿泊客はいなかったようで、広いジャクジーバス付きの部屋で、リスボンでは味わえない静寂と解放感を満喫した。

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初めはシャワーだけの部屋だったが、バスタブ付きを希望したら、ジャグジー付きの部屋に替えてもらった。ラッキー!

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カマも美味しかった

昼ご飯は、以前も来た海岸の前のレストランJ&Jで、同じメニューのボッカ・ネグラ(黒い口)という魚の炭火焼を食べた。カサゴ系の魚で日本のアコウダイがこれに近いと思われる。炭火で焼いたボッカ・ネグラは香ばしく、そのままでも、オリーブオイルをかけても非常に美味。程よい茹で加減の付け合せ野菜も平らげた結果、夕食は不要となった。

残念だったのは、グラシオーザ島のワインが無かったことだ。アソーレスで一番良いワインはピコ島ではなくグラシオーザ島の白ワインだと言う人もいる。ブドウ畑が世界遺産となったピコ島はともかく、狭い石垣の中に植えられたブドウを人の手で摘み取る収穫作業は大変手間がかかるので、どの島でもワインの生産は衰退の道を辿っているようだ。放置されたままのブドウ畑も多い。外国の観光客がボランティアでブドウを摘み取り、その量に見合ったワインが翌年受け取れるような観光農園にしたら良いと思うのだが。

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ホテルのすぐそばには菓子工場がある

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この島で作られる星型のケイジャーダは特に有名だが、他にも色々な種類がある

その店で先に食事をしていた91歳のご老人に話しかけられた。リスボンのポルトガル銀行を退職した後、生まれ故郷のグラシオーザ島に戻り、村の顧問みたいな役職も務めていたそうで、高齢にもかかわらず、冴えた頭脳と若々しい好奇心を持つ人のようだった。家にグラシオーザの歴史に関する本がたくさんあるのでいらっしゃいとナンパ?された。ちょうど島の人に話を聞いてみたかったので、願っても無い申し出ではあるが、求婚されたらどうしよう…

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by caldoverde | 2015-07-12 20:22 | ポルトガルの旅 | Comments(0)
 グラシオーザ島の最終日。太陽が戻ってきた。午前中は自転車で海岸や町の中を散歩した。アソーレスが美しいのは雨が多いせいではあるが、やはり雨天と晴天とでは、美しさ楽しさが段違いである。すれ違う島民から挨拶されることもしばしばで、リスボンでは失われかけている素朴さがまだ残っている。そして、こんなものも残っている!
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 この島にはコビトロバ(burro anão)という独特の種があって、今は数十頭しかおらず絶滅が危惧されている。名前の通り小柄なとても可愛いロバだ。20世紀始めの写真には、大勢の女性達がロバに乗って島内を移動する様子が記録されている。島に居る間2度ほどロバが曳く荷車を見た。速度は人間が歩くのと変わりない。自転車の方がはるかに早い。私が見たのは茶色のメスのロバで、とても優しそうな顔をしている。乗っていたおじさんに声をかけて触らせてもらった。

 ポルトガル北部ミランデーラにも絶滅が心配されているロバがあり、ロバの養子制度を設けて種を保存しようという団体があるが、グラシオーザ島ではどうだろうか。レンタカーならぬレンタロバや観光ロバ車を創ったり、車のラリーだけでなくロバレースを開催して、ロバ券も販売すれば、島の活性化に大いに役立つと思うのだが。私もロバ主になりたいと思い、burro anao と検索すると、なんとたったの数百ユーロ(数万円)で売買されている。血統書つきの犬猫より安い。どなたか希少なロバのオーナーになりませんか?
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おじさんが牧場で牛や馬の世話をしている間、ロバと犬はおとなしく待っている
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意外と美人です

 12時を少し回って昨日頼んだタクシーが迎えに来た。ドライバーのアントニオさんに、まず昼ご飯を食べるので適当なレストランに行くように頼んだ。彼が選んだのは島の中心の方にあるキンタ・ダス・グロッタス(QUINTA DAS GROTAS)という、地主の館を改装したレストランだった。ポルトガルの典型的な石造りの田舎家の建物で、内装も可愛いカントリー調で、窓からの眺めも良い。新しいホテルを除けばおそらくグラシオーザで一番大きなレストランだろう。メニューもサンタ・クルスのショボめの食堂とは違って郷土料理っぽいものが揃っている。
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 前菜は島で作っているチョリソ。アソーレスのチョリソはニンニクやピメントがピリッと効いていて、本土のものよりもパンチがある。
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 メインはタコのグリルを頼んだ。やはり赤いピメントがアクセントに添えられたタコはプリッとジューシーで、ブロッコリーはゆですぎず緑も鮮やかで、香りの良いオリーブオイルをたっぷり吸った皮つきの子ジャガイモもホクホクと美味しい。いつもは残すジャガイモを全部平らげてしまったので、デザートはパスしてコーヒーを頼んだが、帰り際にガラスケースに入っているものを見て激しく後悔した。昨夜プライア地区で食べたチーズプリンよりも更にクリーミーかつ濃厚そうなチーズ系デザートが何種類かある。ポルトガルのチーズケーキは原材料不明の「チーズケーキの素」を使ったような怪しげなものが多いが、この島のケイジャーダや昨日のチーズプリンは、コテコテの濃いミルクの味が本物だと納得させるものがある。このレストランのデザートもその期待をはずすことはなかっただろう。翌日から3日間絶食するつもりで食べておくべきだった。

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サンタ・クルスのカフェで食べたチーズタルト。リスボンにある類似のお菓子よりはるかに美味しい!

 食事後はこの島のハイライトである火山が造った洞窟、フルナス・デ・エンショフレに向かった。この島最大のクレーター、カルデイラの噴火口の底にある洞窟へは138段の螺旋階段を使って降りることができる。
 田舎道を走っていたタクシーがトンネルに入り、そこを抜けると、いきなり周りを高い森に囲まれた火山の真ん中にいる。樹木の濃い緑のリングの中に牛が放牧されている。駐車場で車を降り、坂道を上っていくと森の中にガラスとコンクリートでできた小さなモダン建築がある。それが洞窟の入り口だ。
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 石造りの螺旋階段は中世の教会や城の塔のようだ。今は緑で覆われた噴火口の底にぱっくりと口を開けた深淵を初めて探検したのは19世紀、モナコ大公アルバート1世だった。白っぽい石の断崖にはコケや羊歯が生えているが、陽の差し込まない底のドームには生物の姿はなく、水が溜まっている。かすかなイオウの臭いがする。季節によってはイオウ臭が強くなり危険だということである。この山から湧く温水が海の方に流れ出てカラパッショ温泉になっているわけである。

 カルデイラを後にし、マリアという女性が隠れ住んでいたという洞窟、島でもっとも風光明媚といわれるセーラ・ブランカ(白山)などを周りながら4時ごろ空港に着いた。
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 グラシオーザ島で生まれ、2年間サン・ジョルジェ島にいた期間を除きこの島を離れたことのないドライバーのアントニオさんは、色々な質問に朴訥と答えてくれ、なかなか楽しい旅となった。空港で別れを告げる際、次の来訪はいつかと尋ねられ、わからないと答えたが、最後のレストランで食べなかったデザートとロバの散歩とカラパッショ温泉のためにまたグラシオーザに戻りたくなった。小さな島だが3泊4日では短すぎた。
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by caldoverde | 2012-07-24 08:05 | ポルトガルの旅 | Comments(6)
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右の白い建物がカラパッショ温泉、すぐそばには無料の海水プール

 2日目の午後から3日目にかけて、島は雲に覆われ小雨もパラついて文字通り白い島になってしまった。景色は望めないので、またバスでカラパッショ温泉に行くことにした。プールとジャグジーバスに加えてリンパマッサージを受けた。リンパ腺を思いっきり絞り上げるのかと思いきや、優しく撫でたり軽くつまんだりといったマッサージで新陳代謝を促すのだそうだ。環境音楽の流れる中、リスボンのアパートの騒音も忘れて久しぶりに心地よい眠気を感じた。
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 昨日はこの近くのレストランで食べたので、この日は別の所で食べようと、サンタ・クルスに向かうバスを途中下車して、港のあるプライア(浜)地区を訪れた。浜といっても20mくらいの小さな黒っぽい砂浜があるだけだが、島では唯一の砂浜だ。ちょうどアソーレス諸島各島を結ぶ連絡船が入港し、また乗客を乗せてピコ島へ向かうところだった。港のそばにもあの特徴的な形の風車がいくつかある。休暇を得た移民労働者や他島や本土で勉強していた学生たちはとんがった赤い屋根を見て、ああ、故郷に帰って来たと実感するにちがいない。
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中央の小島は野鳥の生息地として保護されていて立ち入り禁止
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右の風車は宿泊施設になっている

 プライア地区には非常に重要な名産品がある。ケイジャーダ(チーズ菓子)だ。薄い皮にチーズを使ったフィリングを詰めて焼いたものでヒトデの形をしている。島のカフェにエッグタルトはなくてもケイジャーダは必ずある。その名物菓子の工場がプライアにあると聞き、ぜひ出来たてを食べたいものだと思っていた。海岸通りのカフェにそのケイジャーダがあると住民から聞き、さっそくコーヒーと共に名物のケイジャーダを賞味した。ポルトガル各地にご当地自慢のケイジャーダあれど、私の評価ではグラシオーザ島のは国内で1、2を争う美味さだ。少なくとも見かけから想像するよりもずっと美味しい。硬そうに見えたフィリングは実はしっとりして、まったりとした舌触り。フレッシュ・チーズに砂糖を焦がしたカラメルの香ばしさをからめ、シナモンなどの香料は使っていない。かなり甘いが小さめなので、苦いエスプレッソ・コーヒーに良く合う。グラシオーザ島以外では、6個入り箱詰めでサン・ミゲル島の空港で売られている。生にはかなわないが、お土産としてはかなりのレベルなのでお奨めだ。
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 夕食はケイジャーダを食べたカフェの隣の、白壁に石があちこち顔を出す伝統的な島の建物のレストランで、地元の白ワインとボカ・ネグラという魚のグリルの夕食をとった。この島のワインもピコ島の世界遺産のワイナリーと同じように石垣で囲まれた畑で作られる。香りはとてもフルーティだが、味は辛口。アルコール度数は11度程度で、軽く、はかなく、後に残る余韻みたいなものはないが、とても飲みやすい。
 ボカ・ネグラはテルセイラ島でも食べた赤魚系の魚で、レストランのお姉さんも推すだけあって、新鮮で美味しかった。サラダのほかに野菜炒めが付いていて、味噌汁と白いご飯があれば120点。
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 デザートはチーズのプリン。ねっとりとした舌触りの、乳脂肪分が高そうなプリンは酪農王国のアソーレス諸島ならではのデザートである。グラシオーザ島のスイーツは特にミルクの味と香りが濃厚である。
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 夕食後はプライア地区からのバスはもうないので、レストランでタクシーを呼んでもらいサンタ・クルスにもどった。海岸沿いの景色のいいところを走ってくれと頼んだが、正直そうな運転手は、この道が早いと内陸寄りの幹線道路を選び、途中眺めの良い場所で停めて、景色を見せてくれた。信用できそうな人だったので、翌日の最終日に3時間ほどの観光とそのまま空港への送迎も頼んだ。
 島のタクシーにはメーターはなく定額制で、彼は料金表を引っ張り出し、50ユーロくらいだと見積もりを出した。今まで他の島では60~70ユーロほど払っており、また翌日は土曜日でもあったので、60ユーロ払うということで明日の昼にホテルに来るように依頼した。
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by caldoverde | 2012-07-23 07:36 | ポルトガルの旅 | Comments(3)
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 2日目は朝一番に広場にある観光局に行き、バスの時刻表を手に入れた。10時半にサンタ・クルスを発つ路線バスで30分ほどで、島の南にあるカラパッショ温泉に行くことができる。この旅の大きな目的は何と言ってもこの温泉である。帰りのバスは午後4時ごろ温泉の付近を通過し、5時前後にサンタ・クルスに到着する。4時間たっぷりカラパッショで温泉に入ったり、海水浴をしたり食事ができる。
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 この日の午前中も好天に恵まれ、カラパッショからは陽光きらめく群青の水平線の上に、中間の青のギザギザの鋸のようなサン・ジョルジェ島、その後に淡いブルーの富士山のような完璧な姿のピコ島、そして少し離れてこんもりとしたテルセイラ島と、様々な青の諧調に息を呑んだ。
 温泉の建物は集落の外れにあり、切り立った崖が小さな湾に落ち込む山裾にある。昔からこの温泉はリューマチの療養に有名だったが、数年前に改装して最新の施設を備えたスパになった。健康な人も温泉プール、ジャグジーバス、各種マッサージなどが利用できる。私はプールとジャグジーバス、ヴィシーマッサージを選んだ。
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 まず最初はヴィシーマッサージ。持参した水着に着替えマッサージ台にうつぶせに横たわると上から暖かくしょっぱいシャワーが降り注ぐ。華奢な女性マッサージ師の手は意外と暖かく心地よい重みで体に圧力をかけ撫で上げる。お湯の固まりになった猫が体を押し付けるようなとでも言ったらよいだろうか、あまりの気持ち良さにいつまでもここにいたくなるほどである。次に温泉プールで30分。利用者は私一人の貸切で、だら~んと浮かんだり遠慮なく泳ぐこともできた。暑くもなく冷たくもない柔らかいお湯に心も体もとろけてしまった。最後に個室に入って水着を脱ぎジャグジーバスで愉悦の世界へ。まさに極楽。タオルやバスローブ、キャップはスパで貸してくれるが、水着とビーチサンダルは必須。
 温泉の前の海水プールでは、見事な肢体の女性が日光浴をし、子供や若い人が水遊びに歓声をあげているばかりでなく、地元のお年寄りも水浴をしている。こちらもリューマチなどに効果があるのだろう。
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 温泉でふやけた後は近くのレストラン「ドルフィン」で遅目の昼食。魚のフライ2種と牛肉、豚肉、つけ合わせの野菜のビュッフェとカサ貝のグリル半人前。体力的に食べ放題で元を取るのが難しくなってきたが、ここグラシオーザ島では割と安い値段でビュッフェを出す店が多く、食いしん坊にはありがたい。味はまあまあ。
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左はアボテイア、右はビクーダという魚のフライ
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牛肉のシチューと骨付きの豚肉
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アソーレスに来たらこれを食べなくては。カサガイ(ラパス)

 カラパッショからホテルに戻るころは時折小雨のぱらつくあいにくの空模様になってしまったが、大した雨ではなかったので、届いた自転車で海岸沿いをサイクリングした。比較的平坦だが、ゆるい上り坂で向かい風にあうとさすがにきつい。4キロほど走ったところに灯台があり、そこにはクジラ島と呼ばれる岩礁がある。黒い鯨が迷い込んだ湾の内側は、鯨を飲み込もうとする怪物の黒い口のような、不気味な洞窟や崩れつつある崖になっている。たおやかなグラシオーザ島の中で数少ない荒々しい風景である。
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 ホテルに自転車を置いて、今度は徒歩で近くの山の中にある闘牛場を見に行った。サンタ・クルスには、火山の天然の地形を利用して作られたすり鉢状の闘牛場がある。それを囲む噴火口の縁には小さな教会が3つある。闘牛は8月に本土から闘牛士を呼んで2回行われるが、それ以外の時期は草ぼうぼうでゴミだらけ。森を切り通して作った、山をぐるりと回る自動車道は真新しく、急な坂の歩行者専用の近道は完全に雑草で覆われている。どちらも利用者はほとんどいないようだ。自然をうまく利用した円形競技場は闘牛以外にもっと活用されていいと思う。
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 海岸や道路に牛を放すトウラーダ・ア・コルダも夏の間、島のあちこちで行われる。私の滞在中は2カ所で行われたようだ。闘牛の始まる時間は午後6時。見たかったが会場がホテルからは離れているので今回は見送った。

2010年にグラシオーザ島のグァダループという集落で行われた闘牛の模様をyoutubeで




 闘牛とともに静かなこの島を興奮させる数少ないイベントは自動車レース。7月13日、14日はグラシオーザ・ラリーが行われ、街や海岸沿いの道をエンジン音を轟かせながら30台ほどの車がレースを行う。サンタ・クルスの広場周辺には人が大勢集まっていた。日中すれ違うのは中高年ばかりだったが、まだ若者や子供もいたんだと、島の将来を案じていた?私は少し安心した。車が爆音を轟かせながらやってくると、観客はフェンスから乗り出し盛んに声援を送った。ラリー参加者は大半がテルセイラ島のドライバーだそうだ。


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by caldoverde | 2012-07-21 09:05 | ポルトガルの旅 | Comments(6)
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 今年のアソーレス諸島への旅は「白い島」ことグラシオーザ島。グラシオーザとは優美なという意味で、なだらかな地形と穏やかな気候から名付けられた。雨の多いアソーレス諸島の中でサンタマリア島につぐ乾燥した島だ。古い地層を形成する石が白いことから「白い島」だそうだ。この島は比較的肥沃で様々な穀物やチーズ、ワインが生産され、またお菓子でも有名だ。
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 グーグルアースで調べると、自転車で走れる平坦な道がありそうなので、昨年に引き続きピンクのブロンプトンをお供にすることにした。 飛行機を予約時にスポーツ用具の荷物ありとリクエストしていたので、追加料金を払わないで預ける事ができた。去年はリクエストせずに持ち込んだので空港で35ユーロ払った。
 リスボン~グラシオーザ間の直行便はない。12時30分発ボストン行きのアソーレス航空SATAのエアバスをサン・ミゲル島で降り、そこでプロペラ機に乗り換え、途中テルセイラ島を経由し16時過ぎにグラシオーザ島に到着。

 ところがグラシオーザ島に自転車が来ていない。サン・ミゲル島で荷物の積み残しがあったらしく、10人ほどの乗客がロスト・バゲージの手続きをしていた。午後4時すぎに空港に着いて、9時までは明るいので島をサイクリングするつもりだったが、自転車の届く翌日の午後に延期となった。手続きをしている間に人もタクシーもいなくなり、荷物はリュックと自転車用バッグだけだったので、ホテルまでは徒歩で向かった。いい天気で荷物も苦にならず、30分ほどのんびり歩いた。
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 家付きで売りに出されている風車があった。この島の風車はとんがった赤い帽子とオランダ式の羽が特徴だ。この島に最初にやって来たのはポルトガル中部の人だったが、北部のミーニョ地方、南部のアレンテージョ地方からの入植が行われ、フランドルからも移民がやってきた。オランダ人は酪農を伝え、穀物を挽く風車を作った。したがって島の建物はキリンの網目模様のようなミーニョ風の石造りだったり、白壁に青い縁取りのアレンテージョ風だったり、フランドル風の風車だったりとバラエティに富んでいる。元々は粗い黒い溶岩を積み上げただけの粗末な造りの家だったが、地震で大きな被害が出たので、セメントで固めなくてはならなくなったそうだ。

 宿泊したホテルRESIDENCIAL ILHA GRACIOSAは、元は地主の館で、隣は小さなワイナリーになっている。バーではこのワイナリーで作る甘い強化ワインとブランデー(アグアルデンテ)が飲める。食堂にはぶどうを絞る圧搾機とタンクが残っており、テーブルや椅子はワイン樽だ。島一番の町サンタ・クルスにはこのホテルのような白い館が集まっていて、その佇まいからも白い島と呼ばれるようになったのだろう。

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 散歩中に白壁にベーカリーと書かれた建物を見つけた。中には島名物のお菓子とパンが並び、夕食前のすきっ腹を思いっきり誘惑した。ええい、デザートとメインディッシュの順番を変えてしまえ、とお菓子を2個買い歩きながら食べた。リスボンの値段の半額で、しかもリスボンにないタイプのお菓子だ。
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アメリアスという、干しブドウやシナモンなどを混ぜた生地のケーキ。
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この店のマドレーヌはチョコでコーティングされ、中にはとろりとした蜜が入っている

 夕食は町の中心の広場に面した店で、カタプラーナ(魚介シチュー)を食べた。島なので新鮮なカニや貝を期待したが、冷凍物だった。カニカマが入っていた。カニカマは嫌いじゃないがレストランで使うのはイエローカードだ。海に囲まれた島でカニカマは即退場だ!
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量は申し分ないんですが・・・
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by caldoverde | 2012-07-20 01:20 | ポルトガルの旅 | Comments(2)