ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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食欲の秋のポルト

ご無沙汰しています。更新をサボっていましたが、ちゃんと生きています。

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きれいに紅葉した街路樹。リスボンにはない。

ポルトで1日過ごせる機会ができたので、リスボンに無いうまいものを食べようと、まだ夜の明けぬ朝7:00のバスに乗ってポルトに向かった。

もう落ち着いた頃だろうと思ったら、10月半ばになってもポルトはどこもかしこも観光客で一杯で、レロ書店やカフェ・マジェスティックには相変わらず行列ができている。ボリャオン市場も昔と変わらずキタナいが、ほとんどのお客さんは外国人で、月曜日のせいもあるが出店は土産物を売る業者が半分を占めていた。昔は八百屋やチーズ屋や肉屋など地元民向けの店がほとんどだったのに、変わったなあと少し寂しくなった。

ポルトで時間が出来たら絶対に行こうと思っていたのは、ケーキ屋のtavi。近所のフランス菓子店がなくなって以来、リスボンに私を満足させる洋菓子店は無い。また海を見ながら綺麗で美味しいケーキを食べるのだ!しかしその前に、お昼をとらなければ。どこか良い所はないか…と大先輩のMOREIAさんに尋ねたところ、候補を3つ挙げてもらった。少々高くても経費で落としてやれと、その中で一番高級で、評判の良いCafeinaという店に行った。よく雑誌にも紹介されている有名店で、入るとダークスーツを着たビジネスマンばかりが食事をしている。「ビジネスランチ」と銘打った昼の(比較的)お手頃なメニューが用意されているが、私には十分贅沢な金額だった(16€)。3種類のメインディッシュから、私はセーラ・ダ・エストレーラチーズのソースを使ったステーキにした。

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大きさは4x10x2cm位

正直に言うと、見た瞬間「え、こんだけ?」と思った。味も肉質も焼き具合も申し分ないが、期待していた大きさの半分だった。何を基準にしたかと言うと、何度か食べているボルサ宮そばのフェレイラ・ボルジェス市場の中にあるグリルレストランの牛肉サンドと比較してである。値段がたったの7.5€で、炭火で焼かれた赤身の牛肉は、噛むと柔らかくじわっと肉汁が染み出すいい焼き加減で、味も良い。しかもパンからはみ出すほど大きい。

Cafeinaは高級店だけあって、メインディッシュが来る前に前菜やスープを食べるのを想定して、ポーションが小さいのだろう。コースとして食べればちょうど良い量だ。が…。
ビジネスランチにはデザートも含まれていたが、taviでケーキを食べるのは決定事項だったのでパスした。

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この日はポルトの街を歩き回ったので、大丈夫

むしろこちらが優先課題であったtaviの、クリームをたっぷり使った生菓子系は4種類。その中からデリシア・デ・マンガ(マンゴーの快楽)を選んだ。固めに泡立てたマンゴームースの下は、濃厚なチョコレートガナッシュで、甘みと苦味の調和が素晴らしい。こういう店が身近にないので、なんとか体重を増やさずに済んでいる。

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でかっ

夜はホテルから近いのもあるが、確実に腹一杯になる「アバディア・ド・ポルト」に行った。以前ここでトリパス(牛モツと豆の煮込み)を頼んだら、鍋で来た。連れはかなり大きく美味そうなポスタ・ミランデーザ(ミランダ牛ステーキ)を食べていて、そっちもいいなあと心が揺れた。よほど夜もステーキにしようかと思ったが、やはり身体に優しい(ような気がする)魚介類にしようと考え直し、タコのグリルを頼んだ。昼の高級店のステーキの倍の大きさのタコの足に野菜炒め、皮付きのジャガイモの付け合わせ。おなじみてんこ盛りのポルトガル料理で、見た目のボリュームは満点だ。タコはスプーンで切れるほど柔らかく、プリっというよりはねっとりした感触で、焦げた部分が香ばしい。値段はやはり2桁€になるけれど、物理的な満足感は十分に与えられた。やはりお腹いっぱいにならないとポルトに来た気がしない。

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by caldoverde | 2016-10-18 05:09 | ポルトガルの旅 | Comments(4)
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お土産に頂いた島のアボカド

3日間だけの島の滞在もあっという間に最終日。初日にレストランで会った91歳の老紳士の家を訪ねた。島の名家に生まれ、コインブラ大学で学び本土のポルトガル銀行に勤めた後、故郷で余生を過ごすレオポルドさんは、自宅に人を招待し、自分が所有している本などを見せて島の話をするのを楽しみとしている。広い屋敷にはアボカドの果樹園があり、他の島にも売っているそうだ。この島の人は甘くない果物は好きじゃないのであまり売れないが、品質は上々との事。食べ方を紹介し、グラシオーザのアボカドだというシールを貼るとか、工夫すれば売れると思うが…

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ブドウも質が良さそう

昔はロバの島だったグラシオーザ島は他のアソーレス諸島の島々同様、牛の島になった。グラシオーザ島のチーズは淡黄色のセミハードタイプで、シャープなサン・ジョルジェのチーズに比べ、まろやかで食べやすい。リスボンのデパートでも手に入れる事ができるが、やはりデパートのお値段である。サン・ジョルジェ島の工場でチーズを買ったらあまりにも安かったので、グラシオーザの工場直営店にも立ち寄りたかったが、残念ながら時間がなかった。次回は買いに行くぞ。

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乳牛だけでなく、肉牛もたくさん飼育されており、ロバ牧場のそばでも美味しそうな赤牛の群れを見た。グラシオーザ島の最終日は地元の牛のステーキと決めた。
タクシーを呼び、以前タコを食べた事のある「キンタ・ダス・グロッタス」というレストランに行ってくれるよう頼んだ。その運転手はかつて私にそのお店を推薦した当人なのだが、彼によると最近経営者が代わったという。昨日会ったロバ牧場のフランコさんも夜にここで食事会があると話していたので、それほど内容は変わっていないと考えたいが…

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ニンニクと赤ピーマンがアソーレス風

飲み物はグラスワインの赤を頼んだ。色が薄く酸っぱくていかにも自家製、密造酒という感じだが、グラシオーザ島の赤ワインは生産量が非常に少ないので味はともかく珍しいものだ。

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モランゲイロと同じタイプの地酒。色が薄くて濁っているところがいかにも自家製。

前菜は揚げたチーズとメロンのジャム。熱々の揚げたてから少々時間が経っていたが…美味いじゃありませんか!

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カリッと揚がったチーズに甘いジャムがよく合う

メインのステーキは、ミディアムの焼き加減を頼んだ。ポルトガルの牛肉は、赤身なので生焼けの方が柔らかくて美味しいのだ。ところが来たものは、しっかり中まで火が通っていて、噛みごたえ満点のウェルダン。肉自体は悪くないと思うが、私の欲しいのはこれではない。わざわざタクシーで来たのに。ワインが空になったので、お代わりを頼むついでに、肉が焼きすぎて硬いと文句を言った。焼きが甘ければ、焼き直しを頼めるが、焼き過ぎは元に戻せないので、言うだけ言ってみた。そうしたら、さっきの不味い自家製ワインよりいくらかましなものが来て(市販のワイン)、給仕の女の子が別の肉が欲しいかと聞くので、クレーマーになるのは嫌だったが、別の肉を頼んだ。今度はちゃんと肉汁の滴るミディアムの状態で、より柔らかくデリケートな味となった。もっと欲を言えば、 肉の嵩が厚かったらなあ。そうすれば外側はこんがりで中も熱いけど生焼け、という理想的な状態になると思うのだが。

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こうでないと

その事をタクシーの運転手に言うと、アソーレスの人はしっかり焼いた、硬い肉を好むだそうだ。最初の肉はここではミディアムだったのか…クレーマーになってしまった。

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以前来た時は、デザートを省略して店を出る際に、ガラスケースに並べられた甘い物を目にして激しく後悔したので、今度は絶対コテコテのプリンを食べるんだ!と決意していた。残念ながら私の記憶にあったあのプリンらしきものはメニューには無かったが、給仕の女の子が推すパッションフルーツのババロアは悪くは無かった。

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民家の塀の上に飾られた法螺貝のように、ゆったりした歩みのグラシオーザ島

3年前にグラシオーザに来た事がある、と島民に言うと、全く同じでしょうと言われる。確かに見かけは変わっていないものの、このレストランや、カラパッショ温泉のように微妙に変わっているものもある。フランコさんのように、変えようと頑張っている人もいる。大事なのは島の価値を島の人たちがもっと認める事ではないだろうか。補助金頼りの酪農や、夏の観光収入だけでなく、島にはもっとポテンシャルがあると思う。昔はこの小さな島にピアノを所有していた家庭が驚くほどあり、音楽が非常に盛んだった。今もグラシオーザ島のカーニバルは他島から見に来る人々もいる程だという。インターネットの普及によって世界中のあらゆる情報が入る時代だが、発信する人がいなくては、知られないままだ。でも無理しない、頑張らないところが、安らぎを与えてくれる、それがグラシオーザ島の大きな魅力と言える。貧しい島から変わって欲しいが、素朴な島から変わって欲しくもない。また数年後訪ねてみようか。

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これも食べたいし。カサガイ。

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by caldoverde | 2015-07-12 22:39 | ポルトガルの旅 | Comments(2)
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ミランダ・ド・ドウロに3泊した後、20kmほど離れたセンディンという村に宿を移した。ここから6km先のアテノールという場所にミランダロバ牧場がある。この旅の重要な目的の一つはロバを見ることだった。10年位前にリスボンのサン・ジョルジェ城に数頭のミランダロバが来たことがあった。その時にロバの可愛さにやられてしまったのである。
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昔、人々は農作業や物資の運搬、交通機関としてロバを大いに利用していたが、生活様式が変わり、ロバもその需要が失われ、多くの雄ロバは去勢されて絶滅が心配されるほどになってしまった。またミランダロバはトラス・オス・モンテス地方特産のポルトガルの固有種であるが、スペインのロバと混血し純血種が脅かされるという問題もあるので、種の保存と研究を目的とするAEPGAという団体が作られ、アテノール村で飼育、繁殖が試みられている。更に同団体は年老いて不要になり放置されたロバに幸せな余生を過ごしてもらおうと、別の村に老ロバ施設も作った。
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モコモコの毛が可愛い

ミランダロバの体重は400kg前後、茶色の体毛、鼻と目の周りは白く、個体によっては毛が長いものもある。性質は柔和。長い耳は柔らかい毛で覆われている。牧場で飼われているロバは人馴れして、柵に近づくと次々と寄ってきて温かい鼻息を吹きかける。耳を触られるのは嫌がるが、耳の付け根はOKということで、順繰りに耳の付け根を掻いてあげた。ここでは50頭のロバが飼われており、それぞれに名前が付けられている。ロバ達は観光やテラピーなどに従事している。近郊の野山を歩くロバツアーも可能だが、牧場を見学するだけでも十分に楽しい。いずれにせよAEPGAに事前に申し込みが必要だ。
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自家用ロバに乗るおじさん。ロバには長年奉仕してきた跡が…

牧場の広さは24ヘクタールあるが、1頭のロバにつき1ヘクタールが理想ということで、近くの土地を購入し拡張する予定だそうだ。そうか、1ヘクタールの土地が必要なのか…

最近ロバのミルクを原料とした石鹸や化粧品を見るようになった。この牧場でも売っていれば買おうと思っていたが、Xマスの時期のせいか商品はほとんどなかった。牧場を案内してくれたヌーノさんによれば、儲けが出るほどは生産できないということだ。リスボンのスーパーで買ったロバ石鹸を贈った友達には「お肌がツルツルになった」と喜ばれたので、この地方の特産品としてもっと力を入れても良いのではないかと思う。
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パッケージが可愛いミニ石鹸はミランダ・ド・ドウロで見つけた

センディンという村には「ガブリエラ」というレストランがある。英語のガイドブックには、ここで食べるためにこの村に一泊する価値はあるとまで書かれているし、たまたま乗ったリスボンのタクシーの運転手がこの地方出身で、彼もまた有名なレストランとしてこの店を挙げていたので、その名声は広範囲に及んでいるのだろう。 外観はどうってことのない、アルミサッシの窓のチープな感じさえする田舎のレストランだ。席に着くなり「ポスタか?」と聞かれた。それだけミランダ牛ステーキを注文する人が多いのだろう。しかし値段が23€である。いくらうまくともそんなに高くて大きい肉は食べられないと躊躇すると、じゃあ小さいのにするからと言われたので、結局ポスタ・ミランデーザを選んだ。しかしもう一つの名物の腸詰アリェイラにも心惹かれるものがあった。値段はポスタの3分の1になる。
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厨房の天井にズラリと吊り下げられたアリェイラ

前菜にオリーブと謎の漬物が来た。珍しいので食べてみたら、辛いのなんの。巨大な獅子唐芥子を丸ごと漬けたものだ。野趣溢れるクレソンのサラダはさっぱりして牛肉に良く合う。肝心の「小さい」ステーキはこの前に食べたのよりも1.5倍くらいの大きさで一瞬たじろいだが、あっさりした赤身なので、結局ほとんど平らげた。デザートはチーズに自家製ジャムを添えたもの。ジャムは数種類の中からナシを選んだ。甘いジャムと塩気のあるチーズの組み合わせはとても美味しい。
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今回は残念ながら「なまはげ」は見られなかったが、地元の若者たちが普段着で踊るパウリテイロスの踊りが見られた。衣装をつけないと乱闘の様にも見える。パグパイプの音楽といい、この地方の民俗文化は、厳しい気候、異民族や隣国との衝突に晒されてきた土地柄を反映するような雄々しさがある。お約束の枕詞「哀愁」とは異質の、もう一つのポルトガルを垣間見ることができた。

Xmasイブにカテドラルの前でパウリテイロスの踊りを踊る若者

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by caldoverde | 2014-12-29 19:20 | ポルトガルの旅 | Comments(4)
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イケメンの土人形職人の土人形

今年も恒例の工芸見本市がリスボンのエキスポ地区で開催された。以前はポルトガルの素朴な伝統工芸品に満ちあふれていたこの催し物も、昔の活気は薄れてきている。衰退の要因の一つはグロバリゼーションだと思う。その土地で生産される材料で、地元の工人たちが緬々と作り続け、地域の人々に消費され続けてきたものが、スーパーや中華百貨店で売られている、どこかの国で安く大量に作られたものに取って変わったからだ。伝統工芸品にはそれに太刀打ちできる要素があるか?機械も凌駕する職人技、センスや美的感覚、天然素材の良さ、それに加えて納得のいく値段であることが必要だ。
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おじさんがミシンのような機械で作業しているものは…
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象嵌細工の模様になる板を切り抜いていたのでした

安ければそれに越したことはないが、質に見あった値段、生産者が生きていける値段であることも大事。ひょっとするとこの見本市では21世紀中に消えてしまう工芸品を今見ているのかもしれない。
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山岳地方のフェルトのマント。可愛いけどポルトガルで着ている人は見たことない。
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い草のショッピングカート。面白い!売約済。
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コルクのドレスです。
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大理石職人の土人形。伝統と現代がマッチ。

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ニワトリの置物よりも売れること確実ですが、本人の肖像権がどうなっているのかは不明。

去年はちょっと盛り返した感もあったこの見本市は、今年は伝統とコンテンポラリーがごっちゃになり、今まで明確だった地方ごとの区分けも曖昧になり、規模が小さくなったのに一層混沌としているように思えた。

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おなじみ生ハムサンド

それでも足を運ぶのは「食」のコーナーが魅力的だからで、今年は国産牛のコンクールが行われ、入場券が会場に出店しているレストランの割引券になるからであった。私が食べたのは北部の知らない村の名前がつけられた赤牛のステーキ16€。ポルトガルでステーキを頼む時はビッフェ(薄切り)よりポスタ(厚切り)がお勧め。外がこんがり中が生焼けのミディアムが美味しい。しかし出てきたものは焼きが足りず、焼き直しを頼んだら良くなった。
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びっくりしたのはヴィーニョ・ヴェルデの赤ハーフボトルを頼んだら、フルボトルが出てきたこと。間違えたのだろうと思ったが、まあいいやと飲み始めて半分でやめておいた(1人だった)。軽く冷やしたオリのたっぷり入った酸味の強い赤の緑ワイン、勘定書きはちゃんとハーフボトルになっていてちょっと安心。隣のカップルは肉はうまいがフライドポテトが来ないと文句を言っていた。急ごしらえのリスボン支店では仕方あるまい。
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パステル・デ・ナタもヴァリエーションが増えた。ホワイトチョコやマンゴーなども。
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by caldoverde | 2014-07-07 07:32 | カルチャー | Comments(4)

風邪にはステーキ 2

 風邪にやられた先週は、これまでの人生で最もステーキを食べた一週間だった。おかげでどの店のステーキが美味しいかリーズナブルか少々リサーチできた。やはり最初に食べた近所のステーキ専門店「レイ・ドス・ビッフス」の肉が一番柔らかく、上等の肉を使っているようだ。
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 また同じく近所にある大衆食堂のビトックはコストパフォーマンスが抜群で、味も悪くない。約7ユーロでステーキ、卵、キャベツ、フライドポテト、ご飯と全部付いてくる。この店はその名も「オ・ビトック」と言い、この目玉焼き付ステーキはこの店の定番である。ソースも味が良い。ハウスワインとコーヒーも頼んで10ユーロでお釣りが来る。
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 ファドハウスの「ティンパナス」のステーキもなかなか。たっぷりニンニクを使った「ポルトガル風」である。でも私がこの店の食べ物で一番好きなのは、青菜の炒め物だ。以前仕事でよく行っていた頃は、菜の花の炒めものだけ頼んでいた。

 家と同じ通りにあるグリル専門店「ヨーロッパ」の焼き魚は良かったが、肉はどうだろうか。「ヨーロッパ風ステーキ、胡椒ソース」をミディアムで注文したが、硬い。肉の部位によるのだろうが、筋があって噛み切れない部分があった。給仕が普通のナイフをノコギリナイフに替えた時点でヤバイ予感がした。また端はレアというか火の通っていない部分があった。ステーキ屋のステーキと2ユーロくらいしか違わないのなら、ステーキ屋に行けばよかったと少し後悔。でもポルトガル人はこのような噛みごたえのある肉を好むのかもしれない。
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 一週間居座り続ける風邪にとどめを刺すべく、最後のステーキを食べに行ったのは、エストレーラ大聖堂に近い「オ・ラブラドール」という肉屋兼業の店だ。隣が肉屋なので肉の見立てには間違いあるまいと見込んだ。日替わりのスープはポルトガル人が風邪をひいたとき飲む「患者」もとい「カンジャ」というチキンスープ。細く裂いた鶏肉と小さなパスタが入ったコンソメタイプのスープだ。
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 ステーキは「ラブラドール風」、シンプルに塩だけで味付けした肉は嵩があり、表面には香ばしく焼き目がついていて、中はジワッっと赤い肉汁のしみ出すいい焼き加減だ。「レイ・ドス・ビッフス」よりは固めだが、弾力があって噛む毎に滋味の出るタイプ。約10ユーロ。
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 ということで、肉質はステーキ専門店、次いで肉屋兼業の店が良いが、値段ではビトックが圧倒的に他を制圧している、という結果が出た。しかし、アソーレスレストランで食べたトカゲステーキとサンタレンのグルメ祭りでご馳走になった北部のミランダ牛のステーキを凌駕するものはない。いつか岩塩だけで味付けした炭火焼ステーキを産地のミランダ・デ・ドウロで食べたいものだ。でももうしばらくは風邪もステーキもたくさんだ。
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by caldoverde | 2013-02-18 08:37 | 肉料理 | Comments(4)

風邪にはステーキ

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 風邪をひいて仕事を3本キャンセルした。元はといえば全て階下のカフェのせいである。アパートに1昼夜響く低周波音でこの1年半はまともに熟睡できた日はない。対策として、まずソファで本を読んだりDVDを見たりして眠気を催させ、その勢いでベッドに潜り込むのが習慣になった。しかしそのままソファで明け方までトロトロすることもあり、先日ついうたた寝して身体を冷やしてしまい、こんな結果になった。全てはカフェが悪い。今週は珍しく仕事が入っている週で、この先こんな時期がいつ来るか分からない。絶対に休めない、そんな時に限って風邪や花粉症で声が出なくなったりするのである。
 風邪による損失は仕事の他に病院代、5-6種類の薬代、ビタミンCや喉飴などの健康食品、風邪に良さそうな食料品代、洟をかむティッシュ代、湯たんぽの水代、沸かす電気代など多岐にわたる。なんともない時には不要な出費ばかりだ。
 早く治さなければと、あらゆる民間療法をネットで調べて試しても魔法のような効果を持つものはない。
 ひとつだけ気になりながらまだ試していなかった方法を今日は実行してみようと思いたち、雪だるまの様に着ぶくれして、家から歩いてすぐのステーキ専門店に出かけた。風邪をひいたら牛肉という情報(ガセネタ?)に従って。
 その名もRei dos Bifes(ステーキの王様)というレストランは日曜日も営業していて、赤いクロスに赤い革張り(人口皮革だが)地域の店にしては高級感のある内装である。
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 ステーキはソースと肉の切り方によって多様な種類がある。私は風邪を治すためにニンニクをたっぷり使った「ア・ポルトゲーザ(ポルトガル風)」を選んだ。他にもコーヒーソースやチーズソース、三種の胡椒ソースなどがあり、どれも美味しそうだ。メニューにはそれぞれの味付けについて2種類の値段がついている。安いのはVazia(薄切り)高いのはLombo(厚切り)で5ユーロの差がある。ポルトガルのビーフは赤身が主で、加熱しすぎるととゴムの様に硬くなるので、厚みのある肉をレアかミディアムで焼くのが一番美味しい。当然ロンボを注文した。
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 粒のニンニクを山と盛り、なめらかなソースのかかったステーキは、安食堂のてんこ盛りに慣れた私には一瞬こじんまりと見えた。しかしナイフを入れるとスッと切れる感触、薔薇色の切り口、口に入れて噛んだ柔らかな歯ごたえは、やはり専門店として良質の素材を使っているのだろうと納得させるものがある。昔肉を食べなかった私は妹に肉のどんなところが美味いのか尋ねたところ、「歯ごたえだ」と答えた。なるほどその通りである。
 もの足りない場合は目玉焼きやライスを追加できる。ポテトやライスをソースにからめて食べると結構お腹が膨らむ。初めは小さいと思ったステーキも6分目ほど食べると次第に満腹感がやってきた。
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 デザートはラズベリーのムース。ラズベリーの甘い香りと種のプチプチ感を生かした珍しいスイーツだ。これに生のラズベリーやミントの葉っぱを飾るなど、見た目に何か一工夫あるともっと高級感が出て味も違ってくると思う。

 鼻が効かない状態で食べて美味しく感じるなら、健康な時に食べるともっともっと旨いに違いない。しかし15ユーロのステーキなど、病気や目出度い事がある等、特殊な機会にしか食べられない。今回はたまたま風邪と私の誕生日が重なったのである。いや、常日頃ステーキを食べていれば風邪に負けない医者いらずの体質になれるのか?少なくともプラシーボ効果はありそうだ。
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by caldoverde | 2013-02-11 01:18 | 肉料理 | Comments(9)
 小国でありながら世界で最も豊かな(肉付きの人々の)国のひとつであるポルトガルでは、連日のようにこの問題がマスコミで盛んに議論されている。学校ではチョコレートバーを売る自動販売機は撤去された。スーパーには「ライト」と銘打った食品が並ぶ。コレステロールを減らすという食用油がTVでさかんに宣伝されている。いろんな人がファストフードはカロリーが高いからとりすぎに注意しろと啓発している。車で立ち寄ることができたり、電話ひとつで配達してくれるファストフードは確かに現代のポルトガル人の中性脂肪増進に寄与しているだろうが、じゃあ、伝統食はどうなんだ?

 とあるビールメーカー経営のレストランでポルトガル人の友人と昼食をとった。彼は10年前知り合った時は中肉中背の好男子であった。2ヶ月に1度くらいの割合で会うが、ある時期から会うたびに太りつつあるような気がし始めた。先日1ヶ月ちょっとの帰省を挟んで再会すると、それは確信に変わった。
 親日家の彼は日本食が好きでよく寿司バイキングに行く。寿司バイキングをやっている店はもちろんガイジンの寿司職人である。私も時々誘われるが、寿司は日本人の作っている店でしか食べたくないし、バイキングは作りおきだしどうも食指が動かない。第一もうバイキングで元を取れるほどたくさんは食べられないのだ。彼は寿司はヘルシーだと言っていた。ひょっとしていくら食べても太らないものだと考えているのではないだろうか?最近の日本食ブームは、日本食のほうが儲かるともくろんだ中華レストランからの転向に加え、ポルトガル人の健康志向と日本食への誤解もその要因だろう。
 また友人は高校生のときアメリカに1年ほど住んでいたので味覚も微妙にアメリカンで、ワイン嫌いのビール好き、ポルトガル人の大好きなオリーブの実が苦手でステーキの類が好物だ。痛風を誘発する組合せだ。私は肉には消化を手伝う赤ワインでないと食べるのが困難なのだが。

 この日もビール会社のレストランなので、飲み物は当然ビールしかない。食べ物は何種類もあるステーキが主力である。その中で友人が薦めるのはポルトガル風ステーキというものであった。何をもってポルトガル風とするのかは未だに良くわからない。メニューによると他のステーキは基本的に肉とソースだけで、付け合わせは別料金のサイドメニューで注文しなくてはならないが、ポルトガル風は生ハム、ニンニク、ピクルス、フライドポテトがついていて、ビネガーソースで味付けされている。全部付いているので他のものに比べるとお得である。2人ともこのポルトガル風ステーキにしたが、友人は更に目玉焼きを追加した。ステーキに目玉焼きを乗せたものはビトックと呼ばれ、どのレストランにも必ずあるものである。
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 皿ではなく鍋(!)に入ったステーキはほとんど黄金色のフライドポテトに埋まっている。堂々とした厚みの肉の上にはピンクの生ハムが覆いかぶさっている。粒のニンニクがキツネ色に揚げられている。人参やカリフラワーのピクルスがアクセントを添える。底にはボルドー色のソースが肉やポテトを浸している。相当なボリュームだ。全部食べたら何カロリーなんだろう…

 肉料理を食べるときは、普通の肉用のナイフの他にノコギリのようにギザギザの歯のついた木製の取っ手のナイフが用意される。それだけ肉が切りにくいということだ。ポルトガル風ステーキもこのノコギリナイフでかなり力を入れないと切れない。ようやく切った肉片は頬張るとほっぺたがリスのように膨らむほど大きくて、噛んでも噛んでも千切れない。顎の筋肉がこわばってきたのでビールとともに無理やり流し込んだ。
 いい色に揚がったポテトはビネガーソースにつけて食べると美味い。どちらかというと肉より美味い。いや、ソースが良いせいか?友人はパンにソースを付けて食べている。私も白いご飯が食べたくなる危険な味だ。私は我慢してポテトは3分の1残したが、友人は目玉焼きを別に頼んでいる。ビタミンを補給すべき野菜はゼロである。
 味のほうは、残念ながら先日旅行したアソーレスのビーフや、予算不足のため数枚の薄い焼肉しか食べられなかった松坂牛には遠く及ばなかった。友よ、ごめん。しかし彼は非常に満足そうに肉とフライドポテト全て、目玉焼きも平らげ、皿に残ったソースもパンで拭った。

 「ポルトガル風」と名づけているからには国民の嗜好を十分リサーチし研究を重ねて開発されたメニューに違いない。人々が慣れ親しんだ、家庭に代々伝わる伝統の味、特定の地域に偏ることなく、あらゆる年代層から支持される味、それを「ポルトガル風」と呼ぶのかも知れない。そして長年「ポルトガル風」を実践した結果、ユーラシア大陸の果てに位置するこの小さな国は輝けるヨーロッパ一のカロリー摂取国となったのだ。
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by caldoverde | 2008-09-07 14:16 | 肉料理 | Comments(9)
 アソーレス諸島はとても美しいところだと言う話だが、嫌いな飛行機で行かなくてはならない。天気予報を見るといつも雨が降っているような気がする。「地球の歩き方」に載っていない。地震が多い。お金がない、暇がない、一緒に行く恋人がいない等の理由で未だ訪れたことがない。背中を押してくれるものが必要だ。それにはまず地元リスボンで情報を収集し、その魅力の一端に触れ、もっと知りたいという欲望を喚起させる。その具体的な方法として、アソーレスの料理を食べてみるというのは大いに有効に思われる。

 テレビのニュースで紹介していたアソーレスレストランのサイトを見ると、なかなか良さそうに思えたので、市バスの742番に乗ってアジューダ宮殿近くの市場に隣接したこのお店を訪ねた。この辺はチンチン電車の市電18番が行き交い、タイルのはがれた、壁の崩れかかった建物が並び、ジプシーが闊歩し、外を歩く男女の推定平均年齢67歳という、いかにも鄙びた過去の栄光の街リスボン情緒をかもし出している地区であるが、そのような所にありそうな郷土料理店といった雰囲気とはまったく違う、入り口のガラスのドアに大きな青い地球の写真が貼られた、モダンでクリーンな感じのレストランである。店内からはテージョ川が見える。

 バリトンのいい声の恰幅のよい支配人がメニューを持ってきた。知らない食べ物ばかりである。それでもアソーレスの名物はタコとまぐろという知識はあり、とりあえず重要なポイントは押さえることができた。3人のうち2人は決まり。残ったのは私で、肉料理から選ぶことにした。アソーレスにも私の好きなうにゃっとした腸詰、アリェイラがある。これにしようかなと心が動きかけたところに、衝撃の文字が目に飛び込んできた。LAGARTO MICAELENCE ミゲル風トカゲと書いてある。遠くヨーロッパ大陸から離れたアソーレス諸島のサン・ミゲル島にはコモドオオトカゲのような巨大な爬虫類がいて、食用にしているんだろうか?いったいどんな味か?どんな調理法なのか?疑問はつのる。バリトン支配人にこれはどんなものですかと尋ねると、ビフテキだという回答だった。なぜ牛肉がトカゲなのかは分からなかったが、アソーレスでは牛乳やチーズが生産されていることは知っていたので、牛は間違いなくアソーレス牛だと確信し、これを選んだ。焼き加減はミディアムを注文した。後から考えると、サン・ミゲル風に調理したステーキという可能性もないわけではないが。
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 さてトカゲ、もといステーキが来た。差し渡し10cm、厚みが5cmほどのいい焼き色のついた肉の上にはニンニクがのっていて、香ばしい匂いを漂わせている。付け合せはサツマイモのから揚げ。普通はジャガイモなので、ひょっとするとこれが「サン・ミゲル風」なのかも。肉にナイフを入れると意外なほど柔らかく、断面はピンクから赤の微妙な色合いが美しい。脂肪は見当たらない。牛のたたきのようなあっさりとした味わいだ。今まで食べたステーキの中で上位1,2位を争うおいしさだ。じわっと肉汁が滴り落ち、このソースをサツマイモにしみ込ませて食べるとまた美味である。サツマイモ自体は実は大して美味しくない(甘くない)もしこれがササニシキのご飯だったら激うまもんである。ワインはアソーレス産の赤ワイン。軽めの飲みやすいタイプで、マグロにも合いそうだ。

 デザートもめいめい3種類注文した。直径20cmくらいの赤土のキャセロールで焼いたプリンのようなお菓子。牛乳に酢を加えてカテージチーズ状にしたものに卵の黄身クリームとシナモンで味付けしたもの。写真のアソーレス特産の紅茶を使ったねっとりしたプリン。これが一番ユニークで気に入った。
 家に帰り辞書を引くとlagartoにはトカゲの他に牛のもも肉という意味もあった。これで納得。リスボンで美味しいアソーレス料理が食べられるので、わざわざ危険をおかして、彼氏を調達してまでアソーレスに行く必要はなくなった。
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by caldoverde | 2007-04-20 20:36 | 肉料理 | Comments(11)