ポルトガルの食べ物、生活、観光情報


by caldoverde
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夏が戻った

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2015年11月8日のギンショ海岸

11月の最初の日曜日は、まさに小春日和と言うか、ほとんど夏になった。冬に入る少し前のポルトガルでは、サン・マルティーニョの夏と呼ばれる、暖かい日が出現する。だいたい11月11日の聖マルティーニョの日の前後に多いので、こう呼ばれる。せっかくの好天の週末を、いつものように自宅や近所のカフェでだらだら過ごすのはもったいなく感じ、久々に自転車を出した。
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サドルとハンドルを革にしてドレスアップしたbrompton

電車に自転車を乗せてカスカイスまで行き、そこから海沿いのサイクリング道路を走り、ギンショ海岸に向かう。約6kmのアスファルトの自転車道はアップダウンもなく、片側は海、片側は美しい邸宅や灌木の広がる原野の向こうにシントラ山脈を臨む素晴らしい景色が楽しめる。しかし、大西洋から吹きつける潮風は、最初は背中を押してくれるが、帰りはペダルをこぐ度にヨイショコラショと気合を入れなくてはカスカイスに戻らせてはくれない。それをカスカイスに住む友達に話したら、11月のギンショ海岸は、しばしば風のない、とても穏やかな日があると教えてくれた。今日はまさにその日である。
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海のそばに生えていた茸、食べられるのかな?

以前と同じように、赤いアスファルトの自転車道が終わるギンショ海岸で折り返し、カスカイスに戻るつもりだったが、驚いた事にその先に木の香りも清々しい、真新しい木製のデッキ状の遊歩道ができていた。浜から吹き寄せられた砂の上に架けられた木の遊歩道を過ぎると、再び赤いアスファルトの敷かれた自転車道が現れ、海岸の東に広がる砂丘の方に伸びている。ここからはもう登り坂なので、翌日の筋肉痛を避けるために、サドルを降り自転車を引っぱって登った。坂を登りきったところは何やら車がたくさん停まっている。小さな黒い建物がある。砂丘の自然を紹介するインフォメーションセンターとカフェだった。うっすら汗をかいた後の、海を見ながら飲む生ビールは美味い!
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砂丘には何本かの木製の遊歩道があり、ギンショ海岸や城塞を改装したホテルやシーフードレストランに伸びている。十数人のハイキング姿のグループもいた。インフォメーションに事前に申し込めば、1時間半のガイドツアーも行うそうだ。砂丘内の狭い遊歩道は、自転車は降りて歩かなくてはならないが、砂丘に生きる植物に目を留めるのにはその方が都合がいい。
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それにしてもポルトガルで自然に親しもうとすれば、車を出さなくてはならない。電車やバスで観光地に行くのは外国人か貧乏人(私は両方)。風光明媚な場所は休日は車で一杯。海も街も路上駐車の車で溢れかえっている。マイカーは快適だが、大気汚染や自然破壊は大丈夫なんだろうか…砂丘の遊歩道や立派なインフォメーションセンターは、なんだか大航海時代に未開人を教化するという崇高な目的をもってキリスト教を布教したポルトガル人宣教師の業績に通じるものがあると感じるのは、私だけでしょうか?
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ロカ岬も見える

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by caldoverde | 2015-11-09 05:43 | ポルトガルの旅 | Comments(6)

謹賀新年2015

だいぶ遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
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バカリャウ(干し鱈)、白菜、ポロ葱、クレソンでなんちゃってお雑煮

2015年の元日は、初日(と言っても登り切った後)を見ようと愛車bromptonでテージョ河沿いの自転車道目指し、坂を下り始点のカイス・ド・ソドレ駅に到着。なんと向かいのリベイラ市場のフードコートは元日も営業!市場をぐるりと一回りし、いざサイクリングと思いきや、後輪がパンクしている…大晦日は外でビールなどを飲んでどんちゃん騒ぎをする若者が多く、道路に落ちていたガラス瓶のかけらを踏んだらしい。あえなく初乗りは頓挫し、bromptonを折り畳んでバスで家に帰った。

元日営業している飲食店は非常に少く、ほとんど開いているお店はありません、と観光客には伝えているが、リベイラ市場の他に、アモレイラス・ショッピングセンターのフードコートの幾つかの店は営業していた。ショッピングセンターには映画館があり、元日から上映しているので、それに合わせて開く飲食店が若干ある。ひょっとすると他のショッピングセンターも同じ事情だろうか。最近は規制緩和が進んでいるし。

私の住んでいるカンポ・デ・オリーク地区では、以前はXマスも元日も開けているのは「カーナス」位だったが、今年はその向いにある老舗のカフェ「テンタドーラ」も元日営業している。ここのテラス席は日当たりも良く、坂道を登ってくる市電を眺めることができてなかなか気持ちの良い場所だ。

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「サムライの一撃」「ラスト・サムライ」などの見出しが

ポルトガルでは年が明けるといろんなものが値上がりしたり、税金が上がったりと全くめでたくもなんともない。しかし、今日はちょっと良いニュースが。各新聞の第一面を日本人が飾った。1月11日のスポルティング対ブラガの試合で、田中選手がフリーキックを決め、スポルティングを勝利に導いた。きれいな弧を描く見事なシュート。2015年はさらなる活躍で、ポルトガルのサッカーファンを沸かせて欲しい。



前の動画が著作権の問題で削除されたので、観客が撮った臨場感あふれる動画を貼り付けます。しっかり見たい方はこちら

同じ日にはクリスチアーノ・ロナウドが2014年度のバロン・ドールを受賞のニュースも。何と3度目だ。最近故郷のマデイラ島に彼の巨大なブロンズ像が建てられ、新たな観光名所になっている。体の一部が強調されすぎだという意見もあるけど…
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by caldoverde | 2015-01-12 21:41 | スポーツ | Comments(13)

串揚げと白い町

 雨の多い11月も半ばを過ぎ、今日は小春日和の日曜日となった。久しぶりに河向こうにサイクリングに行こうと思い立った。ポルトガルの九十九里浜と私が勝手に名付けた、リスボンの南にあるカパリカ海岸(15km)には自転車道がある。暖かい日差しと穏やかな潮風を浴び、広大な海岸を眺めながらペダルをこぐのは爽快に違いない。しかしその前にまず腹ごしらえ。リスボンの美しい眺めを楽しみながら食事を取れるレストランがテージョ河の対岸にある。
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 カイス・ド・ソドレ駅から始まる河沿いの自転車道を走り、国鉄ベレン駅そばにあるフェリー乗り場でトラファリア行きの船に自転車ごと乗り込み、次のポルト・ブランダンで降りる。ちっちゃな砂浜とレストランが二,三軒ある小集落の港だ。その浜に面したレストラン「マレー・ヴィヴァ」の窓際の席に座ると、青い水の向こうに玩具のようなベレンの塔や発見のモニュメント、緑濃いモンサントの森とリスボンの白い街並み、その彼方にはうっすらと青いシントラの山、河沿いに延びてやがて海に消えていく近郊の町々が一望できる。
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中央の左端に世界遺産のベレンの塔が見える

 この店も隣のレストランも炭火焼とオイルフォンデュを看板に掲げている。最初はあっさり魚の炭火焼でもと思っていたが、隣の席から流れてくる揚げ物の匂いがどうにもたまらず、本来は皆でわいわい楽しむべき串揚げをおひとりさまで注文するに至った。具は様々な種類の肉やシーフード、そのコンビネーションがあるが、私は牛肉とアンコウと海老というお得感のある組合せを選んだ。
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 まずカットフルーツの盛り合わせが運ばれてきた。揚げ物が胃にもたれないようにとの気遣いだが、すごい量である。種類もオレンジ、バナナ、イチゴ、パイナップル、キウイ、マンゴー、パパイヤ、メロンと8種類はあった。付け合せはフライドポテト。キャベツの葉が敷かれた皿には、塩・ハーブ・スパイスのまぶされた牛肉の赤身、白いアンコウ、青い海老が並べられている。いずれも比較的あっさり系とは言え、揚げれば結構なカロリーになるはず。そればかりではない。味付けに何と6種類のソースが付くのだ。6つの内5つはマヨネーズ系だ。マヨラーには感涙の量と品数である。
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右下から時計回りに、トマトケチャップ入り、シンプル、ピクルス入り、ハーブ入り、カレー味のマヨネーズソース。黒っぽいのはベリー系ジャムソース。

 フォンデュ鍋の熱した油の中に串に刺した肉やアンコウを入れて、頃合を見て引き上げる。早すぎたかアンコウの中はまだ冷たい。もう一度。肉を入れっぱなしにしておくと今度は縮んでしまう。最初はなかなか加減が難しいが、それもまた楽しい。下味が付いているので何もつけなくても十分美味しいが、せっかく6種類のソースが出されたからには、全部試してみたくなるのが人の性。一番さっぱりしていたのはブルーベリージャムのような甘酸っぱいソースだった。
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発見のモニュメントとジェロニモス修道院。

 フェリーに自転車を乗せて、途中の港でリスボンの素晴らしい眺めを見ながら揚げたての肉や魚介類を食べた後は、再び乗船して次の港で降り、海までサイクリングを続行してカロリーを消化する予定だった。フェリーは船首を大西洋に向けてポルト・ブランダンを出航した。あれがトラファリア港か、もうそろそろだなと思いながら、船が着岸して他の乗客が降り始めたら私も自転車と一緒に降りようと準備を始めたが、誰も降りない。様子を見ているうちに船は方向を変え、リスボンに戻り始めた。カパリカ海岸のサイクリングは次の小春日和の日曜日まで延期となった。(今年はあるだろうか)

 注)フォンデュ屋に行く時は、油の臭いがついても構わない普段着で。
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by caldoverde | 2012-11-19 08:14 | ポルトガルの旅 | Comments(4)

自転車カフェ

 ここ数年の間に自転車後進国だったポルトガルにも各地に自転車専用道路(シクロヴィア)が作られ、リスボンは、カイス・ド・ソドレ駅からベレンの塔まで、市北部のベンフィカから川沿いのエキスポ地区まで自転車で行けるようになった。街の真ん中にあるデパートのエル・コルテ・イングレスから、アルコ・セゴ地区にかけて延びるドゥケ・デ・アヴィラ通りも、車道を一方通行にし、快適なサイクリングコースと広々とした舗道が設けられ、親子でペダルを踏む姿や、颯爽と自転車通勤する人達が増えている。
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窓に飾られているのはイタリアのANITA
(https://www.facebook.com/VelociteCafe)


 そのアヴィラ通りの端、地下鉄サン・セバスチアン駅前に、ポルトガル初の自転車カフェVELOCITÉ CAFÉがオープンした。目印は建物から飛び出した自転車、または窓に吊り下げられた自転車である。店はカフェと自転車店プラス修理工房を兼ねていて、レンタサイクルもある。自転車に乗ったまま入って行けるようスロープがつけてある。店のそばには駐輪用の鉄パイプがあるので、愛車をチェーンで繋いでおけば安心して食事がたのしめる。白い壁一杯にリスボンの街のイラストを描いたおしゃれなインテリア。木の椅子やテーブルも可愛い。
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 メニューは軽い小洒落たものが多い。熱いコーヒーに氷を入れてレモンスライスとミントを浮かべたマザグランという飲み物に、山羊のチーズと蜂蜜のサンドイッチなるパリーのキャフェみたいな(行ったことないけど)ものを注文した。盛り付けもこのようにおっしゃれ~なのだが、味は普通である。
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 開店間もない頃から、舗道のテラス席ではいつもピタピタの自転車シャツを着た男達が談笑し、トラブルを起こした自転車を運び込むサイクリストがひっきりなしにやって来る。通行人も好奇心で中を覗き、珍しい自転車を眺めては店員に質問している。自転車好きの仲間が作った店なので、店員がメニューの注文取りよりも、自転車談議の方が熱心になりがちなのは仕方がない。(ポルトガルだから)
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左の棚には小さく折りたためる英国製bromptonがぎっしり

 私の愛車bromptonの部品を失くした時も、整備士は週末だったにもかかわらず知り合いのディーラーに連絡し、在庫の有無を確認、連絡してくれた。後日部品を受け取り、家で自力で取り付けを試みたがダメで、結局この店に持ち込んだ。支払ったのは部品の代金だけだった。
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シンプルで美しい東京バイク
(https://www.facebook.com/VelociteCafe より)


 仙台では見たことのなかったTOKYO BYKEというブランドや、ポルトガル唯一の国産車ÓRBITAなど変わった自転車があるので、自転車を愛する人はリスボンにお越しの際は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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貸し自転車はポルトガル製ÓRBITA
(https://www.facebook.com/VelociteCafe より)

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Osaka Byke?いいえドルチェ&ガバーナ。これはありませんでした。
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by caldoverde | 2012-11-11 07:33 | お菓子・カフェ | Comments(4)
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荒々しい岬に立つ可憐なBROMPTON

 最後の日は全国的に荒れ模様との天気予報だったが、朝のうちはきれいな青空で、ホテルの人もアルガルヴェじゃ降らないよと根拠のない太鼓判を押したので、また自転車でポタリングに出かけた。サグレスの町の中心や港のそばにはたくさんのレストランがあり、1軒1軒なめるようにメニューを確認したが、秋刀魚らしい品書きを見つけることは出来なかった。せっかく遠くまで来たのだから、地元ならではのものを食べたい。しかしどれもリスボンと似たりよったりだった。
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 浜に下りると風は徐々に強まり、太陽は灰色の雲に隠れては時折弱々しく海面を照らした。人けのない砂浜では監視員の青年が黙々とデッキチェアーを直したり、ゴミを拾ったりしていたが、私を見つけて話しかけてきた。何年ぶりかの、人生最後かも知れないナンパである。人のことは言えないが非常に訛ったポルトガル語を話す。彼は私がポルトガル語で答えているのにも関わらず東洋人はポルトガル語を喋るとは思わないらしく、Do you speak English? と尋ねた。英国人の多いこの辺で仕事をしているのだからさぞかし流暢な英語を話すのだろうと思ったら、「きょう、てんきわるい。およぐのだめ。だからYellowのはた。」アンゴラ出身の監視員が発した英語はYellowだけであった。腰が砕けた。
 彼は私が何度も自分は日本人だと言っているのに、中国人は皆マッサージできるからあんたもできるだろうとか、日本では中国語を話すのかとガックリ来るようなことを熱心に質問し続け、遂には初級日本語会話をメモ紙に書かせられた。案の定「愛している」は何と言うか書いてくれと頼まれた。これで東洋人の女をナンパしマッサージしてもらおうという目論見だろうが、彼はかなり飲み込みが悪く、せっかくの授業も一生役に立ちそうにないのは明らかであった。
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 ようやく太陽が現われて海に反射し、面白い写真が撮れそうな雰囲気になっても、アンゴラから来た監視員の兄さんは私を解放してくれない。そのうちに初老の男性が一人海岸にやって来た。この秋の波の高い日に泳ぎに来たようだ。やっと監視員の仕事ができ、私は自由の身になった。良い構図を求め浜の一番端のほうまで歩いていくと、岩にズボンや下着が脱ぎ捨ててあった。先ほどの男性が何も着ずに海水浴をしていた。私が来たのを察してか腰まで水に浸かる深さで波にもまれている。私が長居すれば彼は海から出るに出られず溺れる可能性がある。そうなるとさっきの監視員の兄さんも大変だろうと、残念だが写真を撮るのもそこそこに浜を後にした。
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魚のスープとサグレスビール

 昼は港のそばのいかにも観光客が好みそうな造りのレストランでカタプラナ(ポルトガル風ブイヤベース)を食べようか、あくまで秋刀魚を探そうか迷っていたが、結局、ホテルのおじさんが推薦する町はずれのリーズナブルな店でべズーゴという鯛に似た魚を食べた。昨日のエイほどインパクトはない普通の味だが、あのサグレス岬の老漁師が命がけで釣った魚かもしれないと思うと、ありがたさもひとしおである。
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 サグレス岬が見えるように外のテラス席で食べ、コーヒーも飲み終わる頃、ものすごい雨が降り出した。ポルトガルの天気予報は意外と正確だ。中に入りアマルギーニャというアーモンドのリキュールを飲みながら雨が小止みになるのを待った。アルガルヴェ地方はその昔アラブ人がアーモンドを伝え、春はアーモンドの花、菓子はマジパンの練り切り菓子、酒はアーモンドのリキュールがこの地方の名物となっている。アーモンドの花見をしながら練り切りを食べ、リキュールを飲むなど風流だが、どちらも舌が麻痺しそうなほど甘い。
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ビワの形のマジパン菓子。中にはあんこならぬ鶏卵そうめんが入っている

 雨が小降りになるのを見計らって、ローカルバスでサグレスからラゴスに移動。長距離バスを待つ間ラゴスの町をぶらぶら歩き、アルガルヴェの伝統菓子を売っている店で一休み。マジパン菓子や、鶏卵そうめんを砂糖シロップに漬けて銀紙で包んだ「ドン・ロドリゴ」、キャロブ豆のタルト、イチジクとアーモンドのタルトなど、リスボンでは珍しいお菓子を製造販売している。最後の一切れだったイチジクとアーモンドのタルトは、果物と木の実を細かくして混ぜ押し固め、シナモンでアクセントをつけたもので、どっしりとしているものの天然の果物の甘みはしつこくなく、むしろダイエット中の方にもお勧めしたくなるようなヘルシーな味だった。秋刀魚を食べることはできなかったが、アルガルヴェならではのデザートを食しリスボンに帰ることができて満足した。
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by caldoverde | 2010-11-08 05:37 | ポルトガルの旅 | Comments(5)
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遂にヨーロッパ最南端まで自転車で到達!最後の6kmだけですが

 昨夜のレストランも泊まったホテルも客の姿はほとんど見えず、シーズンオフの観光地の寂寥感がひしひしと伝わるが、秋冬の荒涼たるたたずまいにこそアルガルヴェの本来の魅力があると思う。アフリカからの風に吹きさらされ、石がゴロゴロと転がり、ほとんど耕作不可能な荒地に立ったエンリケ航海王子は、水平線の彼方に、アフリカのどこかにあるはずのキリスト教国を捜し求めていた。
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宿泊客は私を含め3人しかいなかったようだ

 2日目は爽やかな秋空の絶好のポタリング(自転車でぶらぶら散歩する)日和となった。大変な思いをして自転車を持ってきた苦労は報われた。サグレス岬は海面から垂直に切り立ったテーブル状の平らな半島で、起伏はほとんどない。道路はきれいに舗装されていて、観光シーズンが過ぎた10月の終りは交通量も少なく、車からどやされることもなく、非常に走りやすい。しかし国道から分かれたサグレス岬に向かう一本道は粗い石畳なので、街乗り用として作られているブロンプトンには過酷な条件であり、ポルトガルの輪行にはやはりタイヤの太いマウンテンバイクが適している。
 それでも道端の草や海を眺めながらのんびりペダルをこぐのは何と気持ちの良いことか。ちょっと気になるものが視界に入ったら止まって眺めたり、写真を撮ったりしながら、ぶらぶらと海岸や港、住宅地を散歩した。
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枯れた草にはびっしりカタツムリ
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 サグレス岬は地図では爪先立った足のような形をしている。足首の靴下のゴムにあたる部分に古い城壁が残っており、そこから先は入場料を払って入る。城壁の内側の岬には「風のバラ」と呼ばれる羅針盤、教会、火薬庫、エンリケ航海王子の時代に作られた水をくみ上げるための小さな石造りの塔などの古い小さな建物の他に、モダンな建物の売店やカフェ、資料展示館などがある。昔は岬が一つの城砦だったらしいが、岬をぐるりと囲む城壁は海に崩落したのだそうだ。この岬にはエンリケ航海王子が優れた科学者を集め航海学校を作ったという伝説があるが、人が住めるような場所ではなかったので、実際に学校のようなものがあったのはラゴスだったと言われている。
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岬の先端にある謎の建造物の中心には深い穴が金網で塞いであった

 高さが海抜50mに達する断崖絶壁の上はテーブル台地。海岸線は大西洋の荒波が削り、どんどん浸食されていく。現在は周囲をコンクリートの塀で防御しているが、いつかは崩れ落ちることだろう。そして何百年後か何千年後かには岬は小さな島になり、やがて荒波の中に消えてしまうのだろう。

 そう考えただけでザワザワするのに、ここではさらに恐ろしいことが行われている。漁師たちが塀の外の崖っぷちで釣をしている。やっと立っていられるような狭い足場で50メートル下の海面に釣り糸をたれている。もし強い風が吹いたら、大きな魚に引っ張られてバランスを崩したら、すぐそばでカメラを構えている観光客がこっちを向いてくれと頼んだりしたら、私がでっかいくしゃみをしたら、漁師は海の藻屑となる。しかし中には悠然と鼻歌を歌ったり、ワインを飲みながら仕事をしている漁師もいる。
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タバコを吸いながら50m下を覗き込む釣人
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この道何十年の漁師は命綱もつけず崖の淵に立つ
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魚を狙って猫が漁師を襲う?!

 サグレス岬から北西にはサン・ヴィセンテ灯台が見える。海岸線に沿って真っ直ぐに灯台に向かってのびる国道268号線は、とても気持ちのよいサイクリングコース。途中数軒のレストランがあるほかは見晴らしの良い荒野が続く。初夏は可憐なアルメリアの花も秋は茶色のいがぐり坊主。
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 灯台の近くには屋台が並びホットドッグやみやげ物を売っているが、ポルトガルの物産品の店はひとつだけ、それもいつ仕入れたのか判らないような干しアンズや干しイチジクとか、割れそうな器に入った蜂蜜とか、不ぞろいのオレンジとか、どうも買う気の起こらないものばかり並べた屋台だ。売り物の中に干からびたような大きな黒いサヤの豆があったが、これが昨夜食べたデザートの材料のキャロブ豆で、屋台の歯のないおじいさんは豆を一つポキッと折って食べてみろと差し出した。埃っぽい屋台の、洗わない手で差し出された洗われていない豆を食べるのに一瞬躊躇したが、噛むとほんのりと自然の甘みが口に広がった。
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岬のカフェにもキャロブが飾られていた

 サグレス岬を望む小さなビーチのレストランで遅い昼食をとった。エイのニンニク煮とビールを注文した。茹でたエイとジャガイモにたっぷりのニンニクとオリーブオイルで味付けしただけのシンプルな料理だが、エイが新鮮で、淡白でとろりとした味わいがとても上品。軟骨もコリコリとした歯ごたえが楽しい。オリーブオイルがもっと上等だったら更に良かった。
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 日没が近づき、岬の根本にある岩場に囲まれた小さなビーチで夕日を鑑賞した。ヨーロッパの最南端に沈む太陽で黄金に染まる海。古代ローマ人は燃え盛る太陽の火はこの海に落ちて鎮められると考えていた。
 これで昨日のカタキはとった。
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by caldoverde | 2010-11-05 09:28 | ポルトガルの旅 | Comments(6)