ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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2度目のマデイラ その3

マデイラ3日目は、ホテルの近くの旅行社の主催する島の北部を巡るツアーに参加した。町のあちこちに様々なエクスカーションを提供する旅行社があるが、この会社は土日も営業しており、しかもすごく安い。9人乗りのバンであちこちの名所を周る1日観光で、驚きの22.40€だった。車もドライバー兼ガイドも古い、もといベテランで、マデイラ訛りのポルトガル語はいまいちよく分からなかったが、一人ではとても行けないような場所に連れて行ってくれるので、この値段は大変ありがたい。私の乗った車はポルトガル人カップル2組とフランス人女性1人、もう1台の車は英語とドイツ語のスピーカーの客だろう。

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バナナの花と果実

豪奢なホテルの建ち並ぶフンシャル西部は、かつてはバナナ畑だった。今は家庭菜園の規模の畑しか残っていない。私は普段マデイラバナナを愛食しているが、中南米のインポートものの2倍の値段なのが難点だ。しかし急斜面に石垣を作ってわずかな土地に植え、収穫し、運搬する労力を考えれば、高いものではない。リスボンではキロ2€以上だが島では1€くらいだった。

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カラフルな漁船の浮かぶ小さな港は、カマラ・ドス・ロボス(狼の部屋)。狼とは海の狼(アザラシ、トド)のことで、元々はトドの寝床という呼び名をもうちょっと典雅?にしたものだそうだ。以前マデイラに遊びに来た時は、この港が路線バスを使って自力で来れた最西端だったと思う。夜に着いたので、暗く寂しい印象だったが、今では観光客向けのバーでひしめき合っている。

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ひゃー
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カーボ・ジラゥンという高台には、世界で2番目に高いガラスの床の展望台がある。足元から500m下の海岸が見える高所恐怖症の人は近づけない観光名所で、10年前になかったものだ。すぐそばにはイギリスのデベロッパーによる真新しいバカンス用のコンドミニアムがある。泊まるのはもちろんイギリス人だ。長年君臨したジャルディン知事がマデイラの経済発展に大いに寄与したのは誰もが認めることだが、不動産屋や建築業との間に何もなかった訳はあるまい。観光客から集めたお金をもっと島民や自然保護に還元してもいいのではないかと思うが…

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いつか建物の上に岩が落ちる
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ポルト・モニスの海浜プール

マデイラは、海から屹立した崖に囲まれた、ほとんど平らな土地がない島だ。季節によっては強風が吹く。フンシャル以外には大きな船が停泊できるような港はない。小さな湾に造られた漁港は、今や漁業よりもその景観や天然プールを呼び物にしている。昼食をとったポルト・モニスは、荒磯と人工的なプールの対比が素晴らしく、レストランや水族館や科学館などの施設もそこそこあって、北部の最大の観光地になっている。一応ガイドブックで紹介されているレストランを覗いたが、あまりピンとくるものがなかったので、観光案内所で住民の食べる店はどこかと聞いたら、直ぐに教えてくれた。職員もそこで食べるのだろう。マデイラの郷土料理である一口大に切った牛肉の煮込み(ピカード)を頼んだ。ソースに浸ったフライドポテトが美味い。

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つつくように食べるのでピカード(刺された)なんでしょうか

マデイラのピークは1860mに達し、島のてっぺんは霧に覆われ、南海岸の暖かさとは対照的だ。日照の良い島の南斜面はほとんどが人の手の加えられた段々畑になっているが、島の北側はまだ天然の森が残っている。特に月桂樹林は氷河期を生き延びた貴重なもので、ユネスコ世界遺産になっている。良く考えると花や果物がいっぱいというマデイラのイメージは、市場や植物園によるものが大きい。島の本来の自然はアクセスの悪い北側に行かないと見られない。

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岩にぺったり張り付いたバラのようなサボテンの仲間
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花嫁のベールという名前の滝
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世界遺産になっている月桂樹林

アソーレス諸島とマデイラ島どちらが好きかと言われたら、迷いなくアソーレスと答えるが、マデイラ島の北東やポルト・サント島、デゼールタ島などの付近の小さな島も見たいので、また安い切符が手に入れば再訪したい。しかし島への旅行は天気に左右されやすい。私がリスボンに帰った翌日、マデイラ空港が強風のために何便かキャンセルになったというニュースを聞いた。今年は運が良いらしい。


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by caldoverde | 2017-04-10 18:56 | ポルトガルの旅 | Comments(5)

2度目のマデイラ その2

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ピカピカ光る太刀魚

マデイラの代表的な料理と言えば、魚は太刀魚と鮪、肉は月桂樹の串に刺して焼いたバーベキューであろう。市場には黒と銀の太刀魚がたくさん並べられていて壮観だ。1日目の夜はホテルの隣にあるレストランで太刀魚のフライを食べた。入り口に某国ガイドブック推奨のシールがベタベタ貼ってあり、それを参考に来たと思われる外国人客ばかりだったが、意外に味は悪くは無く、バックパッカー向けのガイドブックが推薦するだけあって値段もそれほど高くなかった。骨を取ったくせのない太刀魚のフライに焼いたバナナを添えクリーミーなホワイトソースをかけた料理は、子供にも、(私のように)歯の抜けた人にもお勧めの優しい味だ。

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とろけるような味わい

海岸通りのロープウェイ乗り場の向かいに、マデイラ・ヒストリー・センターという土産店とレストランとミュージアムが一緒になった施設がある。5€の入場料は上のレストランの10%割引券となる。展示物はパネルや映像が中心で貴重なものはないが、昨日観た映画の基礎知識によって興味深く見ることができた。
階上のレストランはオープンテラスで海や山の絶景が眺められ、料理に所場代が加算されても納得できる。その分割引券を使うのだ。定番メニューの他に、ガラスケースに入った魚を選んで調理してもらう事もできる。その日はカサゴに似たカルネイロという赤い魚があったので、グリルにしてもらった。一人で食べるには大き過ぎる(500g)かと思ったが、内臓を取って焼くとちょうど良い量だった。

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脂がのって美味しい

フンシャルの博物館は日曜日閉館の所が多く、CR7ミュージアム(クリロナ記念館)も、フランドルの宗教画が展示されている宗教美術館も、マデイラの重要産業だった砂糖の博物館も閉まっている。そんな訳で日曜日のマデイラは乗り物に乗って景色を楽しむのが良い。まずロープウェイ。以前来た時も乗ったが、あの時の恐怖が蘇った。眼下は赤い屋根の密集する斜面。よくこんな土地に建てるものだと感心するような切り立った崖っぷちに造られた家。ベランダにビーチチェアーが並ぶデラックスな家もあれば、屋根が落ちて廃墟になった家もある。小さなバナナ畑もあれば、数年前の土砂崩れや山火事の跡と思しき所もある。犬や鳥の鳴き声が聞こえるほどロープウェイの中は静かだ。それだけにロープを支える柱を通過する時に生じる音と振動が一層怖い。怖いけど眺めは最高だ。

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ロープが外れませんように…

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宣伝用の写真撮影中のトボガンの運転手(モデル?)

ロープウェイの上の乗り場の先には植物園とトボガン(かごぞり)乗り場がある。10年前はロープウェイで植物園に行き、帰りはトボガンで降りるというマデイラ観光の王道を体験したが、今回は植物園は広すぎて見学に時間がかかるのと、トボガンがまだ運行していなかったので、直ぐにロープウェイで下に降り、今度は路線バスに乗ってクラル・ダス・フレイラスに向かった。10年前は、垂直にそそり立つ岩に囲まれた谷底に家がポツポツ見える落武者部落のような所だった。海賊の襲撃を避けるため修道女たちが人里離れた山の中の谷底に住んだのが始まりだそうだ。平和な生活と引き換えに、大変な苦労があったと思われる。現在は私の予測に反して民家が増え、限界集落から村の規模になっている。かつての落武者部落のような秘密めいた印象はなくなっていた。

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猫の頭のような山

クラル・ダス・フレイタスの名産品は、栗。バス停側の屋台では栗のケーキやクッキー、干し栗を売っている。冬は栗のスープが登場する。売り子のおばさんが作ったと思われる素朴な栗ケーキを頬張り、やはり手製の栗のリキュールを飲んだ。警察が禁止しているのでおおっぴらに売れないんだと言いながら、小さなジュースの瓶に詰めたリキュールをこそっと小さなコップに注いでくれた。本当は一瓶買えば良かったのだが、甘い酒は頭が痛くなるのでね…ごめん。

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栗のブロア(どっしりしたパン)

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by caldoverde | 2017-04-06 09:09 | ポルトガルの旅 | Comments(0)

2度目のマデイラ

昨年の春足首を骨折し、予定していたマデイラ旅行は取りやめた。そのリベンジを果たすべく、4月初めに10年ぶりのマデイラ島訪問を決行した。

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飛行機はローコストキャリアのイージージェット、ホテルは2泊で30€という激安の旅。とにかく無事に飛んでくれれば良いし、眺めはどうでも寝る場所があれば良いのだが、ぎっしり乗客の詰まった小さな飛行機が飛び立つと、突然、マデイラの空港は滑走路が急な崖に並行して設けられた着陸の難しい造りで、ポルトガル航空TAPのパイロットが一番うまく着陸できる技術があると、昔聞いたことを思い出して不安になった。島に近づくと、たくさんの柱が支える高速道路の一部のようなものが見えてきた。飛行機は大きく旋回し、飛んできた方向と反対側から滑走路に入り無事着陸した。客席から拍手が起こった。ポルトガル人(田舎の人)が多い飛行機では、よく着陸時に拍手が起こる。故郷に帰れた嬉しさもあるのだろう。

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数日前にフンシャル空港が「クリスチアーノ・ロナウド空港」に改名され、本人、大統領、首相がセレモニーに出席し、銅像の除幕式が行われた。世界中に衝撃と失笑が巻き起こった。空港の正面玄関に置かれた、似ても似つかぬロナウドの首と記念写真を撮る観光客が後を絶たない。新たな観光名所が生まれた。

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空港とフンシャルの町を結ぶ高速道路はよく整備され、快適だ。10年前はまだ建設中の道路があって、島の移動はくねくねした山道をけっこう時間をかけて走っていた記憶があるが、かなりインフラが整備されている。山の斜面に引っかかるように建っているたくさんの白い家がマデイラの魅力的な景観を形成しているのだが、住民が街道に出るのに階段を昇り降りするのは大変だろう。潜在的にロナウドのような足腰の強靭な子供がいるだろうが、外に出るのを嫌って家でゲーム三昧の子が増えてはポルトガルサッカーの将来は明るくない。

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CR7ミュージアムの前の銅像もなんだかなあ。股間を掴んで記念撮影する若い女性もいた。

ホテルは昔ながらのペンサォン(ペンション)で、設備も古くダサいが、有名なラヴラドール市場のすぐ裏で、非常に便利な場所にある。午前10時過ぎに着いたので、荷物を預けて早速市場を見に行った。この日はクルーズ船がフンシャルに寄港していたので、船客でごった返していた。売り子もポルトガル人らしからぬ積極的な営業で、果物の試食をあちこちで勧められた。変わった果物を1個づつ数種類買ったら、計20€位になった。多分観光客値段にされたのだろう。
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マデイラ刺繍の販売所とマデイラワイン工場は、閉店ギリギリに滑り込んでちょっと覗くことができた。その日は土曜日なので、多くのモニュメントや施設は午後は閉める。リスボンはエンドレス営業している所がほとんどになったが、地方はまだ昼休みや土日休みをとる所が多い。昼ご飯は地元のおっちゃんがビールを飲んでいる店で、マデイラ名物のパン、ボーロ・デ・カコに挟んだ牛肉のサンドイッチを食べた。飲み物はマデイラのビール。観光客が多い所は、高くて大した味じゃないという偏見があるので、地元民のいる店は値段も味も許容範囲の可能性が高いという自分基準で飲食店を選ぶことにしている。

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今はどこもかしこもボーロ・デ・カコバーガー

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マデイラで初めてカサガイを食べた時は、あまりのうまさに衝撃を受けた

お昼の後は、城砦の中の軍事博物館、ショッピングセンター内のマデイラの歴史を紹介する映画、カテドラル、コレジオ教会などを見た。マデイラ島が大航海時代以来、いかに軍事的商業的に重要な拠点であったか、また昔からイギリスの植民地みたいな存在だったのが判った。
今もイギリス無くしてはマデイラは成り立たない。それをまざまざ見せつけられるのは、フンシャルの西にあるホテル街(ラブホではない)で、ラグジュアリーなホテルやレストランが集中している。かなり規模の大きなホテルも多く、この地区がハイシーズンになると、一体何万人滞在するのか想像できない。一方私の借りた宿のある旧市街には、失業者やホームレスもしばしば見受けられ、世界で最も魅力的な島の影の姿が垣間見える。

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老舗のリーズパレスホテルの向こう側にも延々巨大ホテルが立ち並ぶ

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by caldoverde | 2017-04-05 00:59 | ポルトガルの旅 | Comments(2)

マデイラの誇り

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最近街中でよく見るポスター、バナナを手ににっこり微笑む美魔女?と「私にとってバナナはマデイラで2番目に優れた輸出品」のコピー。

世界中で流通しているバナナは数社しかない大会社で栽培される単一品種で、もしバナナの病気が流行したらたちまち全滅する恐れもあるという。そう言えば日本ではバナナに品種があるなんて考えもしなかった。リスボンの大きなスーパーやデパートに行くと、バナナにも色んな種類があることが分かる。アフリカ料理に使う大きなバナナから子供の手のような可愛らしい小さなもの、赤い皮に包まれたものと大きさも色も多様である。

しかし普通のスーパーや八百屋に並んでいるのは、大メーカーのバナナともう一つ、マデイラバナナの2種類だ。私が選ぶのはいつもマデイラバナナ。輸入物に比べて少し高いが、小さめで小腹が空いた時のおやつにちょうど良い。甘みも強く、国産品なので殺虫剤などの心配も少ないと思う。

ポルトガルの食糧自給率を高め経済を活性化させるためにも、マデイラバナナを奨励する運動をひとりで密かに行っていたが、マデイラバナナ協会からはポスターのモデルになるオファーは来なかった。ミス・マデイラバナナに選ばれたのはマデイラ島出身のドローレス・ドス・サントス・アヴェイロ夫人、クリスティアーノ・ロナウドのご母堂である。ポスターのキャッチコピーの「マデイラで2番目に優れた輸出品」がバナナだとしたら、第一の輸出品は当然自分の息子であると誇らしげにドローレスおばちゃんは微笑む。

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シールには「ドローレス母さん推奨」の文字

現在、ヨーロッパはイギリスのEU脱退とサッカーのユーロ選手権で沸いている。開催国フランスでは熱い戦いが繰り広げられているが、ポルトガルは楽勝と思われていたF組でまさかの苦戦、アイスランド、オーストリア、ハンガリーとの対戦で引き分けてリーグ内3位に止まり、決勝進出をかけたクロアチア戦では、100分を超える延長の末に遂にロナウドのシュートをクアレズマがゴールに押し込み、危うく敗退の危機を脱した。ジリジリイライラする試合運びではあったが、最後の最後で本領を発揮したポルトガル代表、30日のポーランド戦ではより積極的なプレイを期待する。もう引き分け(ドロー)にならない(レス)ように、ドローレス母さんも応援している。フォルサ!ポルトガル‼︎
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by caldoverde | 2016-06-27 18:13 | 野菜・果物・キノコ | Comments(7)

近くにあったマデイラ島

マデイラ島に行ったのは、何年前になるだろうか。真冬にもかかわらず25度の暖かさ、極彩色の花や見たこともない果物で賑わう市場、世界名庭100に選ばれた植物園、谷底にある尼僧たちが隠れた村、山の斜面にへばりついた白い家々を見下ろすケーブルカー、スリルあふれるトボガン(籠ぞり)、魅力に溢れた島だ。食べ物、飲み物も独特だ。この島で私は初めてカサガイを食べた。魚ならマグロと太刀魚。肉だって負けていない。月桂樹に刺したバーベキュー。甘いものなら巨大なチェリモヤや可愛いマデイラバナナ、お菓子はどっしりした黒いサトウキビ蜜のケーキに巾着型のケイジャーダ(チーズケーキ)。スモーキーな香りの甘美なマデイラワインに爽やかでパンチの効いたカクテル、ポンシャ。例によって格安ホテルに宿泊し、移動は路線バスというケチケチ旅行だったが、次回はチャーチルの泊まったホテルで優雅なアフタヌーンティーを楽し…まなくてもいいか。周りがスノッブなイギリス人ばかりだったらなんだか場違いだし。だいいち、飛行機でマデイラ島に行かずとも、歩いて5分のところにマデイラ関係の店が3つもあるんだった。

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30年前、リスボンの新名所になったアモレイラス・ショッピングのビルは周りの景色を一変させた。

すでにオープンして30年も経つ老舗のショッピングセンター、アモレイラスには、オ・マデイレンス(マデイラ島民)というレストランがある。フードコートの一角に派手な合掌造りの民家をデザインした入口があり、中に入ると重厚な木のインテリア。値段も少々高めかも。

しかしシックなアモレイラスショッピングから歩いて5分、かつて工場の労働者たちが住んでいた長屋のひしめくカンポ・デ・オリーク通りに、イーリャ・ダ・マデイラ(マデイラ島)という郷土料理店がある。この通りには私の愛するカーザ・ドス・パッサリーニョス(小鳥の家)や、シーフードレストランなど数店の飲食店が集まり、近所の人々で賑わっていて、しかも私の住むアパートと同じ通りである。マデイラ料理だけでなく、普通のポルトガル料理もあり、そちらの方は値段も手頃だ。14、5年前に2度ほど入ったような記憶があるが、その時は特に変わったものがあるとも気付かず、それっきりになっていた。久々に「マデイラ島」に立ち寄ったのは4月3日の聖金曜日。この日は仕事が長引いてまともな食事が取れなかったので、夜は外食することにした。ところがどの店も休みでお気に入りの「小鳥の家」も閉まっていたが、その並びにある「マデイラ島」がたまたま開いていたので、時を経ての再会となった。

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コリコリです

各テーブルには鉄のカギに串焼きの肉を吊るすバーベキュースタンドがある。奥のテーブルの客も長い串から肉の塊を外してもらっている。私も一瞬香ばしい月桂樹に刺した牛肉を頬張ろうかと思ったが、前菜にカサガイ(ラパス)がある。アソーレス諸島に行った時くらいしか食べられないだろうと思っていたカサガイがこんな身近に!数を尋ねると20個ぐらいという。アソーレスでは50個食べた私だが、リスボンではこれでよしとすべきだ。メインは一口大に切った牛肉を煮込んだマデイラ風ビーフにした。歯ごたえのある貝の身や肉もさることながら、貝殻に残されたエキスやシチューの汁をパンやご飯につけるとより美味い。はじめはフォークでカサガイの身だけを取って食べていたが、手で殻を持って口に持って行き汁ごと食べると、貝を余すことなく味わえることがわかった。マナー的にOKかどうかは不明だが。

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ピカディーニョ(つついて食べる一口大の肉料理) ソースが美味。

マデイラのパンは、ボーロ・デ・カコという嵩のあるホットケーキのような形のモチモチしたもので、焼きたてにニンニク入りバターをつけて食べると非常に美味しい。最近これまたアモレイラスショッピングから歩いて5分程度の、やはりカンポ・デ・オリーク地区のフェレイラ・ボルジェス通りに、ボーロ・デ・カコの専門店がオープンした。カコ・オ・オリジナルというファストフード店は、細く裂いた肉やツナのパテを挟んだもの、ヌテラというチョコクリームを挟んだもの、ソーセージやチーズを巻いて棒状にしたものなど、色々なボーロ・デ・カコを提案している。むっちりと食べ応えのあるマデイラ島のパンは本土のポルトガル人を征服できるだろうか?

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by caldoverde | 2015-04-09 03:23 | 話題の店 | Comments(6)

がんばれマデイラ

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フンシャルの街

 今回は悲しい話題です。二月二十日の豪雨で大西洋の楽園マデイラ島は100年に一度あるかないかという程の大被害を受けました。町には土石流が襲い掛かり、道路や建物を破壊しました。泥の滝は巨大な竜のように川となった道路を暴れ、車を飲み込んでいきました。建てたばかりの家を家族ごと失った人々、水没したショッピングセンターの地下駐車場に残された人々、死者42名、行方不明者30名以上、家を失った人は300名を越えました。この日は1年の平均降雨量の10倍かそれ以上かの多量の雨が集中的に降り、標高が1800メートル以上ある小さな島の斜面をものすごい勢いで流れ、山を崩し途中の集落を破壊しながら、海岸の町に押し寄せて行ったのです。小石の中に埋もれた車、ぽっきり折れた高速道路、多量の木や泥が押し寄せほぼ1階が埋まってしまった建物などの惨状は、あの美しい島を知っている者にとっては信じがたい光景でした。
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 私が数年前12月にマデイラを訪れた時は、とても暖かくて、コートを脱いでセーターだけでもうっすらと汗ばむ陽気でした。フンシャルの町は清潔で美しく、欧米の観光客で賑わい豊かさを感じました。マデイラ(木)という名が示すとおり、様々な植物が豊かに生い茂り、市場は珍しい果物や花で溢れていました。平地の少ない島なので急峻な山の斜面に重なり合うように家が建てられ、海と山と白い家々が絶妙の調和を見せ、どの道を走っても絶景であるのには感動を覚えました。
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世界一美しいといわれるマデイラの市場
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赤いアロエの花の向こうに見えるエイラ・ド・セラードの村

 今回のマデイラ集中豪雨で受けた被害は計り知れません。欧州有数のリゾート地として名を馳せていたマデイラ島の観光産業は大きな打撃を受けることでしょう。果樹やワイン、刺繍などの主要産業も今後被害や損失が明らかになっていくことと思います。世界遺産に指定された貴重な月桂樹林は、数々の文化財は無事だったのか、気になるところです。

 マデイラ島出身のサッカーのスタープレイヤー、クリスチアーノ・ロナウドはユニフォームの下のTシャツにMadeiraと書き、見事なゴールを決めた後ユニフォームをめくり、観客に故郷の惨状への関心を喚起しました。彼も、そしてポルトガルの主要銀行もマデイラの復興に協力する旨を表明しています。

 天災に見舞われた地を訪れるのを躊躇する人々も多いとは思いますが、神戸が震災から立ち上がり、ぜひ元気な姿を見に来てくださいと呼びかけたように、マデイラも一刻も早く復興に着手し、観光客を誇らしく迎え入れることができることを願って止みません。
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名物のマグロ料理とトウモロコシのフライ
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by caldoverde | 2010-02-23 06:44 | ポルトガルの旅 | Comments(7)
民族衣装の女性たちが働くフンシャルの市場
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 リスボンから飛行機で1時間40分のマデイラ諸島は亜熱帯なので、大陸のポルトガルにない食べ物がある。市場にある果物の種類は豊富でしかも大きい。リスボンで売られているチェリモアは女性の握りこぶし程の小さいものであるが、マデイラでは男性が両手の親指と中指で輪を作った位の大きさのもある。バナナは可愛い小粒のマデイラバナナもあれば、太いサツマイモのようなりんごバナナもある。熟してなかったせいもあるだろうが、しゃきっとした歯ざわりの、甘味が少ない、酸味の多いバナナで値段はなんと1本約400円!普通のバナナなら10本ついてるものが2房買える。りんごパインだか、バナナマラクジャーとかいう名前の不思議な果物もある。パイナップルもこの島の特産だ。
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緑のとうもろこしのようなものがバナナマラクジャー(?)右下の松かさのようなものはチェリモヤ
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 海産物で楽しみにしていたのが、笠のような形のラパ貝。ポルトガル人にマデイラでラパスを食べたと言うと、たいてい目を細め遠いまなざしをして恍惚とした微笑を浮かべ「う~ん」と嘆声をあげる。浅いフライパンにニンニクをきかせたバターで焼かれた笠貝がじゅうじゅう音を立てながら運ばれてくる。弾力のある身を噛むとバターとニンニクと磯の香りが渾然一体となって、口の中に広がる。口の中の熱さを冷ますために飲むビールの旨さ!貝をひっくり返すと表面に海苔のような海藻がびっしりくっついている。これが磯の味をいや増す役割を果たしているに違いない。店の従業員が推すマデイラ名物のパン、ボーロ・デ・カコは、焼きたてのホカホカで香草とニンニクバターが塗られている。そのまま食べてもモチモチしておいしいが、貝を食べた後のフライパンに残ったバターをつけて食べるとこれまた涙が出るほど旨い!パンをもうひとつ頼んで貝のエキスを全て摂取したいという誘惑に駆られたのだった。
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これはアソーレス料理店で食べたラパス。香草バターが使われている。

 マデイラには世界遺産の月桂樹の原生林がある。月桂樹の枝に刺した牛肉のバーベキューも名物料理の一つである。ほんのり月桂樹の香りが移った肉はジューシーで柔らかくとても美味しい。ところが外国人がマデイラでキャンプをしてその辺の月桂樹の枝を取ってバーベキューをして食べたところ食中毒を起こすという事故があった。彼らは毒のある木を月桂樹と間違えて使ってしまったのだろう。注意である。
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by caldoverde | 2007-05-21 17:33 | ポルトガルの旅 | Comments(2)