ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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羊の揚げ餃子とトマトご飯

残念ながら閉店してしまったフランス菓子店「サランボー」のあった通りに、何だか洒落た店ができていた。「ア・シャルクタリア(腸詰屋)」という店名は、以前カンポ・デ・オリーク市場と同じ並びにあったアレンテージョ料理屋と同じだ。あそこは鴨のパテが美味しくて、見ただけで歯が疼くような伝統菓子のデザートが並ぶ、ちょっと高級そうな小さなレストランだった。市場の盛況に押されて閉店したのかと思ったら、こんな通りの奥まったところに引っ越していた。郷土料理の店はその地方らしさをアピールした置物や家具を使うところが多いが、こじんまりとした店内は何の飾りもなくシンプルで都会的だ。

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小さな容器に入った鴨のパテは、以前別の場所の同名の店で食べたのと同じ味、やはり同じスタッフがやっているようだ。パンに塗って食べると止まらなくなる。両隣のテーブルではお店の人の勧める小アジのマリネを食べている。丁寧に皮や内臓を取った小アジもオリーブオイルの色も綺麗だ。色鮮やかな焼きピメントのサラダはキリッと酢がきいて夏の暑い日にはぴったり。

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この日のお供はMoreiaさんで、彼女は鮫のスープと白ワイン、私は羊の揚げパイと赤ワインをメインに頼んだ。自分でも鮫のスープを作るというMoreiaさんは、全く臭みのない上品な味と絶賛。白ワインによく合ったのだろう。羊の揚げパイは、付け合わせのトマトご飯共に、もうちょっと素朴な田舎料理らしい味だ。軽く冷やした赤ワインが一層素朴さを引き立てる。夏は赤も冷やすと美味しい。

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人通りの少ない道の奥に作ったフランス菓子屋さんは潰れてしまったが、この「シャルクタリア」は、不利な場所にもかかわらず前の店からの顧客がしっかりついているようで、親しげに店の人と話していた。値段はその辺のカフェの昼定食並というわけにはいかないが、清潔な店構えと少数精鋭のメニューは、より洗練された昼食を食べたい時にいい。カンポ・デ・オリーク地区のもう一つの有名なアレンテージョレストラン「マガーノ」もそうだが、前菜の種類が豊富で、メイン無しで小皿料理とワインだけで食べたくなる。この日は小さなミートパイはパスしたが、次回はぜひ他のエントラーダ(前菜)とともに賞味したい。

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by caldoverde | 2017-07-10 05:12 | 話題の店 | Comments(2)

鮫のスープ

 延々とコルク林の続くアレンテージョ地方の郷土料理と言えば、やはり黒豚を筆頭とした肉料理ばかりと思われがちであるが、意外なことに魚料理もある。世界遺産の町エヴォラの魚市場を覗いたら、ギザギザの歯をむき出したジョーズの頭が売られていた。人間の頭ほどもあるグロテスクな三角形の頭はどんな料理になるのか想像がつかないが、小さな鮫はこの地方の名物のソパ・デ・カサォン(鮫のスープ)に使われる。海など背伸びしても見えない大平原の小さな村にさえ、この鮫のスープをお勧め料理にしているその名もソパ・デ・カサォンというレストランがあった。

 リスボンからテージョ河を越えた対岸のアラビダ半島の南にある港町セトゥーバルには日曜も営業している魚市場があり、そこで小さな鮫カサォンが売られているのを見たことがある。アレンテージョのレストランで供される鮫はこの港からやってくるのだろうか。今でこそ高速道路が発達して内陸でも新鮮な食物が簡単に入手できるようになったが、つい20年ぐらい前の南ポルトガルは曲がりくねった狭い国道やのろくさした鉄道だけだった。港から何時間もかけて運ばれた魚の鮮度は大丈夫だったんだろうかという疑問が湧くが、鮫は腐りにくい魚で日本でも昔から山間部で食べられてきた、ということで納得。

 鮫は淡白な白身で小骨はなく、大きい骨も軟骨で子供やお年寄りにも食べやすい。アレンテージョ料理はコリアンダーやポエージョという香草をよく使う。どちらも独特の香りで肉の臭みをカモフラージュする。この鮫のスープもたっぷりと香草を使う。鮮度が落ちた魚も香草を使うことによって美味しく食べられるように工夫したのかもしれない。また鮫のスープには必ず酢を使う。これもにおい消しのためなのだろうか。しかしそれほど酢の味は感じない。ホワイトシチューをゆるくしたようなマイルドな味である。そしてこの地方のスープやシチューに欠かせないのはパン。それも硬くなったパンの方がいい。でなければ揚げてカチカチにする。皿や鍋にパンを敷いてその上からスープやシチューを注いでテーブルに運ばれる。

 それではポルトガルの女性シェフによる鮫のスープの実演を動画で。材料はオリーブオイル、ニンニク、コリアンダー、塩、鮫、水、小麦粉、酢、固いパン。



 ダイナミックだ。分量も時間もほとんど適宜、といった感じである。レポーターが引っ張り出してきたのは巨大なコルク容器で、これに暖かい食べ物や冷たい飲み物を入れると適温が保たれるという元祖ランチジャーである。アレンテージョの土産物屋にこれの小さいものが売られている。

 リスボンのホテルの最上階の眺めの良いレストランで食べた鮫料理は更にデリケートな味であった。鮫の肉はとても柔らかくて口の中でとろけるようだ。新鮮で魚臭さがまったく感じられない。ソースのコリアンダーも控えめで、コリアンダー嫌いの人でも美味しく食べられるはずである。でもこの盛り付け、やっぱりポルトガル、かなあ。
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by caldoverde | 2009-02-27 09:32 | シーフード | Comments(6)