ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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白くて丸いケイジョ・フレスコ(生チーズ)入りのサラダと組み合わせて。

ウィンナーソーセージといえば、昭和生まれの人間にとっては、真っ赤な合成着色料で染められたビニールなのか何なのか判らない皮の中に、恐らく魚や澱粉が結構な割合を占める怪しげな肉に似せたものが入った、大人の親指位の大きさの物体だった。切れ目を入れたりタコの形に形成して、運動会の弁当やお祭りの屋台のヤキソバには欠かせない華のような存在だった。

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ボリュームたっぷりのポテトサラダと、カリーブルスト(カレーソース付きソーセージ)

ヨーロッパの端くれ(失礼)のポルトガルに住んでみると、いかに西洋人が肉を無駄なく利用し保存するために工夫を重ねてきたかに感銘し、その食肉文化の恩恵を受けないわけにはいかない。しかしポルトガルは気候が温暖なせいか、腸詰関係は塩分とスパイスを効かせて干した水分の少なめなものが多く、フランクフルトソーセージのような、ブリっと弾けるような歯ごたえにジュワッと肉汁が溢れるようなタイプのものは少ない。スーパーには焼肉パーティ用に太めの生ソーセージはあるが、ポルトガル伝統のものではないと思う。

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カリカリのベーコンを添えた、チーズ入りソーセージ

さて、齧るとプリっと弾けてジュワッと肉汁が出てくるような本物のウィンナーソーセージを食べさせる店が、リスボンのリベイラ市場隣の広場の一角にある、オーストリアン・ソーセージレストラン、Hansiである。ソーセージは、どれも本場で作られたもので、スパイシーなものあり、牛肉のものあり、チーズ入りのものあり、羊その他の肉との合挽きあり、カレーソース付きありと、ヴァラエティに富んでいる。これに三種の地中海風のサラダ、胡椒のきいたフライドポテト、マヨネーズを使ったこってりタイプのポテサラなど5種類の付け合わせを組み合わせれば、毎日ソーセージ漬けでも構わないような気になる。飲み物はクリーミーな生ドイツビールがぴったり。

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デザートはザッハトルテほど上品ではないがウィーンの伝統を継承していると思われるチョコレートケーキと、素朴で甘さ控えめなリンゴとラズベリーのパイ。よくドイツ人と仕事をする同僚によると、お皿もソーセージもデザートも典型的なあちらのスタイルなのだそうだ。オーストリア人はドイツ人と同一視されるのを好まないのではないかと想像するが、メニューは両国に共通するものも多いと思う。きっとどちらの国の人も、昭和の日本のウィンナーソーセージやフランクフルトソーセージを見たら憤死するだろう。でも食べたら気に入るかもしれない。だって体に悪いものは美味いもん。

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齧ってしまいましたが、本物のフランクフルトソーセージは長い!
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by caldoverde | 2017-02-12 02:39 | インターナショナル料理 | Comments(7)
 リスボン唯一のデパート、エル・コルテ・イングレスでハム・ソーセージフェアが催されていた。地階にあるスーパーの入り口付近の特設会場には、スペイン産の生ハムやポルトガル全国から集められた腸詰が山と積まれている。珍しいソーセージを手にとって見たり、骨付きの生ハムをナイフでこそげるようにして切る実演販売があったり、マネキンのおばさんたちからチョリッソを試食させてもらったり、結構楽しい。家内手工業的に作られた、形も不ぞろいな、様々な材料を使った腸詰類を見ると、豚やその他の食物を余すところなく利用し、保存に耐えるようにと工夫してきた先人の知恵がしのばれ興味深い。
 
 いつも利用する近所のスーパーでは見ない、変わった食肉加工品を見つけた。小さな枕のような形をしている白っぽい腸詰?である。名前はマラーニョスという。よく観察すると、四角い袋状のものは端がミシンで縫ってある。原材料を見ると、米が使われている。動物の内臓を四角い袋に縫って、その中にご飯や肉を詰めたもののようだ。しかしこれはどうやって食べるのだろう。袋から出して中身を食べるのか、そのままスライスして食べられるのか、または加熱しなくてはいけないのか、包装のビニール袋にはそのような注意書きはない。同じものを手にとってあーだこーだと言っているポルトガル人の夫婦に、これはどうやって食べるのですか、とポルトガル語で尋ねたら、旦那さんは得意の、私には苦手な英語で説明してくれた。半分判ったような判らないような顔をしていると、そばにいた店員が試食コーナーに連れて行ってくれた。
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 試食コーナーでは4種類の腸詰の薄く切ったものが鉄板で焼かれていて香ばしい匂いが漂っている。その中に一回り大きくて、白いつぶつぶとピンク色の切れ端と緑の草が混じっているものがあり、旦那さんはこれがマラーニョスです、と教えてくれた。豚の脂身だけで作られた腸詰に見えたそれを食べてみると、白いつぶつぶはまさしく米であり、ピンクの切れ端は肉で、緑の草は、なんとミントであった。卵抜きの肉チャーハンにミントで香りをつけたような、不思議な食感である。初めてミント味のチョコレートやアイスクリームを食べたときに受けたような軽い衝撃を感じた。ミントのあの清涼感はキャンデーや歯磨きには最適だが、腸詰とは意表をつく用途である。ミントにも食べ物を保存する効果があるのだろうか。
 
 珍しいのでひとつ買って家で食べてみようと思ったが、よく見ると2種類ある。何がどう違うのか迷っていたら、店員が、こちらはすでにゆでてあるので電子レンジでチンすればすぐに食べられます、と教えてくれた。簡単に食べられる方は空気を入れて膨らませたようにパンと張り切っている感じだが、もうひとつの方はシワシワでいかにも固そうだ。
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 さて、買ってきたマラーニョスをレンジで暖め、まな板で薄く切ろうとしたが、包丁がなまくらなためよく切れず、米がぱらぱらと散らばってしまった。包んである皮ごと食べてみたが、ゴムのように弾力があり噛み切れずに断念した。味はやはり歯磨風味の肉チャーハンのような不思議な味だった。本場のベイラ・バイシャ地方で知っている人が調理すればまたぜんぜん違うのだろうが、素人の私がレンジでチンして温めただけのマラーニョスにうまいか不味いかの判断は下せない。リスボンではレストランでもスーパーでもめったにお目にかかれないこの食べ物、やはりそれが生まれた所でないとほんとの味はわからない。

 作り方を調べると、肉はヤギの肉、そして袋はヤギの胃を使うらしい。ミントはヤギの肉や胃の臭み消しなのだろうか。そして米は炊いたご飯ではなく、生米を使う。これらの材料をヤギの胃の袋に詰めて、袋を縫い閉じ、米が柔らかくなるまでお湯でゆでる。ヤギの胃はきれいに洗わないといけないし、かなり手間ひまかかったものだ。この食べ物が作られるポルトガル中部スペイン国境に近いベイラ・バイシャ地方は、普通のツアーではめったに行くことのない地味な場所であるが、もしかすると珍味美味の宝庫なのかもしれない。
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by caldoverde | 2008-04-13 21:30 | 肉料理 | Comments(5)

ワインの腸詰

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 絶対普通の日本人の団体旅行の食事では出ないが、げてものを食うツアーになら出されるかもしれないものに、この腸詰が挙げられる。これはリスボン市内のあまり高級ではないアパートが立て込むダサい住宅地のどんづまりの、ある大衆食堂のある日のお勧めメニューである。この食堂では主人の出身であるベイラ地方の郷土料理が時たま登場する。いや料理というより、その土地で作られている食べ物をただ出すといったほうが良いか。ベイラ地方の名産は肉の加工品である。で、その日はラメゴ産のモイラという名前のワインレッドの長さ30cmくらいの腸詰だった。それをゆでて、多分同じ鍋に一緒に放り込まれ、ばらばらに崩れる寸前まで軟らかく茹でられたブロッコリーとどんなに茹でても煮崩れないジャガイモが何の芸もなく添えてあるだけだ。ソースも何もない。何年もつらい修行を積まなくとも、誰でも明日から料理店が開けるような究極の簡単メニューだ。

 いや、ひょっとしてそんな単純なものではないかも知れない。しばしば単純に見えるものほど奥が深いものだ。主人が長い経験と勘を頼りに自らの目で確かめた、選りすぐりの腸詰かもしれない。特別に肥育した豚肉と最高級の地酒ワインと、伝統的な秘法で作られた珍味かもしれない。もしくはゆで方にも秘訣があって、特別な構造のなべで、秘密の隠し味を加えたスープで火加減に注意しながら煮なくてはならず、1分でもゆで時間に狂いがあれば、形が崩れたり、味が落ちたりするような、微妙なテクニックを要するものかもしれない。

 そんな思索を巡らせる暇もなく、すぐに「ラメゴ産モイラ」は出てきた。やっぱり手間のかからないものだった。濃い赤紫色の、どてっと皿に横たわった腸詰。そこにはシェフの創意も繊細さも微塵だに感じない。さあ、食え、と言わんばかりにふてぶてしい、開き直った中年女のような腸詰の姿がそこにあった。で、味は。やはり中年女のように脂肪がたっぷりで、熟女のようなまったりしたコクがあり、鮮やかな緑が失われてほとんどべろべろになったブロッコリーといい相性である。無理やりワインレッドのビチビチドレスに体を押し込めたおばさんが腸詰なら、ブロッコリーは白髪が伸びた彼女のパーマ頭だ。これに文字通り自家製のどぶろくハウスワイン、オヤジがバールで立って飲んでるような安ワインを合わせて似合いの夫婦の出来上がり。
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by caldoverde | 2007-04-07 07:02 | 肉料理 | Comments(0)
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 ポルトガルには様々な種類の肉の加工品がある。日本では見られない変わった腸詰がたくさんある。スパイスやにんにくをきかせたチョリソ。スパイシーな豚の血のソーセージ。ワイン風味のもの。お米の入ったもの。輪になったもの。太く短いもの。細いもの。膀胱?に詰めた丸いもの。全部を試してみたいけど、なかなか勇気がいる。同時に何種類かの腸詰を試したいのなら、ポルトガルの典型的な料理コジード・ア・ポルトゲーザを注文すれば最低3種類の腸詰が味わえる。一般的な、パプリカで風味をつけた赤いチョリソ、不気味な黒い血のソーセージ、そして白っぽい、ふにゃっとした正体不明の腸詰。いずれも独特の味、香り、食感を持っている。

 1番目の赤いチョリソは歯ごたえに弾力があり、ビールのつまみによく食べられるサラミに近いものがある。にんにくと赤ピーマン(パプリカ)で味をつけている。これが一番抵抗なく食べられるだろう。
 2番目の見た目の悪い黒い血のソーセージは、辛くないカレーのような風味で、フレーク状の血の中にごろっと脂身が混じっている。豚の形の陶器に焼酎を注ぎ火をつけて焼いた血のソーセージは祭りの屋台の食べ物でワインの良き友。
 そして3番目の白い腸詰は、豚の脂肪ににんにくなどの香料と小麦粉を混ぜたものでできているらしい。どこか味噌に共通した味である。初めは不気味な食感に抵抗があったが、味噌に似ていると気が付いたら、結構好きになった。自分でコジードを作った時、この白いソーセージ、ファリニェイラを半分入れてみた。腸から中身が飛び出てどろどろになってしまったが、味はなかなかいける。味噌仕立ての鍋物のようだった。

 もう一つの白い腸詰にアリェイラというものがある。こちらは様々な鳥獣の肉が使われている。食べると時々小さな骨が混じっているが、狩で取れた雉か鶉、それともうさぎの骨だろうか。ラベルを読むと猪や鹿も混じっている。これも独特のうにゃっとしたテクスチャーで、ビネガーの風味だろうか酸味がある。豚肉は使われない。この食べ物は元々キリスト教に改宗を迫られ山奥に逃げ隠れ住んでいたユダヤ人たちが、ひそかに自分たちの伝統や信仰を保つため、鳥やその他の宗教上のタブーに触れない肉で、豚肉のソーセージに似せたものを作ったということである。
 このアリェイラの料理は大抵のレストランの最も安いメニューである。このソーセージはスーパーで生のを買うとせいぜい1ユーロちょっと、レストランではこれをフライにするかグリルしたものに、フライドポテトと目玉焼き、青菜の炒め物をつけて6ユーロから8ユーロ、青菜が付かなければ4ユーロから5ユーロである。ポルトガルのレストランの料理は、これが料理か?と思えるような、一見誰にも作れそうな単純なものが多いが、このアリェイラもその一つ。しかも原価が安い。ソーセージも卵もジャガイモも菜っ葉も。ただし自宅でこの付け合せをすべてタイミングよく調理して盛り付けるのは難しいかもしれない。一人前を作ろうと思ったら、スーパーで卵は最低6個入り1パック、ジャガイモは1kgの袋、青菜大きな束になったものを買って、それぞれ別の調理器具で調理しなくてはいけない。そうすると原材料が安くとも、結局食堂で調理されたものを食べたほうが安上がりなのだ。ついでに、ポルトガルのレストランは付け合せのフライドポテトである程度店の評価が決まるらしい。冷凍ではなく生の芋を揚げたフライドポテトが食べきれないほどたくさんついてくる店は繁盛している。
 初めはあまりの原価の安さと不気味な食感に、あえて選択しようとは思わなかったアリェイラであった。ところが、あるポルトガル人女性によると、あのうにゃっとしたテクスチャーがいいのだと言う。たまたま近所に彼女が推薦するアリェイラを出す店があり、試しに食べてみたところ、実は結構気に入ってしまったのである。
 
 テクニックがさほど必要ないと思われるこの料理も、実は揚げる時に切れ目を入れて中身が飛び出さないようにするとか、前述のようにタイミングよく副菜を作るとか、実は奥深いものなのかもしれない。私は他にどんな調理の仕方があるのか知らない。ある日冷蔵庫に白菜半株が残っているのに気づき、これとアリェイラを煮込んだポトフを作ろうと思い立った。
 ナイフを入れるとブリッとした腸の中から、熱々のうにゃっとした中身が飛び出し、柔らかく煮えた白菜とえもいえぬハーモニーがかもし出されることを期待しつつ、鍋に湯を沸かし、白菜半株とアリェイラ、塩少々をぶち込んだ。待つこと十数分。次第にいいにおいが漂って来た。期待に胸膨らませつつ鍋の蓋を開け、おたまじゃくしでソーセージをすくった。
 「あれ?」ちっこい。元の大きさの4分の1以下だ。中身が腸の中から飛び出して、すっかり縮んでいる。白菜とアリェイラをゆでている湯は薄赤く染まり、ふわふわした正体不明の物体が浮遊している。パーンと張った胴体にフォークを刺してブツッ、ナイフを当てればパリッ、そして口の中に肉汁ジュワッという予測はみごとに裏切られ、以前ファリニェイラで作ったコジードと同じく、ポトフは分けのわからないものになっていた。
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by caldoverde | 2007-04-06 07:42 | 肉料理 | Comments(0)